mimi's world * HOPE and DESIRE

_______ BE-lie-VE * be-LIE ve * believe...the SHAMs for heart healing * mimi's world-7 _______

Myth. BLUE BELL - Act.12 - First 

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mimi's Image music * Experience / Waterway / Burning




緑さんの紹介で出会った山延と蝶子。

彼女の事を大好きな親友の下に、見舞いに行こうと予定を早めるつもりだった。




その あい は・・・・




「 じゃぁ、裏側に・・・
  ご一緒 ・・・する? 」




愛に飢えて、愛に魅了されて、愛に溢れて、愛に溺れた


 りょう・・・


怜との電話の中に聞えた、霞ヶ関の雑踏が・・・


・・・消えた時 ____________






Act 10 - Second Half * Side Ken on the Phone



Myth. BLUE BELL
― 鈴鳴り岬の向こう ―

Act. 12


『  綜治  』










_________ 満月の夜 さくやのおこり・・・





怜との電話の途中、霞ヶ関の雑踏が無音になり、考えていた。


“ 霞ヶ関 ” その名が付けられた時代・・・


その場所を江戸の玄関口として関所の事を、霞の先と呼んでいたのだろう。




霞が掛かる様に、見えない向こう側・・・


政治情勢の向こう側と裏側で称される、真実を霞に隠し国民は知らない事だらけ・・・
伝えられる事が真実であると、脳科学の・・・

第一印象

脳の中で新しいものが入ってきた時、それを真実として認識するのは、自らが・・・

間違いではない

人Human-Beingと云う生物は、自分が間違っていると思う事を嫌う様に、生まれてくる。

信じる者は救われる

信じる事をその心と云う、第2の脳に感じる感情も、持ち合わせて生まれてくる為に・・・




信じる者は・・・

   ・・・・巣食われる



 ___________ はっは・は・は・―――・・・



政治家たちの、腹の底からの笑いは・・・

霞の向こうに、霞んで見えないだけ・・・




どんなに一生懸命努力して、身を粉にしても、国民は・・・



真実漬け しんじつづけ


・・・そう捕らえて


根こそぎ、芯の深の針の身と、清の真の信の心まで、“ 新 ”と括ったものに、貪られる。







________ とぉりゃんせ ・・・

   ・・・・ 通りゃんせ _________



  さぁ・・・どうぞ・・・

  お通りなさい・・・



女神の様な、甘い声に魅了される様に

その霞の向こうに向かおうとすれば、関所にて惑わされる _________





________ ご用のないもの・・・

   ・・・・とおさせぬ _________




どんなに関所までの道のりに、身を削り続けても

どんなに関所までの道のりに、心を擂り減らし続けても


関所までの道のりに、どんなに金を使おうとも ・・・



________ どうもありがとう・・ そして、ご苦労さま ―――・・・



  フッ・・・・



霞の中に笑いが消える・・・ だけ ____________. . .





________ もう、いいかい・・・


   ・・・・まぁだ、だよ ________
            



怜と電話中、霞ヶ関の雑踏が聞こえなくなった時、そんな事を思ってしまっていた。

男と女。

異性間にある生物的な野生のまま、雄と雌の繁殖欲求の感情すらも、利用できるものは何でも利用する。

もの・・・

いや、者だろうな・・・






かくれんぼの様に、まだ?と聞いても、まだだ。と・・・


その身を必ず闇の中に隠す、黒い暗雲の影は、人から見えない裏側で輝いている。


________ 怜の声で・・・ 



 “ いや・・・ まだ、足りない・・・まだだよ。 ”


聞こえた様な気がしてしまった。


愛に飢えて、愛に魅了されて、愛に溢れて、愛に溺れた

・・・ 男が、女に言う時も


霞ヶ関の雑踏が、全く聞こえない沈黙の時・・・





 “ 沈黙の乾杯 ” 


その杯を創った者には・・・ 

  ・・・分かっている事なのかも知れない _________ . . .


