mimi's world * HOPE and DESIRE

_______ BE-lie-VE * be-LIE ve * believe...the SHAMs for heart healing * mimi's world-7 _______

Myth. BLUE BELL - Act 6 - 


mimi's Image Musics in Myth.BLUE BELL - Act 6 -

SCENE * NARUMI - TRIBE 
Laura's Theme in cillout by Cinematic Symphony / Return with Honor in Beyond by Willian Jpseph
Infinite Legend in Invincible by Two steps from Hell
SCENE * LIGHTHOUSE by the CAPE & BLUE BELL WOOD
Stella's Theme in With in / Leningrad in Beyond by William Joseph
SCENE * NARUMI - GENERATIONS
Etudae in Shepherd Moons by Enya / Eliza's Aria from wild swan by Cillout cinematic symphony / Ephra in O by Cirque du Soleil
Undying Love in Invincible by Two steps from Hell
SCENE * MONING
Epona inThe celt by Enya




Act 6 Scene Prologue©



mimi’s Image Music * Laura's Theme











________ RR・・RR・・RR・・R・・・・



「 もしもし、 俺・・・」


_____  ふふ・・・こんばんは。 いいの?


「 今、此処には誰も居ないから・・・」


_____  そう・・・


「 今から、行ってもいい? 」


_____ どうぞ。


「 じゃぁ、直ぐ行く。 」






・・・ 愛してるよ。沙夜 ____________








.


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Myth. BLUE BELL

― 鈴鳴り岬の向こう ―


Act.  6  



『 行方 』            


Act 6 Scene 1 ©


mimi’s Image Music * Laura's Theme / Return with Honor / Infinite Legend










「 おはよう。 」


窓を閉めてからは、広い屋敷の中から声が聞こえる事はもう無くて、あれから少しの間夢を見ずに眠っていた。

気に掛かっていた山延からの着信履歴も無いまま、朝食の準備が出来たと声を掛けられて昨日と同じ客用の居間に行くと、そこに居たのは蝶子だけだった。


「 おはようございます。 」


入って来た俺に気付いて立ち上がり、こちらに向かって頭を下げた蝶子。
彼女の長いストレートの黒髪が顔に掛かっていて、彼女の顔を見せる事無く下に艶めきながら下がっていた。

テーブルの向こう側に見える彼女の着物。

今日は振袖ではなく、袖の短い訪問着だった。



その着物にでも合わせたのだろうか・・・



今までずっと華やかな姿だった、バラに成りたいと無理をしているような彼女ではなく、これが彼女の本当に似合っている・・・

落ち着いていて、心静かで無理の無い雰囲気をかもし出していた。

自分が思い浮かべたその花は・・・

ひっそりと野に咲いていても、その芳香を回りに漂わせ、ふと目を向ける様な花。



深い森の中でその花をもし見つけたとしたら、心が優しくなれるだろう・・・



その無理のないその彼女の姿に微笑んでいた。

今日はその黒髪にも、何もつけていないまま・・・
昨日 自分の部屋に来た白猫は、真紅のリボンを首に巻かれていた事を思い出す。

彼女が巻いたものなのだと、夕べの話し相手は白猫だったのかと思っていた。


自分を案内してきてくれた女中が椅子を引いてくれたその場所に、歩きながら暖炉の上の肖像画に目を移した。


( 銀・・・)

今日のこの部屋は、昨晩怜と居た形跡などもちろん無いほど、その額縁までも綺麗に磨かれていた。中に写る人物はこの鳴海家の一代目なのだろうか・・・

昨晩の鳴海夫人の顔を思い浮かべると、確かに鳴海夫人の方が、こちらの肖像画の人物の面影を見て取れる。

引かれた椅子に座ると同時に、メイドから差し出されたコーヒーは、白い湯気を上げていた。
コーヒーの中に写る窓からの空。小さく窓の形に写るその空は黒に近い茶色のコーヒーに浮かぶ様に揺れる、蒼く澄んだ色。


この色の対象に・・・


この子が無理をしてバラに成りたいと願う様で、どんなに掻き混ぜても溶け込む事のないコーヒーと空の情景の様に、その姿が似合っていると言いたくなっていた。


「 今日の着物・・・」


微笑みかけて、似合っているよ・・・って言おうと思ったけれど、彼女は自分の言葉を待たずに溜息と共に返していた。



「 はぁ~~・・・そうなんです。
 似合っていないでしょう?
 いつもと同じ様に振袖がいいと申しましたのに・・・」


「 いや。そんな事はないよ。 」



自分の思い違いだったのか。
彼女に似合っているのはこちらだと自分が感じる程、男性にはこちらの方が彼女を魅力的に見せていると感じていたけれど・・・

彼女が己を知っていて、自分で選んだと思っていたものは、母親からの指示でメイドに着せられただけの物だったのかと思った。

彼女からの言葉は、改め出した自分の心をまた元に戻すのに十分で、今までの様に彼女を警戒する方に戻されていた。


どうぞ。と差し出された朝食に、彼女から目を離すことが出来ていた。

彼女の顔を見る事無く、そろえて置かれていた箸を取り上げた。



「 今日は和食なんだね。 」


「 そうなんです。私は洋食がいいと申しましたのに・・・」



蒼い空の写ったコーヒーに手を伸ばす事無く、コーヒーの横には花の容をした細かい霰が浮かぶ白湯が添えられた。

その茶碗を見て・・・


「 今日は、茶道の何かでも? 」


彼女には似合っている落ち着いた着物といい、緑茶や番茶ではない湯のみに、茶道のしきたりを感じ そう言葉を返しながら、その白湯の茶碗の向こう側のコーヒーを手前に寄せた。



「 はい。本日は・・・あぁ、そうそう。剣様。
 本日のご予定は何か在りますのでしょうか? 」


「 いや・・・特に・・・。 」



怜との約束は夜まで無かったから、特にする事といえば父から預かった封筒の中のものに記載されている箇所を見学に行きたいだけのものだった。



「 それでは、名月の茶会の前の、予行練習にお付き合い願えませんか?
お茶のお席だけで、懐石などはございませんが・・・。 」


「 そう。夜だったら空いてないよ。 」



名月と聞いて夜だと思っていたけれど、予行練習なのでお昼前までには終わると言う。
夕べは酒の強い怜にストレートに近いペースで飲まされた為、頭が少しぼんやりとしていた。

