mimi's world * HOPE and DESIRE

_______ BE-lie-VE * be-LIE ve * believe...the SHAMs for heart healing * mimi's world-7 _______

Myth. BLUE BELL - Act.11 - First 

.


Myth. BLUE BELL – Act 11 -


Mimi's Image Music * IN A TIME LAPSE by Ludovico Einaudi  
時間の経過 瞬間の堕落 消滅の瞬き より













「 うしろのしょぉめん・・・ だぁ・ぁ・れ ――― 」








Myth. BLUE BELL - Act 10 BY ™From far away beyond beautiful sea.


Mimi's Image Music * Run / Orbits
走 / 圏内 



「 うしろのしょぉめん・・・ だぁ・ぁ・れ ――― 」



軽やかに歌う童謡に、優しげな声と紅色の唇を思い返されて・・・






きゃはははは・・・・

              キャァ・・グワッうふ・

                    ハハ、フ・・くすっ、キャッキャ・・

              ぅふっ・・キャ・ギャハー・・・

   きゃはは・・・          
                               ・・・くすくすくすっ・・・

          うふふ、くすっ・・

                   ガハ・・ふ・あははは・・キャァ・・うふ・・・

                                          ハハ・・・
         フ・・くすっ、キャッキャ・・

                          くすっ・・クスクス・・





高らかな笑い声と混じって


「 誰?・・・ 」


叫ぶように大きな声で聞かれた。





くるくる回る走馬灯の中に、紅の影絵と蒼の影絵が、窓の無い屋敷の壁に映っていて・・・

緑の苔生す、小さな命の気泡が弾けた、澄んだ水の流れを、溜めた上に浮かばせて・・・

風が運んだ りんどうの香り・・・・



・・・この部屋にも、同じ りんどうの香華を漂わせて



「 ・・・れい って、言ったよね? 」


「 中り。 」



急に両手を引っ張って、走り出そうといわんばかりの両手の引きに、がくっと頭を後ろに引かれた。


この子の兄・・・

     ・・・怜が・・・



いつも怜の運転の急発進に、頭を後ろに持って行かれ、身体を押し付けられる感覚と同じ、様・・・





  “ お走りになられたら、危のうございますよ。
      鳴海の者として、急ぐ必要は・・・

      ・・・生涯、どこにもありません  ”




両手を引っ張られ翔け出した歩みが、突如止められて、ゆっくりと両手を引っ張られて・・・

両手を繋いでいるにもかかわらず、腰に触れ背中を上に伝う両手の感覚があって・・・

背中をその両手が、首の方にゆっくりと登ってきて・・・

首から顎にかけて両手で触れ・・・



繋いでいる両手は、それでも・・・   

       ・・・ぎゅっと握られていて・・・



右も左も同じ感触に・・



「 ・・・ すず・・ね・・・? 」


「 はい。 なり・・よし・・さま・・・?」



うふふふ・・・
クスクス・・・
きゃはっ・・・
キャァァ・・・
うふふっ・・・
ガハ・フ・・・
くすっ・・・・

 

彼女の老いも若きも混じる笑い声に、鳴海家の中を歩かされていた。


________ チリ チリ チリ・・・

________ シャラ シャラ・・・・


鈴の音と、足に触れるフワフワの感触と


________ にゃおん


猫の声・・・・





「 鳴良さま・・・
  ・・・もう一服、いかがですか ――― ? 」



鈴音の声だけが・・・

頬に掛かる。




「 花と月と・・・」


ぼそりと聞こえる彼女の声に・・・




「 そうだ、花月でもして お点前を拝見させて頂いても 」

うふふ・・・


________ チリ・・ チリ・・ チリ・・・・

シャラ シャラ・・・





「 いいえ、満月の夜・・・」


小さな彼女の声が・・・・




「 月茶箱にいたしましょうか・・・・ 」

クスクス・・・


________ シャラ・・ シャラ・・・・

チリ チリ・・・・






「 それでは・・・ 
      そうそう・・・

  月茶箱の花月では、
      ・・・どうでしょう? 」



うふふふ・・・
     クスクス・・・
きゃはっ・・・
     キャァァ・・・
うふふっ・・・
     ガハ・フ・・・
くすっ・・・・
     ゥハハハ・・・