________ 満月の夜咲く・・・ 野の熾り




この茶色の包み全て・・・




鈴鳴り岬から贈られて来たもの全て

全身白い革尽くめの背の高い男が、メットを被ったまま受付に風の様にやってきて、メッセンジャーバッグから取り出した包み。

白革の手袋をしっかり揃えて外し、包みの表面をそっと愛でる様に撫でてから、受付に言付けたと聞いた。


その声は、メットの中で良く聞こえなかったけれど

とても柔らかな優しい声で・・・



     「 バイク便です、鳴良社長様に・・ 

       いえ、鳴良 剣 社長様が

       鈴鳴り岬から、お戻りになられましたら

       丁重に、お渡しくださいます様・・・ 」




_____ そう、言付かりました ・・・・



自分の部下が受付から、聞いた話。

重役担当の受付人からは始め、相談の形で社長秘書課に連絡があったとの話し始め。
部下は、ひとまず見に行ってくると下に降りた。


常時10数人いる受付嬢の誰もが・・・

どの客よりも長身に白革の男が、正面玄関から入ってきたのを最初見た時
ビル独特の薄く青み掛かったマジックミラーガラスの前を、その男がガラス張りに沿って歩いてくるのが見えていて、斜めに掛けたメッセンジャーバッグにバイク便と思っていた。

曇りかけていたその時は、白革の男が少し暗めの窓越しに、とてもよく目立っていたと。

我が社を行きかう来客に社員に、社長に合わせてなのか、黒っぽいスーツに暗めの色のシャツを着ている人の群れの中で、その白はとてもよく目立っていたと言う。


窓の色越しに、その白が蒼に輝いている様に見えて・・・

そこに居た受付嬢の誰もが、その男を目で追っていたと言うほど目立っていた。


受付嬢は、実は・・・
と、コソッと話し出す様な感じで

その長身の男の輝いた俳優の様なスタイルに、見惚れるほどだったと・・・

その為、そこに居た全員が目で追ってしまったと言っていた。


自動ドアの前まで来ると、ドアが開いた瞬間に、黒っぽいスーツの人の群れの中で

その真っ白は、曇り空の空気の色を明るく変える様に、そこにいた社員も客も殆どの人が振り返ったと言う。



________ コツ コツ コツ


足音を響かせながら・・・

真っ直ぐ受付に向かってきた時、背中に背負っていたメッセンジャーバッグを肩からそっと外し、片腕全体の上に、子を優しく抱くように持ち替えたと。


その仕草に受付嬢の誰もが、接客から目を離しその男に視線を向けたのは、見惚れてしまったかららしいけれど・・・

その時、その男がヘルメットを外さなかった事には、その仕草の方に気が行っていて不審に思わなかった。

丁重な言葉遣いを言った声がヘルメットの中で、受け取った本人以外はよく聞き取れなかったけれど、とても優しく穏やかな声で、会長がギャラリーなどからお買い物を頼んだ時に届けられる様だったと、受付嬢の子達が声を揃えていたと、部下は話してくれた。


片手に乗せて包みの表面を、2度ほど優しく撫で

社長の名が書かれた達筆な文字に、茶道具かと思ったらしい。

2度ほど横に撫でたのも、茶入れを二引きするようだったし、差し出す時も両手に乗せ、右左と2回持ち替え右回りにきちんと回し、正面を受付人に向けて差し出した仕草。その受け渡しが、茶道具を思わせたという。


     「 このまま、そっと必ず。
       
       お渡し下さいます様・・・ 」


“ 必ず ” とそこで言葉を区切られて、むやみに動かしては成らない物だとの判別はしていた。

手袋を外したその手首から一瞬だけ覗いた、腕時計の止め具に目を向けて、受付人は手を差し出し頭を下げた。


受付嬢たちは、バイク便の男の顔を見てないのに、誰も不審に思わなかったらしい。

ヘルメットを着けたまま もしも急いで配達しても、シールドだけは上げるのだけれど・・・
その様に丁重な物を届けに来る時は、必ず時間に余裕がある様に、ヘルメットは脱いで入ってくるらしい。



