mimi's world * HOPE and DESIRE

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Myth. BLUE BELL -Act 8- In the Practice 

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Myth. BLUE BELL - Act 8 -

IN THE PRACTICE



. . . . . . . . . . . From Back Stage * Scene The Morning

Myth. BLUE BELL - Act 6 -  Back Stage.1 Tweet by Hidehito Kijima ・・・




Tweet by Ren


こんばんは 敦賀蓮です

なんかさ・・・貴島君がこないだ俺の事、Tweetした?

・・・そう・・・ Act 6 撮影中の時

ま、なんでもいいけど・・・

ふふっ

ね。 そうかな・・・ だって、できればそう在りたいと願う俺

貴島君のTweetは、これだったよね




Myth. BLUE BELL - Act 6 - 『行方』  シーン*正面玄関 朝の撮影中の時


敦賀君の横に京子ちゃんが居るのはいつもの事。

だって、彼らはDark Moonの時から、いつも隣に並び共にお互いの演技を見合ったり、他の俳優の表情を研究して先輩の敦賀君が、ここはね・・・と教えていたり、コレに続くには・・・と返す京子ちゃんも先輩にアドバイスを求めたりしていた。
今回も彼らは、自分以外のシーンでもきちんと、それぞれの役の気持ちを表現する俳優の演技をじっくり研究・・・・

・・・・それは、撮影後の夜にも・・・だったりして・・・


夕べホテルの部屋で、ドアを内側から開けた敦賀君。

ちょっとドアを開けたその先に、敦賀君のベッドに座っているキョーコちゃんが見えて、えっ!と思い話しながら、ドアを俺が押して開けてしまった。

彼女の膝の上に開いたままの台本が置いてあり、俺の顔を見るなり立ち上がったお辞儀をしてくれたキョーコちゃんに、その先には敦賀君のマネージャーも居たし、敦賀君も台本を片手に持ったままドアの傍にいたから・・・
なんやらの特訓だろな。とは、きちんと理解しましたけどね。 by 秀人





そう、この部分・・・


最上さんと、2人で何を特訓していたのかって


Act 8 この撮影前に、特訓する必要があったほど・・・


そうそう、Act 6 Back Stage .3 この事にも関係があった ____________






. . . . . . . . . . . THE PRACTICE
             
             for
the Scene moon light in the BLUE BELL wood of Myth. BLUE BELL - Act 8 -





________ コン・コン


「 は~い。今開けますね~・・・」


ガチャ・・・


「 こんばんは。キョーコちゃん。今何してる? 」


尋ねて来たのは、社さんだった。

これと言って別に用はないし、キャストもまだ松内さん以外の女性の方は、大御所女優だったのでお伺いなどするはずも無く・・・
部屋で台本を読んでいた時だった。


「 あのね・・・ 蓮が・・・」


社さんが言ったのは、珍しいと思った事だった。

私とは撮影時間が違った敦賀さんが部屋で社さんと食事の後、黙り込んでいたらしく、何かをずーっと考えては携帯でいろいろネットサーチしているも見つからないらしく、イメージは湧いているものの・・・
台本と携帯をずーっと見ながら、一人腕を組んで頭を捻っている様子。

腕を組んだまま台本の同じページを凝視して、動かないらしい・・・


「 ・・・それでね、キョーコちゃんに頼めないかな?と思って。 」


ね、ねっ! と可愛らしく いつもの様におねだり社さんの首を傾げるその仕草・・・ではなくとも・・・


「 はい。もちろん、いいです。 」


にこっと微笑んで、ベッドの上に開いて伏せていた台本を取りに行きながら、ドア口に居る社さんに話しかけた。


「 私も、この敦賀さんとの2人のシーン。
  ただ今、台本の読み込みとして、それに、イメージを掴もうと
  一人で練習してみようかなと、思っていましたので。 」



だってさ・・・

敦賀さんに茶会シーンで引き込まれちゃった、思い出が蘇る・・・。

本気に成る敦賀さんを目の当たりにして、初めて演技に引き込まれた事。
それ・・・この茶会シーン。蝶子としての演技テストだっただけに、この役のオファーと言ったら

“ 茶道を良く知る女優で、蓮が本気に成って演技できる役者 ”

それに・・・

“ 暗っら~い、ダークイメージ ”

この新開監督からのお言葉。Darkって言ったらDark Moon かもしれない、こちらもお嬢様。 
どーも、イメージが虐めは無いものの、暗い過去。そんな事で同じだと思えていたからこそ・・・

敦賀さんの演技に嘉月の様に、そして演技テストの蝶子の時の様に、引き込まれて役が走り出しそうで怖かった。


ブツブツブツブツ独り言を言いながら、部屋を出て社さんと敦賀さんの部屋に向かって行った。



________ コン・コン

「 蓮。俺・・・」


ガチャ・・・


「 はい、社さん? どうしまし・・た・・」


携帯片手にドアを開けると、社さんと一緒に居る最上さんに驚いていた。


「 こんばんは、敦賀さん。 」


「 蓮。入っていいか? 」


「 あぁ・・はい・・・」


片手に持っていた携帯をオフにしていた。

実は・・・・

ネットサーチしても見当たらない。茶道の事。
茶道の極意は、ネットに載せる事など許されない世界らしく、点前の事を載せているものは単なる習っている人のブログだけ。

教科書の様なものが欲しいと思いサーチしても、そんなものは稽古で学ぶもの。その日本の“ 見て覚える。”という、伝授伝統の事に関しては載っていなくて困っていた為・・・

