mimi's world * HOPE and DESIRE

_______ BE-lie-VE * be-LIE ve * believe...the SHAMs for heart healing * mimi's world-7 _______

To be my Grace - XXVIII * One More Love . . . at Last 

.





「 ねぇ、結婚式どうする? 」




・・・・したよ。


彼女からのその言葉は、自分の限られた時間内で大丈夫と言ってくれていると、心が感じて・・・なおさら自分の心が申し訳ない気持ちで一杯に成っていた。


アメリカに行ったら、会わなければ成らない人が居る。


自分の両親に・・・

“ ただいま ” 

そう言うだけ・・・



そして奥さんのキョーコに・・・

“ いらっしゃい ”

ただそれだけなのだけれど・・・


言葉にできるかどうか、自分に自信が無かった。



旅行前にそれを考えて居た時、クーとジュリに結婚式の相談をしようかと思っていたけれど・・・

今回LAに行っても、キョーコの始めの2年分のグリーンカード申請中保持として、その2年の間に正規のグリーンカードの申請を時間のある時にしておきたかったので、弁護士とも会わなければ成らないのと、今申請中の2年の間には、2人ともアメリカに一年以上滞在する事も不可能で、それでもそのまま保持し続けるという海外在留届とかその他、子供はアメリカ国籍と日本国籍の両方を保持しているから、キョーコに必要な事務手続きをあれこれしなければ成らない事がどうしても重要だった。

やる事をこうして考えると、長々と語れるほど事務手続きが山積み・・・なのかと思う。


マリブの家は海際だけど、ダイビングする時間もなさそうだし・・・

ビバリーヒルズの家の方が、これらの地っ味~な事務手続きに行くのに便利だし・・・


( んで・・・もう1つ。 )


実は一番重要な事。

15歳で出て来て免許もなければ、アメリカで車の運転をしたことが無い。


( はい。これです。 )


ドライバーは家にたくさん居るし、車も多種多様にあるのは知っているけれど、自分たちだけでどこかに勝手に出かけるという事が出来ないかも・・・。

15歳までは、俺専用の運転手の居る車での送り迎えだけ。
もしくは、16歳に先になった友達の車にしか乗った事が無い。

2月生まれという事に、できる事とできない事。
15歳と16歳の境目は、友達には法的に許されても、自分にはまだって事も、自分をイライラさせていた。

女の子は16歳の誕生日には、レディとして認められ始める習慣のSweet Sixteen 
Birthday。結婚披露宴のように派手な一生のうち一度だけの誕生パーティに呼ばれたり
しても、その周りに居る16の友達には・・・

自分が遅れていて、取り残された様な気に成っていた。




あの後・・・


パスポートだけを持って家を出た自分。


自分の部屋は、あのままなのだろうか・・・・



その家に行く





・・・ってか、考えてみると両親が2人ともどっちに普段住んでるのか、定かじゃなかった。


(まぁ、家に行くのは今と成っては構わない。それはそれで置いといて・・・)

それぐらい、別宅も持っている彼ら・・・

クーもジュリも俺達の事務手続きの為に、休暇を取って子供を見ていてくれると言ってくれてはいたけれど・・・

自分でも分かるのは、その休暇という言葉。

忙しいスーパースターの彼らにとっての休暇って、きっと俺と同じ様に午前中だけとか、もしあっても一日だろな。と思っていた。


クーもジュリも自分が子供の頃、家には居なかった事。

朝起きて、今日は Daddy が居たとクーを見て喜んで、今日はMommyが居たとジュリを見て嬉しくなって・・・

忙しい彼らが揃って家に居る時間は、ものすごく短い時間だった。


それを考えると、結婚式をしたいと言い出せなかった自分。

自分の事で、仕事を休んで欲しくなかった程、今と成っては・・・

自分が仕事で忙しいから、何も言えない。

無理。不可能。と自分でも思う事・・・それは出産に関してでも・・そう思っていた自分。
自分の事を考えたら、我儘なんて言えないと・・・

・・・彼女が自分の心に我慢して溜め込む時とは、こうなのだろうと感じている程に。


2人で涙を心を共に出来る様に成ってからは、自分たちのこの心の感情までもシェアして乗り越えて行きなさいと・・・

誓いの言葉に思い、また自分の心も本心から感じていた。





「 あのさ・・・考えている事があって・・・ 」


自分が言い出していたのには、まだ全く確実に成る事ではないものだったけれど・・・

2人の意見を取り入れたいかな?との提案のつもりだった。


後ろから抱きしめていたキョーコから手を離したのは、転がりが上手になった子供がごろっと自分の方に転がってきて、Tシャツの背中の裾をぎゅっと握って来たからだった。


「 今回さ、いろいろ考えてみたんだけど、自分達に時間はあっても・・
  誰かを呼べるような、結婚式は無理かな。って思ってたんだ。 」


「 うふふ。大丈夫。 」


ね~、パパの事が大好きなんだね~。と俺の背中の匂いを嗅くようにビタッとくっついている子供。

どーにもこーにも、パパが だぁいちゅき。

そんな子供を見ているキョーコも、自分の胸に寄りかかり微笑んでいた。


「 私はね・・・
 ずっとずっと貴方に恋をしていました。
 その恋が・・・愛に成って・・・
 ずっと子供の頃から欲しかった愛・・・分かるよね?

 ・・・コーン
 
 その愛を私の心にくれたのは・・・貴方です。

 それだけでもう、十分です。 
 
 『 これからもう二度と離れない。 』
 『 初めまして、君の旦那さんです。 』
 『 夫です。 』

 貴方が言ってくれたこれだけで・・・
 心の中から、幸せって思ってるよ。 

 1人じゃないってね・・・・・ 」



寄り添った胸の中で目を瞑り、微笑んでいる自分の・・・奥さん・・・ 

から・・・・・





“ だからこそ・・・無理をしないでって思うよ・・・・”




最後の微笑みは、自分を大切に想ってくれる気持ちが言葉の無い笑みでも

十分・・・自分の心にも伝わっていた。



“ パパが だいちゅき。 ”


・・・だって私の遺伝子を引き継いでいる子だもん、当たり前でしょう?

大好きな、私の旦那さま。

ずっと傍に居てくれて、ずっと愛をくれて、ずっと1人にしないと・・・

その貴方の心からの言葉が、私の心への誓いの言葉だよ。


それが、とても嬉しいから・・・





それが、とても嬉しいから・・・


だからこそ、彼女を喜ばせてあげたいと思う自分の愛が、時に自分を苦しめるほど
愛している。

自分には何も出来ないと言ったのは あの時だけで、今は・・・

彼女の喜ぶ顔がもっと見たいと思う事。

涙を堪えて・・・
なんて、もう二度と自分の前ではして欲しくないとも

信用して・・・
涙を、自分の心の中に流して欲しい、泣き場所はここで

子供の頃にあげた蒼い石に話しかけるのなら、本人、自分に話して欲しいから



こうして胸の中で微笑む君が大好き



その微笑みを、2人の大切な思い出の中に、これからもっと創って行ってあげたいと思う自分だから・・・





「 あのさ、この子が分かる様に成るのは、まだまだだけど・・・」

「 ん~・・・? 」


目を開けて見上げてくれるその頬に、頬を寄せていた。


「 キョーコ、妖精に祝福されたくない? 」


はっ!と自分から顔を離されて、どーしてそれを知っている。と妄想小部屋の住人だとは、子供の頃のキョーコちゃんから知っている俺。


「 は? 妖精のコーンは・・・
 結婚に対して、まだまだ祝福してなかったの? 」


( そ~だった。曲がりくねった坂道発進注意対処法、考えてなかった。 ) 

眉間に皺を寄せられて、じーっと見られてしまった。
湾曲思考の奥様は、いつまで経ってもそ~なので、誤解を招かない様に、
I may have to be careful to her eternity love with my eternity Love. . .これから先も自分が注意。と心の中に自分で A-Menと誓う。


「 違う。言い方が悪かった。それか、お城とかは? 」


はぁ、何が?という顔をしていますが、結婚式どうする?のトピックを忘れてしまったのかと心配になる。


「 今ね、考えているのは・・・

 ディズニーランドとかで結婚式したいかな?ってのと・・・

 あと、例えばロイヤルウエディングとかで使われる有名な教会とか・・・

 ヨーロッパのお城、例えばファンタジー映画に出てくるお城とか・・・」



自分が指を折って その指を見ながら話していた手を、両手でガッチリ握られた。


「 今はまだ、遊園地みたいな所とか行っても分からないだろうし、
 今回LAでさ、自分が車の運転するかどうかも分からないし、
 それとどうしてもアメリカに2人で居る時に、弁護士に会わなきゃいけないのと
 今度 揃って来れる時なんて何時になるか分からないから・・・・ 」


そう言っているもののガッチリ握られていた手に、ブンブン握手されていた。


「 どぉ? そういうの?
 俺は確実に成る事しか言わないから、その為に計画を・・・
 2年後以降とかのスケジュール都合をまだ調整できる先になら?

・・・・と思うんだけど? 」


うん、うん、うん、うん。するする。するする。計画。

コクコク必要以上に頷くけれど、さすが Ms Woods. 必要以上の動きにも動じないのに、サラサラしている髪。
綺麗に成っているキョーコを見るとこのまま、ウェディング・ドレスが似合うだろうと思いながらだった・・・


「 ねっ、その頃なら、キョーコのお母さんとか、不破の両親とか・・・
 ま、不破も・・・? 貴島とか琴南さんとか・・クーもジュリも・・・
 忙しい人たちのスケジュールも、空けてもらえるかな?って思うけど・・・ 」



そうなんだよ・・不破ってさ、めちゃめちゃ忙しくてさ・・・なんて・・・
アイツの事も平気で話せる。

・・・なんて、話しながら・・・・
ぎゃ~っと泣き始め起きた子供を、片手で背中からひょいと持ち上げて胸に抱き寄せても


ガッチリ握手されたままの左手は・・・


ガッチリ握って、二度と離さない ____________












________ 社長が・・・


“ ついでにローマにも行って来いよ。 ”

・・・・と言った理由が着いてから分かった。



プライベートジェットの到着が順調だった事を、セバスチャンが電話で報告している所をみると、機内に社長は居なかった。

・・・ってホッとしていた。


Ms Woods に電話を変わるとMs Woodは、は~~い。おまかせあれ、ダーリン♪
ってな具合。も ひとつかっけよ~・・・は~い到着で~ぇす。と言っているMs Woods。
車も待っています。とセバスチャンに促されながら・・・


( あれ? “ も ” ・・・? “ も ” って何? ) 


頭に一応の、ハテナが思い浮かんでいた。



________ 旅行前、社長にナイル河の事を相談していた時に聞いた・・・




『 おぉ~、そーいや、お前も居ただろ? 』


『 はぁ・・それは、いつで・・・ 』


『 あれ?覚えてねーかぁ?オレの知り合い いっぱい来ただろが~~~』


首を捻って考えるとたった一つだけ、思い出す事。

クイーン・ローザをキョーコにあげた日の事だった・・・







そして今、車が着いたのは・・・


言われていた様に、5つ星ホテル。


( よしよし。なんだか普通。 )

普通な方が安心できると、社長の企てたビンゴ景品のさらにおまけで付いてきた、ローマ。

一体ど~んな事が・・・と、いろいろ考えても、こちら・・・



「 うわっ~~~!」


・・・と、きらきらシャンデリアに目を輝かす、我が女王・クイーンローザ様よりも上を行く曲がった思考に、金銭感覚が俺より0が上を行くムダに狂った社長には度肝を抜かれかねないので・・・


・・・普通。


そう思えた事に、ホッとしていた。



「 さっ、急ぐわよ。 」


Ms Woods のその言葉に、2人でなんで?スケジュールが組まれているのか?と意味が分からない。


ぎゅぃ~んと2人とも腕を引っ張られて、その後をカコカコ&スタスタ付いて行くと

両開きのドアを開けられたのは、ホテルの部屋。


( よし。普通。 )

開けられた部屋は普通ではない、国王さまも おなぁ~りぃに成られるレベルの最上。

うちの奥さんの “ モガミ” ではない、“ サイジョウ ” の方・・・

それを普通と思える自分も可笑しいけれど、“ 格調高き最高級ホテルの1番いい部屋。”この言葉の響きは、普通・・・。っと思える単なる普通の新婚旅行のイメージでナイスだった。


でも、部屋の中の、何枚も開けられる一番奥の部屋に・・・


「 さっ。キョーコちゃんだけ。 」


と、腕を組まれて、キョーコだけが拉致られて行った。



________ バンっ !


その部屋のドアが俺に、見るな。と言っている様な閉め方と共に・・・

ドアの向こうで・・・


_____ きゃぁぁ~~~~!


・・・と云う、キョーコの叫びが聞こえていた。


_____ いやぁぁ~~~~・・・ん・・・


(・・・一体、ナニガ・・・???)