けれど・・・


受付の一角には、重役に会うためだけの接客対応をする人が座っている。

その受付人は父の代から長年いる方で、受付前に出る事は 今はもう無い、受付部の部長。


鳴良社長様へ・・ とその男に言われた始め、その後 鳴良剣社長様へ と言い換えられたのにも、あぁそうだ。とふと昔に返ったらしい。

俺が一日だけ出社する事への来客スケジュールの確認を、重役受付だけで話していた時で、たまたまその場に居たらしい。


重役受付は数人だけれど、全員 男。

綺麗な受付嬢が真横にホテルロビーの様に並ぶ中、男数人の一角に向かい、その中でも一番年配の部長に差し出したバイク便の男。


両手を差し出し頭を下げた時、長年の癖か神経を研ぎ澄ませた。

その時男の手首の秒針は聞こえても、微かに音が聞こえた様な気がしたとは・・・



________ チリ・・・


一度だけ鈴の音が鳴った様な気がして、ん?と思ったらしい・・・


男が去った後、自動ドアの閉る直前にポケットに手を入れて取り出した時には、
遠く微かに


____ チリ チリ・・チリ・・・


鈴の音が聞こえて、バイクの鍵だろうそれを一度回して手の中に握り締めたと言った。


受付嬢の子達は、宝石店かギャラリーか、大手のメーカーやブランド店にデパートではなく、個人的な高級店で、社長が何か特別注文したものだと言い張って包みを見に来ていたらしい。

社長が恋人に・・・ とかの社長個人の注文だったら・・・

そんな噂をしつつ、今見た男に惚れたとも。


全く不審を抱かなかった女の子たちを他所に、男数人の重役受付たちは、いや?爆弾とか?と、向きを変えるなとの指摘に思っていたという。その中で部長は・・・

その昔、父の代に一度だけ訪れた来客に忘れられない人が居た。

それと同じ様な雰囲気に、何かを思い出そうとして、黙って部下の噂や疑いを聞いていたらしい。



受付の女の子達全員が声を揃えて言う。
マジックミラーガラス越しに、ビルの外側を歩いている時から、必ず目が行く人物がもう1人だけ居ると・・・

それは、何度もここに来ている来客。

黒っぽいダークカラーの多い我が社の中に、淡いシルバーグレーのスーツがよく似合う長身の男が来る。


・・・ 鳴海財閥社長 鳴海怜


バラのような華やかな雰囲気に見惚れ、声を掛けられる事無くとも、微笑まれる事無くとも、偶々目が合った子は・・・

目を一瞬だけ閉じて重役受付に視線を向ける怜の仕草を、しばらく忘れないと言う。


自動ドアが開くと、怜は輝いて見えるらしく・・・必ず見てしまう。

怜の後ろについている秘書群に頭を下げて、エレベーターの方に怜が向かうまで気にしているらしい。


その白革の男も、鳴海社長の様にドアが開くと輝いて見えたと言う。

鳴海怜と同じ様に、全員が目を向けた、その男。



柔らかい声が篭っていた・・・



“ お渡し下さいます様・・・”


この言葉に続くのは


 よろしくお願いします。  
             ・・だったのか、

 そう、言付かりました。  
             だったのか・・・



ヘルメットの中に消えた言葉に、鐸杜本人だったのか、鈴鐸の誰かだったのかは・・・

届け人の言葉が最後まで判明できなくて、残念だった。






鐸杜の名刺の光の中に・・・・


りんどうの花の香りが仄かに漂う部屋で、代議士事務所に電話を掛けた俺。

窓の外には、鳴海建設のクレーンが埠頭に見える。
クレーンが動く度に眩しすぎるほど反射する光に、目を逸らした時に、デスクの下に落ちている書類を見つけた自分。

鐸杜からの包みに気をとられ、ドアの風にページが飛んだのか・・・

それとも、ずっとデスクの下に落ちていた物なのか・・・

初めて見たその一枚の書面に





「 何? どう云う事・・・」




公にされている数々の同じ書面と、父からのたった一枚の書面と食い違う記述。

土地所有者名義の代議士に、買収企業社長として電話を掛けていた。



りんどうの香りが仄かに残るデスク周りで、電話の向こうの紫竹調の曲を聴いた後のこと・・・




_____ 大変、お待たせいたしました・・・


「 もし・・も・・・」


鳴海事務所の秘書の男の声は、自分が言葉を返答し切る間もなく続いた。


_____ 鳴良社長様ですと・・・

    ふっふ。 剣? 剣だろ?


「 あぁ・・あれ、怜? 」


_____ 当たり前だろ。俺一応、第一秘書の中の一人だぜ。


「 そうだよな。代議士へのアポイントだったら、その部屋に行くよな。 
  そっか・・・ やっぱり、怜も昨日か今朝、帰って来ていたのか・・・」



怜の声に、小さく溜息を漏らしていた。

受話器に溜息が入らない様、顔を背けた先に見えた、自分の名刺入れ。

鐸杜の名刺の直ぐ横で、シルバーの名刺入れが、クレーンが動く度にキラッキラッと一定の動きに反射して・・・


自分に・・・


灯台の光が、森の奥に反射させた

建築途中で工事を止めた廃墟を、思いださせていた。



その名刺入れの中から、その森で摘んだ、りんどうの花を取り出して

もともと父の土地であった、今は手放した土地の先・・・
建築が途中で止まったのは、その先に続く茶農園に森が、鳴海家の土地だったからだった。



なぁ・・・ 怜・・・


・・ お前 _________ . . .





