mimi's world * HOPE and DESIRE

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To be my Grace - OTHER WORLD. VII 

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そっとスタジオに入った。



傍にいるスタッフに、すみません。今 着きました。と小声で言うと監督に伝える為にそっと行ってくれる。

監督の下に行き伝えてくれると、監督は振り返り無言で片手を挙げた。

しーんとしているスタジオ内に聞こえるのは、一人の男の子のすすり泣く声・・・



ぐすっ・・ぐすっ・・・

・・皇后・・妃・おか・ぁ・・さ・・・・・・ま



両手を後ろに縛られて、うつ伏せに寝かされ一瞬だけ目を見開くと、遠くを見詰め瞬きもせず
がくっとその首を垂れた。


目を開けたまま彼は、本当に息を止めているのだろう。

真っ赤に顔が一度成ったかと思うと、瞼をゆっくり閉じながら顔色までもその血の気を落とし
た。

頬を伝っている涙が途切れた時、カット。と声が掛かった。



監督の傍に行き、遅くなりました。と伝える。


「 大丈夫ですよ。飛鷹くんのシーンなどを、
 他の役者さんとのスケジュールに合わせて
 先に撮っていましたから。 それより・・・」


こそっとキョーコの耳元に寄って監督が言い出した。


「 京子さん。すみませんね。
 お子様の処刑シーンなんか見せて・・・」


大丈夫ですか?と監督は言っているけれど、彼女は、はぁ・・・っと、実はイマイチ分かっていない。大丈夫?と聞かれた意味すら分らないほど、大丈夫だった。

なんていっても、ブルーバックのセットの中。

上杉飛鷹くん一人だけが演技をしている。


はっきり言って、首を切り落とされた・・・と云うシーンなんだけど、
剣を振り翳す者も居なければ、別に切れているわけでもない。セットの中も何も無い。

なんのこっちゃ分らない、一人芝居。


すっくとカットと共に立ち上がって、マネージャーが差し出すティッシュを取り、鼻をチーンとかんでいる。

そのままモニターチェックをするのかと思いきや、歩いていったスタジオの隅。


「 おーい、奏江~。どーだった? 」


・・・。


「 えっ、あれ琴南さん? 」


その演技を見ていた角の女優・・・

シースルーの黒いベールに身を包み、透けて見える長い黒髪に光る、編み込まれている無数の透明なビーズ。その髪は腰の下まであり、飛鷹君と話してウンウンっと頷くだけで、シャラっと音を立てて光っている。

その髪以外は、黒一色。

おでこに掛かるベールをそっと手で掃った時に見えた瞳が光っていた・・・


陽の色。


オレンジでも金色でも黄色でもないその瞳の色がベールの向こうに透けて見える。
それに飛鷹くんの瞳も・・・


蒼水晶の色。


セットの中では蒼色だったけれど、今琴南さんと話している暗がりのスタジオの角に見えるのは、透明に程近い水晶の様な瞳。

あっ!モー子さ~ん。モー子さぁぁ~ん。と小さく手を振っている京子。
だけど、監督が続けて、衣装は・・・先に、これと・・・メイクは・・・と、自分たちのスケジュールを言っているので、聞いて無いとダメ。っとの意味を込めて、監督に向ける視線はそのままに彼女の振っている手を掴んで下ろした。


「 はい、それでよろしく。 」


監督の方から離れてCG技師のモニターに行き、画像の確認をしている。

その自分達がいつも確認しているモニターは、もちろん演技のものだけ。
バックはブルーのまま。そのモニターを飛鷹くんがチェックしないのは、自分の演技に自信があるのか、イマイチ見ても分らないからなのか・・・は、謎のまま。


_____ 上杉君。ちょっといいですか~?


監督が彼を呼ぶと、今の取り直し。と言われているのを聞いていた。

何がいけないのだろうと思うのは、顔色までも呼吸の仕方で変えているし、涙も死んだと見せかけるのに綺麗にぴたっと止めたのに? だったのだけど・・・


_____ 地上じゃないので、首の転がる先は、下に垂れないで下さい。


( なるほど・・・。)