二日酔いではないが少し強めのカフェィンが欲しくて、出されていた白湯には手を付けず、無意識にコーヒーカップの方を引き寄せていた自分。

自分がカップを手前に動かした為、コーヒーの中に蒼く澄んだ空は写っていなかった。



「 怜は? もう出かけた? 」


「 あぁ、お兄様は・・・ 
お兄様もご一緒にと朝食を誘う旨を女中に頼みましたけれど、
父の出勤まで寝たいと申されていたそうで・・・ 」


「 そう・・・」



確かに怜の方が飲んでいる量が多い事は自分でも明らかで、自分の頭の重いのにも怜がまだ寝ている事は理解できる。奥さんからも離れて実家に帰ってきたのだから、1人でゆっくりしたいのだろうとも・・・


・・・自分は夕べの怜の言葉を思い返していた ___________




『 なるほどな。だから月一度ぐらいこちらに顔を出しているって訳か。 』

『 まぁ・・・ちょっと疲れることとかもあるって事。 』


その時は、夕日の赤いその日最後の日差しの中に見えた横顔。
俺の方を向いて、微笑みながら言った・・・


『 ・・・綺麗なままの、け・・ いや、綺麗って・・いいよ・・ 』


吹き続けていた海風が突風の様にその時吹いて、よく聞こえないでいたけれど、怜が止めた言葉・・・

“ け ” ・・・って・・・

なんだろう・・・

結婚に対して、不満があるのだろうか?
血族の慣わし同士の者が、お互いの家の繁栄の為に行うという考えの自分が生まれたこの、古く歴史を背負わされた人生に、不満があると・・・

・・・それには自分には分からない事だろう。


“ け ”か・・・


自分の名前も剣だけど、俺が綺麗なのかといったら、そんな世辞を言う事も無いだろうし、自分には一代で築き上げた父から譲り受けるものだけで、血族的には何も無い。

血族の繋がりも無く、既婚者の悩みだと思っていた自分には、きっと彼の不満を分かるはずも無いのだろう。

時間までゆっくり寝ていて欲しいと思いながら、コーヒーを一口飲んだ。



「 じゃぁ、カフェインが欲しいから
  少しお邪魔してもいいかな? 」


「 はい。もちろんです。 」



そう微笑んだ蝶子の顔は、心から喜んでいる様なここに来て始めて見た素直な笑顔だと感じて、自分も彼女に微笑み掛けた。




Act 6 Scene 1©




mimi’s Image Music * Return with Honor / Infinite Legend









蝶子と朝食時に約束した場所は、この屋敷の山側の庭だった。

傍に茶室も設けているこの風景は、自分の泊まっている部屋からも階下に見渡せた。
窓を覗くと茶室の直ぐ傍に、小上がりの畳敷きに赤い毛氈を敷いている使用人たちが見て取れた。その中、風炉釜や結界などを運ぶ女中もいる中に、蝶子と夫人が茶器だけを運んで準備に勤しんでいた。

蝶子の茶の湯の先生は、夫人なのだろう。

古い歴史の中に華族と公家という立派な賓位に属している事から、この家はきっと京都の御家元・宗家とも繋がりがあるのかと自分を思わせていた。

2人が使用人には茶器を触らせない様だと窓から見ていた。
この血を継ぐ者だけが触れると云う事は、先代から受け継いできた歴史ある茶器なのだろうと、その様子を遠目で見ていた。

予行練習とあって他に客は居なさそうだと思えたのも・・・



・・・ふふっ。



蝶子が何故自分を誘ったのかが解った気がした。

きっと彼女は、先生である夫人と2人きりでは、息が詰まるのではないかと感じていた。
赤い毛氈の朱色は、彼女が髪にしていたリボンの色とも違い、確かに朱色の毛氈の上には、赤い振袖なんか似合わないとは・・・

俺も夫人の意見に賛成だった。

歴史あるこの家で、茶の湯の歴史も深いものだと思う事と、茶道には紋付無地の着物で太鼓結びと質素なものであるということを、蝶子は夫人から教えられているだろう。

でも偏に彼女が地味な着物を好まないという我儘を、夕べの父親 鳴海氏や兄である怜に我儘の様に愛を乞う様に、先生である母親にもむけたのだろうと感じていた。


猫ね・・・


彼女の夕べの話し相手は、きっと白猫だったのだろう。
あの真紅のリボンを首に巻かれて、今もきっとそのままなのだろうとは・・・

自分が階下に見て取れる庭の植木に瞬時に消えた、真紅のリボン。

その植木を見ていて、猫が通り過ぎただけだったと考えていた。

だから、彼女は何処にも出掛けていないと自分に言った言葉の通りで、それに彼女の顔からは嘘を吐いているとは自分も思えなかった事が当たっていたと思った。
部屋に入る者は居ないだろうと思えていても、誰の目にも封筒さえ目に触れてはならないと思い、もう一度父と自分しか知らない結び方で誰も開封していないと云う目印の特殊な結び方で結び直し、自分の鞄の中にしまった。

この結び方は、自分が幼少期の頃から何気なく教わっていたもので、父が自分に差し出した時、その結び方を見てこの時の為だったのかと手渡された封筒に息を飲み止まっていた。


自分の想いは父を越えたいと思う野望に、父が成し得なかった土地開発を成功させる事が出来たら、自分の心の中に潜む野望はそれで満足するのだろうか・・・


ここに来てからというもの、とある場所での胸騒ぎに似た、胸の中に感じた懐かしいという想い。あの懐かしさに記憶はなくて、それでも心が記憶している感情なのだろうという事だけが自分に解るだけ。
自分の心に刻み込まれた感情を、その記憶の無い昔に、同じ感情を抱いたという事だけが、何か手がかりに成るのだろうと、あらゆる場所に足を運び、感情を確かめてみたいと思っていた。


階下に下りて外に出ると、女中が直ぐに寄って来て案内をしてくれた。
中庭の中を抜ける時、カーテンがフワフワと風に揺れて窓からはみ出している部屋を横目に見ながら、案内されるまま着いて行った。