_____ メイドに聞いたら、散歩では?って言われてさ。 
    毎朝夜明けと共に、散歩に行くって・・どうよ?
    年寄りの早起きみたいだって、密かに思ってたぞ。 


    ・・・で? 
     ・・どこ行ってた? ・・・・・・  





それは、俺の言葉だ・・・。


お前こそ、夕べ何処に行って居たんだ________





スゥ・・・



息を静かに吸い込んで、まだ仄かに残るりんどうの香りを胸に・・・

一輪のりんどうの花を乗せている手を、見詰めていたけれど



「 怜。 夕べは・・・
  どこに行ってた?・・・ 」



その言葉と共に、りんどうの花から目を背け、数枚の同じ書面の書類の上に手を置いた。

その書面の上で、りんどうの花を指先でくるくる回していたほど、怜からの返答は遅いものだった。


_____ ・・・剣。 
    ・・どうして・・・?



自分に怜が聞いた事は・・・

“ 早朝の散歩ではないかって、メイドが・・・ ”

夜の間、自分が屋敷に居なかった事を聞いた疑問では無い ________



「 いや・・・ 別に。 
  居なかったよな・・・ 」



自分が屋敷に居なかった事を知らなくて

怜、本人が言葉に詰まった、それだけで・・・

怜も、屋敷に一晩中居なかった事を、知る事が出来ていた。



_____ ・・・あぁ。


彼の素直な返事に、嘘偽りの無い親友同士であると、心が捕らえていた。

怜が何を考えているのかと、連れて行ってくれた料亭での事を思い出しながら、回していたりんどうの花に視線を向けて目を閉じた。


怜はお造りに添えられていた一輪のりんどうの花を、りんどうの花を摘んで帰ってきた自分に見せつける様に 鈴道 リンドウの透明な日本酒に、鈴鐸 RINDOHの錫の杯に入れた。




“ 漢方に使われる一種で・・・
  ・・・この土地には、大体10種でしょうか ”



説明をしてくれた若女将の黒髪に挿れていた、紅玉のかんざし。

髪を纏め、頭の形に添わせる様に曲げられていた。


白銀の輝きに紅を映して、黒髪にその紅色の光を反射させて

そんな物を創り出す技術と計算が出来るのは・・・


鐸杜領・・・ 

アイツしか、この世界にいないだろう。


・・・心が素直に感じる心情と、頭で考える思考は誰もが違うものなのかと


“ 何 かしこまってんだ? 
  怜も剣も、普段そうじゃないだろ。 ”



自分と親しい山延の紹介は・・・

怜と俺は社長同士であっても、同い年の友として・・・

でもその始まりが、自分が疑わない様に配慮されたものだったとしたら、どうなのだろうかと
第一印象を頭の中で払拭させるのは、人の脳内では難しいとされている。



第一印象を、擦り込んだ



・・・そう考えたくは、今までの親友として 山延にしたくないと、心が感じていた。

同じ様に、怜にも・・・

心の中でパートナーと言うよりも、親友としての感情が心の中にある事を、自分で抹消したくは無い。

その気持ちの方が、遥かに上回っていると・・・

・・・心が素直に感じる心情と、頭で考える思考は誰もが違うものだろう。



そう感じていた瞬間、怜の声が耳に届いた。




_____ もしもし・・・剣?
    おい、そこに居るよな?


「 あぁ、ごめん。 」


_____ まぁ、俺は夕べ居なかったけど・・・ 
    ・・ふっ・・・あははは


電話の向こうの怜は、いつもと変わらないまま。
親友同士の隠し事は無し。といった雰囲気・・・


これに騙されてはいけないのかもと思い直し、怜が時々裏に見せる冷たい笑顔に、誰でも必ず Yes と言わせる社長としての交渉力を持っている事を、忘れてはいけないと思った。