「 そうしません事? 
   ・・・ ナり良 サま ? 」




窓の無い壁際に目を向け、霞め見た・・・

紫色の、江戸更紗の振袖の端布に、その視界を閉ざされて




屋敷の壁は、直ぐそこだった・・・ 
                     はずの・・・

・・・そちらの方に、手を引かれ歩いている


くるくる回されて・・・
           方向を失わらせられても・・・

・・・部屋の扉は、ただ1つだけだった



庭にあった澄んだ水の池に浮かんだ、走馬灯の様に

ふりだしに亦、もどる・・・

          ・・・彩とりどりの影絵が


満月の明かりが遮った、窓の無い壁への影絵を

思い出すと、この心の中に・・・

          ・・・舞いあがる


この場所に来て、なぜだか感じた 

          懐かしい・・・ 

                    ・・・その想い________




握られていた両手が すっと抜けて、手の甲に重ねられる。


「 さぁ、鳴良さま。 お手を・・・」

                        うふふふ・・・


「 ・・・叩きましょうか ? 」

                        クスクス・・・



_________ パチッ・パチッ・パチッ・・・・


甲を押え付けられる様に重ねられた手で、両手を叩かされた。


「 鬼さんこちら、手の鳴るほうへ ・・・――― 」




チリ チリ シャラ・・・
       シャラ チリ チリ・・・
チリ チリ シャラ・・・
       シャラ チリ チリ・・・
チリ チリ シャラ・・・
       シャラ チリ チリ・・・




鈴の音も重なって、手を動かされる度に触れる、着物の袂。

両手にも、両腕にも、揺れた着物の袂が、微かに触れていて



「 あぁ、鳴良さまが鬼ですのね。 」


________ チリ チリ チリ・ン・・ 


「 ・・じゃぁ
    私を・・・捕まえてくださいませ・・・」


_________ シャラ シャラ シャ・ラ・・



耳元に優しく吐息が掛かる様に、囁かれて・・・



でも、右にも左にも吐息を掛けられいて、

両方・・・ 
手の甲から握られた手を、両肩に感じる誰かが触れている手の上に、置かれる。





彼女の手・・・・




・・・なのか _______ . . ? 




冷たい手と、温かい手と左右対称に

でも、大きさは同じ・・・



・・・指の長く細い 



紅と藍 
 
 の 

赤と蒼


勢い付いて飛び燃え盛る 赤い炎の様に

細々と消えそうに揺れる 青い炎の様に



自分も感じていた二つの感情が在る 心の様に・・・



くすくす・・クスッ・・・
      クスクス・・くすっ・・・

・・ウフフ・うふふ・・・・
    ・・うふふ・ウフフ・・・・





彼女の手?・・・
・・・だろう?・・・
       ・・・・だろうか?





________ チリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリ




「 とぉりゃんせ とぉりゃんせ・・・

  ここは どこの ほそみちじゃ・・・・・・ 」



また両手を繋がれて引っ張られては、ぎゅっと強く握られて



「 ねぇ・・・
  ・・・・何を? 」


耳元で叫ばれては、笑い声が聞こえてきて、両手を彼女の力と思えない程、力強く握られて


「 そうね・・・
  関所があるかもしれないわね。 」



くすくす・・・
・・・ウフフッ



 

ようのないもの とおさせぬ _________ . . .






「 なんのお遊びがよろしいですか・・・? 」


うふふっ・・・


「 ナ・り・良・ サ・ま?  」


クスクス・・・



________ シャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラシャラ






子供のお遊びほど、厄介な物は・・・


・・・・無い 

・・・だろ?



鳴海家の子供たちのお遊びに
 
用の無い者は ______________ . . .







後ろの正面 誰?・・・





「 れい?・・・ 」




励 礼 麗 齢 戻 隷 怜 令 領 鈴 例 冷 霊 


令の名を継がれて、その人生を送る日々を過ごす人々が、この世に存在していたとしたら

励シノ礼ハ麗シク齢ヲ戻リ隷ワレ例ヱ冷タイ霊ノ・・・令 達が ________ . . .







「 ・・・中り 」 









・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Myth. BLUE BELL
― 鈴鳴り岬の向こう ―

Act. 11

『 想慈 』


Myth. BLUE BELL Act 10 - Second BY ™ Fron far away beyond beautiful sea.