ドアの外で、出産時には全く到らないけれど、ウロウロしだした俺。

何が何だか分からないで居ると、Ms Woodsが空港で電話していた人とみられる・・・


「 Hi Ren. . . No . . . Hi Chuehone 」


声が聞こえ、後ろを振り返った。


「 Oh my gosh ! . . . Earl ! 」


そこに居たのは、アールだった。どうして? と聞く暇も無く、アールの部下達に、ささっこちらへ。と違う部屋に3人がかりで背中を押されて入れられた。





専属モデルの俺。




逢った事は無かったけれど、この3人が誰だか分かっている。


普段は日本には来ない・・・
ヨーロッパ本社のアルマンディの中でも、1番上の裏方チーム。その中でもそれぞれがチーフを務めるスタイリスト、コーディネーター、ヘア・メイクだった。


なんだ、なんだ?と思っているうちに、ショーの時のように、パパパパと、俺もパパには成りましたが、なんて・・・

パパパパパパパっと動くヘアメイクさんの動作にツッコミも入れる暇なく
どんどんと・・・

どんどん、どんどんと・・・

どんどん、どんどん、どんどん、どんどんと・・・


( 寝癖ついてたか? )

なんて、飛行機で以外に爆睡していた俺の事など、キョーコは一言も言っていなかったのには、鏡の中の自分の髪を直されるのを見ていて思っていた。


( ま。確かに・・・)

思わず微笑んでしまう自分。

出産の日のグっチャグチャ加減を見ているキョーコ。それから見たら な~んとも無いのであろう。それに・・・

敦賀蓮として仕事に行くわけじゃない。2人だけの旅行。
 
どんなでもいい。って思ってくれていたに違いないと・・・


キョーコが俺の、素(す)を愛してくれている。


それが自分の心をふわっと温かく幸せにしてくれていた。



・・・んで

どんどんと・・・

どんどん、どんどんと・・・・

どんどん、どんどん、どんどん、どんどんと・・・


今度はあれよあれよと、ショー前モデルの時の様にされるがままの状態で、これがいいか?あれがいいか?い~やこれも着させてみろ。と・・・コーディネーターとスタイリストがアールと相談しながら・・・


着せ替えられていた。







「  OK . Let’s Go  」


アールに肩をポンと叩かれると、また3人に後ろからグイッと押され、 キョーコが入っていった部屋のドア方面に向かうと、そっちじゃない。とグイッと押されて方向転換をさせられた。


キョーコの入って行ったドアは閉められたまま。それを見続けて・・・


ホテルの部屋を出さされていた。






_____ 『 あれ?覚えてねーかぁ?オレの知り合い いっぱい来ただろが~~~』



あの時考えていた、クイーン・ローザをキョーコにあげた・・・

彼女の誕生日。

初めて自分が祝ってあげられた日・・・


子供の時・・・1人よりも、誰かと過ごせるほうが幸せだと言われて
君は独りじゃないと言いたくて、お祝いしてあげたかった。


あの日集まっていた たくさんの人に囲まれたキョーコ。

その中に・・・・




ローマ法王と知り合いの社長。


『 お~そういや、頼んでやる。
 バチカン大聖堂をな、膝丈まであるバラで埋め尽くしてやる。 』


そう言ってくれた社長だった。


( 本当にしそうで怖い・・・。 )

・・・・冗談だろ?と思っていた、相談していた時。



う~んと思い出せば、グレイトフル・パーティにて社長が握手をしていた人。

・・・ローマ法王だった。


単なる社長の仮装好きのお仲間かと思っていたけれど、本物のローマ法王だったらしい・・・。
そういえば法王が変わってから、新しい法王はオシャレに何枚も祭儀服を変える人になったかもとは思い出しつつ、はぁ・・と頷いていた。


押し込められた車の中で、社長との事を思いだしていた自分。


ムダに長いリムジンが、狭いレンガ造りの道でオタオタしつつ・・・


着いた場所 __________



「 Chuehone. You looks so Cool 」


アールの言葉に微笑んで、後部の開けられたドアから降りようとして

背の高い俺がリムジンの中を頭を上げて歩く事もできず、頭をさげたまま車のドアを潜った・・・時・・・・


自分の目線の先には・・・



真っ白な、真っ白な、ふわふわのシフォンオーガンジー
たくさんの、きらきらと、きらきらと輝く宝石の様にビーズが散りばめられていて

顔を上げたら・・・


向かい側のドアの開けられた別のリムジンに、自分の花嫁が座っていた。


「 さっ。久遠くん。どうぞ行ってらっしゃい・・・」




( だからか・・・!)

飛行機の中で時間を見計らって、1番時間の掛かるブライドの・・・
メイキャップとヘア・メイクをしていた事にも、下地だけでも作っておきましょっ♪
だったに違いないと思っていた。

Ms Woodが同行するのは、この為だったのかと社長に・・・

・・・感謝する。



胸に手を当てて


「 姫。どうぞ、お手を・・・」


そう差し出した自分の手。


彼女が付けたかったティアラ。

彼女が着たかったお姫様のドレス。



その姿に・・・

さっき連れて行かれた部屋に入るときっと、俺の時の様に何枚もいろいろとドレスも小物も並べられていたのだろう・・・


その・・ “ きゃぁぁ~~!” で・・・ 

“ いやぁぁ~~~・・ん・・・!” で・・・


ただ単なるメロメロ・ファンタジー・ドッキュ~ン・ワールドへようこそ

・・・みたいな“ 歓喜の叫び ”なだけだったと知った。





なんなんだか分からないけれど、どうしてもベートーベン・交響曲第9番・第4章が頭をちらつかせる・・・

“ Ode to Joy - 歓喜の歌 ”



おお友よ、こんなものではない

・・・そう、もう友達ではない自分達


もっと心地よい喜びに満ち溢れるものを

・・・子供の頃、友達から続いた関係が心地よいものに変わってきた自分達



歓喜に、神々の麗しき精霊、天空の楽園に住まう1人の愛しい女性

2人の神が燃える炎の様に彼女に酔いしれて、崇高な聖なる世界に歓喜を上げて

もう一度再び回り逢う為に、古の言い伝えを守り

時流を強く切り裂くまでの想いを込めて、自らの剣を抜き、時流を切り裂く

愛を・・・永遠に乞い続けるその気持ちは・・・

柔らかな翼を休める天空の愛しい者の居る場所に


友の友と成り、大きな成功を勝ち取った者が、手中に抱き寄せた心優しき妻

嬉しくて涙の限り歓喜に胸を震わせて・・・


この地上にただ1人だけ、心が分かち合える魂の存在に喜びの歓呼を

全ての魂の存在は、母なる自然から産まれてきたもので・・・

全ての魂に善人も悪人も、棘の薔薇の道を傷つきながら辿り回り逢おうとする


差し出された葡萄酒に死の試練を受けた友と、命の奪い合いの愚者の様な者たちにも

それでも母なる自然は優しい口付けと、天空の上の神の元に導いてくれる

神の荘厳な計画に、喜びを・・・太陽が天空を駆け巡る様に・・・

自らの道を進み、勝利となった英雄が喜びに叫ぶ様に・・・


この星空の上に・・・


愛する者が居て・・・


跪いて愛を乞う事も・・・


この魂を創った創造主を傍に・・・


星空の上に手を伸ばして・・・


その世界に想いを馳せ・・・


天空の彼方に愛しき者の愛があると・・・


星の彼方に必ずと、信じよう・・・・






なんだか分からないけれど、このシラーの作詞は、近衛監督が知っていたのかドイツ語が出来るのかどうかはさて置き・・・


なんだか自分が演じた役と自分自身に、余りにピッタンコ過ぎて自分の心の中を震わせていた。

喜びの歌

喜びにも言葉は要らなくて、ただ心が感じて勝手に溢れ出す事を

この廻ってきた運命の中に出逢えた事に・・・

自分の心が感じる喜びに、感謝を込めて、誓いたい__________



うぅう~~~と、差し出した手が震えるほど、ボロボロ泣きそうになったけれど・・・

一応・・・キョーコ以外の皆さんの前では泣きません。

一応の役者・・魂 が、ここ この胸の中に熱く存在する。


自分の差し出した手が小刻みに震えているのを、手を乗せたキョーコはぎゅっと握り、微笑み掛けてくれていた。







「 そうねぇ、今日はまだ、出来ないわね・・・」



Ms Woods の言葉に、一瞬 えっ!と2人で止まってしまった。

は?此処まで来て一体何が起こった?


今、ものすごく感無量。

飛行機の中で結婚式はどうする?ロイヤルウエディング?お姫様?
と丁度話して居た時に訪れた、ブンブン首を縦に振りまくり、ぎゅっと握手までされて、どうぞ宜しく。って・・・盛り上がっていた矢先の思いも寄らなかったシチュエーション。


こんなGood timing はないだろ?

そう思って固まっていた時・・・



セバスチャンの腕の中に、2人の心が1つに成った愛がキャッキャ言って喜んでいた。



「 そうなのよ・・・1人で立って歩けたらね

ママのお姫様の裾を持ってって、言えるんだけどね。 」



まだまだ完璧にムリ。とは、この事だった。惜しいぃっっ!と言ってくれるMs Woods


もしも・・・
もう一度、計画通りに結婚式を挙げるとしたら、その時は・・・


そう思うのは自分だけではないのかも知れない。


ぎゅっと上から握ってくれていた手が、指を絡めて繋ぎ直されたから・・・・・





1人の修道士が門前に迎えに来て、セバスチャンの腕の中から子供を抱き、自分たちを大聖堂まで導いてくれる。


バチカンの門に入ると、沢山のその場に居る世界中から来ている人たちに祝福を受けていた。

社長が準備してくれた社長の知り合いである法王自らの式に、大聖堂の観光は出来なくなっていた。

えぇ~!ココまで来たのに・・・と残念な気分にさせてしまった事を、この場に居る世界中からの人に謝りたい。

でもそんな気分を自分たちが作ってしまったのに、その場にいた観光に訪れた人々は皆祝福してくれていて、主役に成ったキョーコの・・・

言葉の無いままの笑顔に、自分も言葉を掛ける事が出来なく成る程嬉しかった。



大聖堂の前に来るとドアの前にいた二人の修道士、きっととても世界中の中でも偉い神父さんなのだろう。大聖堂のドアを開いてくれて・・・



目の前に広がったのは、本当に膝丈まで敷き詰められた薔薇の花びらが、ドアの開閉に舞い上がった光景。


その瞬間、全ての人がバチカン王国の門から出されて、この中に人として存在するのは・・・

キョーコと自分と、神の使いの修道士に抱かれていた 子供だけ


舞い上がった薔薇の花びらが、ゆっくりと落ちながらひらひら揺れる光景を体中で感じながら、全ての花びらの動きが止まるまで、少しの間喋る事も無く見詰め合っていた。



「 2人だけで。どうぞ・・・ 」

「 扉を閉めます。 」


2人の修道士が言ってくれたそれは、自分たちの台詞だった。

社長が伝えたのだろう・・・


2人だけの空間の中に思い出す________ . . .





その手を伸ばして・・・

目を瞑るときっと見えてくる



その手を伸ばして・・・

愛しい人の元に心からの想いが届いて欲しいと

輝きながら昇り行く涙を見詰めたまま・・・




________ SO HERE. . .

FROM FAR AWAY BEYOND BEAUTIFUL UNDER THE SEA

永遠の果て・・・美しい海の彼方より・・・ __________




愛しい人への・・・

たった一つだけ生涯に感じた真実の愛

その想いが残された

結いの儀を挙げた神殿のある聖所を永遠に見詰め



その手を伸ばして・・・

愛しい人に捕まえて欲しいと願う________






この星空の上に・・・


愛する者が居て・・・


跪いて愛を乞う事も・・・


魂の創造主を感じるか・・・


星空の上に手を伸ばして・・・


その世界に想いを馳せ・・・


天空の彼方に愛しき者の愛があると・・・


星の彼方に必ずと、信じよう・・・・





その天空から・・・




愛しくて溢れた涙が届く時



この愛が・・・

自分たちの心中で輝き出した



二人の魂が降りてきて還る場所は・・・



お互いの胸の中・・・


優しく美しい存在を心の中に感じるとすれば


幾時もの運命の中に廻り逢えた喜びと成って


純粋な心の中に真実の愛が還る聖所・・・






手を伸ばし・・・


その高く永久に永遠に果ての無い


闇の天空に・・・


見えない闇の中に・・・きっと・・・


目を瞑ると・・・きっと見えてくる・・・


満天の耀きが、貴方の瞼の中に


目を瞑ってもし見えたら・・・


輝き溢れ出した涙に想いをのせて、その空を涙の光景と見詰めて


2人の想いがお互いの心の中へ・・・


届いているとどれだけ願ったら・・・


この手を離すことなく


心がいつも結ばれていると


心の中のこの想いを、言葉として伝えなくても


お互いの心に・・・同じ1つの心が・・・


運命の彼方より蘇る様に生まれる・・・




________ THERE IS . . .CONSOLATION TO BE MY GRACE 



美しく優しく浮かび上がる存在を心の中に、想いと云う存在を・・・

それは、お互いの魂の癒し・・・







膝丈までバラで埋め尽くされた大聖堂で、キョーコの手を取り一歩一歩近づきながら、思い出すのは映画の中の合成された情景。


バラの花が舞い上がり、時を止めていた。


この時が永遠に心に刻まれて、いつまでも美しく優しいこの時を

自分の心の中で止めたまま、手を取り合って生きたいと願う



あの時が止められた影像は現実には有りえないけれど、一歩一歩ゆっくりと進む度に舞い上がるバラの花びらの中・・・







「 ねぇ、あのさ・・・」


なにやら、オカシナ事に気付いたかもしれない。
ローマ法王は、本物なのだけれど・・・


(・・・だよな。 )

自分を納得させるように、自分に思わせる。

クレオパトラが祭祀を勤めたあの婚姻の儀では、祭壇が星月夜空という空間に開いたのを覚えている・・・その祭壇。

バチカン大聖堂のものなので、そ~んな夢のようにポロっと映画の様に抜け落ちたら、歴史的建造物に傷がつくだろうし不可能だと思っている自分の頭の中の常識は・・・

・・・大丈夫。 


自分にそう常識を言い聞かせるほど・・・


ローマ法王が、ニッとこちらを見て笑った顔が



もしや、仮装大好きっ子、盛り上げド派手&自分が主役。の・・・


社長・・・・・・




じゃない事を、神の御前 すぐ目の前で祈りつつ・・・



祭壇に2人だけの結婚の誓いを、神に述べに近づいていた。




ドアが開いてバラが自分達に押し寄せてくる最後の光景を思い浮かべ・・・



この時のキスが



この本当の誓いのキスが・・・




この人生で本当の真実の愛を誓うキスが・・・





この人生で本当に愛を2人が求めて一だった魔法の叶う瞬間の誓いのキスが・・・






この人生で本当に愛を2人がこれからまた一から始まった魔法を、さらに一として始めようとする、永遠の変わらぬ愛を誓う為のキスが・・・・・





どうか・・・



どうか・・・



どうか・・・



どうか・・・




どうか・・・壊されずに神聖なまま終わってて欲しい





・・・そう、願いながら __________________











* * * * * * * * * * * * * * * * * * *


mimi’s world by mimi 美しい海の彼・方より
™ From far away beyond beautiful sea.