それは、パートナーとしての時は味方ではあっても、

時に、いがみ合う土地所有者と買収企業としての関係には、牙を剥き爪を立ててくると思わねばならない。



白猫の・・・


________ にゃぉん・・・


足元に擦り寄って甘えてくる時の様に、甘く優しく

機嫌の悪い時は、毛を逆立てて大きく見せ、牙と爪を向けて来る様な・・・



ふっ・・・
 ・・・そうだな・・・



鳴海家で飼っている白猫の様な奴だと考えていた。


「 なぁ、事務所内で朝帰りとかって・・・
  こんな話していても、いいのか? 」


_____ あぁ、大丈夫。
   ・・・今事務所を出ようかと、会社に向かう所だし。
    ちょっと・・・そのまま、待ってて。


怜の電話口の方に、回線、俺の携帯に変えてと薄っすらと聞こえたと思ったら、又 紫竹調が短いワンフレーズだけ流れ向こうの声が聞こえてきた。
 

   ・・車を、回して・・・


受け付けにでもいるのか、遠く聞こえる受付の女性の声は、自分に対応した人であると思えるものの、
怜の言葉へ甘い声で返していた。


   車、変えて行こうかな?って、思うけれど・・・


   うふふ・・・かしこまりました。
   退出のお時間は、社に出勤と先生にお伝えておきます。
   それでは、裏側に・・・


怜の方が時間に融通の効く、鳴海事務所で代議士よりも幅を利かせている様だと感じてしまった。


   じゃぁ、裏側に・・・
   ご一緒・・・する?


相変わらず結婚してようが、奥さんが居ようが、女好きだな。と思っていたら、突然電話の声が普通に自分と会話している様に聞こえてきた。


_____ あのさ・・・緑はいないよ。
   まだ鈴鳴り岬から帰らないって聞いてるし・・・


自分が考えていた事を読まれたのか?と思える程のタイミング。
直感の鋭さは仕事上、こちらも鋭いと、使い分ける笑顔の違いで分かっていた。

まぁ・・・その言葉は、俺に言っているのだろうが・・・

自分には、受付の女性に言っている様にも聞こえていた。


「 ふふっ。今日は?・・・だけじゃないだろ? 
  昨日まで、怜が行っていたんだから、
  数日ほど、緑さんに逢ってないんじゃないか? 」


_____ まぁな・・・

   そうそう、剣。先生? へのアポ。
   ごめんごめん、秘書仕事、思いっきり忘れてた。

   ・・・何?土地の事?
   だったら、会社の方で・・・

   ・・・父を通さなくても大丈夫だぞ。剣。 


           フッ・・・・





「 ふっ・・・・ 」





もうその言葉だけで、代議士に直接自分が会う事は禁止されていると感じて・・・


「 あぁ、じゃぁ また今度・・・ 」


_____ お手数を、お掛けいたしまして・・・


「 いえ。こちらこそ・・・
        ・・・・ん? 」 


_____  な~んてな。ふふっ。
   ま、一応秘書的に、社長殿にご返答を。
   なんて・・・
     ・・・思っただけ~・・・


怜はいつもの様に戻りながらも、電話の向こうが急に静かになった。
指で聞こえない様に押さえているのだろうと思うほど、外の往来の音さえ途切れたからだった。

静かな電話の向こう側で、聞こえなくなったのは、往来の激しい・・・いや、
政治情勢の変化を自分好みに望む政治家達のせわしない雑踏は、騒がしいだろうと考えていた。


往来の激しい“ 霞ヶ関 ”

その名の通り、政治情勢の向こう側・・・真実を霞に隠した関所。

どうしてこんな名が、この土地についているのかは・・・ 


「 なぁ、怜・・・
  ・・・もしもし? 」


そう話し出した自分が、



    怜に聞くのは少し違うか・・・


そう思い始めた、何かのふとしたものが引っ掛かった瞬間だった ______ . . .





