mimi's world * HOPE and DESIRE

_______ BE-lie-VE * be-LIE ve * believe...the SHAMs for heart healing * mimi's world-7 _______

To be my Grace - OTHER WORLD. XXIV 

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________ ナニナニナニナニ・・・なになになになに・・・


この貴島の言葉で、かなりの動揺度を感じられる。
二人で誰も居なくなるまで待っている間じゅう、ずっとそれを繰り返しているから、


「 そう、彼女。 」


そう言い返して婚約したと言おうか迷っていたけれど、貴島が被せて聞いてきた。


「 はっ?何時から・・・1ヶ月ほど してないって事は、撮影前からって事だよね。 」


ハイ、その通り。よく気が付きました。と思ってしまう鋭い事。
彼は撮影中も、いつも色々なバックの設定をきちんと思い返して演技する程の視野や思考の広い人だとは、一緒に仕事をしていて思う事がたくさん有る程。

でも・・・続いた貴島の言葉に気付いて、婚約者だと言うのは今は止めた。


「 えぇ~・・・あの女神様は、俺の理想のタイプ~。
 本当に恋ができると思ったのに~ぃ・・・」



( そう、じゃ・・・まだだな。 )

そう思ったのは他でもない。
此処で止めておけば、そのまま演技に感情が映るだろうと目論んだ。

貴島の胸。これから撮影予定のその場所に・・・軽くパンチを浴びせ


「 本当に恋をするのは、影像の中だけにして。 」


悪いね。と付け足して言った。


「 ふ~ん・・・へぇぇ~・・・そう・・・」


俺の目を凝視したまま、今自分が叩かれた箇所を撫でている。
何かを思いついた表情に浮かぶ、冷たい笑い。その笑みに、クッと喉の奥から声が聞こえたかと思うと、俺の目を見詰めたまま言ってきた。


「 じゃぁ・・・さ・・・影像の中でなら・・・?

本気で恋してもいいんだよな。それって・・・」



「 フッ・・・いいよ。 もちろん・・・」


多分意外な言葉だったのかもしれない。でも、京子の為にも俺の為にも彼が演技の中に本気を入れてくれるのならば、芸歴の長い貴島の演技には、俺も京子も引き込まれた方が演じ易いかも知れない。


「 ま。敦賀君も?・・・だよな。 」


その言いたい意味がとてもよく分る俺。なので追加で言葉を返した。


「 そう・・・俺だって今まで、相手役は必ず落として来た。

 あのさ、プライベートがどうのって云うのは、問題じゃない。
 俺だって演技の中で? 本気で落としているつもりだからね。
 ふっ、まぁ・・・かかって来いよ。演技は恋だけじゃないし。 」



「 だろ? 」


貴島が冷たい笑みの中に一言だけそう言い返し、目を見詰めたまま右手で俺の髪を前から後ろに撫で付けた。


「 じゃ。遠慮なく。 」


そう言った途端 貴島の表情はふっと緩んで、何時の間に取ったのか俺の頭に乗っていた金の月桂樹の輪を目の前にちらつかせ自分の頭にそっと乗せた。


「 役が抜けなくなる程、本気でやってもいいんだよな。 」


そう言い放つ貴島。頭にローマ皇帝の証である月桂樹を乗せた顔ですごんで来た。

それを見て・・・・


( ふ~ん、なるほどな・・・)

そんな事を思える余裕の、以外に冷静な俺が居た。

なんで自分がこげ茶の髪なのか、月桂樹が緑じゃないのかが分った様な気がした。
エジプトの象徴の黄金とローマの英雄の証、月桂樹の輪。始めはブルーバックに消えやすいのかな~っと思っていただけで、エジプトとローマの両方の統治者の証としての黄金で・・・

金髪の髪には似合わない。


( ふんふん・・・イコール、ブルータスは統治者に成れないと言いたいのだな。 )

そんな事を思って頷いていた。それには・・・


Palladio  “ 共鳴と統合の二神魂 ”


モニターに流れていたこのバージョンのCM。 



________ 2 TWO in 1 ONE


    2人は、1人


    この2人が一つの命に生まれ変わった

    1人の黒い姿が、求めていた真実の姿

    抉り取った心臓から溢れ漲る血潮の色を、その瞳に映して・・・

    ・・・瞳が見詰め続ける

    求めて止まない・・・快感・・・


    逃げ惑う者どもへ

    恐れる者どもへ


    黒い心が牙を剥く TWO in ONE 21 _________




・・・そう、こんな感じ。


貴島のブルータスとも、同じ色の瞳に、緋色と橙色という大して変わりない赤に

戦闘へ向けるはずの意識は、いつしか妬みに向けられて、攻撃を加えられる瞳の色となる。



そう考えていた・・・




・・・ら、貴島がこそっと言ってきた。


「 じゃぁ、じゃぁ、じゃぁさ。ベッドシーンのアドリブも実は・・・? 」


何でそんな事を聞かれるのか。貴島だって分るだろ本当に欲求不満なんだって、自分から聞いてきた事をもう一度掘り下げんなよな。と心の中で思って、腕を組んで首を横に振っていたら、

あっ、居た~!と声が聞こえて、二人で振り返った。


_____ 貴島さーん、敦賀さーん。ワイヤー準備しますよ~。


「 は~い。 」
「 はい。 」


二人揃って返事をして、返せ。と言って頭から月桂樹の輪っかをそっと取り上げ腕に掛けたまま、貴島の背中をぱしっと軽く叩いたら、ぱしっと同じ様に叩かれた。

二人とも衣装の上を脱ぎながら廊下を歩き出したら、傍にいた女性スタッフに、きゃぁ~!っと真っ赤に成って言われ、こちらを見ているスタッフに向って・・・


「 ふっ。どうも・・・」
「 ふふ。どうも。 」


同じ事を言って、同じ様に微笑んで、同じ様にウインクしていた。




スタジオに戻りセットの端の方で、ワイヤーを止めるパラシュートと同じ装備を付けられていた。ギュッギュッと引っ張って大丈夫か確かめられながら、衣装の方も着せられていた。