To be my Grace . . . One More Love

AT mimi’s world - Fairytale * HOPE and DESIRE Version [ FIN ]



心の中の美しく優しい存在 もう1つの愛の形

美しい海の彼・方より 希望と望みのおとぎの世界の物語 (おわり)












二度目の結婚式・・・どうぞ宜しくお願いします。

ね、旦那さん・・・




・・・もちろん。

それ・・・想像するだけで楽しいよね・・・





その前にヒズリ家への花嫁修行

綺麗な俺の花嫁さん


俺からの課題、忘れてないよね。



そう言って鼻を摘んだ・・・・・・・












・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



________ この最後の2人の言葉・・・


二度目の結婚式・・・ “ も ”  だったのか・・・

二度目の結婚式・・・ “ は ”  だったのか・・・


貴方のご想像の世界の中で、楽しんで下さると願っています。



ジュリアス・シーザー Gaius Iulius Ceaser ( ガイアス・ “ユーリウス” ・カエサル )

BC100過ぎより生きた、彼の生涯を今に残された物があります。



ユリウス暦



この言葉をどこかで聞いた事があるかも知れません。
太陽歴である、1年365日・1週7日・1日24時間・1時間60分・1分60秒

この暦はシーザーの名前と共に、現在も流れている “ 時 ” の流れ

この暦を、いつから・・・・・

始めたのでしょう・・・・・・



起源 前後 0年  ( AD 0 ・BC 0 )

Chiristの歴史が始まったこの “ 時 ”から


そのシーザーの名と共に、そのローマ皇帝と精神を受け継ぎ続けてきた・・・

St. Pope ローマ法王 





ローマ法王自らのシーザーへの鎮魂の様に、復活の様に、挙げてくれた式だったのか


でも、ローリーが挙げてくれた結婚式でも、もしかしたら以外に、神聖なものだったのかも


同じ飛行機に居たのか・・・



さておき

言葉の要らない彼ら・・・




涙の後の、鼻水?・・・・・




鼻を摘んだ理由なのかどうか・・・・・・・・・・・







全ては貴方のご想像の中と、心に・・・

お任せします。










Royal Wedding





…………………………………………………………………………


この物語に出てきたBeethoven – Sinfonie Nr. 9 d-moll op.125

An die Freude - Ode to Joy 

歓喜の歌の歌詞は私がドイツ語から訳しました為、確実なものではありません。

*転載・引用・盗作を禁じます*


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CM: --
TB: --
mimi's world from Ren Tsuruga and Chuehonn Hizuri
Love Letter from RT and CH

To be my Grace - XXVII * One More Love . IV 

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________ カチャ・・・



・・そ~~~~・・・・・




自分の胸の上に頭を寄せてTシャツを握り締め、 ぐ~ぴ~と寝ている子供の背中を撫でながら、窓の外の蒼い空を見ていた。


そ~~~~・・・っと開けられたドアの方には気づいていたので、そちらを向くと・・・


( 本当に君って人は・・・)

そう思う事にも大して驚かなくなった・・・

・・・そう、共演者として・・・



「 し~~・・・」


人差し指を唇に当てて、その手を伸ばした。



まだ寝てる?いい子だね~~と、口パクで言っている傾げた顔にも微笑ましい程・・・

自分が伸ばした手を握り、ベッドの端に膝を乗せるMrs. Hizuriを、自分の元にぐいっと引っ張り抱き寄せた。


「 うぁ、あぶな・・・」


その言葉を塞ぐ様に唇を重ねて、一度だけ唇を離して・・・


「 静かにって、言ったよね . . . 」


吐息の様に唇に囁き掛けてもう一度、唇を重ねた。

ぎゅーっと握られていたTシャツが プイッと離れて、寝返りは上手にゴロゴロできるのが早かった子は、お疲れ気味の時の寝相の悪い俺達の遺伝子をダブル100%の確立で受け継いだと思われるほど、1人で離れて転がっていた。

ベッドから落ちない様に、キスをしながら子供の転がった方に腕を伸ばして受け止めた。


「 予は女王との和平の元に、心からなる敬愛を捧げ・・・
いかなる努力をも惜しまない事を、一身を賭けて誓いたいと思います。 」


彼女を抱き寄せていた腕を引き寄せ自分の下にして、耳元で囁いていた。


「 ・・・覚えてる?台詞? 」

「 それ、ちが・・う・・」


言葉を被せるようにキスを続けていたけれど、体温の高い子供がずっと寄り添っていたので、頬を伝っていた汗を片手で拭われたら、その片手を唇に当てられてぐいっと離された。


「 これを・・・」


差し出されたのは、直ぐ傍にあったヨダレ用のタオル。
葉っぱ模様の金色の差し刺繍がタオルの周りを一周しているそのタオルを、頭からツッーと汗が伝った俺の頭に乗せられた。


「 2人の愛がここに1つに成って・・・だから、これからもっと・・・
  君の全てを支えて、また恋をして、もっと好きになる自信があると・・・
  ・・・ この胸の中に永遠に誓うよ。 」


「 むふふふ~~~  」

と笑いながらキスを二人で続けていても、落ち着いた1人の場所で ぐ~ぴ~とよく寝る子は本当に、デカク育ちそうだ・・。さすが、俺の子。といつも実は思っていた。


「 では、一緒に神に・・・その純粋な心を捧げてください。 」


「 この心の中に、そなた・・・君が居る事が真実であると
・・・この神とファラオ達に誓えます。
  
どうか、このまま自分の心の中に、永遠に居て下さい。
自分の中で、この想いが決して無くならないと誓います。 」


唇をお互いに離して間近で見詰め合っていた。


「 はい・・私の心にも貴方が・・・ 永遠に居る事を誓います。 」


自分たちは瞼を一緒にゆっくり閉じながら、もう一度唇を重ねていた。

子供が横に居るのと飛行機の中なので、あ~・・えっと~・・・ダメダメ。と自分の頭の中に必死で言い聞かせていた。


( あ~・・・カットって言葉を誰か掛けて欲しい・・・)

いつも時間に追われて過ごしていた毎日では、2人で居る時間がほとんど無くなっていた。
こんなに甘い時間をたっぷり過ごせるのは久しぶりで、こうしていると昔の様に隠れて付き合っていた頃の様で、気持ちがこんなにこの世界中のたった一人に集中して居る事に心が きゅ~んと成っていた。


「 ねぇ、どうしたい?このまま・・・」


唇を離して耳元で囁くのは、広いベッドの端っこにお一人様、自分たちの心が1つに成った証が ぐ~ぴ~言っているので小声だった。

でもそう聞けば・・・


「 どうしよう・・・」


ぐいっと片手で頭を引き寄せられて、自分の下でそう囁かれたら・・・


( あぁ~~、本当にどうしよう~~~)



でも・・・

・・でも・・・

・・・・でも・・・



( やっぱりダメだな。 )

とは・・・きっと・・・


Ms Woods に俺が怒られてしまう・・・。


自分が子供と寝てしまった間、暇だったのと子供から少し手が離れたのと、それになんだかんだ日常、俺の事にもいろいろしてくれるキョーコ。

何処に行くわけでもない、機内の中。

少しMs. Woodsと一緒に居たよ。と・・・丸解りの様に、綺麗にメイクされて帰ってきていた。

この子は・・・昔からモノノケの様に変わる子だとは、承知している。


少しメイクされただけで、雰囲気から国籍から性格まで変わる様に変化するのは、今までの仕事上、よ~~く存じ上げていた。

ましてや芸能活動をただ今お休み中。
メイキャップが大好きな彼女の性格をもちろん知っているから、本当に楽しい時間を過ごせていてよかったね。と心から思っていた。


先ほど思った、本当に君って人は・・・とは・・・

それは驚くほど、彼女はぴかっと輝いて、帰ってきたからだった。



( あぁ~~・・・とも叫びたい・・・。)

でもお眠り中の愛の証が起きてしまう・・・


( このまま・・・なんて聞かなければ・・・。)

どうしよう。と返ってくるほど下の我が女王様も盛り上げといて・・・


( このまま、バラの花びらが舞い被さって二人の姿を隠して欲しい・・・。)

でもバラの花など何処にも無い機内・・・


( 今すぐ、どうにかしてあげようか?・・・なんて、今言えない。)

だって、本気でどーにかしてあげてしまうのには、もう二人の間に憚りは無いし・・・
ん~・・・どうしよう、ん~~・・・本当にどうしよう・・・

彼女が、どうしよう。という気持ちが自分にもシミジミ解るほど、どうしよう心がどうしよう・・・同じ気持ちの1つの心に成っていた。


・・・って、
今すぐどうにかしたかった・・・あの時の様に綺麗な女神にモノノケていた。




そんな感じを思い出したら・・・

ふっ!と急に我に変える


( これ、社長のプライベート・ジェット・・・!)

急に目を開けて、ホテルのスィートルームぐらいはある室内を、目だけで端から端まで追っていた。


なにがしか・・・・


目に掠めているものが・・・お空のお上の、お雲がナイナイ・・・子供に話しかける言葉に成りつつ・・・飛行機の中では常に当たる太陽光に光っているものが気に成った。

キス中なので角度を変えて顔を動かし、目を瞑っているキョーコの瞼の上に手を被せようとしたけれど、綺麗にまつげも上に上がっているので躊躇うと、頭に被さっていたヨダレ用のタオルを顔に落としに ここぞとばかりに角度を変えていた。

その度に・・・


キッラーン・・・

・・とも・・・

キラっとも・・・

ピカッとも・・・

んで・・・ビカビカにスーパー輝く・・・




エジプトに行くからか・・・

よくぞここに・・・



社長が入っていたファラオの棺が、部屋の角・・・ 全てに立っている。


( もしや・・・)




「 あぁぁ~~~!」


キョーコに口をバッと思いっきり両手で塞がれていた。


「 し~っ。久遠。そこはアドリブの真似をしなくてもいいから・・・」



( シマッタ! さっき俺・・・ )


“ この心の中に、そなた、君が居る事が真実であると、この神と・・・


・・・ファラオ達に・・・

ち・・・誓え・・ま・す。 ” ・・・って、



( “ ファラオ達 ” に、誓いますって・・言っちゃってた・・・。)


まぁ、こんなところまで居ないだろう。とは、人の新婚旅行に始終着いて来るワケ無いだろうと、社長もものすごく忙しい人だからと、セバスチャンがこちらに来ているから仕事が増えていますように~!と・・・

・・・でも、どーにも“ 居ない” と云う理由を幾ら思い浮かべて上げてみても、

確信が持てない俺・・・・・。



もしも、ファラオに入っていたら、ファラオに誓うって・・・~~・・

・・・・なんか、ものすごく恥ずかしくなっていた。



撮影なら台詞だからなんでもないけど、プライベートでとなると・・・



“ よ~~、久遠。 お前、プライベートも敦賀蓮。なんだな。 ”


( なんて、看護婦さん達の様に言われそう・・・。)


キョーコの上で起き上がって止まっていた。
その瞳は、キョーコを全く見て居なくてただ空を・・・いや、目の前の壁を見詰めていた。


( 飛行機ならではの注意書き・・・)

それが目に入っていた俺だった。
そんなのを見詰めたままでいると、片手でぐいっと頭を引き寄せられ・・・


「 もぅ、いいよ。そこまで迫真に迫らなくて・・」


・・・あの時の様にキス・・・ではなかった。


「 ま、さすがブラボ~・・・ ナイス台詞チョイス。 」

はいカット。OKです。と小声でぼそっとカットが掛かって、掛けて欲しかったカットもいいのか悪いのか、その演技OKもいいのか悪いのか。
撮影と同じ様に自分が腕で囲った中から、足をすっとそろえてベッドに座ってしまった。


( それじゃぁ、続こう・・・)

そう思えたのには、ただ今見詰めていた壁に書いてあった注意書き&マーク。


“ 禁煙マーク ”