・・・最上講師に電話を掛けていたところだった。


なかなか電話に出ないし、留守電にもなっていない最上さん。

嫌な事が脳裏を過ぎるも、ストーカー君は居ないだろうと思える、ミュージシャンの居ない軽井沢じゃないロケ地。
もう、寝たのかな?と思っていたが、早過ぎない?とも、携帯の時間を凝視していたところだった。


「 どうぞ。入って。 」


勝手に閉るホテルドアを高い位置で支えると、お邪魔しますと言いながら腕の下をお辞儀しながら入ってくる最上さん。彼女が両手で胸に抱えた台本が見えて嬉しくなった。


「 社さん。ありがとうございます。 」


いや~、マネージャーだし。そのぐらい当たり前。そう言って帰ろうとする社さんの腕を引っ張っていた。


「 お時間、申し訳ありませんが、一緒に居てください。
  誰かがもし尋ねてきた時、誤解されたくないので。 」


ん~~・・・だな。と、何かを考えていた風だったけど、その言葉に納得してくれた。
それに・・・2人のシーンが、暗闇の中なので、ちょっと・・・自分で自信が無かった。

社さんには、窓際のソファの方に座っていてもらい、小道具をその前に置き、2人とも役に入ってしまった時の為にと言付けたのは・・・


「 じゃ、始める? 」


振り返った時には、最上さんはカーペットに正座して台本を開いて用意万端だったからだった。


「 ねぇ、最上さん? 」


はい?何か可笑しいですか?と言われても、確かに茶会シーン。
なにも可笑しい事は無かったけれど、靴のまま過ごしているホテルの部屋だし、自分はまぁいいかだけど、女の子を床に座らせるのは嫌だし、と思うと・・・う~~ん・・・だった。 その為・・・


「 こっちにしない? 」


自分が指差したのは、ベッドの上だった。


「 あぁ、カーペットって畳より柔らかいので、大丈夫ですよ。 」


にこっと微笑んでいる最上さんだけど、自分がそこに座ったら、正座なんて殆んどした事がない俺。
長いだろなと自分が判らない量を考えたら、一度座ったら最後の覚悟。足が痺れ動かなそうなので嫌だった。


「 でもさ・・・」


ペラペラと台本を捲り、設定を指した。


「 俺の部屋のベッド。キングサイズより少し大きいし?
 4畳半の部屋には少し狭いけど、大きさ同じぐらいじゃない? 」


ん?とベッドを見た最上さん、あぁ~、普通のキングだと189cmだから、足がはみ出ちゃうんですね~・・・
ナルホドなるほど。213cmか~と言いながら立ち上がってくれた最上さん。

さすがは、緻密に人形を作るほどの、絶対視感持ち主。
背が高くて時々困るホテルの部屋。新開監督が俺と貴島君には、大きいベッドの部屋で。と用意してくれた広めの部屋だった。

なので、貴島の部屋は隣。

なんとなく嫌な予感がして・・・いや、それでもよかったのか・・・大御所俳優さんも泊まっているこの階の部屋には、尋ねて来るのは貴島君だけと思うも、それが引っ掛かり社さんを引き止めていた。


「 どこから始めますか? 」


「 そうだな・・・」


はっきり言ったら、分からない事だらけだった。

まずね・・・そう伝えて始めたのは、そのシーンの茶室に入る前の方から。
開いていた台本のページを指して、自分のイメージは・・と伝え始めた。


「 待っているのは、何もしないで、鐘鈴が鳴ったら歩いて行く・・・の次。
  
 “ つくばい ” って手を洗うところからでも、いい? 」


「 あぁ、はいはい。それは、洗い方が決まっていますよ。
 清めるという意味です。あぁ・・・英語で言うとね・・・兄さん 」


フッ・・・と笑った彼女が怖い。が、先生なのでそのぐらいドスを効かしたいのか、なぜかセツカになった最上さんには、イマイチよく分からない。


「 ・・・Purified. Your bloody dirty hands as you killed and sent to bloody hell by and with blood. 」


ん~~なるほど。英語の方が理解できた。

“ クソやろうを血で染めた様な、お前の罪を犯した小汚い手を、清めやがれ。 ”

なるほど、そこまでする必要はないにしろあらず、とりあえず 洗う という表現より、清める という表現なのだな。と理解。


「 それで、ですね・・・まず、柄杓を右手で取って、水をなみなみと掬い、
  左手にお水を掛けて、持ち替えて右手に掛けて・・・もう一度持ち替えたら
  また左手に少し水を乗せて口を清めて、と言ってもブクブクぺっです。で・・・
  最後に柄杓に残ったお水を、両手で柄杓を立て、柄の部分を伝わらせます。 」