Mimi's Image Music * The Dark Bank of Clouds / Primavara





あれ・・・・

・・・それよりも


その中に、今まで一番見ていた景色・・・



海に面した灯台の土地



いわゆる・・・

“ 鈴鳴り岬 ”



・・・・この土地の権利。


一番重要で、鳴海のものだと思っていた。 けれど・・・






________ 後ろの正面、 誰 ・・・・





鈴音の柔らかい謡声と冷たく叫ぶ声が頭の中を、くるくる廻り離れなかった。

ふと・・・自分のデスクの後ろ、ブラインドを閉めた窓。

窓の方に振り返った。

今はブラインドが遮って外の景色は見えなくとも、このデスクからは正面のビルの陰に隠れて、見ようとしなければ見えない鳴海埠頭を思い出した。


「 ・・・ 代議士の物だ。 」


それに、頭の中で繋がったのは・・・・




“ 埠頭 と 岬 ”



江戸時代、公家の土地であった筈のこの界隈の海辺。


船の入る埠頭に・・・
・・・船の目印になる灯台・・・


なんとなく海に気が付いて、怜や山延から貰った書類の方を調べ出した。

日本は島国で、昔も今も変わらないまま。
国土を囲む様に海に面した場所が、鎖国していた時代の中、とある公家の持ち物だったとしたら

各地にその名残の 名 を残しているだろう・・・

“ 鳴海 ”埠頭や、
鈴・・ 金“令 鳴り”岬 の様に・・・


鳴海の娘である、鈴音が言っていた


“ 同じ竹林より・・・千家代十一代玄々斎精中宗室より謙譲された物・・・
  加賀藩松山藩それに尾張 徳川大納言家よりの賜り物。
  この後の・・・又妙斎宗室様とご交流が先代にあった・・・“


又妙斎宗室は、次男坊の入り婿。


もしかしたら・・・

夫人が普段住む海の見える屋敷には、置けないものなのかもしれない。


   “ 千家伝来の・・・品・・・”

千宗室

この名を 千利休から継ぐ、千という苗字の家系からの物だと鈴音は答えていて・・・

茶入れ拝見の答えを返したのは、中次に使われている銀箔の物にはきちんと


   “ 鳴海の先代が作らせたのではないか・・・”  


鳴海家に伝わる物と、千家と先代を分けて、きちんと答えを返してくれていた。


「 よくできた、弟子をお持ちで・・・」


鈴音の茶の湯の先生が鳴海夫人だったとしたら、素直で純朴な娘で、良く出来た弟子を育てたと夫人に言いたい。



千家伝来であって、先代ではない 幾千代の茶杓に関して・・・


鳴海に伝わったとは・・・  


・・・・ 全く、言っていなかった。




「 ふっ・・・ あの娘は・・・」


思い出して目を細めた自分は、大変素直で明確な答えをくれていたと、微笑んでいた。

手に持っていた一輪のりんどうの花を、怜や山延の会社から受け取っていた書類の山の天辺に乗せた。



嘘をついて、誤魔化す必要など

あの子の生活には・・・ 
       ・・・何処にも無い。


産まれてから、その様にずっと、育てられてきたのだろう。


あの夫人に・・・ 

いや・・・

・・・あの乳母に あの場所でか。



代議士の公家から伝わる、由緒正しき・・・



幾千代の



・・・血統 ___________ 



mimi's Image music* Ronald’s Dream / Divenire




山延は・・・

怜の奥さん 緑さん からの縁で怜と出会い、怜の妹である蝶子を紹介されていた。


怜の奥さんである緑さんは、怜が18になったとたんに結婚するほど、子供の頃から決められていた許婚である事を考えると、鳴海夫人の眼鏡に適った彼女は

鳴海家の長男、全てを継承する息子に相応しいと・・・

鳴海の一人娘である夫人が思えるほどの、家系の娘であると考えた。



鳴海の長男の血を引き継ぐ子を、産む為に・・・

鳴海の繁栄を望む夫人は、優秀な家系の娘を選んでいるだろう。



________ チリン・・・


「 猫で言ったら、
  血統書付き・・か。 」


チャンピオン血統の家系に、チャンピオン血統で・・・純血種同士を掛け合せ、血の濃い子孫を残せばその子孫が子を育む時は、その血が薄れる事無くもっと濃いものに生まれる様に掛け合せる・・・