クンクンと思い出した様に嗅いでみると、喫煙した部屋ではないのは明らかだった。

なので・・・・

この社長のプライベート・ジェットのこの部屋は、社長が使わない、いや・・・
入らない部屋。それに密閉された部屋の中で、ファラオが今までずっと立っていたのだから、社長が入っていたとしたら、葉巻の匂いがするであろう・・・。

・・・と、自分の頭の中がだんだん、イナイイナイの方向へ・・・んで、ば~。は無いでいて欲しい。と祈る方向に自分の頭が切り替わったので、ひとまず よしと落ち着いた。


後姿の背中に抱きついて首にちゅっとキスをするも、キスマーク、付けないでよね。と寄せていた頭に向かい言われてしまう。

年がら年中暖かい所ばかりへの旅行だから、首を隠すものなど持って来てないとは・・・
同行しているお方々もいらっしゃいます事で、すみません。と思いながら頭の中には禁煙マークの丸に斜め線の中身が、キスマークになっていた。


( そうだ・・・)

それに・・・


アメリカに行ったら、会う人も居る。


綺麗にブローされた髪はさすがプロ。
撮影の様に、ちょっとやそっとでは崩れる事ないテクニックの魔法使いの掛けた魔法・・・
ではなくドライヤー技術は、単なる撮影のベッドシーンぐらいでは崩れる事無く、起き上がっただけでさらっと元に戻っていた。



今、自分が考えていたのは・・・



彼女をもう一度両腕で、そっと後ろから抱きしめ直していた。


「 ねぇ、結婚式どうする? 」


そう聞いたのは、綺麗にメイクしているキョーコを見ていて、よけいに思い出していた事。まだ彼女にウエディングドレスを着させていなかったと云う事は、自分からなかなか言い出せずに、それでもいつも思う事だった。

彼女の子供の頃からの夢だったのだろう。

お姫様の様なドレスを着て、森の住民や妖精たちとは言わなくても、祝福される真ん中で・・・彼女が人生の主役になる日を、いつも思い描いていたのだろう。


「 したよ。 」


彼女からのその言葉には・・・


「 あぁあれ。大使館のCourtで誓いの言葉を言って、指輪の交換だけのやつ? 」

「 うん。 」

「 ん~、あれは入籍の為に、急遽必要だっただけだし・・ 」



仕事がいつもギリギリ詰まっている自分のスケジュールは、この旅行の為にさらに詰められていた。自分には時間が無いと云う事に、彼女は昔から・・・

わがままなんて決して言わない子で・・・

自分の心に全てを溜め込んで、泣き場所を1人探して彷徨う子だと、自分が一番知っていると思う。


だから・・・いつも・・・

自分1人では出来ない事を、彼女にぬか喜びで終らせてしまいたくなくて

プロポーズも、産んで欲しいも・・・

全部、確実になるまで言わないでいた。




結婚式だって彼女はしたいに決まっているだろう・・・




言い出せない自分の心が、ずっと痛かった . . . _____________







_____ あれは入籍の日 ・・・・



キョーコと子供が退院する日で・・・

朝早く迎えに行った自分。キョーコは起きて部屋の中に満開に咲いていたバラとまだこれから咲くバラに分けていた。


その姿に、全部持っては帰れないから・・・

だから、まだ咲いていないバラだけを集めていると思っていた。




_____ まだ咲かなかった・・・


彼女のバラを摘み束ねていた左手を見ても、身につけてはいないから、そう思って・・・


『 どれを持って帰る? 』


後ろから声を掛けていた自分。


でも、自分がどのバラに入れたのかは知っていたけれど、束ねられてどれだか解らなく成っていた。この日は子供の名前も決まったし、仕事の前にこのまま大使館に行く予定で迎えに来ていた。

それまでの1週間・・・

自分には結婚するんだって想いは、彼女からの返事が無くても、彼女と居るだけで自分の心に彼女の心が伝わって来たと感じていたから、大使館にも予約を取っていたけれど、まだ彼女からの返事が無いのなら・・・

そう思い バラを集めようとジャケットを脱ぎ始めた。


『 久遠・・・ 』


ジャケットを椅子の背もたれに掛けていたら、後ろから彼女の声が聞こえて・・・

謝るべきだと・・・

確実に成る物でなかった事を伝えた自分がいけなかったって、謝ろうとしていた。



『 ・・・婦長さんがね・・・

  私も花園の様な場所で仕事が出来てよかったって・・・ 』


『 うん、そう・・・』


『 だからね、全部ナースセンターにあげてもいい? 』


その言葉に目を瞑っていた自分。


( 全てか・・・)

自分との結婚は嫌だったのかと・・・

宝石が今回も出てくる事だけは彼女の頭の中にもあるはずで、そんなものを置いて行かない子だとは・・・


( そうか・・・・・)

もうすでに咲いていても、返事をしなかっただけだったって、思っていた。



『 いいよ。それじゃぁ・・・
・・・もう一度・・プロ・・ポー・・・・』

『 もう一度、プロポーズして下さい。 』



自分が言いかけた時重なった言葉。彼女の言葉に振り返れなくなっていた。

心が切なくて悲しくて叫びを上げそうで、こんな気持ちに成る事も初めてだったから

心の中からだったと思う・・・

涙がいつの間にか ぽろっと1つだけ、ジャケットの上に落ちてから気が付いた。



『 それじゃぁ、また今度・・・』 



無理に仕事用の笑顔を浮かべようとしたけれど、本当に心の中が苦しいと出来ないものだと初めて自分でも気が付いた時・・・

俯いていた自分の目の前に、カードの上に指輪を乗せて返された。


やっぱり咲いていたんだ・・・


そう思ったけれど・・・・・・・




『 これ、自分で捨てて欲しいって事? 』


指輪と一緒に受け取ったのは、何も表に書かれていない自分が贈った同じ封筒。

でも、裏を見たら・・・


“ 京子 ”


・・って・・・

彼女の芸名のサインが書かれていた。
全く同じ新しいカードが、彼女の手書きで封印されていた。


『 開けて。 』


後ろから掛けられた言葉に振り返る事もなく、そっと彼女の名前を傷つけないように開けていたら、いいから早く。時間が無い。って言い出して・・・ 


『 大丈夫。キャンセルするから、仕事まではまだ・・・』


言いかけた自分が見たのは・・・



“ 久遠ヒズリ様。 
 ご婚約、心より祝福申し上げます。京子 ”



それと一緒に・・・

彼女の本名が記載して捺印された日本の婚姻届と住民票移転・削除届けが入っていた。
未成年の彼女の保護者、彼女の母親の名前もきちんと記載されていて・・・


『 久遠。 』


振り返るとバラを一輪だけ持っていて・・・


『 これだけは、必ず持って帰るから、混ぜないでね。 』


そして左手を差し出されて・・・


『 今、もう一度、プロポーズして下さいますか? 』


子供が産まれた時の様に、涙がボロボロ落ちていた。
手の中に握ったままで居た指輪を胸に当て、彼女の前に跪いていた自分。

差し出されていた左手が自分の頬を拭ってくれていて・・・


『 これから貴方を、どう呼んでもいいのでしょうか? 』


その言葉に何も返せないまま、自分の頬を拭ってくれていた左手に目を瞑ったまま、そっと口付けをした。



『 どうか俺と・・・

 結婚してください。 』




『 はい。よろしくお願いします。 

それでは・・・あと1時間後。

仕事に行く前に、旦那さんと呼びます。 』



スチャっと敬礼してくれた左手に、今自分が彼女の薬指につけた指輪・・・CGさんが教えてくれた彼女の指のサイズの指輪がピッタリはまっていた。


『 さ、急ごう・・・入籍・・・ 』


ぎゅ~って、感無量で敬礼した姿を抱きしめていた自分。
グイッと胸の中から両手が押されて唇に手を当てられた。


『 キスはまだ。あと一時間後。 』



さ、急ごう。それとさ・・・久遠、結婚指輪ってもちろん用意してくれてるよね・・・

うん、したよ。ジャケットのポケットに入ってるから・・・

あぁ、そう・・・それから・・・子供の・・・

それも、バッチリ。きちんと家で書類も書いたし、あと・・それから・・あぁキョーコのパスポートも持ってきてるし・・・

OK おっけ~・・・
あぁ、そうそう・・・敦賀先輩から、おめでとうって言って・・・

はいはい、最上さん、婚約おめでとう。それでは、京子さんからヒズリさんには?・・・

うふふ、久遠様、婚約おめでとうございま~す・・・




ありがとう・・・


ありがとう・・・





バラを全部片付けている間中・・・ そんな会話をしていた。




一時間後、大使館の中で誓いの言葉を交わし始めた。


_____ Both of you two put the hand on one bible together and Just follow my word ・・・ 
I Chuehone Hizuri may wish as . . .


『 I Chuehone Hizuri may wish as hope will always love her Kyoko Mogami when she felt sadness and happiness, when she is sickness and wellness, when she is poor or rich, We may share as I love her with the eternity Love . . . 』


_____ I Chuehone Hizuri will swear to the load . . .


『 I Chuehone Hizuri may will swear to the load and to her Kyoko Mogami as I said these words were . . . from my truly heart . . . 』



_____ Kyoko, it your turn… I Kyoko Mogami may. . .


『 . . . . I . . Kyoko Mogami may . . . wish . . as hope.. will. . . al. . .ways . . love him …

. . . Chuehone Hizuri. . . .wh.e..n….』



キョーコが言った誓いの言葉が痞えていて、ふと目を開けて横を見たら・・・

キョーコの頬から涙が止め処なく溢れていた。



出産の時も、婚約の時も、涙を見せなかったキョーコだった。


けれどこれからは・・・


1人で泣き場所を探しに行くのなら、その泣き場所は俺の胸の中で、俺の心の中で、
そしてその涙も、2人の心でシェアする・・・


止め処なく溢れる涙には理由は無いとは・・・


自分が2度ほど・・・


君が心から体験させてくれた






一時間前にした婚約指輪を外し、結婚指輪をお互いの指に付け合って・・・


無言の彼女の頬に ぼろぼろ涙がこぼれていたのにも

その気持ちが自分の心にとても分かっていた。



_____ You may kiss to the bride


誓いのキスの前に、彼女を胸に抱きしめた。


『  もうね、二回。君は俺にプロポーズさせたから
  もう、二度と離れないけれど・・・いいの? 』


胸に感じる温かさは、言葉を言えない彼女の涙だと、この心の中からの温かな想いに感じていた。


ただ胸の中で、コクンって・・・頷いてくれたから・・・


言葉が何も要らないとは・・・


心の中で通じ合っていると思えた事だった。






たった一時間だけの正式な婚約は、たった一人だけが知っていた。

自分たちの子供・・・

まだ目が開かない子供だったけれど・・・

婚約した時、初めて目を開けて自分たちを見てくれていた。

2人で同時に気が付いて・・・



『 初めまして。パパです。 』


そう自分が言うと・・・


『 初めまして。ママです。 』


そうキョーコも言っていた。





だから入籍した帰り道・・・



車の中で涙が止まった彼女には・・・




『 初めまして、奥さん。 君の旦那さんです。 』




返事は無くても・・・



赤信号で止まったハンドルの上に置いていた左手に、左手を重ねられて



青になるまで、2人で左手を握り合っていた . . . ___________






.


CM: --
TB: --

To be my Grace - XXVI * One More LOVE. III  

.




『 久遠・・・起きて・・・』



いつの間にか、キョーコの手を握ったままベッドに顔を伏せて寝ていたらしい。
起こされたのはキョーコにだった。



『 もう7時半だから、社さんが来る前に一度着替えて戻ってくる? 』


その言葉に、えっ!と飛び起きて・・・


『 絶対、顔 洗ったほうがいいよ。 』


キョーコの手を握ったままだった俺の頬を、反対の手で撫でてくれていた。


『 さぁさ、敦賀さん。絶対秘密厳守ですから。
 今日一日、敦賀蓮を演じる為に・・・。 』


キョーコが頬を撫でてくれていた手を離して、差し出したのは彼女の手鏡だった。

子供が生まれたことを秘密厳守だって事を隠すために、緩んだ頬を戻せと言われていると思っていた。

でも彼女が言ったのは・・・


『 久遠。昨日の慌てふためいていた姿。
  誰にも解られない様、秘密にする為に・・・
  しっかり、いつもの格好いい敦賀蓮に成って帰って来てね。 』


その言葉のまま・・・ヤバイって思いながら、鏡の中の真っ赤な目をした、涙の跡が残る自分の顔を見ていた。

こんな姿のまま仕事に行ったら、どうしました?と絶対に聞かれるに違いない。
それより前に社さんに、ど~だった?なんて聞かれても、ほとんど何も覚えてない自分。


自分の想像で撮ったCMの様に、イメージしておく必要があるかも・・・

とは・・・キョーコも思っていたらしい。


『 いい? バラとか今、持って来ちゃダメよ。
 夜中にお花屋さんが開いているわけ無いんだから。
 それから、スーツで来るのもダメ。
 スーツで出産に立ち会うはずも無いからね。で・・
 とにかくおしゃれな普段着もどき。そのまま現場に行ける位を考えた。
 って、絶対見せる様にね。それから・・・はい、これ・・・』