_____ 重力を見せたいのは、クレオパトラの最後だけです。
 

監督と彼の会話を聞きながら、む~んと腕を組んで考えていた。
しからば、本日撮影予定の自分の最後は、貴島と相談するしかないのか・・・と、まだ他のスケジュールが入っている貴島はスタジオ入りしていなかった。


じゃ、もう一度今のシーン、フィルムチェックの後 入りまーす。と言うスタッフ。
そのスタッフの間をカツカツこちらに歩いてくる飛鷹くん。

 
「 あぁ~、ピンクのヤツ! 」


京子を指差して近寄ってくる。それに琴南さんも気付いてこちらに歩いてきた。


「 きゃぁ~!モー子さぁ~ん。 」


「 ・・・。
 ・・敦賀さん、おはようございます。 」


( まぁ、琴南さんが正解・・・。)

きっと京子の方と話したいのだろうけど、挨拶は目上が先の世界。京子も、ほら。と肘で突付いて、飛鷹くんの方が先輩だよ。と促した。

二人で、おはようございます。と声を先に向けたのは飛鷹くん。

赤ちゃんタレントとして自分でも知らない内に出演していた彼だから、芸歴11年。
俺6年目。京子たったの丸1年・・。


「 なんだ~カナエの相棒じゃん。京子っての。 」


あれ?知らなかった? と言いながら彼女の頭から黒いなんかが出たのを、見たような気がした。

もういい、早くメイク行くよ。と京子を引っ張って、じゃ琴南さんも後でね。と言い残し楽屋に引き連れて行った。


「 モー子さん、後でね~。 」


後ろを振り返ったまま歩いている彼女の腕をがっちり組んで・・・

・・・転ばない様にしていた。






メイクも終わって楽屋を出る時・・・

着替えた衣装の一つ。今日も渡されたカラー・コンタクト・レンズ。

実は、もう1週間前から撮影に入っている俺と京子。

初めて手渡された時、着けて鏡を覗いていた。翠色・・・。
鏡の自分を見つめながら、右を向き、左を向き・・・携帯のライトも目の近くで当てたり・・・
そんな事をいろいろしていた初めての時。

初めて衣装で会った瞬間あれ?って顔をする京子の瞳の色も、蒼碧色だった。
彼女の瞳の色は、アレキサンドリアの海の色と同じなんだよ~と監督が説明するも、見た事も無いし行った事も無い。へ~っとほ~っと思うだけで、二人とも・・・ふ~ん。なのだった。

その京子。先にスケジュールの詰まっている飛鷹くんと琴南さんとの絡みがあって、自分がスタジオに行くともう彼女の撮影は始まっていた。


シーザリオンの処刑の前に継ぎ足されるシーン。

背中合わせに座ったまま腕を縛られていた。二人は捕らえられて見せしめとして広場をつながれたまま歩かされていた。


「 シーザリオン。貴方は・・・

 このエジプト王朝とローマ帝国、二つの国の跡継ぎ。

 ・・・それを、胸に・・・威厳高く誇りを持ち、

 王としての最後を自分でも勤めなさい。 」



クレオパトラの腕をぐっと掴んだシーザリオンは、母様、母様と小さかった声を繰り返しながら、その母を呼ぶ声は・・・

すすり泣きのか細い声が、だんだんと叫びと成っていった ___________





______  「 カット。 」


うん、いいよ。じゃ・・・ 
モニターチェックをしている監督に、入りました。と伝えて、とスタッフに頼んだ。



「 あぁ、敦賀君も準備は出来てますね。 」


カメラモニターがたくさんあるのも、動きの大きいアクションを求める近衛監督ならでは。
モニターの数だけ、セットの中に向けられたカメラがあると云う事。


“ Tragic Marker “
 

この撮影に使われたカメラの数の多さにも、気付いたのであろう・・・

以前京子が出た事のある緒方監督のDark Moonの撮影と違って、モニターチェックのモニターが一つじゃないって事。
正面からカメラを動かして撮影する緒方監督と違うのは、CG特有の撮影だから。



_____ じゃぁ、メリエトとクレオパトラ準備OKです。


スタッフから声が掛かって、監督と一緒に見ることにした。



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To be my Grace - OTHER WORLD. VIII
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mimi's world from Ren Tsuruga and Chuehonn Hizuri
Love Letter from RT and CH

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