そこにあったバーカウンターから、長めのマドラーを持ってきて、柄杓に見立てて実践した。


「 基本的に、お客様は白いハンカチを着物の袂に入れて置くのですが・・・」


その設定があるのか無いのか、台本では分からない。
ん~ なーる。とマドラーで練習しながら、そういえば最上さんって何段?と聞いてしまった。


「 あぁ、段とかないですよ。
  お免状でどの階級かは、ありますけど・・・」


入門・小習い・四ヶ伝・奥秘ここまでが生徒で、その次に引次・正引次・紋許茶名・準教授それが先生になりますよ。と何気なく教えてくれた事で、台本の自分の立場、正引次の意味が分かった。


「 そういえば、京都出身だよね。 」


「 はい。女将さんのお供で、裏千家の今日庵に伺った事も数回。
  それに・・この又隠のお茶室も見た事がありま・・・」


「 へ~~・・・女将さんって、不破のお母さん? 」


ビクっと固まったその一言。言葉が途切れるほど、サクッと言ってしまった自分に反省。
気まずくした自分。なんとなくベッドサイドのiPodを手に取り、音楽を掛けた。


「 これね、シーンで使われる曲。
  撮影は曲が無いけど、監督に教えてもらった。 」


そうそう、こうやってね、監督のイメージを掴むのも感情移入の助けに成るよ。と誤魔化して・・・

“ Tea-House Moon The Memory of Trees 樹々の記憶 月の茶室 ” と、 “ Melodia 彼女の曲 ” と、“ The Light and the Longing 光と切望 ”  それに、 “ Traumerei Kinderszenen 子供の情景 ”

・・・そんな感じに適当に選んでみたら、以外にシーンに嵌まったぞ。と監督が笑って渡してくれた。


「 あぁ・・・なんか、子供の頃を思い出しますね。 」


「 そうだね・・・」


シーンイメージが、森と竹林なので・・・きっと彼女が思い出すのも、京都の森なのだろう。
自分も思い出すのは、子供の頃、河原で出会った君。森を抜けて行く道を思い出す曲だった。


・・もし・・・・
ここに来ていたとしたら・・・

なぜか懐かしいと、この胸の内で初めて感じた自分。

・・・そう・・・


自分の役である剣のその気持ち・・・森を思い出すと胸が苦しくなる、自分本来の気持ちが蘇っていた。



________ チリ・チリ・チリ・チリ


「 お~い、蓮。続き。 」


社さんに渡しておいた、小道具・・・小さな釣鐘型の鈴を、茶席鐘鈴の合図に鳴らしてくれて、ふっと戻った自分。そうだった・・・と思いながら、それじゃぁ、茶室に入るところとベッドの端に立った。


「 まず、にじり口って下半分ぐらいしかない引き戸を片手で少し開け
 そこに手を入れて半分まで開けたら、手を変えて残りの半分を開けてください。 」


こうして、こうで・・・とエアドア開けで、ベッドの端に立っていた最上さんがデモンストレーションしてくれて、まず入る前に茶室入り口の畳に扇子を置きま~す。茶室を覗きま~す。そして膝から入りますよ~。と教えてくれながらベッドの上に膝で上った。


「 茶室のにじり口の高さも、丁度これぐらいですね。 」


フムフムと思いながら聞いていて・・・、気になったフレーズ・・・

扇子を自分と茶室との結界として前に置くのは、“ 一線を越えてはいけません。”という意味です。

ウンウンと聞いているも、社長の言葉も蘇る・・・ベッドの上。
習い中の身でそんな気分にとりあえず成ってないので大丈夫。とは、違う意味かもしれない。


「 はい、敦賀さんどうぞ。 」


最上さんが扇子の代わりにしていた先ほどの、柄杓だったマドラーを渡されて、こうしてこうして、んで、靴は底を合わせて立てかける~、入ったらまず床の間に行って床の間と自分の間に、マドラー・・いや、扇子を置いて~、亭主と呼ばれるお茶を点てる人の場所へ行ってと、ズカズカベッドの上を歩いていたら、あぁ畳のヘリは踏まない様に。それでこの畳は軸前上座だから右足から、ここは出るほうだから左足から3歩で、ヘリ入りは右から・・・とこちらもエア畳がある雰囲気でベッドの上を2人でポヨポヨしながら歩いていた。


「 あとさ、これ。煙草盆と縁高って、煙草とお菓子って事? 」


ベッドの上に二人並んで正座をしながら開いた台本の中のそれは、ネットサーチで茶道具屋さんの写真を見て知れた。タバコを吸うの?と聞いてみると、ん~~~・・・それは、どうしても・・・


「 兄さんが、吸いたかったらいいんじゃない? 」


耳元に小声で囁かれるも、頬に触れた吐息にフッと笑ってしまい顔を背けたら、最上さんの後ろに置かれたマドラーが目に入り、一線をこえてはいけません。と戒められる。

確かに・・・

まだまだ、全く終わらない、俺の謎だらけの茶室の中。チリチリを鳴らす人がここに居ても居なくても、それはダメだろ。・・・とは、仕事のロケで来ているので思います。


「 まぁ、今まで吸う人を見た事は、無いですね。 」


なんだそれ?と思うのは、煙草と言っても煙管ってやつです。と両手でこのぐらいの・・・と表示してくれる長さに、あぁ~あれね~。とは、昔のアメリカの映画でも出てくる、女の人用の長い柄の方ね。と思い出した。


「 次ね、ここからがもっと分からないんだけど・・・
  まず、“ 和巾 ” この点前。 
  何でこれにしたのか?って台詞があるけど、あぁ台詞は大丈夫。
  でもさ、道具が違うって事なんだろうけど・・・」