すっと出されたのは、キャップとサングラス。


『 髪もボサボサだよね。 』


うふふっ。と微笑まれて、夕べ変装の為だと思っていたけれど、そうではなかった。
夜中に通院の妊婦さんが来るはずもなく、病院でも隔離された秘密のチームの範囲内。

その中でなら、誰に見られても確かにいいはずで・・・

今のこの真っ赤な目とボサボサを帰りに隠す為だったのかと、今さらながらに思った。


『 行ってらっしゃい。久遠。
  
  知ってる?久遠。私の先輩敦賀さんってね、無遅刻キングなんだよ。

  だから、社さんに聞かれてもいい様・・・
  出産秘話のNG取り直し、Take 2。
  打ち合わせの為に9時10分前入りだからね。ここに。 』


ぎゅっとキョーコを抱きしめて、このままでも・・・と言いかけた自分。

そうしたらキョーコが、はぁあ~・・・って胸の中で大きなあくびを始めて・・・


『 1時間、寝るから。・・行って来て。
  社さんの前に必ず、戻る事。いい・・・

  帰って来る時は、敦賀蓮だからね。 』


ぐっと胸を押されて自分から離された。けれど、俺の服を掴んだままぐいっと力強く引っ張られて、唇を重ねられて・・・




『 愛してるよ。久遠。 ありがとう・・・』





子供が居ないこの部屋で、彼女は俺を一度もパパと呼ばなかった。





夕べは、パパって呼んでいたのに・・・・


でも・・・それに気付いてよかったと自分が思った時だった。
自分もこれから、子供が居ない場所では彼女の事を、ママとは呼ばないと・・・

いつまでも永遠に彼女の事を愛で包むのは、魔法を掛けた自分だ。



“ いつも一から。必ず何かが始まるから・・・
その始まったと云う気持ちを大切に。 ”



人生の中で、これほど何かが始まったと思う事も・・・

今までの人生でこんなにも涙を流した自分。
子供の頃、彼女に涙を吸い取る魔法をあげたはずだった自分。

全く悲しい訳ではない、涙とは・・・

感情の有無すらも分からぬまま流れてくるものだと、初めて知った事も、それすらが・・・



いつも一から。

必ず何かが自分の心の中で始まるから・・・
だから、この始まったと云う気持ちを大切に・・・



家族としての愛は始まったばかり。

でも、彼女への愛は・・・

もともとあった愛。

変わらぬまま、彼女の事を永遠に愛して行きたいと

そう心の中で、また新しく・・・

彼女への愛を確かめた、自分の心が始まった瞬間の一まり(はじまり)。




『 ・・・分かったキョーコ。ありがとう。 

 本当にありがとう。今日は夜ここに帰るまで、敦賀蓮だから。 』



病室を出ようとドアの前で足を止めた。どうしても伝えたい心の中が言葉に成らないままで居たけれど、何かが心の中で始まった事を伝えたくて・・・・


『 久遠・・?どうした? 』


その呼びかけにもう一度彼女を抱きしめに駆け寄った。


『  I LOVE YOU SO VERY MUCH 

   ・・・ 愛してる ・・・・ 』



胸の中でうふふっと笑いながら、そうそう、と話し出したキョーコ。



『 父さんに、2人で名前を考えよう。
 1つずつ、英語の名前と日本の名前。
 それぞれ考えよう。

  ・・・って、クオンは言います。

 その様に電話を掛けてね、久遠。 』



『 解った、伝えておく、自分の言葉で・・・』



はい、じゃぁ急いで・・・・



もちろん、社さんがくる10分前には敦賀蓮に成って帰って来た自分。

帰り廊下ですれ違った婦長さんには、顔を隠していたからか会釈だけされて病院を出ていた。着替えて帰って来た時は俺の変装ではない、通院の付き添いとしての・・・

“ 敦賀蓮、プライベート。”

自分的には普通でも、病院内では、プライベートも敦賀蓮。と言われていた姿に・・・


『 ふふ。敦賀さん。夕べは出産には立ち会えなくて残念でしたね。
  でも敦賀さんは、CMのまま、外で耳を傾けていらしてました。
 ・・・で、マネージャーさんに聞かれたら、それでいいですか? 』


すっと横を通り過ぎる間際に小声で言われて、振り返りお辞儀をした。



社さんが来たのはピッタリ9時5分前。

キョーコも自分も打ち合わせどおり、婦長さんも社さんに挨拶に来た時は・・・

“ バラは持って来なかったけど、CMそのままね・・・
 看護婦達もみな、敦賀さんのドアの向こうで微笑む姿に、
 ファンを増やした事でしょう。”

さぁ、保育機から出るまでの一日、しっかり彼女を寝かして差し上げましょうか。
仕事に行った、行った。と追い出されて、一日、しっかり・・・

パパに成ったなんて顔に出さず、いつもの通り仕事をして病院に帰ってきた。




そのドアの前・・・



病室に来る前にガラス張りの新生児室を見ていた。

赤ちゃんがたくさん並ぶ中に自分の子が居なくて・・・



えっ!と驚いたら、夕べの様にオタオタ急にしだした自分。
病室のドアの前で、ドアに手を掛けたら向こうから聞こえていた、泣き声・・・


ほっとして、ドアに頭をつけたまま目を瞑り微笑んでいた自分。

向こう側から聞こえる、泣き声とキョーコの声。



_____ いい香りだね・・・



そのキョーコの言葉に急に、大丈夫なのか、そういえば!と心配に成っていた。

今日は暇さえできれば、花屋という花屋をネットサーチ。
そしてそのまま社さんに、電話を掛けさせまくっていた自分。


“ 親友の出産祝いで。と・・かけてください。”


子供の頃のクオンの姿で社さんとは会っているけれど、自分が久遠だとは知らないから・・・


『 最上さんのクオンには、レン。って呼ばれるほど、大親友ですよ。
だから、ただカードに“クオン”ってだけお願いします。 』


キョーコへ、敦賀蓮より。なんて言わないで下さいね。と付け足して・・・
何の疑いも持たず社さんも、その方がいい。との返事をされながらの事だった。



電話をかけさせた花屋の数なんて覚えてない。
ありったけのバラの花を、何処のお花屋さんからも届けさせた丸一日。


自分がお花屋さんに出向く事ももちろん、止めなさい。と社さんに怒られた結果。

快く引き受けてくれた自分のマネージャーには、本当に心から感謝していた。
でも自分が俳優さんにお祝いの花を贈る事はもちろん、事務所手配だしとは思う事。



でも一緒にいると思わなかったから・・・

赤ちゃんの体に大丈夫?と思い始めて・・・



________ ガラッ


思わず勢いよく引き戸を開けたら、バラの香りに包まれていた室内。

温室の様に花園に成っていた。



『 あ、パパ~。お帰り~! 』


キョーコがその花園の真ん中に居て、バラの中に他の花のアレンジメントも沢山あって、

お花を贈ってくれたのは、貴島秀人に琴南奏江、上杉飛鷹、近衛監督もスタッフからもそして、社長と・・・


クー & ジュリエナ・ヒズリ


2人の事を知る数少ない人達がたくさん花を贈ってくれていた。


お互いの事務所経由で届けられた花はみな送り先は、事務所から事務所。
セバスチャンが今日は受付でお花屋さんが来る度に受け取ってくれていたらしい。


セバスチャンと社長もさっき帰ったと聞かされた。


『 俺のは?大丈夫だった・・・? 』


うふふっ・・ありがとう。ね~よかったね。と子供に微笑みかけながら言っている。


『 見て・・・』

指を指されたその場所に、開封されたカードの山が入った箱が置いてあった。

差出人、社方と・・・・

でも中は全て・・・ “ クオン ”



『 うふふ、初めのには婦長さんが気が付いて持ってきてくれてね・・・』


そうそう、社さんの名前を知っているのも数少ない人だから、でも何度も届く内にハイハイ。ってもう社方のものは、みーんなドンドン運び入れられててね、起きたらこんなに成ってた。うふふふっ・・・・

・・・バラの香りで目が覚めた。



その言葉に喜んでもらえたと嬉しくなった。


『 キョーコ、昨日さ・・・』


自分が傍に居て欲しかったかどうか、聞きたかった。


『 出産の時、1人でごめんね。 』

『 ん? いや、1人じゃ無かったよ。
 久遠、ずっと居てくれたよね。一晩中・・・』


その言葉に、自分の仕事のスケジュールに合わせる様に、がんばってくれたのかは・・・
お腹の中に居た、自分の子供も・・・

そしてこの子のママになったキョーコも・・・

2人が力をあわせて、自分の時間の為に合わせてくれた様で・・・

家族 って・・・家族になった瞬間を一緒に過ごせてよかったと思っていた。



『 そうだね、仕事に行ってたら・・・
 キョーコ1人で、俺に電話なんてかけないよね。 』


頭を撫でながらキョーコを見ていた。

キョーコは何もいわず、ニコニコしていた。






『 はい。 』


両手を差し出したキョーコ。


『 あれっ?おかしいな・・・
 先輩からは無いんですか?お祝い ・・・敦賀さん? 』


『 ん?共演者として? 』


『 そうですよ。 

 ・・・それに出産も共演者でしたよね? 』



大きく息を吸い込んで、胸の中までバラの香りを沢山吸った。
ドキドキしている心臓は、さっきの焦ったままの様で・・・

ドキドキしている心臓に手を当てて目を瞑った。



『 最上さん・・・』


自分のこの言葉に、はい?と返事をする彼女。
目を開けたらその瞳を見詰めたままで居た。
ん?と首を傾げていたけれど、真剣な顔をしたら真剣な顔で見詰め返してくれて・・・

そっと彼女の手の中に一枚のカードを乗せた。



『 どうぞ・・・』



封筒の表は何も書いていない。けれど・・・

裏をひっくり返した彼女が見たのは、敦賀蓮 のサイン。



『 気にせず、破いて開けていいよ。 』


えー、敦賀さんのサインを破く人が、この世にいるなんて・・・
なんて言ってくれながら、そっと剥がそうと挑戦している。

いいから、早く。いくらでも書いてあげるから。と言いつつも・・・
ジワジワ時間を掛けている彼女をずっと見詰めていた。

そう、ずっと見詰めたまま・・・・・



カードの中は・・・



“ 出産おめでとう。 敦賀蓮より ”

そして、カードを見ている彼女の手にもう一枚差し出した。

ン?と気が付いて同じ様に封筒を開けるから、そのまま見詰めていた・・・




“ これからのお2人の門出に心から祝福申し上げます。

  ご婚約、おめでとうございます。  敦賀蓮より “



『 敦賀さん・・・?コレ・・・』


彼女が顔を上げる前に、そっと膝の上に置いていた封筒。

その大きな封筒は・・・



The embassy of United States of America of Tokyo in Japan



『 今日行って来た。 開けて・・・』


ごそごそ開け出した彼女には、今日社さんが事務所に何度も呼ばれてて1人に成れる時が多くてね・・・と、自分の事で社長に何度も呼ばれていた社さんの事を話していた。


その書類はブルーの書類・・・Birth Certificate出生届。


『 まだね、名前が決まってないって言ったら、決まり次第お持ちください。って
 とりあえず産院での書類を持って自分が父だと申請をしておいた。それとね・・・』


ピンク色のその書類・・・


『 自分も初めて手にしたから、こんな綺麗な書類だと思わなくて大使館でビックリした。 』


エンボス加工で花が回りに散りばめられていた。
州を聞かれて答えたとき、カウンティも聞かれて・・・

じゃぁこれですね。と手渡されたもの・・・・



 Marrige License ・・・婚姻届。



『 これに後でサインをするんだけど・・・
  アメリカの場合ね、結婚式をしないとサインできないんだ。 

  教会の式を挙げたというサインが必要でね
  挙げてくれた牧師さんか神父さん、それか裁判所で裁判官。

  その中の人の前で、2人でサインを入れる。 
  2人がサインしました。というのを見届けたサインを神父さんがする。

   ・・・だから今日はまだ・・・』



彼女の手を取ってそっと重ね合わせた。


『 まだ、プロポーズしてなかった。 ごめん・・・』


じっと見詰め続ける彼女の瞳を見詰めていた。

真剣な顔をしたままの頬に、そっと唇を寄せてちゅっとキスをしたら・・・

彼女の涙が自分の唇に触れた。



『 ねぇ、覚えてる? 』


目を開けた彼女の頬を昨日 自分がされた様に拭いながら、部屋全体を見回した。



『 これに一緒にサインをしてくれる気持ちがあるのなら・・・

  この中のバラのどれかが開いた時・・・

  そうだね・・・クイーンとキングの嬉し涙から出来た泉に咲いた花の中から

  プリンセスが生まれる・・・ん?産まれた? かな・・・?

