mimi's world * HOPE and DESIRE

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To be my Grace - OTHER WORLD. XXVI  

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京子は婚礼の儀に羽織っていた、真っ白なシフォンのガウンを衣装さんに着せてもらう。


イシス女神を象って、胸にイシス結びと言われる豊穣の結び方・・・らしい、さっきと同じ様に、やっぱ知らないその容に金色の紐を結ばれている。

長い裾に月の光が共鳴し輝くといわれる銀と水晶のビーズを散りばめられている・・・

この長い裾。

これが、このシーンでお役に立つらしい。
さっきの撮影では、ウエディングベールだろな。ぐらいにしか別に何とも思わなかった。



「 はい、じゃぁね・・・ 」


監督が京子に立ち振る舞いを教えている。

そう、真っ直ぐ祭壇っていっても、あの箱ね・・・とブルー尽くめのセットを指差して、それで後ろ向いて、ぴょんっと両足で踏み切って、あれ・・・

そう言って指差したのは、ブルーのエア・マットレス。貴島の使っていた物の様だった。

グイィーーンっと空気をパンパンに入れている。


「 アレに、背中から ばさっと倒れて。 」


倒れたら上を見詰めたまま、手を上に伸ばして・・・あぁ、台詞は無いから音いれないからさ、キューの合図出すから。いい?

あのマット、無数の小さい穴を開けてあるから、それで倒れるとね、下から風が吹くから驚かないで。

表情は・・・そうだな・・・

“ シーザー、愛してる。 ”

・・・かな?


そんな事を監督が言いながら、ちらっと俺を見た。



「 はい。できます。 」


もちろんですよ。と、微笑みながら返答する京子を見て、う~ん、俺も愛してる。と、血のりで真っ赤な手とグレープジュースをかけられた横っ面を、とりあえずと渡されたオシボリで拭きながら思っていた。