天皇家と同じ。

古代の王族が、その血を濃く残す為の兄妹・姉弟もしくは、従兄妹、さらに父と娘・・・
近親相姦を繰り返して、どんな国も王族達の血を濃いものに残そうという人類の歴史。

現在において近親相姦はなくとも、鳴海夫人の選んだであろう由緒正しき緑さんは・・・

もしかしたら、緑さんが継ぐべき旧家からの財産を、鳴海怜に相続名を変えられているかと考えた。


実際、緑さんに会うと・・・

貞淑で、夫の怜に何も言わず、全て受け入れる。

そんな印象の奥さん。 


自分よりも2つほど年下の奥さんは、怜の妹達と近い歳でも、怜 すなわち鳴海家の長男の嫁として責任持たされた様な、大人びた印象だった。

怜の妹達と比較してはいけないけれど、結婚していないからか蝶子は、まだまだ父親や兄に愛を懇願するほど甘え、子供っぽいと云う印象を感じて帰ってきた。


怜自身が電話口に言った事・・・


_____ あのさ・・・緑はいないよ。
   まだ鈴鳴り岬から帰らないって聞いてるし・・・


それに自宅に電話を掛けた事で、母が京都に今日から出向いていると家政婦が言っていた。

“ 弟子を連れて・・・”

家政婦の言葉にも千家の催しがあるのだろうと思うと、鳴海夫人も京都に緑さんを連れて出向いている事も考えられる。

怜の嫁であり、もしかしたら・・・

茶道は鳴海夫人が先生として、緑さんに教えていたのではないかとも考えられた。


きっと、娘の蝶子よりも・・・

奥秘である鈴音の方を弟子として連れて行った方がと、思うけれど・・・
緑さんをお供として連れて行く為にも、月見の茶会の予定を立てたのではないかと考えられたのは・・・


9月の中秋の名月

11月の十五夜


この二つの満月時、秋の情景として麗しいとされている二つの満月。

でもその間に挟まれた・・・

10月の満月だった昨夜に、野点で・・・暗闇の月食・・・

天文学的根拠など関係のない、風情と四季暦を重んじる茶道では、選ばない満月の月。
絶対に外すだろう・・・月食の野点。
きっと緑さんをお供として京都に連れて行く為に、わざわざ呼んだのかと考えた。


「 ふふ・・ 蝶子は、なんて言ったか・・・」


________ パチッ


怜や山延の会社から受け取った書類の山の上から、一輪のりんどうを取り上げて、自分の名刺入れの中に入れた。

父親である代議士も、兄である怜も東京に戻ってしまい、母親も義姉である緑さんを連れて京都に行ってしまっていたら・・・

愛を懇願して止まない、寂しげな心をもった彼女はきっと、母親やほぼ同い年の義姉にも
行かないで・・・か、私も行く・・・ どちらかの我儘を言っているんじゃないかと想像したのは、入門子習いの初歩レベルの子が行ける様な場じゃないことぐらい、自分が正引継ぎに成った時に一度だけ母の供をして訪れた、厳粛な今日庵の緊迫した空気を知っていたからだった。

自分の想像の中の 蝶子の姿に微笑みながら、父からの書類が混ざらない様にと・・・、先に封筒に入れ始めた。


________ コンコン・・・


「 はい。 」

_____ 社長、お客様がお出でになりました。


ウェブサーチで点けたままだったPCの画面で、客との予定の時間が近づいていたのを確かめていた。


時間ぴったり。

携帯の時計でもう一度確かめると、画面も目に触れない様に裏返し、立ち上がってブラインドを開けた。

父からのものだけは人目に触れぬ様にと、封筒ごと自分のデスクの引き出しに入れた。
それには時間ギリギリだった事にも・・・


「 ふ―・・・ 」


デスク後ろのブラインドを開けた窓の外には、ビルの影になって見えない鳴海埠頭に軽く溜息をついた。


今来た、山延の代理人である彼の部下には・・・

応接ソファは、いつもと反対側に座ってもらおう。


そう思いついて、自分から先にそちらに確認しに向かった。



アタッシュケースを置きっぱなし・・・

それにも、山延の部下はそこで自分が仕事をしていたと思うだろう。


いつもとは反対側に促すのに、不自然さを感じとられない、いい理由かも。と・・・

父の書類を取り出したまま、開けっ放しだったアタッシュケースを閉じる事無く、大丈夫とドアの方に向かった。



「 どうぞ・・・」


________ カチャ


自分の部下が外側からドアを開けたのを確かめた。


「 あぁ、悪いけど・・・ 」


応接ソファに手を向けて、開いたままのアタッシュケースに・・・

鐸杜から送られてきた包み・・・

差出人の書かれていない、茶色の包みもそのまま置いてあった。



この包みを届けに来てくれた部下であった事を、確認したかった。

差出人の書かれていない包みに、不信感を抱いていただろうとは、自分も受け取った時そうだった。
もしも部下が、何かとんでもない危険物で、その為 取り扱い注意と表示されているのではないかと思っていたら悪いと思った。