見た事が無いので、リハーサルで見るしかないな。と思いつつ茶道具屋さんのサーチで出てきた道具を思い出す。 
何が違うんだ?と思いながらのネットサーチだった。


「 あぁ~、松内さんのお点前は一番初めに習うもので、
  そちらの漆塗りの物は、棗 なつめと言って形が様々あります。
  主に薄茶を入れるもので、これは濃茶だけの・・・
 “ 中次 ”と言われるお茶入れで、瀬戸物のお茶入れと同じ扱いです。 」


濃茶と薄茶とあって、瑠璃が点てたのは、カプチーノの様にこんもり泡立てる薄いお茶。
こちらの濃茶と言うものは、読んで字の如し、濃厚な抹茶らしい。
泡を点てるではなく、茶を練るというもので、溶けた金属みたいにどろ~っとしたお茶らしい。

ふ~ん、だから村雨のところに引っ掛かる気持ちが生まれるのか?と、たぶん違うかもと思いつつ説明を聞いていた。


「 この中次という物は、桑の木で出来ていて中に金箔が貼ってあるんです。
  濃茶の瀬戸物茶入れにも、象牙で出来た蓋裏に、金箔が貼ってありまして
  昔、利休を手元に置くほどお茶を愛した武将、豊臣秀吉がいまして、
  祝いの一碗 と 慰めの一碗と 点前を分けたりしていました。
  切腹前の心癒し・・・って考えが多かった、豊臣秀吉は、裏のお点前として
  ・・・と、言うのを聞いた事がありますが、定かではないです。 」


ふ~ん。気性の荒い・・・

ほととぎす、鳴かぬなら、鳴かせてみせよう ほととぎす だな。と思い出す。

鳴かぬなら、鳴くまで待とう ほととぎす の徳川家康が表千家を好んだというのもなんだか雰囲気だけ頷ける。
もっと気性の荒い 鳴かぬなら 殺してしまえ ほととぎすの織田信長は、切腹させずに手を掛けるってな何だかワカラン共感は・・・カインに似てる。と自分でも思いウンウンと頷いていた。


「 金箔を貼るのは、命を狙われる武将の考案のようで、毒が盛られていないか
  苦く芳醇なお茶の味と香りに、誤魔化されていないかを確かめる物で、
  濃茶の抹茶の量が、毒の致死量を入れられる。とこんもり足せるのと、
  泡立てないので見た目も分からないからだと言われています。 」


全部金箔貼りの茶入れって豪華だな~と思って見ていた茶道具屋のページ。
中に入れるのは人数分使い切るという、濃茶の抹茶パウダー全投入、人数分の回し飲み。と最上さんが言っているのを聞き、確かにそれだと毒としての薬草だとしたら、茶の葉っぱからの・・・こちらも草だし薬草の一種だな。と何だか分からないけど、致死量と言う意味と抹茶のドロドロ加減と、まとめて殺せる腹黒いドロドロ感情にもなんだか納得できる。


「 お服加減はいかがですか?と聞くけど? 」


不味い・・・・いや、マウイって、飲み込めないほど不味いものを口にしたら、口をついて言っちゃう言葉を言うのか聞いてみた。


「 そうですね・・言っていいものですけど、
  鍛錬した方のお茶は、苦味は無いほど上手に練りますよ。
  そうそう一度、お家元の直弟子、行悌先生にお稽古を見てもらった時・・・」


こうしてみるとどうですか?との手取りで茶せんを持った手の上から手を重ねて動かされた時、うわ~~!と感動するほど、お茶碗の中で一振り一振りお茶の色と艶が変わって行きました。・・・とのウットリと両手を握って上を向いた最上さんを見て、なにがしかムッとする。


なぬ?手取り足取りの稽古とは・・・・


そんな事を考えてみたら、以外に自分もカインの立場の時には、手取り足取り・・・いや体ごと・・・抱きしめたり・・・
ちょっと考えたら自分の方がもっとしていたので、ちょっと落ち着いた。

自分も役に入ってしまうとなんでも咄嗟にしてしまう。

走り出したら怖いな。と、自分で思いながら話し続ける最上さんの話を聞いていた。

真・行・草とのランクがあるらしく、真は一番上の階級なのだそう。んじゃ、ぎょうてい先生の行もそうなんだな~・・・と、手取り足取りの、いや足は取らない正座のままだが、とりあえず千家血族が真なら その次という偉い人だと理解する。
花器やお盆、点前の崇高さなど、茶道具の階級分けにも用いられるらしい。

それで・・・と、最上さんがこれ重要です。と言って教えてくれたのは、お辞儀が以外にあるということ。

お辞儀の仕方として立ったままの真は膝まで手を伸ばした角度、行は指先が膝に触れ、太ももの上が草で、正座のお辞儀の3段階分けも、お客が亭主と呼ばれる点前をする人には、真という手の平を全部畳に付いてするものと、お客同士の行と草という指と付けるが手の平を付けないお辞儀に、指先だけをちょんと畳に付けるお辞儀があるらしく、草に関しては、はいどうぞと亭主がお客にウンウンって頷くものにも使うらしい。