あの部屋は怜の部屋なのだろう・・・


そう思えたのは、窓際に置き去りにされた、1つの切子の空のタンブラーが置かれたままに成っていたからだった。


その窓を見て、微笑んでいた。

きっと怜は部屋に帰っても1人で飲みながら、窓の外を見ていたと思っていた。
それに、朝は時間ギリギリまで寝ていたのだろうとは、爽やかな空気を運んでくる朝の風を窓から取り入れて、それを閉めるのも忘れ急いで鳴海氏の後をついて行ったのだろうと考えていた。





「 お待たせしました。 」


女中には腰掛待合に寄る事無く蹲に案内されて、手と口を柄杓で清めていると、そう声を掛けられた方を振り向いた。


「 ごめんね、お待たせ。 」


蝶子が緊張している様だったので、微笑みながら気さくに返してあげると、彼女もほっとした笑顔に戻る。

そう、茶の湯の心は、一期一会。

1つの出会いは1つだけの時。

その“時”の出会いの中に、心を込めて心と心を通じ合わせるものだとは、自分も母から教わっていた。


「 どうぞ、お点前 拝見頂戴いたします。 」


蹲から離れると、どうぞどうぞ~と言いながら、蝶子が差し出した方面。
蹲に一礼に来たのは亭主であるから、亭主が下がるまで待っていた。蝶子は一礼の後、自らが指した方面に消えて行った。



________ コツン。コツン。コツン。シャカ、シャカ、シャカ、シャカ



茶筅通しをした蝶子が茶筅を水差しの前に置き直し、茶杓を手に取った。


・・・ところが、少し待っても声が掛からない。

薄茶の場合、茶杓を手に取ったら干菓子を亭主が勧めるものだけど・・・とは、思っていても緊張して忘れているのか、でも客は勝手に手を伸ばすわけにいかないな。と思っている時、棗を手に取り蓋を開け畳に置いた。

黒塗りの大棗に描かれているのは、この家の家紋だと思い、後で拝見の時に聞きたいと思っていた。彼女が水差しに手を伸ばすと着物の袂が霞め、その前に置かれた茶筅が倒れてしまった。

あっという顔を一瞬したが、先生である夫人が毛氈の傍で見ていたから、夫人の方が申し訳ありませんと自分に断り、いつもするのであろうかと思える様に婦人の傍に揃えられた茶道具の中から代えの茶筅を取り上げて、交換しに蝶子の傍に寄って行った。


「 お菓子をどうぞ。 」


取って付けた様に言い出した蝶子の言葉は、干菓子を勧めるのを忘れていると夫人に言われたのだろうと、急なこちらへの言葉に苦笑した。

茶碗が差し出されて、お手前頂戴いたします。と一礼するも、茶碗の中の薄茶を見て・・・


( う~ん。もう少し泡立っている方がいいよな。 )

そう思ったのは母が入れてくれている、絶品の薄茶を見ていたからだった。
自分の母も夫人の様に、自分にも子供の頃は教えていた事があるほどだった。

茶道は本来男の人のものであり、千利休が将軍家に使えていた頃、表と裏と武者小路の点前を、戦に向かう武将の為や、祝いの為であったり、切腹を申す前の最後の碗と心だと聞かされていた。ここの系統は、裏千家であると思って点前を見ていたが、茶碗の中は・・・

表千家の様に、朧月に真ん中が泡立っていなかった。

きっと下の方に、抹茶が溶けずに残っているであろうとは、我慢して飲むしかないと思い茶碗を手に取っていた。



「 お服加減はいかがですか? 」


そう聞かれましても・・・


大変結構です。とは、全く言えないでいた。

ふと夫人が居た場所に視線を向けると、夫人は自分が茶を服した時点で水屋に立って行ったのだろう。使用人に茶道具を触らせる事のない事は窓から見て取れていた。

自分たちの周りには、夫人についていったと思われる女中も消えていて、蝶子と2人だけだった。

頭の中に思い浮かんでいたものがあって・・・

自分は聞かれた事に正直に言えないで居た為も有り、違う事を聞いていた。



「 あの岬には・・・
 何故、近寄らない方がいいと・・・? 」



ここに来てからというもの、ずっと耳鳴りの様に響く、鈴の音が気に成っていて
怜までもが、森と岬には行かない方が良いと言っていて

けれど・・・

自分の確かめたい事は、きっとまだ足を踏み入れていない所にあるのだろうとは、自分の心が呼んでいる様な気がして成らないでいた。

無言で止まった彼女には、何か意味が有りそうだとも思えて成らなくて、夫人が帰ってくるまでと思い、言葉を続けた。



「 ・・・鈴の音・・・ 」



自分がそこで言葉を止めると、蝶子は耳を澄ます様に視線を向けた。

彼女が向けた視線の方は、海の方。

建物で憚れる方向のこの庭から見えるはずの無いその先を、無表情で見詰めている。
自分は彼女から視線を外す事無く言葉を続けた。



「 ・・・が、聞こえるとか? 」



彼女の目は何も見ていないと言う方が正しいだろう。

その手は震えていて、この先何もでき無そうだと、茶器の拝見を断った。

自分の耳にも森を抜ける前確かに聞こえていた鈴の音。でも自分の傍に白猫はもう姿を消していて、その先の開けた場所に灯台が見えた時に聞こえてきた人の声と、鈴の音が自分の頭の中を回り犯していた事。