傍で貴島も同じ様にされているのだけれど、二人で見ていたのは・・・

ホログラム撮影の方にいる京子の演技。


クレオパトラがプトレマイオス12世、彼女の父である王の死を目の当たりにして、王の標章を受け取る場面の、本番中だった。




クレオパトラのいるその王の寝室は、ブルーバックではなかった。

唯一と言っていいほど、CGが背景に入らないシーンで、違うのは・・・
王の役者が居ない事。

王が息を引き取る場面のそのベッドの上は、シーツが人が入っている様に中にワイヤーで空間が出来ている。その寝室のセットは・・・起源前50年ごろのエジプトの神殿のまま。

王が寝ていると思われるその寝台に向って、一人で京子が演技をしていた。



ホログラムチェック終わりました。入りまーす。

よーい・・・ カチッ




______ クリノンや・・・ そなたに、これを・・・


ホログラムで入る王がその寝台には居ないけれど、声だけは京子のキューに成る様に聞こえていた。この先は、クレオパトラだけの演技と台詞のみ。


「 ひっく、ひっく・・・」


寝台に跪き両手を震わせながら、すすり泣くクレオパトラ。
その手の中には、今 まだ王がしていたばかりの黄金のアスプ、王としての標章を受け取っている。

クレオパトラの髪に風が当たり、ふわっと浮くと長く金色のビーズが編み込まれた髪がキラキラと上から下に向って流れる様に光を順番に瞬かせている。

それと共に王が居るんだろなと思わせていたシーツの膨らみも風でペタンコに成った。


「 うわぁぁ~~! 王様・・お父上さま・・・ 」

クレオパトラはありったけの声を出して叫ぶと、ぐっと涙を堪えて両手で王の標章を握り締め立ち上がった。


その頬は涙の痕を、窓の外に映る満月の灯りに浮かべて、その窓際に歩み寄ると
満月を見ながら手の平で力強く涙の痕を掻き消す様に、一度だけ拭い取った。


「 タクハエト。 こなたは私の乳母。そのまま、どうか・・・

 このアレキサンドリアの王女の側近として、勤めますまいか。 」


クレオパトラは悲しみを糧に、王としての威厳をも受け継いだ。




_____ カット・・・


京子さん。モニターチェック~。その後は待機で~す。

はぁい。と言いながら伸びをして、あくびを殺しているのが分る。

眠いんだろな。とは思うけれどお仕事中。待機の合間に少し昼寝をしたら?と思って社さんを呼び自分の椅子を持って来てもらった。


モニターの中には、ホログラムの王が写りの悪い昔の白黒テレビの様に、ザーザーっと横線が入って映ったり消えたりしている。
王が息を引き取った!と、思ったのはテレビのスイッチを消した様に、王のホログラムがピッと横線一本に成って、中心に光が集まって消えたからだった。

クレオパトラの髪にふわっと風を当てていた部分は、ホログラムの王の手が髪を撫でているところだった。

・・・勤めますまいか。そう言ったクレオパトラは月の影になり、手の中の王の標章は月の明りと同化して、振り返った金のビーズが輝く黒髪も、月の中に瞬く星の様で、思わず・・・

ほ~ぉ~っと、貴島と3人で声を揃えて言ってしまった。



_____ 京子さんOKです。待機でよろしく。

ホログラム合成技師のPC前に居て、少し離れた所にいる監督が声を掛けた。


「 京子ちゃん、お疲れ。 」


俺と貴島の間に立っていた京子に貴島が声を掛けたので、そちらに向かいお辞儀で返す彼女を微笑んで見ていた。


( そうだ、役が抜けてないって事・・・)

さっきの撮影直後、役が抜け切ってないままにし~よぉっと。と自分で思い、そのままプライベートでキスしちゃったけど、それに・・・

その前おでこを付けた時も、お互い自然にキスしていた。

隠さなくてもいいものなのか、どうしようか迷っていたけれど、先輩である貴島・・・サンには、自分から気付いてくれた方が、後輩の・・・俺から言われるよりも良いのだろうと思い始めた。


そう思いながら社さんが居るRen Tsuruga と名前が入っている自分のディレクターズ・チェアを、どうぞ、使って。と親指で差すと、あ~、そうしまぁす・・・。ともう、寝てしまいそうな彼女がそちらに向って行った。


「 ・・・ねぇ、なんで、敦賀君の? 
 京子ちゃんのその隣に置いてあるし・・・」


俯いたまま下から ちょっと低っく~い声で貴島が言うけれど、本当の理由は言えないし・・・


「 あれ? どうして俺の椅子だと思ったの? 」


京子の椅子が隣にある事は、今自分で言った事。指を指しただけの方向に揃っているなら、普通自分の椅子って思わない?と話を変えてみたりする・・・けど・・・
彼女が、はぁ~・・ヨッコラショ。と言って背の高い俺の椅子に、躊躇う事無く真っ先に座ったのには・・・

ブツクサ言っている貴島の背中を押しながら、彼女を貴島に見せない様に肩を組んでセットに無理無理引っ張って行った。





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To be my Grace - OTHER WORLD. XXV
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mimi's world from Ren Tsuruga and Chuehonn Hizuri
Love Letter from RT and CH

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