「 さっき、届け物。ありがとう。 」


微笑んで言った自分の言葉に、ほっとした様子の部下。


「 お茶、持って来るように伝えて。 あ・・・ 」

ふふっ・・・



_____ どうかしましたか?


いや・・・



   “ お茶ぁ~? いらねぇや。 オレ、コーラにする。  ”



そんな事を自分が言ったら、この部下はどうするだろう・・・

そんな事を考えたら、思わず吹き出しそうになった。


「 いや、なんでもない。 宜しく。 」


口元に手を当ててもう一度微笑むと、部下は本当に安心した顔で微笑んで頭を下げた。


_____ お忙しいところ、失礼いたします。


自分の部下の後ろで頭を下げていた山延の代理人が、顔を上げた。


「 悪いけど、散らかってるから・・・」


散らかったままのソファを手で指した。


「 今日は、反対側に座って。 」


_____ もちろんです。 失礼いたします。


親友の山延の代理人とは長い付き合いだけに、そこそこ片づけしない部屋でも何も気にしないか、何を見ていたのか知りたいのか・・・

今までだったら後者の考えは起きなかった。

けれど、この代理人は、上司である山延が病に伏せっているが為に、重役としての山延のポジションに仮に就いている。



・・・次期社長の山延のポジションは、どうだ?


そう、心の中で・・・


甘い蜜の花の味と感じているか? 毒を持っても派手な外面(そとづら)が魅力的か?

それとも・・・ 
両方を束ねて華々しく混ぜたアレンジメントの、お飾りかと感じているか?



にこにこして愛想のいい代理人には、デスクを背にした普段は俺が座るソファの側から見える景色を満喫して貰う様、手を差し出して勧めた。

その景色は、父が築いたコーポレーション企業、うちの社の 他セクション会社のビルが立ち並ぶ。

自分が社長に就任して初めて座ったそこからの景色は、担われた責任と自分がトップだという想いに奮い立たされた。社長側のその席に座り、彼がどんな風に感じるかも楽しみだった。

窓の無い廊下に面した、重役の秘書室。

開放感のある空の上の景色に、プレッシャーを感じてくれればいいけれど・・・



もう1つ・・・

同時に起こる心の中・・・


鳴海一族に入ろうとしている山延の心意は、コイツに椅子を奪われたくない。 
・・・だろう


そう、心から思える・・・


親友としての山延の未来を応援したい自分も、心の中にも頭の中にも居る事を感じている。

原因不明の病は恋の病。そんな冗談を言って元気に振舞う友達が、どんどん窶れゆく姿に痛々しくも不憫にも感じていた。


“ 藍 ” か・・・

内臓の内側粘膜を覆いつくし、身体を飢餓状態にするだけで、じわじわと栄養失調で命を奪う。

そうなのかもしれないと __________ . . .



もしも・・・


鳴海の次期総長、今は裏で輝く影の光である怜ですらも

なんとなく考えている通り


そうだったら・・・



  “ 母は、お前を見ていた・・・ ”




蝶子の点前と俺への視線が、交互に行ったり来たりだったと、第三者としての

怜が、何気なくそう話し出した・・・ 

・・・表のボスの血を引き継ぐ息子

見えない裏で輝いている光の、令 れい・・・ の、一人には、母親の考えている事は、他人の俺より分かるだろう・・・・・ 



今、自分は・・・ 

関所に居るのかもしれない。



通行手形なんて云々の問題ではなく



行くか

行かないか・・・・



それは、自分の意志だろう __________








In the Practice - Act 10&11 ™ From far away beyond beautiful sea.



mimi's Image Music * LIFE - In a time lapse by Ludovico Enaudi
TIME LAPSE - In a time lapse REMIX





________ とぉりゃんせ・・・

             ・・・とおりゃんせぇ _________
 



何処に向かうのだろう・・・



             ぅふふふ・・・ 

                 ・・・クスクス 



_________ ど― ぉこの、ほそみちじゃ・・・・



             天神様 の 細道・・・

                  ・・・じゃないかしら? 