脳内が真っ白にされて・・・

その森の中で出会った白い振袖だろう、天女の様に美しい幻だったのか・・・

幻の色に自分の全てを犯されている様だったあの光景 ___________




耳の中を頭の中を心の中までも、鈴の音がまた蘇って来ていた。



もう・・・

蝶子からは、それだけで・・・

彼女の反応と怜の言葉に、岬と森に何かがあると思えただけで、十分だった。



「 剣様・・・」


海の方から視線を外し俯いてぼそっと話し出した蝶子の手は止まっていて


「 後で、お付き合い願えませんか・・・」


自分の目を見る事無く震えた声で聞こえてきた。




Act 6 Scene 2 ©


mimi's Image Music * Stella's Theme











________ チリ・・チリ・・チリ・・・


カツン カツン カツン カツン ――――― ・・・




その響く足音に振り返った。


「 誰? 」


「 ・・・鐸杜です。 」



チリン・チリ・チリ・・

________ バオン・バオン・ブロロ――





潮の香りが彩濃い強い風の吹く空気に包まれて、小高い崖の上に立っていた。

この場所に来た時に、風の音しか聞こえなかったから、そっと灯台に近づいていた。

その灯台の下には誰も居なくて、バイクが一台停めてあっただけ。

足音に気付き振り返ると、バイクで何も言わす去って行ったから、もう誰も居ないのを確かめて灯台の下で電話を掛けた。





「 もしもし・・・俺・・・ 」




今、ここには誰も居ないから ・・・ ____________




Act 6 Scene 2


mimi’s Image Music *Stella's Theme / Leningrad


















________ シュルッ




「 すみません。家の者を撒くのに手間取りまして・・・」

「 あぁ、いいよ・・・ 」



後ろから聞こえた蝶子の声に、声を返して振り返ろうとしたけれど、小さな布ずれのような音に気が付いたのは、彼女に後ろから目隠しをされてからだった。


「 どう・・した・・・」

「 剣様。すみません。 」


蝶子の声は悪意が有るのか無いのか、判らない声であったけれど、そっと両手で包む様に握られた片手の感触には、悪意が在るものではないと感じた。




さぁ・・・


・・・・こちらですわ・・・・




足元が判らぬままの自分に自分の手を引きながら歩き出した蝶子は、ゆっくり、ゆっくりと、自分の速度に合わせる様で、その速度に心までもその場所に連れ誘われて行く様だった。


歩いている内に分かったのはどんどん芳醇な花の香りに変わって行く事だった。

紅葉が始まった緑の爽やかな風の中に、さわさわと心地よい木の葉の揺れる音。

自分の引きずる足音は、じゃりじゃりとした音ではなくなって行き

自分の頭の中に蘇る様に浮かび上がる、あの光景 ___________



天女の羽を翻した様振り返り白い振袖の袂を風に揺らして、暗い森の先に一筋の木漏れ日が創った幻想の美しい黒髪に紅のリボンをつけた少女。


________ チリリ・・チリリ・・・


チリン・・シャラ・・シャラ・・・・・



白猫の鈴の音に混じって聞こえていた、違う鈴の音と、そして・・・・・



大きく息を吸い込むと脳裏に鮮明に蘇る


この香り



蒼く、濃く、煌きながら群生して咲き

光の中の青紫色に輝いて 

木立が少し開けた先に、広がった、煌きの世界




リンドウ



________ チリリ・・チリリ・・・


息を吸いその濃い香りの中に心を引き込まれ、頭に鳴り響く鈴の音と共に蘇るあの光景。



そして・・・

だんだんと・・だんだんと・・だんだんと・・・・


微かな音が重なり合う



微かな音は段々とざわめく風鈴の様々な音と共に、自分の頭の中に回っていた鈴の音を消す様に重なり合って来て・・・



________ ちりーん・・・ちりーん・・ちりー・・・

________ ガチャガチャ・ガチャガチャ・・ガチャ・・ガチャ・・・
________ りーんりーんりーん・りーん・・


________ こーん・・・・こー・・・ん・・・・こーん・・こー

________ ジャラー・・・・ン・・・ジャラー・・ー


________ から、からん、

________ちり・ちり・ち・り・ちり・ちり・ち・り・・ちり・・・

________ カン・カン・・・カン・カン・・カン・カン・・カンカン

________ しゃらーん ・・・・・・・しゃら・・・ー・・・




幻のような天女の白い少女の心の唄の様で、自分の幻想なのだとこの花の彩濃い香華に変えられて行った。


ざわめく風鈴の音の中に・・・



________ チリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリ

チリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリ
チリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリ・チリ・・・



自分の脳裏を回り侵していた灯台の鈴の音が混じっている様で


あの時聞こえた声・・・





『 たくと・・・待たせたな・・・』





・・・ あれは _____________ . . .





白猫に誘われた森の中に


浮かび上がった幻想に心と頭を犯されて、真っ白の世界に突き落とされた


その時を・・・








________ りん、りんりん・・りん・・・

とても小さな鈴の音が聞こえた時、足元にふわっと触れた感覚にびくっとした。




「 さぁ、もういいですわ・・・」



するっと外された目隠しに眩しさを一瞬だけ感じて、手を翳した。でもそれは、
たった一筋の木漏れ日だけが、自分の目をくらませていただけだった。


風に揺れる木漏れ日が一瞬の内に自分の視界を戻し、翳していた手を外すと

目の前に現われたのは、竹林に囲まれた暗い中に風が揺れる度に木漏れ日の中に浮かび上がらせた古い大きな洋館。



________ チリ・チリ・チリ・・・


足元に擦り寄っていた、ふわふわの白猫。
白猫の首に昨日付けていた真紅のリボンは無く、首輪に着けられた釣鐘型の鈴だけだった。


「 鈴。おいで・・・」


________ にゃぁーん


白猫に手を伸ばし抱き上げた蝶子は、今解いた目隠しをその猫の首に巻きつけた。
彼女の懐中にも、同じ布地の古袱紗が入っていて、これは赤い振袖の時にもその懐に挟んでいたものだと近くで見て思っていた。


________ コンコン・・・


小さなドアのノック音に、誰の返事も待たずに蝶子が勝手にドアを開けると、白猫は彼女の腕の中から飛び降りてこの屋敷の奥に吸い込まれる様に消えて行った。



________ パチッ・・・


________ ・・・ パチッ




猫の消えた先だけが、一筋の光の道を作っていて、その先に足を引き込まれるようにいつの間にか向かっていた。

小さな、何かを切る音が近づく度に鮮明に聞こえると・・・

その先のドアの開いた向こう側に、肘掛椅子に座る女の後姿があった。

後姿の女の黒髪・・・

後姿の女の着物・・・

自分が目隠しされていたその、紫色の江戸小紋更紗。


そして、後姿の向こうには、野に咲く様に活けている・・・

自分が此処に来るまでずっと見されられた幻想。


蒼く深く輝く、青紫に群生しひんやりとした森の緑の風が運んできた芳しい香華

頭の中に思い浮かんでいた、その紫色の鈴の容の花 ・・・リンドウ


それと同じ色の着物を着た彼女が、同じ更紗の猫の首に巻きつけられたリボンを取ると、自分の花ばさみに蝶の容に結んでいた。




「 お姉さま・・・」


自分の横から聞こえた蝶子の声に、振り返ったその後姿・・・

彼女の顔には何も驚きの表情は見えないけれど、きっと自分は驚いているだろうと
止まってしまった自分に思っていた。


・・・あれは、幻の中の・・・



「 お久しぶり。蝶子・・・」



________ ジー・・リー・・・りん・

リー・りん・リー・・・りん・・リーリー


微かな鈴虫の羽音が、2人の声が響く他は何も聞こえない室内の窓辺に聞こえていた。
その鈴虫の羽音には、鈴と2人が呼ぶ、あの白猫の首輪につけた釣鐘型の鈴の音が混じっていた。