ブルーバックのセットの中で、京子はゆっくりと前に歩を一歩一歩・・・

うつろな瞳でただ前を見て歩いている。

祭壇となるブルーの箱の前で止まると振り返り、そちらを無表情で見詰めたまま後ろにピョンと跳ねて倒れた。

言われたとおりに手を上に伸ばすと、エア・マットレスの無数の小さな穴から空気が重みで抜けて行く。

クレオパトラのシフォンのベールが思っていたよりも ものすごい勢いで、下から上に風を受けて殆んど真上に舞っている。


「 ハイ、泣いて~。目を瞑るよ~。 」


メガホンで、そんな事を言われている。

クレオパトラは目を閉じると、右からも左からも、数滴の涙を落とし、下からの風がその涙を上に浮かべて飛んでいった。

光のセットの中に、クレオパトラの涙だけが、きらっと光った様に見えた。


「 京子さん。ぎゃっと目を開けて~! 」


クレオパトラも、言われた通りにぎゃっと目を開けたら、


「 はい。息止めて。 」


目を開けたまま、息を止めているのだろう・・・
ものすごく無表情だな。と思って見ていた。


シューーっと、音をたてていたエア・マットレスの空気が抜けてきて

ペタンコに成りながら、シュー・・・って音も微かに成ってフェードアウトした。


「 OK じゃ、モニターチェックして、ナレーション入れてみようか・・・。 」




起き上がった京子も寄って来て、シーザーとブルータスの死のシーンで調子にのった監督は、テキパキと合成を入れる様に指図していた。





________  満月の夜・・・

イシス神殿大祭司である、イシスの女神を称されたクレオパトラ。

ローマの戦いの神と崇められたジュリアス・シーザーとの結いの儀を行ったこの場所。

あの時は・・・鏡の様に輝く白い大理石で埋めつくし、王の標章であるロータス蓮の花を黄金で無数に造らせて、エジプト全土から寄せ集めたありったけのバラ・・・

厚みが膝丈になるほど、バラの花でこの神殿を埋め尽くして、その芳香に酔うほどで・・・

この白いベールの裾を引きながら、シーザーの伸ばした手に自分の手を重ねた


けれど・・・今はもう・・・・


そのシーザーの亡き後、シーザリオンも見せしめの様に命を絶たれた。

振り返ると開け放した神殿の先に、アレキサンドリア自国の街の灯りが・・

星の様に映る


神殿の白く輝く大理石とたくさんの黄金の蓮の花も消えて・・・

そこは暗闇の世界に変わっていた。

二人が永遠の愛を誓った祭壇は・・・

抜け落ちて、その部分だけ星月夜の満天の星空へと続く空間に変わった。




_____  愛するエジプト国民よ・・・

    我が王妃クレオパトラ7世は、自国の象徴と呼ばれるほどの者・・・・

    ・・・ではない。

    我が王宮に恥ずべき行為を、許されるのであろうか・・・

    事も有ろうに、我が国の王宮にローマ軍の将、シーザーを城に駐留させ、みだらな関係を結び

    王妃でありながら、ローマ軍に身を売って国を汚した。

    代々のプトレマイオスの血が泣いておられる・・・

    プトレマイオスの血を絶やす行為を自ら起こした、この・・・囚人・・・

    ・・・囚人、クレオパトラを追放する_________




アレキサンドリアの街灯りの向こうから・・・

聞こえて来る国民の声は・・・

勇者の力を必要とした、富に現を抜かしたエジプト軍の戦意の弱さを補う為とは・・・

誰に言っても、もう・・・

ただの言い訳にしか聴こえてくれないのだろう・・・



________ 私も自分の国民によって処刑されるのであらば

    自らその命を、王の威厳と誇りの中に、見せて進ぜよう・・・__________




クレオパトラが自国の灯りを見詰めたまま、闇と化して消えた神殿


自国の先代の王から受け継いだ誇りと共に


イシス神殿のイシス女神大祭司としての心から憂い敬い信じ続けた命を


その神に捧げる __________



神の元に跪き、エジプトの王とローマの英雄の


誇り高き気高く振舞っていた、この二人が


頭を垂れ二人の永遠の愛を誓い合った


この場所に残された二人の永遠の愛と、二人の成し遂げられなかった無念を・・・




手を伸ばして・・・



見詰める愛しい亡き人の居る場所

二人の愛から生まれた命の逝った場所


あの結いの儀の時に、シーザーが手を伸ばして繋いでくれた事を思い出して


どうかこの手を捕まえて欲しいとの想いを

神となった貴方の元に届くまで、私は祈り続ける


女神として護ってきたこの心のままに・・・



落とした涙が、その空に・・・


貴方の居るその場所に昇って行くのを見届けて

貴方の元へこの想いが涙と共に届いてくれると信じたまま




私も貴方の元へ・・・



行く事を選らんだ私を、どうか捕まえて ___________






「 ハイ、こんな感じ。 」


アフレコの台本をパシっと閉じた近衛監督。

CG合成のされたモニターを見せてくれながら、監督は横でアフレコに入れるクレオパトラの台詞を読んでいた・・・。

これは、京子の声に変わったら印象が違うんだろな。とは思うけれど・・・
横で見ていた貴島も頷いて納得の様子。

へぇ~・・・ってな貴島と京子に、ぼさ~とした俺を置いてけぼりにしたまま、監督はアフレコの説明をしていた。


「 今の僕のタイミングに合わせて、画像が出来たら入れるから。 」


「 ハイ、大丈夫です。それはOKです。が・・・

 でも監督?・・・ 」


京子が指差したのは、その先自分が目を見開いて!と注文出された箇所。
なぜに目を開けたのでしょう?と首を傾げて謎だったのは、自分も なんだろな?と思っていたから。


あぁ、そこ・・・

そういいながら、京子に にっこり微笑んだ。


「 クレオパトラって歴史の中だとさ・・・

  毒蛇を隠し持って自殺するのが有名だよね。  


  そうだから胸に毒蛇を隠し持って、蛇の意思に任せて・・・

  神の元に召すタイミングを、蛇・・・すなわち、エジプトの神の使いに任せる。

  “ シーザーは神と成り・・・”

  ・・・って今もアフレコに入れるものを読んだよ。

  本当はさ、京子さんに本物の蛇でして欲しかったのだけれど・・・


  ・・・やっぱ、嫌だよね。 」



( ハイ、嫌です。)

固まった京子の表情から、はっきり彼女の言いたいであろう心の声が聞こえたような気がした。
監督は妊婦の彼女に、健康上も精神上も良く無いかもな・・・と考慮してくれたのだと感謝する。


「 だから、この部分はまだ保留。蛇の画像は作って無いからさ・・・」


はいは~い。スタッフもここまで~。撤収で、よろしく~とスタジオ全体から、うぃ~す。お疲れ~。パチパチの拍手がまばらに聞こえる中を、キャストもいつもの様に数秒だけパチパチする。



「 じゃぁ、代表的なシーンはこれだけだけど・・・
 まぁとりあえず、今日は・・・みんな お疲れ様。 
 使わないシーンもあるかもしれないかも・・・ 」


語尾が小さく成って行きつつ、監督はCGさんとホログラムさんと打ち合わせ的な事柄が多そうと見えて、そちらに向かって・・・・
・・・というか、そちらの方を向いているけど、何にもないスタジオ上部角あたりの空間を向いている。

考えに没頭してしまったか?と自分の想像の中に引きこもりそうな監督の背中に、それではお先に、失礼します。と皆で言った。

血まみれの衣装はとりあえず脱いでバスローブを着ていたけれど、早くシャワーを浴びたいと思っていた俺。貴島もどうも同じらしい。




スタッフにも監督は、“ みんな お疲れ様 ”と向けていた、ブルーバックばかりのこの映画・・・


どうなるんだろう、楽しみだ・・・ ________







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To be my Grace - OTHER WORLD. XXVII
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Love Letter from RT and CH

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