「 なぁ、怜・・・
  ・・・もしもし? 」


ちょっと野暮かも。と思いながらも、一応俺との電話中。
知らないふりをして、声を掛けてもいいんじゃないかと思いながら話し始めた。

霞ヶ関の雑踏が聞こえる様になって、その中に怜の車なのか・・・独特の重低音の様なエンジン音が近づいている様に聞こえてきた。


・・・フェラーリじゃない


それだけは分かっていた。


何かをボソボソ言っている中に、お気をつけて。との声が雑踏とエンジン音の中に混じって聞こえると、電話口に怜の声がした。


_____ じゃぁ、またさ・・・
   会社に着いたら掛け直してもいい?


「 あぁ、もちろん。別に急ぎでも無いし。 」


_____ だよな。 だって・・・


その後の怜の言葉は、切れ者と言われる彼の瞬時の判断力そのままだった。


_____ アポイントを取ってから。 
   ・・・で、いいわけだもんな。


「 うん・・・そう、だから・・・」




________ チリ チリ チリ・・・チリ チリ・・・


鈴の音が電話の向こうで、遠く鳴り響いていて・・・




_____ う~ん・・・・
   父へのアポより、そうだな・・・
   パートナーの俺の方が、詳しいし
   父は・・・
   まぁ・・・ 
    ・・・忙しいから。


それと共に怜の声も電話から聞こえていた。


_____ ごめん。秘書の電話に・・・
    ちょっと・・・・
    
   ・・・じゃぁ、また掛け直す。
 


「 怜。お前も、忙しい奴だよな。 」



既婚者で・・・奥さんは知っているのかどうか分からないけれど、自分が知る限りでは

広く浅く人と付き合うタイプの怜に、深く長い関係を引き摺る事無く、女性との情事も広く浅く

初恋をする前に結婚した、彼の気持ちも分かるような気がしていた。その、意味も込めて・・・


   『 父は、“ まぁ ”・・・忙しいから・・・ 』

まぁ と・・・と付け足したのには、もう代議士に自分と面と向かって1対1で逢う事を禁じられる、バリケードを強調されたと感じて、

忙しいのは 怜・・・

・・・お前の方だろ って、言いたかった。



「 忙しいからって、運転しながらの電話・・・
  あぁ、そんな・・・違反事・・・
  ・・・なんてもちろん、出来ないもんな。 」


_____ そう。ちょっと・・・ まぁ・・・
   一応、議員秘書だし、社長だし。
   ま、剣もゴシップ誌に気をつけろよ。
 

   ドルン ドルン ・・・ル・・

低い音のエンジン音が大きく聞こえていたのが消えると、車に乗ってドアを閉めたんだと思った。


「 じゃぁ、また。そうそう・・・ 」


代議士へのアポイントを疑われない様に、言葉を付け足しておかないと思った。
自分の身に何かをする事なんて、彼自身が手を下さなくとも、簡単に人も社会情勢をも操れる彼には、必要だと考えた。


「 怜にも、泊めて貰ったお礼・・・
  言いそびれてごめんな。
  悪いけど代議士にも、伝えておいてくれないか? 」


_____ あぁ、そんだけ?
   なんだ・・・別にいいって事よ。
   全~ったくっ、俺の家族は気にしてないと思うよ。
   ・・じゃぁ・・・行くわ。


「 あぁ、ありがとう。また仕事の話の時に 」



________ チリ チリ チリ・・・ チリ チリ・・・


鈴の音の様な、電話の音は鳴り響いたままで・・・

自分の名刺入れの りんどうを見ていた。



続いた怜の言葉は、絶対に鳴海家とは離れられないと思える程、でもそれが人の心を繋ぎ留める彼の術かもしれない・・・


_____ うんん・・・こちらこそ、ありがとう。
   ・・・感激。 
   剣の心遣いに、感謝する。

   じゃぁ、後でまた。

     I love you・・・ 



そう言い終わると、急に変えた怜の声。

もしもし遅くなりました。鳴海です・・・と、もう1つの電話に、低めの声に真面目な口調で話し出した声が聞こえながら、こちらの電話は切れた。


怜の二つの声に・・・

白猫の様に、ころっと気分を変われる奴だとも



怜との電話に、鳴海家長男としての圧力も・・・


この書類を見つけなければ、感じなかったのかもしれない。


それには、父の代から受付で顔を全て覚えている年配の部長。

その彼が、顔は見えなかったと言うけれど、感じた物腰と雰囲気、それに・・・

受付嬢の十数名が皆声を揃えて、鳴海怜と同じ様にこの人物に目が行ったと、云う事。


届け人の腕時計の金具は、どこのブランドの物でもなく今までに見た事が無い物だと。
ただ輝きだけは・・・
ビルの明かりの中で長年していて、たくさんの高級な腕時計を見て来ているが、初めて忘れないほど目を引いたと・・・