「 じゃぁさ、剣の方が鈴音よりランクが上の場合は? 」


「 ん~でも、お客という立場から、きちんと真心込めて頭を下げてください。
 上の方のほうが茶道の心をお持ちだと、心を込められたお茶に対して
 尊い心を読み取り、敬いの心を返すという感じにお辞儀してみたらどうですか? 」


む~~~ 微妙にそんな雰囲気が自分で創れるか・・・ 芸能人ゆえ挨拶慣れしていても、お辞儀が違うと腕を組んでイメージを考えた。

手の平をポンと打って、最上さんの顔を見た時、ウンウンこのままでいいのか。と気が付いた。

後輩だけど、彼女の演技に飲み込まれそうに感じる時に、演技歴の浅い彼女の演技に尊い心を感じて、自分が返そうと思うと、すでに役に自分が本気モードに気付いたら成っている時だ。と気付いたそのパワーを敬う心。


「 どうしました?敦賀さん。 」


「 いや、気付いた事があっただけ・・・だけど・・・」


台本を手に取って、ベッドサイドに置いてあるホテルのペンで自分の台詞に書き足そうと、手を伸ばしてた時だった・・・



________ コン・コ・コ・コン


「 あれ?誰か、来た? 」


ちょっとごめん。と断ってベッドの縁に足を伸ばすと、以外に足が痺れていたので座ったまま、靴は何処だっけ?とエアにじり口だった辺りを見ていた。

いや~・・・感覚の無い足に靴を履いたらグネルかも。

お茶は練るでいいけど、足首はグネリたくない俺。絶対、捻挫してもそのまま撮影続行だろうな。と何度も思った新開監督。この正座シーン撮影の為に捻挫はしたくない。とずっと思っていた事だった。


「 社さん、すみません。傍のスリッパ投げてください。 」


ソファのところで朝、靴を履いてそのまま置きっぱなしだったスリッパを・・・と思って話しかけてみたけれど、振り返る事無く微動だにしない。

あれ?寝ちゃった?

背中向きの社さんに見えないながら、気が付いたのはベッドサイドのペンを取り上げる時。
掛けっぱなしだったiPodの音楽は、眠気を誘うゆったりした曲ばかりだった。
そっと靴下のまま傍に行きソファに寝かしてあげようかと、スリッパを取りに行くついでと思ったけれど・・・
それならそのまま、とりあえずドアまでいけばいいや。と思ってドアの方に向かった。


「 はい。 」


________ カチャ


「 敦賀く~ん。 」


貴島君がニッコニコで立っていた。ヤハリ来たか・・・。そう思いもしたけれど、最上さんの部屋を訪ねた訳ではなく自分の部屋。
足がとにかくジ~ンとしているので、ドアを少し開けただけで壁に寄りかかっていた。
飲みに行かない?には・・・ だろな。と思っていた時、ん?と視線が俺をすり抜けて部屋の中に向いていた。

勝手にドアを押されていたのには・・・


( はっ! 最上さん俺のベッドの上! )

ベッドの上で正座を崩し足を横に揃えていたら、イカニモ勘違いされそう・・・
ただ今起き上がりました。みたいなポーズを想像していた。

自分の足を支えるよりそちらの方が気になって最上さんに振り返ると、やっぱり彼女も足が痺れる前になのか、それとも痺れたのか、足を投げ出して・・・あ~よかったと思える・・・ 台本を膝に乗せてベッド縁にきちんと座っていた。


「 あ、貴島さん。お疲れ様です。 」


立ち上がって膝まで手をついている彼女を見ると、な~る。真のお辞儀だ、敬っている。と思っていた。
お辞儀の為にすっと立ち上がった彼女。最上さんは痺れていないらしい正座というか、床生活慣れ。
きっと普段から、お布団コタツ生活だと、正座のほうが楽なのか・・・ 

そうは思っても自分は床生活を子供の頃からしていない。
ただ今、こちらの足はジンジンし出していた為と、貴島君が入ってきたらメンドクサイと思い、足を伸ばして壁に寄りかかりドア前を抜けられない様に塞いでいた。

手に開いたままだった、鈴音の長台詞の部分。


「 今さ、鈴音と剣のシーン・・・」


言いかけてそういえば、こちらが今回のお兄さん役。そちらの絡みはまだ出て来ていない、台本前。
でも、カインと違いベタベタするような兄妹愛は、お嬢様とお坊ちゃまゆえ、無いであろうと考えていた。


「 ごめん。これから台詞を合わせたいのと・・・」


そう言いかけた時、いやいや稽古中ごめんな。と言ってくれた貴島君にほっとする。

こちら側の俳優とは、台詞合わせも楽な・・・こうして飲みに行く?といった物だったので、きちんと合わせなくともベテランの貴島君側で上手く対応してくれるのもあり、逆に稽古しない方がいい。と監督にも、Act 4から打ち合わせのみ、リハも本番も同じかも?2人のペースで任せたよ。カメラ回しとけ~であり、お互いに


『 じゃぁ、そうする? 』

『 そうだね。 』

ま、やってみてどうにも成らんかったら、監督が止めんじゃん?との、俺たち2人はアドリブが来てもお互い大丈夫なほど、演技に関しては役にそれぞれがのめり込む役者だとは承知済みの・・・