鈴虫の羽音の様に心静かに成れる首輪の鈴の音・・・


目の前のりんどうの色の着物を着た少女が、蒼紫の色濃い世界、りんどうの群生する森の中に、天女の様に現れた時に耳に届いていた・・・

チリリ・チリリ・チリン・・シャラ・・シャラ・・・・・

猫の鈴の音と違うシャラシャラという鈴の様な金属音。
あの金属の奏でる音は、どこから来たのだろう。

目の前の少女を見詰めて考えたまま、止まっていた。



今、此処に連れて来られる前・・・


重なりざわめく風鈴の音の中に・・・


最後に聞こえていた音 ____________




自分の胸はドキドキと早鐘を打つ様に波打って
自分の脳裏を、最後に聞こえた音が回り周り
自分の意志で動くはずの体中の行動を抑制しているかの様に
自分の早い鼓動と、その最後の風鈴の音が、頭の中も耳の中も響き渡り回っていた



「 ・・・蝶子、緑お義姉さまは・・? 」


お姉さまと蝶子に呼ばれた少女は、突然の訪問者にも目もくれず気にもせず

ただ自分がこの場所に存在していないかの様に、対応しているそれに・・・



俺が見えていないのか・・・



そう思わされる他、何も思い当たらない。



窓の外を向いている少女の見詰める窓の外にも、その先に広がる竹林の混じる森の光景の中にも、ただ1つの風鈴も鈴虫さえも存在していないと気付いた時・・・



この屋敷の中に入れるのは・・・

いや、幻ではなく存在としての・・・幻・・・



目に見えるものは全てこの空間の中には消されてしまうのだろうか

そう思わざるを得ない自分。



「 鈴音お嬢様。 」



自分の後ろから、歳を召した優しい声が聞こえていて・・・

その声にこちらを向いた彼女は、鈴音という名なのだと思っていた。その時



「 お客様でございますよ。 」



少女を見詰めたまま、時を身体を止められた自分には

お客様とは・・・

自分の事だろうと思っていたけれど・・・



「 さぁ、たくと様。どうぞ・・・ 」


________ チリ・チリ・チリ・チリ・チリ・・・


自分の脇をすっと抜けて、鈴音と呼ばれた少女の方に歩いて行く男には、見覚えがあった。
灯台の下で聞こえた鈴の音を響かせながら、鈴音の下に歩いて行った。

たくと

知っている。その名前・・・



今少女が活けていたテーブルの上のりんどうの花器を見詰め、ふっと緩む様に一瞬だけ微笑んだ後、窓辺に居る鈴音の方に向き直した顔は冷たい笑みで、上から彼女を見下げる視線を送りながら彼女の元に早足で鈴の音を響かせながら歩いて行く。