金具自体が光を放っているかの様だったと言う。

バイクに乗って革ジャンを着ているのに、時計が邪魔にならないだろうとも思える
手首にフィットしたバングルの時計・・・

バイク便の男がそんな金の掛かった時計を着けているのも、そのバングルタイプにも不思議に思った様で、時計が手首に埋め込まれているのではないかと思うほど、あんなにすごい物は二度と忘れないだろうと話してくれた。


きっと・・・

鐸杜アイツ、本人だろう


差し出していた両手が、働いている手だったと

職人の様なその手に、指輪などは着けておらず、ちらっと一瞬だけ見えた手首が輝いていた。



_____ 最後に・・・


受付嬢の子達が、じーっと見ていたと、部下が話し出した。



ビルの角を曲がり、ガラス貼りの終わる手前で立ち止まり、メッセンジャーバッグを肩に掛けながら取り出した物があったらしい。

片手でヘルメットの下を持ち上げて、頬が見えるか見えないか・・・

その時、ライターの光が一瞬見えて

タバコに火を点けたのだと・・・


ふ――・・・ と吐いた煙の中で、下を向きながらヘルメットを取った。


でも、タバコの煙に顔が見えなくて、直ぐに壁の後ろに1歩進んだのではないかと

残したままのタバコの煙に消える様に、居なくなっていた。




その光景が・・・


マジックミラー越しに、ライターの火は

濃く蒼く

・・・たった一瞬だけ点いて消えて



ふ―――・・・と吐いた白いはずの煙が、

薄いブルー

空高くに浮かぶ様な、風が作った道に見える薄い雲の様だったと



何故だか分からないが、ここに居た事を見られない様に、わざと顔を隠していたのではないかと急に思ったらしい。

空から降りてきた、ここに存在しない人ではないか、と思う部長に、

マジシャンみたい。と喜ぶ受付嬢の子も・・・

長身の男の顔に興味のあった受付嬢の子達は、あ~~と思わず言っていたらしく・・・

受付部部長は、コホンと咳払いをしてその場を静め様とした。
が・・・


昔から居るこの部長も見ていたその男、その消えた時の雰囲気は

先ほど、昔に一度だけ社に訪れた来客の様だと思っていた雰囲気とは


・・・違う


もっと知っている人の様だったとも・・・

見えなかった横顔に、なぜだかそう思ったと話してくれた。




届けられた白い箱を開けた時・・・

一枚の銀杏の葉が、白い蓋と共にその裏に持ち上がり

ひらっと蓋の中から、木箱の上に舞い落ちた。


鐸杜の工房傍の森の中に、意識が戻されていた自分は・・・

彼の差し出したタバコを思い出し、タバコを買いに行こうかと考えた。


携帯用の灰皿を皆持ち歩いていて、楽焼の灰皿に書かれた、たくさんの・・・

“ 鳴 ” の字の付いた・・・





_____ 鳴・・・口の付いた、ものを言う鳥 ・・・



  フ・・ふふ・・・キャァ・・グワッ、キャァ・・
うふ・ハハ、フ・・くすっ、
      キャッキャ・・
フフ・・キャ・ギャハー、うふふ、くすっ・・ガハ・ふ・クスクス・・
・・うふふふ・ふ・・・・キャァ・・グワッ
  うふ・ハハ くすっ、キャッキャ・・
フフ・・キャ・きゃきゃぁ・・うふふ、
         くすっ・・ガハ・ふ・クスクス・・
   うふ・ハハ、フ・・くすっ、キャッキャ・・
フフ・・キャ・ギャハー、
    キャァ・・グワッ、うふ・ハハ、あははは・・・
フ・・くすっ、キャッキャ・・
        キャ・うふふ、くすっ・・ガハ・ふ・クスクス
  