セットに入ると俺達は・・・

貴島秀人も敦賀蓮も、そこには居ない。

自分がその物語の中の人物として生きていると・・・

お互いが知っているからこそ、芝居の世界が本当の様な気にさせられて、また自分もその中の人物のまま、その世界に生きているとはカットが掛かるまで気が付かずにいるほどだった。

- Myth. BLUE BELL-Act.4- 『予感』  Back Stage.2 より -



・・・なのでプライベート時間はプライベートの付き合いだけ。

稽古の必要はないと、監督からも言われているほどだった。


( ま、ただ今のお稽古は、少し意味の違う“お稽古”だな・・・)

茶道の稽古中という、俺にとって必要な稽古だった。
悪いね。と言いつつ、足がドアにぶつかったらジ~~~ンとするだろ。と動かない足を思い、腕を伸ばして貴島君が開けているドアを押さえた。

貴島先輩に、腕と足でダメとの表示。本当に悪いね。とも思ったけれど、自分の足の方がただ今Maxに痺れていたので、伸ばしっぱなしの寄り掛かりまくりの動けない俺。


ぶつからないようにと、寝ている人もいる事だしと・・・
ソファに寝かし姿を隠してしまわなくて良かった、寝ている人の社さんの為にそっとドアを静かに閉めた。

お~、歩けるか?俺・・・

壁に手をついてヒョコヒョコ歩いていると、靴もスリッパも無しで正解だったかも知れない。
かなりのノロさでなかなかベッドの方まで行けないでいた。そこから茶室・・・いやエア茶室のベッドの上を見ていて思い出す。

・・・瑠璃の方の野点ステージ

そういやちょっと違った。


「 あぁ、そうそう。風炉と炉って何が違うの? 」


一番初めに聞くべきだったか、思いっきりの見た目の違い。畳の穴に埋まる釜と、畳の上の釜。
どうして?点前で違うの?と思っていたが、そんな事はないらしい・・・


「 夏と冬の違いで、点前に関しては両方季節に合わせて、それに1点前に対し道具も多種ありまして、
  全て季節に合わせた、風情を感じ、風情を楽しみ、風情を差し上げると言うことでですね・・・
 
  冬には炉という、お客様を温めるという心遣いから、真ん中の畳亭主側に穴が開いているもので、
  風炉は畳の上で炉とは反対側の畳の上ですね。火をお客様から遠ざけます。

  蝶子のような野点の場合、風炉のみですよ。
  立式 りゅうれいと言われる椅子に座って行うものもあって、
  これらは新しく戦後、国際交流の為に出来たと・・・・  そうそう・・・ 」



なるほど、確かに野点で穴を掘ったらただの焚き火だな。キャンプでマシュマロを焼いた記憶がある。と思っていたら、そんなイメージが以外にも合っていたのか・・・


「 そうそう、戦争に繰り出されたお家元もいらっしゃいまして
 旅箪笥というものを持って行き、そこにあったアルマライトのやかんでお茶を点て
 家族から離れ命を掛け戦う、戦場の人の心をお茶の一服で癒したそうですよ。 」


・・・っとそんな話を壁に寄り掛かって、自分の足を癒していた。


「 ねぇ、最上さん。もう1つだけ。 」


歩けるようには成った、よし俺。と確認しつつ、このシーン俺にとって台詞合わせは必要ないかも。きちんと役に入ったらこちらのペースに持っていける。
貴島君と飲みには行きたくないけど、彼女の演技には飲まれてもいいと返せる自信はあった。
お茶の事の基本は覚えておきたいけど・・・

彼女の心癒すお点前を拝見しつつの飲み込まれ演技でいいや。と茶道の心を知っている最上さんに、シーン撮影中は、本気で心癒されたいと思い始めた為だった。


「 え~、私のお稽古も・・・」

「 し―・・・ ごめん。 」


スタスタ行けず傍にも行けないで離れていたからか、少し大きめの声で瑠璃の様に懇願した最上さん。
人差し指を唇に当てて、その指で社さんを指した。・・・でも微笑んでいた俺。

素直だな~俺。と思える程、演技じゃなかったら素直に顔に出るタイプ。

だって・・・
・・・こちらのお嬢様の懇願には、プライベートも仕事中も、やる気満々でお答えしたいです。


あれ?寝てます? と社さんを覗きに行く最上さんは、普通に歩いていた。


「 痺れてないの?最上さん。 」

「 はい、お客様が立ち上がったのが早かったので。 」


ナニそれ?と思い出す・・・蝶子演技テスト。骨折しての正座に蒼白な顔で、お客様がいる間は立てないと言っていたな。という事。こちらは壁伝いに歩き始めた赤ちゃんの様だった。

なんとかベッドまでたどり着き、ベッドサイドのペンを取って、アフレコ追加キーワードを入れながら、ページを捲った。


「 あぁ、もしかしてさ・・・
 最上さんがしたい部分って、この後じゃない? 」


次のページを捲った時に、開いて伏せたままの最上さんの台本を手に取り見比べると、そこからのページだった。


「 あぁ、はいそうです。そこから・・・」


社さんの傍で振り返る最上さんに、言葉を被せた。


「 だよね。この部分は俺も必要。
 でもさ・・・この後半の部分。今度のAct から外すみたいだよ。
 次って言われたから、ここまでで・・・・」


とは・・・自分の足が今宵は、限界だと思っていた。

なので、お稽古も次回繰越では、懇願通りご希望通り叶えたいですが・・・と思う。
靴下で歩いちゃったから、もう一度自分の寝るベッドの上にのぼるのも嫌だった。
あ~、そうですか。となんかホッとしている最上さんに、バーカウンターからグラスとカクテルペーパー取ってと、もう立てないので持って来て貰う。