蒼く澄んだ彼方の空・・・
       天女の君は・・・・



             うふふふ・・・ 

                  ・・・クスクス 





________ ようのないもの とおさせぬ ――― ・・・・





このこの 7つのおいわいに

お札・・・を おさめにまいります ―――― ・・・
 


「 おふだ? 」 


両手をぎゅうっと力強く握られている感覚に、男の自分でも痛みを感じる程


「 ねぇ・・・
  ・・・鳴良さま・・・」


唇に唇が触れる、柔らかく感じる囁きに・・・



「 お札・・・ ちがうかしら? 
  おさつ よね・・・ 
          あぁ、そうそう・・・
  
国へのお父様も、会社へのお兄様も 
          ・・・それはそれは、だぁい好きな・・・ 」




きゃはっ・・・・
    うふふふ・・・・
        くすくすっ・・・
             ・・・ぷっ、あははは・・・・・・




「 たぁ~いへん・・ねぇ・・・・
  
  ・・・ ナ・り・良・サ・ま ―――ぁぁ・・・・」


右の耳に、老いも若きも重複した声が自分を呼んでいて、
                         彼女の笑い声が・・・



あははは・・・きゃっきゃ・・ 
・・・クスクス ・・・うふふふ・・・・・・・・・・




             いきは 良いよい・・・

             かえりは・・・怖い・・・




蒼い世界に現れた彼女の君・・・・
            天方の空・・・霞に消えた白い羽衣・・・・



「 そうね・・・ 」


また唇に、優しく吐息をかけられて・・・

彼女の言葉が・・・・



 『 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 』


          って・・・・



自分にそう答える様に、唇を重ねて

彼女の唇で、唇をその言葉に動かされていた・・・




「 さぁ、どうぞ・・・ 」


離れた唇に彼女の吐息と、声が掛かっていて・・・・・




             ん~・・  ここからの帰りかしら? 

             ・・・鈴鳴り岬からの帰り道?

             いいえぇ・・森の中からの帰り道に・・・・・




「 どうぞ。お気をつけ遊ばせて・・・ 」


左の耳の傍で、同じ声が聞こえる・・・




「 かげの裏から出た時の光に、目が眩まない様・・・」


同時に右の耳にも・・・





この子の兄の・・・
男も女もその老若男女、どんな奴でもYESと言わせる交渉力を発揮する時の、あの・・・

冷たい、背筋を凍らせる冷笑が思い浮かぶ。


でも、心地よい冷たさに、肌寒いと感じる様な

誰かに抱きしめて温めて欲しいと、望む・・・

そこに両手を広げて伸ばされたら、飛び込んでいってしまう。術・・・




その兄と同じ・・・・

その血を分けた兄妹。


視界を閉ざされた中に思い浮かぶ、同じ様な・・・

華やかな薔薇の雰囲気にかもし出す、冷めた微笑み・・・




「 きゃははは・・・
    ・・・うふふふ・・・ 」


             それとも、返(かえ)り 正気に戻ったら・・・・

             ど~なって、居るので しょうね・・・


             ・・・それとも、還(かえ)りかしら

             ・・・蘇(かえ)ったらいいんじゃない?


「 きゃははは・・・・
     ・・・クスクス・・・」


             孵(かえ)り・・・じゃない?



孵化して生まれ変わりなさったら ――――・・・・・




             ________ チリ チリ・・ チリン・・・ 
                   シャラ シャラ・・ シャララ ________



あぁ・・その通り _________ . . .



どうしても・・・・・

それに・・・
生まれ変わったら・・って・・・

       誰もが望む・・・




上を見続けたら・・・ 

きりのない・・・

       ・・・霧の無い

一番上に居ても、見上げる空は・・・ 天空の彼方の様に

風の無い動かない雲が霞み佇む、深く蒼い空より高く・・・

光が届かないほどの天辺は、暗く闇の永遠に広がる先も分からない程、果てしなく広く・・・




そうだ・・・その通り ________ . . .