  でも、退院するまでにきっと咲くから、その時・・・


  Yes であれば、身につけて欲しい。

  No であれば、敦賀蓮が送った“ 婚約おめでとう ”のカードを破いて捨てて欲しい。

  だから咲くまで・・・


  すこしだけ・・・



  考え・・て・・・・・』




重ねていた手をぎゅっと握られて、言葉に詰まった自分に・・・


『 敦賀さん。 』


との真剣な面持ちに・・・あれ?敦賀さん?と疑問に思っていた。



『 いいですか・・・私は・・・さっき言いました。

  “ この世の中に敦賀蓮のサインを破く人が居るなんて・・・”

  そう言いましたよ。この意味は・・・

   それでは・・・

   ・・・・・・咲くまで、待っていて下さいね。 』



『 はい。待っています。 』



でも咲くって・・・全部!?きゃぁ~~!との歓喜の声に・・・
そ~んなにしたら、破産だよ。と言い返して、2人で見詰めあったのは・・・


自分達のプリンセス。

バラの香りに赤ちゃんの体を思い、焦って開けたドア。でも・・・
個室の中に運び入れられていたガラスのケースの中で、すやすや寝ている。


『 そうなの、私が起きたから連れてきてくれてね。 』

『 ゆっくり、眠れた? 』

『 うん・・・ 』


その後直ぐにキョーコが言ったのは・・・


『 久遠も今日はしっかり寝てね。 』


その言葉の返事にちょっと詰まっていた。
ん?まさか今日もここに居る気?と聞かれたのは言うまでも無く見透かされていて、
ん~、そのつもりだけど?と返しながら、自分のポケットの中の小箱を握り締めていた。


彼女が寝たら・・・

この中の退院直前に咲きそうなバラに入れるつもりで居た。


『 絶対にダメ。今日は絶対帰って寝なさい。
  隈を作ったら・・・CMを創った黒埼監督に言われます。 』

『 体の管理ができないやつは、プロじゃねぇ・・・って? 』

『 そう・・・ん?あれ?もしかして監督、蓮にも言ったの? 』

『 うん。言われた。・・・そうだね、あのCM 黒崎監督だった。 』



黒崎監督も、近衛監督も、皆・・・

プロ・・・


彼らのずば抜けた透視能力、いや・・どの監督も言う、直感。

勘がいい。と自分で言える程の自信を持った黒崎監督に・・・
人を見る目に優れている丁寧な近衛監督に・・・
ただ名前だけのクーの息子だった自分がクビにされ続けた子供の時も・・・


まだ自分が監督って凄いと思える間にいるだけでは、クーの勝ち取った様な栄誉の瞬間は

ただの当たり役のまぐれで終わるのだろう。


手ごたえが自分にあるという感覚も、クーから聞かされていた。子供の時・・・

ただがむしゃらにするだけではなくて、これは自分にも感じた瞬間が人生の今までの中に一度だけあった。



日本に来て、敦賀蓮を演じ始めた時。



“ いつも一から。必ず何かが始まるから・・・
 その始まったと云う気持ちを大切に。 ”


その一め(はじめ)

始まりの気持ちを心の中に。何かが始まる事への手ごたえを感じた瞬間だった。




『 じゃぁ本当に今日は帰ってもいいんだね。 』


確認すると淋しそうにしてくれると思っていたけれど、母となった彼女はもっと強くなる、何かが心の中に始まったのだろう。


『 うん。また明日ね・・・』


じゃあそうします。と立ち上がった自分にも、父としての何かが始まってしたのかも知れない。


『 そうだ、子供の名前は・・・』


そう言いかけたキョーコに、キョーコのお母さんには?と思った。


自分から必ず伝えたいと思っていた。

事が始まっていても、絶対に彼女の母親に・・・

下さい。と頭を下げて言わないと・・・とは、母となった彼女には、自分の母親の気持ちがわかったと思うから・・・とは・・・

父となった自分の気持ちがなんだかわかるような気持ちだった。

キョーコが産まれた時の母親の気持ちを考えると、大切な瞬間を知った今・・・・

しっかりと親への挨拶はしたいと思っていた。



でもキョーコは今日すでに・・・



『 ・・・母は、がんばりなさいと言ってくれた。 』

『 もう言ったんだ。 』


彼女の顔が以前だったらきっと・・・とても悲しい顔をしていただろう・・・


『 1人でも大丈夫、成るようにと・・・』




でも今は・・・

母親の自分を出産した時の気持ちも経験も、その全てが・・・

自分は生まれて来ない方が良かった子だ・・・なんて・・・



どれだけお腹の中の子供に話しかけて

自分の行動全てもお腹の子の為にと気遣って

そして・・・

大変な思いをする事を選んで・・・

自分を力の限り、産んでくれたのかが・・・きっと・・・

彼女の中で、子供の頃からの母への慈愛は、今・・・

変化したのだと思って聞いていた。



耽々と母親との会話を話してくれているだけで、今まで聞く事の無かった彼女の母親の話を彼女の口から聞けただけでも、自分にとって彼女の変化がとても嬉しいものになった。



『 そう・・・それじゃぁ・・・
  
  バラが咲くまで、答えは聞かないから・・・

  名前はさ・・・バラが咲く頃までに、必ず
  
  クーと話し合って決めておく。それでいい? 

  それと育ての親の・・・

  不破の両親には、まだ何も言えないから・・・』



うん。とただ頷いた彼女を胸に抱き寄せていた。

そして、抱きしめたまま、自分は言葉を続けていた。



『 ごめん。今、何も出来なくて。 』 

  

でももしも・・・

キョーコが俺のカードを破り捨ててもね・・・




もう一度・・・


んん・・・


何度でもプロポーズするから・・・



『 1人で育てるなんて言わせないから。 いい? 』 



何度でも・・・


君を愛する事を生涯変わらぬまま続けるから・・・


いつまでもいつまでも、君に・・・


ポロポーズし続けるから・・・・



『 それでも構わないのなら・・・』




・・・どうか・・・



俺と・・・・



結婚してください 




何度も破り捨てられても、いくらでもサインなんて書くってもう言った・・・・



この心の中で、この愛は、永遠の無限の可能性だと感じているから







抱きしめた腕の中で、ずっと前の軽井沢での時の様にコクンと頷く事は無かったけれど

今、自分の背中に回された腕は、あの時はされなかった・・・



それだけで・・・



自分の心の声も、君の心の声も、お互いの胸の中に聞こえたと感じて





・・・・映画が公開されたら・・・


不破にもご両親にも、キョーコの母親にも、一緒に京都に行こうか。


そうだね、もちろん・・・2人の・・・


河原にも・・ね・・____________





クーにも、ジュリにも・・・


自分が生まれた時、2人の気持ちはこうだったのだろうと・・・


感じていた . . . . ________________





“ クオン ” のカードが山積みの箱の中に、一枚だけ開いたままのメッセージカードが入っていた。






“ 2人の我が息子、クオンへ ”

2人とも父さんの子。2人とも自分を信じて
Good Mother にも、Good Father にも慣れると
自分の言葉を信じなさい。

無限の可能性があるんだよな・・・ クー







Hidding Ring way up-high to White Night











・・・・・ハッ!




( 寝てた・・。 )


いつの間にかフワッフワのでっかいベッドの上で、赤ちゃんと一緒に、グッスリ寝ていた。

キョーコは居なくて・・・


( あれ?どこ?ここ? )



________ ゴーーーー



と言う音に、そうだった飛行機の中でした。
この旅行から帰ったら、不破とも一緒に京都に行く約束をしてたと、ぼ~~っとしながら思い出した。



バラが咲いた日を思い出しながら、横で寝ている可愛い頬に口付けをして、ポンポンと優しく背中を叩いていた。



「 がんばったね。ありがとう。 」


優しく子供の背中を撫でながら、後に成ってキョーコに聞いた子供の・・・

Super Good Girl  おりこうさん


陣痛が始まった時に、シャワーの中で1人話しかけたって・・・

ママから聞いたよ。



“ パパが居る間に出ようと思ってくれてありがとう。

  2人で、パパが居る間にがんばろう。

  いい?私の方が,貴方のLMEでの先輩ですよ。

  ・・・・できるよね? ・・・・・”




敦賀さんが後輩の最上さんに、共演者として聞く真似をして話しかけたと言っていた。

出産の主役である貴方ができないはず、無いよね・・・


って・・・・・





「 おりこうさん。いい子だね・・・・」







“ さすが無遅刻キング敦賀さんの子。時間内ピッタリの無遅刻でした。”


には・・・


俺が父親だと、その遺伝子に想うよ ___________








「 Super Good Girl . . . My Sweet Love . . .」









.

CM: --
TB: --

To be my Grace - XXV * One More LOVE . II 






エジプトに着いたら、アレキサンドリアの海を見るのはもちろん。

そして、撮影シーンにはあったけれど、映画プレビューで使われなかった、場面。

ナイルの河を登り、起源の変わる数百年前の彼らにとっても2000年前という時が経った遺跡である、ギザのピラミッドを見に行くという、クレオパトラとシーザーの新婚旅行。


「 それしたい。 」
「 それしたい。 」


との意見は、声が揃うほど二人の中で決まっていた。



社長が用意してくれたのは、豪華エジプト旅行。

その内容に、なんですか?と尋ねつつ、こんな事を社長に相談すると・・・


_____ お~~!いいぞ。手配してやる。


・・・と、直ぐに乗り気で何やら考え出した社長。


飛行機の中の個室。ベッドの上でグッスリ寝ている子供を間に挟んでキョーコと並んで座っていた。


「 ね、キョーコ。そういえばナイル川の撮影あったじゃん? 」

「 あ~、あれですね。私何度かしましたよ・・・どれ? 」


なにがしか、キョーコがいきなり Dear.敦賀さんへ。の敬語モドキに成っていた。
きっと自分が、耳抜き課題。と言ったあの時の自分の顔が、先輩風味だったに違いないと思っていた。


( それじゃぁ、久しぶりにそのまま・・・)

なんとなくそのままで居たくなって、そのまま言葉を続けていた。


「 そうだな、最上さんは琴南さんと逃げるシーンとかもあったからか・・・」


自分のその言葉にふっと我に返ったのか、俺が2人の間で、ぐ~ぴ~・・・と寝息を立てている淡いピンク色のスべスベほっぺを撫でながら言ったからなのか


「 私もう、最上じゃないんだよね。 」


その言葉に微笑んで・・・

間に寝ている子供の頭をそっと撫で、キョーコに無言で唇を重ねた。







「 夫です。 」






唇を離して掛けた言葉に、もう一度唇をそっと重ねられて、2人で目を瞑ったまま静かに間の子供の頭と頬を撫で、お互いの唇から伝わる心の感情を感じていた。



どのぐらいそうしたままでいたのか、自分でも分からない


けれど何もする事の無いこの時間が、忙しい毎日には感じること無かったこの時間が、今の自分に今の彼女に心優しい時間となっていた。

子供が生まれてから帰宅してももっと忙しくなって、自分が育てられたようにベビーシッターを頼んでも、夜の2人の時間を過ごすのに自分が育ったLAの家と違うマンションの広さでは、他の人に居て欲しくなくて夜は家族だけの時間だった。


そう・・・家族・・・


家族だけの時間は2人だけだった時と違って、パパとしてママとして自分の都合で時間が作れなくなった事。

でもそれがとても幸せだと、毎日家でも忙しくなったのにも感じていた。




家族として1人増える瞬間の話___________


キョーコに言われたのは、カインドーのCMの話だった。

しかもテレビを偶々見ていた時、大きくなったお腹を撫でながら2人で、じーーっと凝視して見入ってしまった・・・
これも偶々流れた、自分のCM。




_____ きっとそれは、自分の中にある・・・

I SEE. . . TREES OF GREEN RED ROSES TOO
I SEETHEM BLOOM FOR ME AND YOU


キンコーン・・・

コツ・・・コツ・・・コツ・・コツ・コツ コツコツ


_____ AND THINK TO MYSELF. . .

WHAT A WONDERFUL WORLD. . . 


『 はぁ、はぁ・・・ふぅ・・・』 __________





「 ねぇ、久遠・・・」

「 キョーコ。どうした?・・・ 」


2人の会話はそこで止まっていて、そのまま見続けていた30秒の世界。

黒崎監督が撮ったこのCMは、自分にとってこの時は全く何にも予想もすることも無ければ、彼女とは肌を重ねる関係だったけれど、こんな瞬間を想像もする事が無いで居た。




_____ Are also on the face of people . . . . . . and sayin’

・・・・・ HOW DO YOU DO _____________


『 I LOVE YOU ・・・』

『 初めまして・・・』


_____ この大切な、初めましての瞬間が深く、胸を焦がす、今・・・






「 もしかして、出産の時・・・」

「 ん・・・どうして欲しい?
 このCMの様に、バラをたくさん持って駆けつけようか?」

「 ん、まぁ、似合ってるけどさ・・・」


彼女が返したこの言葉は、産声が聞こえるまで外で待っていたいか?という質問だと思っていた。


「 キョーコがどうして欲しいか? 言って欲しい。
 そうだよね・・・
 その希望を、叶えてあげられるなら聞いてあげたいけど・・・」


自分のその言葉には、仕事で忙しい俺が出産に立ち会う時間が取れるかという事は不可能だと思っていて、駆けつける事は急用とさえ言えば、どんな仕事をほったらかしにしても2時間ぐらいなら抜けてくると思って掛けた言葉。

キョーコの頭を撫で、その頭を引き寄せて抱きしめていた自分。



でも出産には・・・


・・・・・立ち会えた。




この直後、急に『お腹があれ?あぁ~~痛いかも・・・。』と言い出したキョーコ。
真夜中ももう直ぐの仕事が終わってご飯の片付けもしてテレビを見ていた時だったから、じゅ~ぶん朝まで時間がタップリあった。

しかも、次の日はそんなに早くない10時集合。


真夜中に病院に電話して今から行く旨をつたえる事も、ドキドキ何だか訳の分からぬまま、何を言っていたのかさえもよく覚えていない言葉を言っていたと思う。


キョーコを抱き上げて、用意していた入院用のバック何処だ何処だ?とウロウロもし・・・
自分の抱きかかえた腕の中で、少し弱まった陣痛に・・・

『ちょっと待って。』と言われて、『どうした?』と聞きつつウロウロしていた。

『シャワー浴びてから行きたい。』と言う彼女に、えっ!と驚きもし、出産後は確かに直ぐシャワーにも入れない事は知っていたけど、『じゃあ早く。』とバスルームに直行し、『洗ってあげようか?』と言えば、『1人でできます。』と言われて、バスルームの前で自分は着替えるのも忘れじーーっと5分ぐらい立っていた。


( あっ!着替え!)