「 鈴音。 」



鈴音の肩に手を置いて、彼女の顔に顔を寄せ、こちら側にその顔を隠し

頬と頬が触れ合うほど、2人で頬を寄せ合う様に、彼女の耳元に何か囁いて・・・

首下に掛かる俯いた彼の吐息を擽ったそうに、目を瞑り微笑んだ少女。

微笑んだ彼女の顔を、下から覗き込む様に顔を近づけると・・・



「 うふふふ・・・」

「 ふっ・・ふふふ・・・」


2人で目を瞑り、微かに声を出しながら笑っていた。




この家の中では、いや、この森の中では、俺は存在していないのか?とは・・・




________ チリ・チリ・チリ・チリ・・・・

________ シャラ・・シャラ・・シャララ・・・・

________ チリ チリ チリン チリ チリン・・・・




彼から聞こえた鈴の音と

彼女から聞こえた鈴の音と

白猫から聞こえた鈴の音と



ただその音だけが頭の中を回り侵し・・・


それ以外何も機能しない自分の体は、そのままこの場に凍り付いている。






mimi’s Image Music *
Etudae / Eliza's Aria / Ephra










『 この辺の夜景でも肴にして、テキトウに飲んでくれていいからさ。 』



怜が言っていた 



『 わかった、星空でも堪能させてもらうよ。 』



そう言った自分



『 あ、でもな、夜の森と灯台に近づくのは、やめてくれよ。 』



そして怜が言った・・・



_____ 森と、 灯台に、 近づくのは、 ・・・止めろ・・・



でも今は・・・



______ あ、でもな、夜の・・・



夜じゃない 




自分が足を運んだりんどうの森の手前まで、明るい木立の森の中、白猫の鈴を追いかけて

鈴・・・

そう、鈴の音を追いかけて歩いていた森は明るくて



この屋敷の周りには、木漏れ日以外の光も入らないうっそうと生い茂る暗い森

けれど・・・

夜じゃない



それは、凍り付いたまま向いていた先の2人の向こう側、窓の外には、風に揺れる木漏れ日が、幾筋も揺れながら蠢いている。


ドキドキと自分の鼓動は、早く高く鐘を打つ様に、身体中が心臓になりゆく・・・

真っ直ぐそちらを向いたまま、真っ白に色を失った自分の視界の中に幻の様に掠めて見える



・ ・ ・ 部屋中の蒼紫色



所狭しと壁際にも窓辺にも・・・


無数の何鉢もの違う花器が並べられて、全ての違う花器に活けられていた りんどうの花


その野に咲く様に・・・


全てそれぞれの花器の中に・・・


全てそれぞれの花の咲き方に・・・


群生する蒼紫色の世界が・・・


纏められたアレンジメントではなく・・・


一輪ずつ様々な花を受け入れる花器で・・・


上から下まで手前から奥まで隙間無く並ぶ・・・


ここの部屋の全体の空間を覆いつくし・・・


空気の色すらその色に・・・・・・・





チリ・チリ・チリ・チリ・・・・ 

               と・・・

シャラ・・シャラ・・シャララ・・・・

               と・・・・

チリ チリ チリン チリ チリン・・・・

               と・・・・・



ただ凍り付いたまま頭の中を音だけが回り周り


蒼紫色の世界の中に光る様に現れた、この幻の少女に


ドキドキと自分の鼓動は、早く高く鐘を打つ様に、身体中が心臓に成った。


視界は彼女を見詰めたまま・・・


天女の様な真っ白の幻に自分の思考も思想も覆い尽くされて・・・


自分の視界の中には・・・


その天女の現れた真っ白と蒼の世界 この2色しか見えなくて_________















怜・・・








・・・俺は・・・・








怜と話していた言葉を思い返していた。



『 ほら、見て・・・』

『 まぁ・・・ちょっとつかれることとかもあるって事。 』

『 ・・・綺麗なままの、け・・ いや、綺麗って・・いいよ・・・』

『 乾杯・・・って、もう飲んでるけどな。 』

『 花の色ってさ・・・いろいろあるからな・・・
  綺麗だと自分か思う花は、人それぞれなんだよ。 』



そして鈴の音に遮られた自分の言葉
鈴の音の素は、自分たちの仲間からだった あの電話・・・

凍り付いたままの自分の視界に掠める、自分の横に立っている少女

同じ様に無表情で固まったままの蝶子に・・・

・・・恋に落ちた友


あいつは


この立ちすくんだままの少女に恋に落ちただけなのだろうか・・・・・

その友からの電話の着信音に遮られた自分の言葉



____ ここの家系って、銀に関係ある・・の・・・



その輝く銀のフレームの中



『 父さんはさ・・・公家の出で、父親の家系である公家の方が格が上だけど
華族の1人娘の母親が、公家の次男である父を婿に貰ったんだよ。 』

『 だから、令の名は・・・親父には、付かないけどね。 』

『 フッ・・・
・・・息子には、もちろんつけてるよ・・・ 』



自分が返した言葉に



『 気障だなぁ・・・』

『 この辺、田舎だからさ・・悪いのがうろついているんだ。 』

『 ・・・見ちゃったか。 』






______ お子様の遊び程度に見えたけど・・・?







怜・・・










Act 6 Scene 3©


mimi’s Image Music * Eliza's Aria / Ephra / Undying Love











「 さぁ、鈴音お嬢様。蝶子お嬢様、たくと様。
 お茶のお支度が出来ました。どうぞ、お掛け下さいませ。 」



自分の背後から聞こえたその優しい声に、窓辺で静かに微笑み合っていた2人も、蝶子も自分の視界の中でコクンと静かにゆったりと頷いている。


その優しい声の持ち主は自分の横を、すっと過ぎ去ってテーブルの周りの1つの椅子を引いていた。

それと共に、自分の周りを横切る数名のメイドが、銀のお盆に乗せられた幾種類かのティカップに、大き目のティポッド。
ティポッドに被せられていたティコーゼは・・・

蒼紫色で釣鐘型の花模様のパッチワーク。

端布れのパッチワークは、着物の端布れだと気付いてはいるものの、身体が動かないまま
ただ心臓だけが早く高く鐘を打つ様に自分の身体の中を回り鳴り響いてるだけで・・・

銀のティスタンドを持って入ってきたメイドも、自分の横を通り過ぎて行く。



「 どうぞ・・・」



優しい声の持ち主が1つだけ引いたその椅子に、手を差し出して座る様に促している。

歳を召した優しい声の老婢の周りに、銀のお盆から数個のティカップをテーブルに並べるメイドの傍から、りんどうの花模様のティコーゼを取り、大きめの銀のティポッドから溢れたつ白い湯気の紅茶を注いでいるメイド。テーブルの中心に銀のティスタンドを置き、銀のトングをスタンドに掛け、銀の小皿をテーブルに並べているメイドもいる。



その数すらも数える事は出来ないほど、ただ固まったままで居た。




「 さぁ・・・」



優しい声の持ち主が、窓辺から動かないここの屋敷の主人にだろうか・・・
もう一度、座る様に勧めているのは・・・

自分の横には蝶子が居る。

その老婢はこちらを向いて、なんとも心落ち着く静かな優しい笑みをこちら側に向けていた。




「 さぁ、さ・・・お客様もどうぞ。 」



ブッ!

ふふふ・・・ぷっ! 

ぅあはははぁぁぁ~~~~

ぎゃははは~~~~




老婢が自分と視線が合って、優しい笑みを自分に向けていると気付くと同時に
金縛りの様に固まった自分の身体は、ふっと解ける様に軽くなった。

真っ白だった自分の視界も元に戻り、部屋中に並べられた様々なりんどうの生けられた花器も、様々な違うカップも、様々な違うケーキも、全ての色が見える様に成った。



「 ひー、くるひい・・・ 」

「 もぅ、たくとの提案だからね。 」


窓辺の2人は、腹を抱えお互いの肩をベチベチ叩き合い、笑い転げ出していた。


「 もぉ、お2人共。
 お客様に失礼ですよ。鈴音お嬢様。たくと様。
 蝶子お嬢様まで、驚いていらっしゃるじゃないですか。 」



そう窓辺の2人に老婢が話しかけながら、他に3つの椅子を引いている。
その場に立ち竦むという表現が自分と同じ様に当て嵌まる程、無表情に固まったままで居た蝶子も、目を瞑り一瞬俯いた愁いの横顔・・・

でも・・・

俺に首を傾げて上げた顔に瞳を見詰められ・・・



「 うふふふっ。 ・・・どうぞ。 」



横に立ち竦んだままでいた蝶子までも、ほっとした様に片手で口元を隠しながら、今までに数回か見せてくれなかった・・・
嘘をつかない時の、昨日の朝食時に自分と顔を寄せ合い話していたあの時と同じ笑顔だった。

微笑みながら反対の手を俺に差し出した先は、テーブルの上に人数分のティカップが並んでいた。



ふ――・・・ 
    ・・・はぁ―・・・


自分の身体の中から溢れ出た様な、深い場所から静かに長く息を吐き出せていた。

身体が動くと感じて差し出された手の方に、2歩、3歩足を出した。

その時・・




でも・・・・




聞こえたのは・・・








    「 鳴良さま。いらっしゃいませ・・・ 」







老婢に言葉に、耳を疑った自分の名。

足を止めていた瞬間、自分の口を意識の無いまま付いて出た言葉。



「 どうして、自分の名を? 」


「 フッ・・・貴方様は、この家系 鳴りの字の家系でございますよね?
  