その2つのセットに、最上さんが先に気付いてくれた。


「 古袱紗とお茶碗ですか? 」


それなら・・・と、横にあった水のボトルから、トクトクと濃茶量の水を注ぎ持って来てくれる。
さすが、我が後輩。良くぞ分かってくれました。とニコニコしながら両手を出した。


「 そうそう、濃茶というものは、心を分け合うという意味で
 一杯をシェアして飲みますが、お茶碗の受け渡しは、
 差し出された手と手の間に手を入れまして、受け取ります。 」


ほ~・・・心と心のシェアね。じゃぁ最上さん先に飲んで?と思っていたが、入っている水が思ったより少ない事に気が付いた。


「 あれ?これだけ? 」


手が触れても大して最近なんでもない。受け渡されたグラスを横から見て言っていた。


「 はい。これが一人前、その人の飲む3口分です。 」


言いながら真横のベッド縁に座った最上さん。もう正座はムリと俺に気遣ってだろう。

あのですね、古袱紗を拝借した時まずは・・・お茶碗を触りません。という意味で、銀とか・・・ま、そんな設定と同じかとも思われます。

そういえば、古袱紗っていう物は懐紙と一緒に懐に挟んでおく、ティッシュと万能鍋つかみみたいなものです。なのでお茶が熱い陶磁の茶碗や歴代ものの触れては成らない茶碗に添えたり、畳に歴代ものを直に置かない様にと気遣ったりするもので、着物の端切れなどで作ったりするのと・・・

この和巾点てには、中次の由緒を考え茶入れの下に敷いたりという、和巾というこちらは由緒を含めた布で作る古袱紗です。と言いながら・・・

フムフム。と聞いていると、左手を持ち上げて開かされ、その上に着物の切れ端の方の古袱紗ならぬ紙ナフキンを乗せ、その上にお茶碗ならぬグラスを持った右手を動かされる。

それで・・・と真横から左手は左手の下に添えられて、右手は右手で上から重ねられた。


「 まず縁に親指、底の小指から側面に沿って残りの指を揃えて支え、
  その古袱紗を傷つけない様に少し持ち上げて、やや90度時計方向に回し、
  もう一度同じ様にやや90度回し・・・ 」


この、やや ・・・ってのが、日本っぽいな。と感じていた。

ほぼ とか やや これらは何だか分からぬ、きちんとした性格の日本人に納得行かない疑問点。
やや遅れて。などのしきたりも、なんで?と思うが、その日本人の遠慮と言うか奥ゆかしさなのかも、と普段から、やや早め行動の俺が日本に来てから思う事だった。

やっぱり来たか。ここでも やや が・・・

そんな、かねてからの日本文化のナゾ。やはり伝統文化には付き纏う・・・
この やや は、亭主には無く、ゲストが遠慮すると言う意味の客だけの やや らしい。

そんな事を考えながら、重ねられた手で、茶碗の持ち方はとてもよく分かった。


はい、飲んで。と重ねられていた手を外されて、どうぞと差し出されると、3口ね。と分けて飲んだ2口目・・・
今度は手首を押さえられて、3口目はまだ飲まない。と止められた。


「 お客様一人の時は、一口そのシェアの心を残したまま・・・  
  あぁ、そうそう、お茶のご名は?の台詞です。敦賀さん。 」


「 そうそれ。その意味がよく分からないってのと、
  飲んだのに最後にもう一度・・って台本にあって、
  実は・・・何で?って思っていたところ。 」


あぁですよね~・・・と最上さんの返事に、見えない人とシェアするの?と思っていた。


「 ちょっと待っててください。
  まず、残ったそのお茶碗を、ここ。 」


最上さんが少し真横から離れて間に置けと、ポンポンとベッドを叩いた。
下座です。との言葉に、そういえば、きちんと俺の下座に謙って座っていた。と気付くのは、先ほどベッドヘッドボード上の壁に掛けられた絵画を軸として見ていたからだった。


「 すみませんが、私の稽古にも付き合ってください。 」


そう言われて、もちろん演技の事なら。と返すと、カーペットに最上さんが正座した。
目を瞑りふぅと息を吐いた最上さんを見ていた。

「 ・・・。 」



「 ・・・敦賀さん、台詞。 」

「 あぁ、俺からか。じゃ・・・」 


ベッド縁に座ったまま、何の気なしに普通に彼女を見ながら、台詞を言う。


「 お茶の御名は・・・ 」


「 こちらは、地元・・・ 」


台詞を俺が言うと目を開けて、表情が変わっていた。

とても優しい笑みを浮かべていた最上さんだったけれど、少し違うかも・・と思ったのは、バックに流れるThe Light and the Longing だった。


「 ちょっとカット。直ぐに悪いね。 」


えっ。何がダメだし?というビクッとした顔の最上さんに微笑んで、iPodに手を伸ばした。


「 あのさ、このシーンOn Airに無いけど、この後の俺の一人の回想エンディング。
 それに使う曲を掛けてみてもいいかな? たぶん今とイメージが違うと思うけど? 」