どうしても・・・・・

心の中で・・・
       始まってから惜しみなく・・・

地から湧き出でるピュアな水の様に



         


鈴の音が・・・  
       鳴っている・・・



             ________ チリ チリ・・ チリン・・・ 
                  シャラ シャラ・・ シャララ ________

       

あの、鈴鳴り岬の耳鳴りに、心の中も頭の中も、その音に自分の全てを廻り犯されて

       ・・・自分の鼓動を動かす様に





             ごようのないもの・・・ 

                  ・・・とぉさせぬ ――― ・・・



鳴海に全て、渡る事は・・・・・
鈴の音のように心に打つ早鐘の波、その海を渡る事は・・・・・




             とぉりゃんせ・・・

                  とぉ・・りゃん・せ ――― ・・・





「 つっかまえた~っ。 」






鳴海の令が抱きついて、耳元に吐息と声が・・・


「 ・・・鳴良さまを。 」


優しく囁くのは、唇に触れる吐息で・・・


「 あら、鬼を捕まえちゃったわ・・・ 」



             うふふっ・・・
                ・・・クスクス・・・キャハハ・・
   
             くすくすっ・・・
                ・・・ウフフフ・・・ァハハハ・・



背中に寄り添う彼女の頬を感じて・・・・

背の高い自分の全身を包む、ぐるりと回した長い腕・・・

彼女が抱きついたとしても、その両腕では回しきれない筈だと



胸の前に握り合った手の拳を感じて、その握りこぶしを ぎゅっと掴み、その手の大きさを確かめた。
けれど・・・

その手は、右も左も彼女の手。

背中に感じる彼女の頬を寄せる仕草。

目隠しを取られない様に、誰かの両手が目を押さえていた。でも・・・



「 おに・・さん、こちら・・・ 」


唇を伝う指と、唇に触れた柔らかい唇が、小さく囁いていて・・・

背中の後ろでも、小さく歌声が・・ 聞こえて・・・・  いた




________ ・・・いつ、いつ・・であう 




              おに・・さん、こちら・・・
              ・・・ぃ ・・・ っ・・・・・
              
              ・・・いつ、いつ・・であう ___________ . . .





・・・俺は、君の おにいさん じゃない

後ろの正面に、君の れいが・・・・




背筋が肌寒くて・・・

抱きつかれ、押さえられていても



その温もりに・・・

心地よいと、心の中で思わされる



この世に自然に在りえ無い程、優美な彩を携えた

華やかなバラの色

冷たさに心が望む温もりを、醸しだした微笑みの様に咲く・・・





・・・お義兄さんに成るつもりも無い

君のお義兄さんには、君の兄さんの親友が・・・





あぁ・・ そうか・・・


           ________ もぉ・・いいかい・・・



             さぁ、どうぞ上へ・・

                ・・・ご一緒に・・・

             お気をつけあそばして・・・
             
                 ・・・下さいませ・・・



          ________ まぁだ、だよ・・・・・




「 ねぇ、何処に? 」



生まれ変わったら・・・

幸せに成れると繭の中で待ち望む・・・ 蝶々の羽

真っ白な天女の羽衣は、白い靄の中に霞んで見えないだけで・・・




「 そうね・・・ 」

             霞掛かる 時の間まで・・・・・・・・


                  ・・・・・・・かしら ―――――・・・



その茶言葉に・・・


_____ お嬢さま、鳴りの字の方が・・・


前からの乳母の声。



「 りょうさま・・・ 

  ・・・りょう お兄さま 」





その名前が・・・


前から 上から 下から 後ろ ・・・から




________ チリ・チリ・・チリン・・・



鈴の音が・・・
向こうの方に響き渡り、自分の心に早鐘を打つ様に



________ シャラ・シャラ・シャラ・・・



鈴の音が・・・
遠く上の方に離れて行って、自分の耳に残す様に


________ チリチリ・チリチリ・チリチリ・・・・



繰返し良く鳴る鈴の音に・・・

頭の中まで真っ赤な自分の鼓動が波打って聞えていて




足元を ふわっと、風の様な感覚が通り過ぎた ____________





“ 鳴海の一族には、必ず名前に、令 れい が付けられる ”






             れい の付いた ・・・


             ・・・ りょう ――――― ・・・





かすみがかるときのままで・・・・


              ・・・かしら・・・・・・・・・・








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To be continued to Second half ................................


Myth. BLUE BELL * CM


......... but
before that ...........


Myth. BLUE BELL * CM





☆ こちらの作品は、2015/02/17 にUPしましたが、作品を一箇所に纏める為に日付をずらしました ☆





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mimi's world from Ren Tsuruga and Chuehonn Hizuri
Love Letter from RT and CH

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