  しからば、ここの誰もが貴方様の事は、見えては居りますよ ・・・」





・・? 
  ・・・・何だって・・・
 

________ チリ・チリ・チリ・チリ


意味が分からないで居た自分の耳に届いていたのは鈴の音で・・・
自分の足下に触れているのは、燻し銀の花瓶の様に自分の足に背を擦りつけ甘えるフワフワの感触。





・・・サァ

  ナ・リ・ヨ・シ・サ・マ


      ・・ド・ウ・ゾ・・・・コ・チ・ラ・ヘ・・・



鈴鳴り岬へ・・・・・



・・・・・・・ヨ・ウ・コ・ソ ______________







優しいはずであった耳に届いていたその声は


声帯模写とモザイクの掛かった架空・・・仮名の人物を影像に流す時と同じ様に

声を幾つも重ね1つの声に機械で纏め合わせた高く震えた声の様に

その重ね合わせた様な声の後ろの窓辺には・・・



ざわめく風鈴の音が重なって奏でる音・・・

        ちりーん・・・ちりーん・・ちりー・・・ちりーん・・・ちりーん・・ちりー・・・
  ガチャガチャ・ガチャガチャ・・ガチャ・・ガチャ・・・      りーんりーんりーん・りーん・・
 こーん・・・・こー・・・ん・・・・こーん・・こー
          ジャラー・・・・ン・・・ジャラー・・ー
                                 から、からん、から、から・・・
              ちり・ちり・ち・り・ちり・ちり・ち・り・・ちり・・・
    カン・カン・・・カン・カン・・カン・カン・・カ・・
                      ちりーん・・・ちりーん・・ちりー・・・ちりーん・・・ちりーん・・ちりー・・・
              ガチャガチャ・ガチャガチャ・・ガチャ・・ガチャ・・・
                  りーんりーんりーん・りーん・・
  こーん・・・・こー・・・ん・・・・こーん・・こー
                          りーんりーんりーん・りーん・・
                                こーん・・・・こー・・・ん・・・・こーん・・こー
          ジャラー・・・・ン・・・ジャラー・・ー
   から、からん、から、から・・・
               ちり・ちり・ち・り・ちり・ちり・ち・り・・ちり・・・
                               カン・カン・・・カン・カン・・カン・カン・・カ・・
しゃらーん ・・・・・・・しゃら・・・ー・・・

ジー・ジー・・ジー・ジー・・・ーー・・・・





                 
たくさんの風鈴の音の中に、鈴虫の羽音が重なって


________ チリ・チリ・チリ・・・・・


自分の元から離れ、ひょいとテーブルに跳び移り、テーブルの上の銀のスープ皿に入れられているミルクを美味しそうに飲んでいる、白猫の鈴の音も重なっていた。




「 鳴良サマ・・・

   ドウゾ。ソシテ・・・ヨウコソ、スズナリミサキへ。 」




肉声で・・・聞こえたのは、自分の名だけ_______________ . . .











なぁ、怜・・・


  お前がお前の体の中から出している肉声で言っていた・・・・・





『 まぁ、そうだけど・・ 子供の方が厄介だろう? 』





それが本当であって欲しいと・・・





俺の視線の定かでない空(くう)を見詰めたその先に・・・


お前の妹が、姉と呼ぶ


蒼紫色の世界の中の幻


羽衣を纏いその蒼い空気の中に舞う様に


この目の前の少女が主のお前の家系


この屋敷自体が幻想なのか・・・・・・・






空を舞う自分の視線はその少女しか釘付けのまま止まっていて

鈴音という名の・・・


________ チリン・チリン・・シャラ・・・チリチリ・・・


自分の耳に聞こえる鈴の音と、自分の視線が定かであると頭で思いながら、彼女しか見ていなかった。









________ 薔薇と呼ぶには・・・


            ・・・相応し・・・い・・・・・・・









どうか言葉を聞かせてくれ・・・










. .怜  ・ ・ ・











Act 6 Scene 4©


mimi’s Image Music * Undying Love










階段の下で立ち止まった時、窓から見える夜明けの星を見て思い出していた。

部屋に入るとそのままドアにロックを掛ける。
着ていたシャツを脱ぎながら窓に近寄り開け放つと、一気に篭った部屋の空気が抜ける様に、カーテンが窓の外に放り出される。



ひんやりとした空気に目を瞑り胸の置くまで吸い込みながらも、思い出すのは・・・




だから、自分のベッドの中で一緒に眠る時は・・・



「 ふふ・・・ 可愛いね。 」


真紅のリボンを外し、脱がす様に・・・
                   その艶めき輝く毛を撫でながら・・・



「 ねぇ・・・ もっとこっちおいで。 」


その身体を同じシーツの空間の中に・・・
                      閉じ込め、抱き寄せて・・・



「 もっと・・・ その白い身体を見せて。 」


冷えた空気の中に火照らされていた・・・
                     自分の身体の熱を冷まして欲しくて・・・



「 ん・・・大好きだよ・・・ 」


抱きしめた体と・・・
           その可愛い顔に唇を寄せて・・・




「 ・・・愛してる・・・ 」




抱きしめたまま・・・眠りにいつの間にか吸い込まれて・・・

薄れ行く意識の中に風に舞っていた、真紅のリボン

眠りにつく朝の風を窓を開けて火照らされた肌に感じたまま・・・

自分の瞼もゆっくりと閉じる最後に見ていた

ふわっと風に飛んだリボンが窓の外に飛んでいった先は・・・


どこだろう・・ ・ ・ ・










東京に明日帰ろうか・・・




アイツが来る前に・・・・





この前を思い出し


今を見て・・・


・・先を考えながら・・・


幸せな気分のまま、いつの間にか眠りに付く ____________ . . .