急にキョーコの着替えが必要だと思い立ち、どーしよ、どーしよ。と廊下をウロウロしていると、バスルームから彼女が出てきて、『久遠抱っこ。』と腕を伸ばされて・・・


キョーコは自分できちんと用意していた服に着替え、しっかり入院用のバックも整えていて、急いで玄関を出る時には・・・


『 携帯と免許証。ちゃんと持ってる? 』


と、自分の事を確認され、持ってない・・・。とくるっと踵を返していると、顔をじーっと見られていて・・・


『 コンタクト、忘れないように。それとせめてサングラスと帽子。 』


その言葉にも、はっ!とそうだった翠のままだ。と思い出しベッドにキョーコを下ろしてからは、どうやってコンタクトを入れたのかすら覚えていないほどで、言われたままにサングラスと携帯と免許の入った財布をキャップの中に放り込みキョーコに持たせ、彼女を抱っこして飛び出していた。


車の中でも、『安全運転よろしく。』と言われて、『はいっっ!』と返事をしていた。

キョーコが膝に置いたままの俺の帽子の中から、波のある陣痛が治まりかけた頃 携帯を取り上げて、『明日何時に仕事?アラーム掛けておくから。』とにも言われたままに、『10時入り。』とただの仕事スケジュールを言うだけで、何時に社さんが来るかとも言えてなかった。

『じゃぁ、9時ね。ちょっと電話このまま使っていい?』と聞かれても、『どうぞ。』と答えただけの俺。信号がもどかしくてどうしようと赤で待っていても、『大丈夫。きちんと止まりなさい。』とジワジワ出つつあった俺に言って、『もしもし社さん、私京子です。今から蓮に・・・』と、しっかり場所と明日の迎えをそちらにお願いします。と伝え俺のスケジュール確認もしていた。


それから、携帯の時間を確かめいて・・・


病院に着いた時、用意された車椅子が見えていたから、そちらに向かい車を停めた。
ちょっと待ってと言われて自分が降り様とドアを開ける前、キョーコが手にしていた携帯。


『 Hello May I speak with Mr. Hizuri ? 』

_____Yes, Speaking…


『 もしもし先生、朝早くすみません・・・』

_____キョーコか?



話し出したキョーコが言っていた・・・



『 父さん・・・俺。パパになるから。 』


電話越しのクーの声が聞こえてきて・・・


_____ ・・そうか。クオン・・・

    がんばれるよな。無限の可能性を持ってるもんな。


『 はい。
・・いまキョーコに代わるからね。 』



キョーコはそのまま続けていた。


『 今息子さんとお話しした通り、
 今から貴方の息子さんがお父さんに成ります。

 どうぞ宜しくお願いします。

 これから先生を・・・
 おじいちゃんと呼ばせてもいいのでしょうか? 』



そのままクーの返答も待たずに、ハイ。と携帯と帽子とサングラスを手渡され、
がちゃっと自分でドアを開け、『すみません。』と車椅子をもって駆け寄ってきてくれる看護婦さん達に手を伸ばしていた。

看護婦さんに、閉めますよ~。と車のドアを閉められる前には・・・


『 電話終わったら、きちんと車停めて来てね。 』


自分に言い残して看護婦さん達と先に院内に入って行った。

ドアが閉められて、電話の向こうから・・・


_____ キョーコ、キョーコ、もしもし・・・


クーの声が聞こえていて



『 ・・・もしもし  It’s me  ・・・

I should say hi to Dad, now instead. . .

I’d ‘ve to sayin’ “ HOW DO YOU DO “ to be Gran Pa. 』



_____ 久遠・・・キョーコは・・・


『 先に・・・』


_____ そっか。院内で電話できないから先に掛けて寄こしたんだな。

    じゃぁ、行け。いいから早く・・・・

おめでとうは、まだ後だ。だからまた電話しろ。いいな。


『 Alright Sweet . . . 』



________ ツー・ツー・ツー・ツー・・・・



切れた電話をポイっと助手席に置いて、駐車場に停めてからも・・・

帽子もサングラスも手に持ったまま急いで走って行って・・・

病室を教えられながら帽子とサングラスをして行くと、う~ん。と唸っているキョーコから、『バッグと携帯持ってきた?』の手ぶらの俺を見て・・・『無いです。』で、また戻った。

助手席に・・・とかって、もたもたして戻ると、病室には先生が居て・・・


『 早いですよ。もう行きますか? 』


との言葉に、えっ!と成ったまま、無痛は・・・と自分が言いかけそうでも、
『どうします?立ち会って欲しいですか?』とキョーコの方に声を掛けていた。


『 ふー・ふー・・どちらでも。 』


痛いのだろうけれど微笑みながら俺を見ていて、彼女の言葉に皆が俺に注目し始めて・・・


『 はい・・・』


そう答えたら、『じゃぁ行きましょうか。』と看護婦さん達に囲まれて、『何度か練習したこと覚えてますか?』との言葉にも、普段は台詞も立ち回りも演出も全て直ぐに覚えているから大丈夫。なんて落ち着いて仕事ができるにもかかわらず、『えっと~・・・』と急に今まで撮影でもファッションショーでも緊張なんてしたこと無いのに、ドキドキしていた。

急いで部屋を出てから、手に持ったままだった携帯に看護婦さんが気付いて・・・


『 急いで戻ります。 』


そういや、鞄も肩に掛けてた。と思いながらも、ベッドじゃないとこ~・・・と必要以上にキョロキョロしつつ、どこでもいいのか分からずに病室の中を鞄を担いだままウロウロしていて、やっと椅子の上に置いても、ここでいいのか?と頭を捻って、意味も無く隣の椅子に置き直したりした。

そんなこんなで産室の横の準備部屋に戻ってくると、『はいじゃぁ、これとこれと着て、それで髪は全部被せて入れる様に・・・そうしたらきちんと手を洗いに行きますよ。いいですね。』と・・・

きっといつも、まごまごウロウロどぎまぎギクシャクじたばたしている夫達に慣れていると思われる看護婦さん達。


うろうろしない。ジタバタしない。急ぎなさい。と怒られつつ・・・
背が高くて頭に被せられないから、自分で被りなさい。とお年の召した婦長にも怒られ・・・
貴方が産むのではないのだからジタバタしない。とまた怒られつつ・・・
社長が指定し秘密厳守の出産チームだったから、誰もが俺の事には・・・

・・・ただのまごついた、出産前のドキドキしている旦那。

だったに違いないと思う。




『 も~、敦賀さん。 』


落ち着かせる為なのか、ゆっくりと話される婦長の呼びかけに、はい?と答えると・・・


『 CMみたいなの、想像していましたよ。 』


そうニッコリ微笑まれて言われて、確かに自分もそのつもり・・・なんて言い返す暇も無ければ心に余裕も無かった。

手をゴシゴシと手術前のドクター役の様に婦長に洗われて、そーだった。そーだった。なんて思い出しつつも、『オペじゃないから手袋は被せません。』と婦長の前に両手を差し出した俺に言う。

んだな。と思う暇も無く・・・


『 もうすごく早くて、ご自分でがんばってますから。 』


との言付けを伝えにきた看護婦さんに、ここで待て。と言われて・・・

婦長もさっと消えていった。



えっ!



なんて思っているだけで、じーっと立ちぼうけのまま・・・

どうかキョーコも赤ちゃんも無事で居て。と突然膝を突いて神に祈ってみたり、部屋の中を行ったり来たりウロウロしたり、ドキドキしすぎて息を切らしていたり、ドアの前に仁王立ちに成ってみても勝手に入るなと怒られそうで居ても立ってもいられなくて・・・


とにかく・・・


( 落ち着け~~~、自分。)

そう自分に言い聞かせていた。ウロウロウロウロ部屋を行ったり来たりしながら
ちょ~ど、一番産室から離れた部屋の隅のところで壁に頭をゴンゴンつけていたら・・・


『 生まれましたよ。 』


との言葉に振り返り・・・

( 産声がドア越しに聞こえなかった・・・・。)

とは、自分が想像して演じたCMと、全く違っていた。


『抱っこしたいですか?』との言葉にも、『はい』と腕を組んだまま答えたら、『じゃぁ、また手を洗い直し。』と婦長が寄って来て、ゴシゴシされた後に今度は・・・


『 手を出してください。 』


婦長が微笑みながら手袋を用意していて・・・されるがままに手袋を今度はされて・・・執刀医の様に両手を上に向けて入っていった。

ガーと開いたドアのところで・・・


『 おめでとうございます。 』

そう言ってくれる看護婦さん達も、産科の先生達の言葉も聞こえていても何も返せなくて・・・

自分はキョーコをずっと見ていて・・・




“ ありがとう ”

も・・・


“ 初めまして ” 

も・・・



何も言葉を言えなくて・・・



ただ・・・

もう綺麗に包まれた子供が、キョーコの胸の上で泣いているのを見ただけで・・・

自分も自然に涙が溢れて・・・



『 おめでとうございます。パパ・・・』


とびきりの笑顔でキョーコが言って・・・

両手に乗るぐらいの小さな我が子を渡されて・・・

自分の涙がボロボロ赤ちゃんに落ちない様にだけ気遣って・・・

目を瞑ったらもっと涙が落ちるから、上を向いて子供を胸に抱きしめた。



『 さぁ、敦賀さん。ママはお疲れですよ。 』


婦長のその言葉に、はっと気付くまで、どのぐらい経っていたのかも分からずに居た。
赤ちゃんをそっと自分の手の中から取り上げられてからは・・・

ただキョーコがゴロゴロ押されている移動用の簡易ベッドの脇で、キョーコの手を握って居ただけだった。

涙がとにかく溢れてくるから、彼女の手を握ったまま自分の頬を拭ったら・・・

キョーコに・・・



『 ありがとう。 』



・・・って・・・言われて・・・

自分の頬をキョーコが拭ってくれながら・・・



『 そんなに喜んでもらえて、ありがとう。 』



・・・って・・・・その言葉にまた涙が・・・

自分でも分からないまま溢れていた ____________. . .




CM: --
TB: --

To be my Grace - XXIV * One More LOVE .I 



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

To be my Grace

- One More Love -

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








__________ ゴォ―――・・・・


飛行機の中に居た。


でもこれは、社長のプライベートジェットだった。

なんでかって言うと・・・




「 あのさ。飛行機の事だけどよ・・・」

そう話し出した社長の、2人にくれた休暇の話をしていた時の事。
社長が言ったのは、本当にそう思ってくれていたのか?それとも・・・


一目を避けて準備してくれたのか・・・


自分には後者のほうだと思っている__________


「 ファーストをこの景品としての時は用意していたんだけどな。

  実はよ。ファーストに乗ってて思うんだがよ・・・

  高っけー金だしてんのに? 時々まれに子供、特に赤ちゃんが ぎゃぁぎゃぁ泣いてんとさ・・・

  眠れねーし。って思うんだよな。

  仕方ないっちゃ、仕方ない。耳への圧迫が痛くて泣くんだもんな。

  だからよ・・・・」



そうは、言っていたものの、だからよ・・とニッと笑ったその後に、きっと言いたかったのは・・・


“ だからよ。注目を集めるだろ?”



きっとそういう事も考えてくれていると・・・

結婚も子供ももう、公にされたけれど
自分の久遠としての・・・まだまだ隠さなければならない素性を護る為だと思ってくれた社長だと、素直にそのご好意に甘える事にした。




「 ね、久遠。 」

「 ん? どうした? 」


離陸時にはやっぱり泣いちゃってたけれど、二人の他には社長のお付であるセバスチャンと、Ms Woodsが一緒に同行していた。

Ms Woodsに至っては・・・


_____ え~! 私もゼヒっ!


と、ビュンと手を上げて旅行気分ウキウキ同行。だって撮影ではないので途中で敦賀蓮に成らない方がいいかと思うと言ってみたものの・・・

じゃぁ、京子ちゃんの変装をっ!とまで・・・それに同行するのに・・・社長からしっかり敦賀蓮&京子の2人分のヘアメイクとしての給料+出張費手当てまで貰って居た。

でも自分たちには彼らは気にしないでいてくれる、自分の素性を知る数少ない人たちであって、何も心配はないという事は旅行先もとても楽しみに成っていた。


赤ちゃんが泣いてても、何も気にしないでいてくれるほど・・・・

・・・・って・・・

実は・・・



ものすごく広い機体だった。


いわゆる普通のジャンボジェットではあるが・・・

ホテルのスィートの様に個室に成っていて、シートベルトが要らない時は、ベッドも背の高い俺が普通に寝れるほど・・・いや、自分の部屋のものより大きなものだし、ソファもあればダイニングテーブルまで・・・。

赤ちゃんはフワフワのベッドに寝かし、キョーコが鼻を摘んでいた。


「 な、な、なにかな?それ? 」


摘んでいるのもなんだろ?と思っていたら、飛行機の空気圧力は鼻と耳が繋がらない様に、口で息をさせると軽減するらしいと・・・

どこかのトリビアなのだろうか?