Nimrodという曲を掛け、シンセサイザーとパイプオルガンの二重奏と吐息の様にな詩の朗読で、天からの声とも言えそうな囁きが入っている。それが遠く高い上空に流れる、地上で聞こえない風の音をイメージさせられる、とても好きな曲だった。

遠い空に煌く星の空間の風の様だと、見上げても見える事無き果てに想い焦がれ、自分の想いが届いて欲しいと届かないその空の様だと・・・

・・・・って、監督のイメージに自分が思い描くイメージだった。



「 鈴音の台詞に、これも合ってるかな?と思うけど。 」


こちらで、はい行くよ。 お茶の御名は? と続けた。
彼女を見ると・・・

目を瞑る事無く開いたまま、畳のへこんだ部分である、今はエアな炉があるべき場所を見詰めていた。


その時、最上さんの後ろに風の無い静かな森が見えた。


「 こちらは・・・」


続くべき台詞を止めた鈴音が、瞬きをしてこちらを見詰めていた。嬉しくも無く楽しくも無く、悲しくも無く尊びでも無く、俺を敬うでも無く・・・

・・・無 に直視している顔だと思った。


「 こちらは、地元・・・ 」


鈴音が台詞を言い出し始めると、先ほどの様に段々と目を細めながらゆっくりと微笑み出して・・・

後ろに見える森の樹々が風に揺れ始めた様に感じていた。


彼女の柔らかい微笑みの中に、ふっと上を見上げた最上さんだったから、いいよ、続けて。とそのまま台詞を続けさせ、自分も間の台詞を返した。


「 ふふっ・・・ 」 


その一瞬だけ企んだような口元に浮かんだ笑みに、優しげな笑みのままの鈴音の瞳。
そうか、なるほどね・・・。と彼女のイメージをずっと明るい部屋で見ていた。


「 ・・・・・感じております・・・」


一瞬だけあぁそうだ、という顔も、一瞬だけ無になる顔も、とても優しい笑みのままの中に有り、床に付いていた手を膝に乗せ、真っ直ぐに俺を見詰めて台詞を続けていた。


その後ろの森の風が止んでも、揺れる木の葉

木の葉から落ちる水滴が、月の明かりの無い光に

無光に輝いき、晴れた夜の満月には雲の無い空に雨が降るように

光無き輝きの粒となって、煌いて降り注ぐ・・・


きっと夜の撮影のこのシーンには、見ること無い最上さんの表情を自分の頭の中に入れておいた。


すっと立ち上がった彼女を見詰めたまま、こちらに向かって歩いてきたのを、見上げていた。

膝に置いていた両手を取られて・・・・

見詰められたまま微笑まれて、微笑み返した。 けれど・・・




「 いいですか。敦賀さん。 」


( あれ?敦賀さん? )

取られていた両手を下座に置いたままだった茶碗・・・じゃなかった、グラスに向けられて、まず古袱紗の端を抓みあげそこから指を反対の角に滑らせて、両手をそのカクテルペーパーの下から入れまして茶碗を両手で持ち上げますよ。と手を支えられながら両手にグラスを持たされた。


「 はい。これですよね。敦賀さんが謎だった、一口。 」


あぁそうそう・・・忘れてた。 鈴音を、いや最上さんをずっと見て入っていた自分。
急に戻された様に思い出し、そうそう、これこれ。謎だった・・・“もう一度”って台本にあったやつ。

なるほどな。一口残して、台詞ね。と頭の中にインプットした。


見えない人とのシェアではなく、心と心をシェアしてから、最後に感情を頂きありがとう。って事なんだな。と理解できた。


「 ふふっ。ありがとう。最上さん。 」


分かりました?と首を傾むけ微笑む君の両手が、自分の両手に重ねられたままで、
閉じていた指をゆっくりと開き、指の間に君の指を絡めると、ぎゅっと握り返してくれたから、その頬に顔を寄せた。


頬に、ふっと息を掛けて囁くのは・・・


「 ・・・お礼のキス。されると思った? 」


絡められている指をぎゅっと握り返したら、フフっと声が自分の耳元にも聞こえて・・・


「 じゃぁ、お礼返しの歯型。このままつけてもいいの? 」


う~ん、どうしよう、普通のメイクで隠せるか・・・と一瞬躊躇い・・・

グラスを持っている2人の繋いでいる手を、自分の方に引き寄せたら・・・




________ ドカッ! チリチリ・・チリ・・・・


「 あぁ~~~・・・あぁ、ごめん、蓮。キョーコちゃん。寝てた~~ぁぁ、はぁあ・・・ 痛って~・・・」


寝ていてビクッと足が動き、目の前のローテーブルを蹴ったらしい・・・


転がった鈴の音と・・・

・・・社さんのあくび交じりの声が聞こえて、2人でバッと離れた。






じゃぁ、まぁ・・・

この続き。また今度、後半の撮影時にね ___________











                    Myth. BLUE BELL - Act 8 - Myth. BLUE BELL - Act 8 -
                   

       In the Practice for Act 9 In the Practice for Act 9 









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