Act 6 Scene 4©

mimi’s Image Music *



・ ・ ・・思い出していたのは、帰ってきた時の事 ____________________







「 う~・・・寒ぶっ・・・」


東京と違い海辺のここは、潮風とたくさんの緑溢れる清々しい空気に囲まれているものの、早朝の気温の低さは昼と違い、それに街中の様にネオンや街灯りはないからかとても空気がひんやりと靄の様にしっとりと濡れていた。


朝の爽やかな空気の中、森の方の通用門から・・・


なんだか表玄関の方が騒がしいのは、訪問者だろうか?
大きく爽やかな息を吸い込んで吐き出しながら、腕時計で時間を確認するまでも無く、夜もそろそろ明け様としている辺りは薄く明るくなっているだけの時間。


( こんな時間に誰だ? )

込み入った様子の表の方には顔も出さず、裏庭を抜けて屋敷に入った。

聞こえてきたその声・・・


_____ 俺はただの道化か、飾りか? 



「 はぁ・・・」

( なるほどね。 )

手を擦り合わせながら立ち止まり、う~寒いと腕を組んで長い廊下を歩いていた。
階段の下まで来ると階段の上を見上げた。


長く上に伸びる緩い螺旋階段と、高く広がる天井までの広い空間に、階段の途中設けてある窓からは、薄く明るくなっていた。この離れた下からでも見えるほど、夜明けの明るさに負けない様にと輝き続ける星はまだ、東京と違い最後の輝きをまだ煌かせていた。


・・・その星を眺めて、思い出していた。



ふふっ・・・


思い浮かべると優しい時間が自分の全部を包んでくれている様で、胸の奥底が温かくて、冷えた体も温まる様だった。

たった今までの短い時間でも、思い出となって自分の胸の中に温かく残っていた。



コツコツコツ


_____ おはようございます。


向こうから歩いてきたメイドの1人に挨拶をされ、おはよう。と返して近づいていた。



「 早いね。 」


_____ えぇ、仕事ですから。



メイドは立ち止まり、自分が過ぎるまで頭を下げていた。
その横を通り過ぎようとした時に、声を掛けられた。



_____ お目覚めのコーヒーでも、お持ちいたしましょうか?


「 ん~~・・・いいや、要らない。 」



手を振りながら通り過ぎて自分の背後に、その声を聞きながら部屋のドアを開けた。

チリ・チリ・チリ・・・




_____ 失礼いたしました。 怜様・・・・






鈴の音を響かせて足元に擦り寄っていた白猫を抱き上げ、部屋のドアを閉めた。


「 俺のベッドで一緒に寝る? 」


腕の中でゴロゴロ喉を鳴らし、目を瞑っている鈴を抱きしめていた。



「 甘い夢でも、一緒に見ようね。 」











潮風の中に飛んで行った真紅のリボンが、誰の物かとは・・・


いつも自分を助けてくれる


自分の可愛い・・・ふふっ・・・


・・・その名前が、もっと苦しめる事に成るのなら


俺はそのリボンに呼ばれた繋がりが齎す因縁をいつか・・・


この潮風にも、この緑の風にも、この蒼い風にも、舞い翔がる様に


この手で飛ばしてやる ・・・・・





Act 6 Scene 4






Cast


敦賀蓮 ・ 貴島秀人

松内瑠璃子 
村雨泰来 
京子










...........................................................................................................................................................

Story by mimi*美海 ™ 美しい海の彼・方より
Copyright © From far away beyond bautiful sea.'Myth.BLUE BELL'All Rights Reserved.

Alls Copyright © ™ From far away beyond beautiful sea. All Rights Reserved.
All Images & Arts Edited Designed and Created by mimi ™ From far away beyond beautiful sea.Copyright © ILD.fbs A&C under h-llc (USA) All Rights Reserved.




............................... To the Back Stage - Making of Act.6   『 行方 』



この Act 6 撮影風景はどうだったのでしょう・・・

それぞれの俳優が朝から夜まで 一日中携わる ロケ現場でのその姿に・・・

興味がある方は どうぞ シーン内のイメージに触れてください


9つのシーン・イメージが出てまいりました
そのシーンのそれぞれの 撮影風景と .................


この Act. 6 全体の流れの中に 朝 昼 夜 そして・・・
彼ら 俳優たちの撮影に携わった時間は それぞれいつ撮影されたものであったのか?

それを考えると きっとBack Stage 1~7まで 順番通りに彼らの一日を追う事ができます

ただ・・・

イメージは、9つ

1つは Act 6 Preview - Just befor shooting  このAct.6 撮影に入る前のもの・・・
・・・でも此処に このBack Stage 撮影の唯一色がある世界に居る 彼らの元へ

そして そこには・・・

このBack Stage の目次があります

もう1つは、Act 6 ・・・あれ? ・・・どこかで 前に見た事があるシーン
その撮影は この日の中で行われることはありませんでした

7つ目の最後は・・・

朝 昼 夜 そして・・・ そう紹介しましたので・・・

あぁ イメージ ですよ・・・ Image も お忘れなく 



今回のTweet つぶやきは 誰だったんでしょうね .................



全てどこかに繋がっています どこに行くのかは 時間の流れを追ってください
元に戻って もう一度 そのシーンを読んでいる内に ・・・

・・・・・・きっと とある事に 気が付く事でしょう それは・・・  まだ・・・・


貴方のご想像を 抽象的なモノの中に 想いをのせて


その飛んで行く 行方の先は 


この潮風にも この緑の風にも この蒼い風にも 舞い上がる様に


その手で飛んで行って  ....................................









Fly Away to Deep Sea

Myth. BLUE BELL - Act 7 -




To Fly Away -Act.7-


Act. 7 Before shooting by Moka of Fly Away






☆ こちらの作品は、2014/10/29 にUPしましたが、作品を一箇所に纏める為に日付をずらしました ☆


CM: --
TB: --
mimi's world from Ren Tsuruga and Chuehonn Hizuri
Love Letter from RT and CH

▲Page top