試しに自分で自分の鼻を摘んでみたけれど、軽減してるのかどうか定かでは無かった。

息を止めて ふ~~んと、ゆっくり強くダイビングの時の様に耳から空気を抜けば治まるのは知っていた。



「 赤ちゃんもできるの? 耳抜き? 」


そうも聞けば、なに?耳抜きって? てなキョーコの答え。

確かに、京都には山はあれど海が無い。子供の頃に海に行ったらしなかった?と、一度や二度は海に行った事があるだろうと試しに聞いても、子供の時にダイビングなんてできるほど優雅じゃない。と怒られた。


「 こうやってね、鼻を摘んで、ふ~~んってゆっくり耳から息を吐き出すとさ・・・」


そんな事を言いながら、自分でやって見せたら直ぐ、赤ちゃんの鼻を摘んで手が塞がっているキョーコの鼻を摘んだ。


「 ハイ、吸って~・・・止めて。そうしたらさ、
口をぎゅって閉じたまま、耳から ふ~~んってゆっくり出してみて。 」


む~~~んと、顔を真っ赤にさせながら、耳から息を吐き出そうとがんばっている。


「 ぷは~ぁ・・・ン~、出来ないみたい。 」

「 そうだな、練習しないと初めは俺も出来なかったな。」


そういや・・・そうだった。と思い出すと自分が子供の頃だったと思う。
クーに鼻を摘ままれて練習させられたのは、ロードショー前のデモを確認するとクーが持って帰ってきて、家のシアターで見ていた映画だった。

クーの膝の上で自分が見ていた、クーの出ていた映画 ___________





________ ザバン !

ブクブク・・・・


ファン・ファン・ファン・・・
パーポー・パーポー・パーポー・・・

________ キーーーッ!!


『  Freeeze ! 』



・・・・・。


「 ・・・ No I don’ thin’ so. Dad ! you’ve gotta go ~~~! 」

「 Shyyyyyy . . . . Chuehone . . . . . 」


クーが悪い役でスパイなのだけれど、秘密丸秘情報チップを口の中に入れたら、大きく息を吸い込んでそのままイタリア・ベニス運河に飛び込んだ。


「  Dad ? 」

「 What’s that ? 」

「 You didn’ hard to hold yourself ? 」

「 What’s mean Chue J ? Si that not much long.
That’s mean hold my breath right ? 」

「 Ya, ya . . . So you don’ hurt thou arself . . . . ooookidoki
Dad go go …..move! just go foooor eeeette ~~~! 」



まだ時々残っていた イ と テ の間、そんな舌足らずの頃の自分が、父の映画を見ながら会話をしていた事を思い出していた。
映画をずーっと見たまま話し続けていて、自分はまだ2歳ぐらいだったのかそれとも大きかったのか、ただクーがこの映画の主役でないにしてもそのグループの一員で、一番かっこよくて、一番目立ってて、Oh my ga ! と思っていた自分だった。


「 ぼくもね、おおきくなったらDaddyみたいなヒーローになりたい。 」

「 ん?ヒーローじゃないぞ? パパはね悪いやつだよ、これ。 」


ふ~~~ん・・・・


かっこいい正義の味方ではない、カッコイイ悪役。

でも警察よりもスパイの彼らの方がもちろん主で、繰り広げられる。


「 ぼくもじゃぁおおきくなったら、パパのようになる。 」

「 そうか・・・俳優になりたいか? 」



うん・・・・



じゃぁ鼻を摘んで練習してみろ。と言われながら急に鼻をクーに摘まれて、映画の終わる頃には、耳抜きが出来ていた自分。


・・それから・・・・・



クーはこの映画で最優秀新人賞を獲得し、自分もレッドカーペットの場の一員に成っていた。
タキシードを着せられて、会場入りのカーペットをクーと歩いて、ジュリの手をエスコートする自分の姿を多くのカメラマンが撮っていた。


『 OHH What’s A so cuuute~~! 』


今日のNo 1プレイとして繰り返しテレビでも放送されていた、この時のニュース。


クーの初めての・・・ハリウッドで勝ち取った栄誉の瞬間。

その中に自分も初めて、表に姿を出した時。


小さい自分が美しい母を連れて、父親の晴れの舞台になるであろう父の初めてのノミネートで招待された授賞式。
自分の横にクーが居て、埋め尽くさんばかりの人の群れの中、全てのカメラの方に向けていた・・・

家で自分に向けてくれていた優しい父の笑顔と違うと感じていた、クーの心からの喜びの笑顔。

仕事用。

そう思えたのは、自分が数々のクーの影像を自宅のテレビやシアターで見た彼の画面の中のカッコイイ・・・

・・・ヒーローの笑顔



自分が生まれて初めて、カメラの前に姿を現した瞬間で、誘拐を気にしていた両親にとって、自分が公の場に顔を見せたのは・・・

父のハリウッドで功績が認められて、自分もこれから俳優としてデビューするのかと、幼い自分も思っていた時だった。


会場入りをしたヒーローと、広くも眩い世界が・・・

キラキラした世界の中に広がっていた。


賞を勝ち取った時のインタビュー。
会場シアターの広い客席に中にノミネートされた5人に注目されている中・・・



_____  『 COO・HIZURI ―――― !』



父の名が呼ばれて驚いた。

神妙な顔をしていた父と母に挟まれて、何か分からなく二人を見ていた自分にとって、父の名が呼ばれた瞬間のクーの歓喜と驚きの表情が忘れられない。


スーパー・・・ヒーロー・・・


父がヒーローから、スーパー・ヒーローに成った瞬間の、もっともっとカッコイイ笑顔で・・・


急にクーが立ち上がり、全ての人に手を360度周りの全ての人に振っていた。


スポットライトが当てられたクーの横で、見上げたまま歓喜の表情のクーが光っているのが忘れられない。自分が生まれてアメリカに移った、クーの初めての栄誉。

ジュリは・・・

自分に抱きついて、涙を流しながら、クーを見ていた。

ガッツポーズに、両手を一度だけ合わせてパンと大きな音を出し、合わせた手のまま胸にその両手を重ね合わせ、舞台に登ると観客席の方に振り返り目を閉じていた。

頭を少しだけ下げ、遠くを見詰める様に大きく上を向きながら顔をゆっくりと上げ開けた瞼。

その時のクーの表情が、心から喜んでいると自分でも感じたほどの・・・


・・・スーパーヒーローの笑顔に成っていて・・・


舞台に1人で上がったクーをずっと目で追っていて、挨拶をし像を貰っているスーパーヒーローの姿。


『 Mommy . . . ? 』


自分を抱きしめたまま、ジュリは・・・


『 Chue J . . . Your Dad just mede his DREAM 』


・・・父が夢を叶えた瞬間だと教えてくれた _________



成長して後に成ってから自分で分かる。

あの時のジュリが自分に言った・・・

“ あなたのパパは、夢を叶えたのよ ”

その言葉に、自分が生まれる事に成って、日本で残した功績も栄誉も全て消し去り捨てて渡った人生の転機の事。
大人に成るにつれ自分が分かった・・・
自分がこの世に誕生する事は、クーの人生を不安だらけにしたのだろうと。



授賞式の終わった後のインタビュー。
スーパー・ヒーローと成ったクーに、抱っこされた自分。


クーの貰った・・・

父の初めての栄誉と夢の実現の象徴の像を、自分の手に持たされていた。



無数のカメラマンの向けるシャッター音の中、ニコニコ笑っていた自分。


『 Coo Here 』『 This side too ! 』『 . . . there please ! 』『 here COO ! 』

. . . . . HERE ・・HERE・ HERE・・・ ________


________ パシャ、パシャ・パシャ・パシャ



フラッシュが煌く世界をさらに眩しくしていて・・・


こっちに、こっちを、ここ、こちら・・・そう呼ばれる全てのカメラの方に、自分も

スーパーヒーローの真似をして、カメラに向けた初めての・・・


仕事用の笑顔。



俳優としての心が初めて芽生えた瞬間で、煌く世界を目の当たりにした中に
自分の手に持たされた・・・

スーパー・ヒーローの栄誉と歓喜の世界を胸に刻んだ。



その自分に・・・

クーが父の笑顔をして・・・

自分の鼻を摘んで微笑んでいたので、自分もクーの鼻を摘んだ。


『 Yeah !!!Dad !  』


そう言って摘んでいた手を離し、クーとHigh Touchをした。



________ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ



全てのゴシップ誌はもちろん、新聞もファッション誌も、ニュースももちろん。

鼻を摘んだ写真とハイタッチしている写真が一面表紙を飾っていたって覚えている。


あまりのクーのプライベートの優しい表情が堪らないと、ファンが急増したのも1つの栄誉。


“ その横の美しき若きマダム。
少女のままの様でも母と成って落ち着いて
大人っぽく深みのある輝きに磨かれた、宝石。”


生きた宝石スーパー・モデルのジュリの事ももちろん、書かれていた。

そして自分の事も少しだけ・・・


“ Coo . J   クー・ジェイ 
クー・ヒズリのジュニア 
甘いマスクの可愛い新人誕生か ? ”



自分が産まれて初めて、人前にでた瞬間。

自分の人生にも光が当てられた瞬間だった __________





自分は・・・・・


この子が自分で俳優に成りたいと願った時、自分がこの子にこんな経験をさせてあげられるのか・・・?



そんな事を鼻を摘んでいたまま、思っていた。



「 痛いよ、久遠、久遠・・・ん~~、じゃぁ、れん ! 敦賀さん! 」


キョーコのその言葉に はっとして・・・



「 がんばるよ。パパ・・・」


ぎゅーっと奥さんのキョーコと赤ちゃんの2人を抱きしめていた。

自分も彼女達にこんな瞬間を与えてあげたいと思う。


自分がこの子にとって、ヒーローに成る瞬間を、自分で創り出そうと心の中で思っていた。


(・・・・って、京子の方にもしも賞が先にいったりして・・・。)

なんて・・・
ハリウッドに移り住んだら、そこも先輩としてのプライドが湧き上がるので、負けないぞ、フン。と思っていた。ひょんなことで、実力を発揮し認められ続けてきたこの後輩は、わずか一年足らずで主役をもぎ取っている実績が、実は気に掛かっていた。


( うん。It’s infinitively possible )


あの頃は、自分が・・・

IT

Ee・ttee

イットって言えてなかったな。と思い出して・・・


“ イッツ・インフィニティヴリー・ポッシボー  可能性は無限だ。”


無限の可能性を信じて。 と・・・


Chue J  クージュニアのままの自分に成りきって、スーパーヒーローの父に言った

あの言葉が頭を過ぎった __________




知らぬ間のデビューを果たしたこの子。


それでも・・・


自分が俳優の道を選んだ子供の頃の姿のまま・・・


久遠ヒズリとして、Chue J


Chuehone Jr 通称、クー・ジェィ。 

クーのジュニアとして期待を込められて・・・


そう世間に書かれて呼ばれたあの頃の名前で、スポットライトをこの子にもデビューの瞬間として浴びせさせてあげたいと思う。


この子にとって自分がクーの様に

スーパー・ヒーローに成りたいと、心の底から願っていた。








「 じゃぁ、LAに行くまでに、できる様にしていおいて。いい?課題。 」


キョーコの摘んでいた鼻をピンと引っ張って離した。


「 なんで~? もしやダイビングでもするつもり? 」

「 うん。まぁね・・・」


そうだな~・・・

もし直ぐできるようになったら、アレキサンドリアの海の中に観光ダイビングって確かあるかも?なんて、わずか10m足らずの海に沈んだクレオパトラのプトレマイオス朝を見に行けるかも?と話していた。


「 見たくない? 自分がCG掛けられた本物の場所。 」


そう言うと、うん、確かに。と乗り気になったキョーコ。

彼女にエンジンが掛かると、走り出したら止まらなくなる事は、昔から知っている。
それは・・・

子供の頃の絶望にいた自分。

少し大きくなってから、俳優としてCoo Jとして働き始めたのに、煌きの世界は甘くなく、クーが勝ち取った栄誉の瞬間の裏の闇の中で、もがいていた自分。

その絶望の淵まで彷徨い始めた自分と出逢った、キョーコとの出会い。

京都の河原で・・・

もっと愛が欲しいと泣き叫ぶ声が、心から発せられている様に、自分の心に届いた声。


親からの愛には うざったい程、飽き辟易していた自分にとって、

あの時 求めていたのは、世間からの評価という世間の人が自分に恋をする様に愛して欲しいと望む自分。

彼女と自分の求める愛の種類は違っていたけれど、それでも愛を乞う気持ちは同じだと感じて、悲しくも流す涙を堪えればその涙が糧となって心の中に種と成る様なものを芽吹かせるかもしれない。

そのエンジンを掛ける様に・・・

彼女の心に、何かの切欠として気付かせてあげたいと思った。

渡した蒼い石は、自分との出会いを思い出すことで・・・



“ いつも一から。必ず何かが始まるから・・・
その始まったと云う気持ちを大切に。 ”



新たに何かを始める瞬間を、作り続けてきてあげられたと

再会に、そしてその結果を、知って嬉しくなった。



( さぁて・・・その結果・・・。)


これからが、自分のヒーローに成る為の瞬間で、今回久遠ヒズリの姿で出れた映画には、世間の反応を少し知ることができるかな。と思う事も・・・

彼女があの時求めていた、“ 家族愛 ” これも、自分が与えてあげられる事にも

未来の想像をクリエイトする近衛監督の様に

自分で未来を想像してクリエイト出来たらいいと思っていた。




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