 ・・・うふふふ
                

クスクス・・





・・・もういいかい _____________






自分の頭の中を、彼女の笑い声に急に包まれて・・・


人を嫌う銀が付けるのは、その者の指紋を黒錆に浮かばせて、触れてはならないと行っているかの様に

触れては成らない領域に、触れる程度ではなく

踏み込んでしまったのかもしれないと・・・


知っている雰囲気に、一度は違うと思い直したら、もっと傍に居る人の様だったと・・・

その部長の言葉に、




_____ 行きは良いよい、かえりは怖い・・・



見返りは・・・・





「 どうぞ。お気をつけ遊ばせて・・・ 」




右も左も同時に聞こえた同じ、鈴音の声。


たった今話したばかりのこの子の兄。

怜の・・・
男も女もその老若男女、どんな奴でもYESと言わせる交渉力を発揮する時の、あの・・・

冷たい、背筋を凍らせる冷笑が、切った電話の中に思い浮かぶ。



携帯用の灰皿を思い出して、シルバーの名刺入れをコツコツと指先で、叩いていた自分。

目は、瞬きもしないで切った電話を見つめていた。



あの心地よい冷たさに、肌寒いと感じる様な

誰かに抱きしめて温めて欲しいと、望む・・・

そこに両手を広げて伸ばされたら、飛び込んでいってしまう術を持った

バラの様な雰囲気の怜と・・・

同じ様に誰もが見入ってしまった、顔の見えなかった白革の男。

鐸杜の顔を知っている人は、この世界に数少ないだろう。

彼の顔は、世界で明かされる事は、雑誌の中にもあらゆるネットサイト中にも見当たらなかった。

この・・・


怜と・・・


領は・・・


名前が同じ響きなだけで、右と左と令が付いていても

2人とは会った事のある自分が、同じ雰囲気かと言われたら、違うと感じていた。



ただ、2人共に・・・


赤と青


情熱と愁いが、同時に心に燃えていると感じたのだけは


同じだと、言い切れるだけだった ________ . . .





鈴鳴り岬に行く前には、鈴鳴り岬一帯の土地所有名義が夫人である事に、代議士の税金対策か国に土地を奪われない為だと考えていた。

公家の出の婿養子だと教えてくれた、その息子 怜と、たった今話してからは・・・

そこ・・・
この東京の海、鳴海埠頭の元持ち主を探そうと、東京の出ではない鳴海家に考え出していた。


鎖国が解かれた幕末・・・

月代(さかやき)を入れて曲げを結っていた江戸後期までの髪型。

怜の実家に飾られていた、肖像画の人物。

肖像画の令と名の付いた人物が、きっと鳴海の先代であると・・・

時代背景を考えたら、鳴海埠頭の元土地所有が、分かるだろうと考えた。




そこは・・・


これから、国と国の関所に成り行く場に成るだろう。

霞ヶ関の関所から、さほど遠くないその場所も、

霞ヶ関と鳴海埠頭の間にある、我が社・・・


霞の靄の中に消されるというイメージが、白革の男が吐いたタバコの煙・・・

マジシャンみたい。とはしゃいだ受付嬢の子の言葉にも

空からの存在しない者との部長の言葉にも

蒼く濃い火に、高い空に浮かぶ風の通り道と例えた言葉に湧いてきて、ただ無言で考えた。

Myth. BLUE BELL * Back Stage-Act 12 More Other Room


鳴海埠頭の再建にクレーンが動くたび、こちらに眩しい光を反射させている。

背後の窓から、PCの画面に邪魔をする様に反射させるその光に、ブラインドを閉めようか迷いながらも、手にした書面に見入っていた。



ふ ――ぅ・・・


赤と青の感情が自分の中にも、あの岬に行ってから感じていて

蒼に・・・

霞が掛かる光景を思い浮かべた。


書類を見詰めたまま溜息を付きながら、一瞬だけ目を瞑り立ち上がった。
ポケットから携帯電話を取り出して、もう一度 座りデスクの電話の前に携帯と1枚の書類を置いた。

ファイルキャビネットを開けると、怜の会社や山延の会社から受け取っている書類ファイルが並んでいて、そのファイルの上にも、瞼の裏に残した、鳴海建設の光がちらついていた。


自分がこの一枚の書類に感じた違和感が、思い違いでなければ・・・

そう考えて瞼を閉じて考えても、目を瞑ったその中に ちらちら眩しい光が残されていて


鐸杜 領 の様に・・・

煌き輝かせ、人の目を釘付けにするものと


鳴海 怜 の様に・・・

眩いばかりの光で盛大に存在を残すものと





__________  同じ名に・・・・・




「 りょう・・・ 」








_____ そうね・・・霞掛かる時の間まで・・・

     ・・・・・・かしら・・・ ____________




  

霞の中に・・・

      ・・・・ 隠れるものの

               ・・・違いを感じて・・・ _____________






「 ふっ・・・・ 」

  



________ とぉりゃんせ

・・・とおりゃんせ ________





鈴音 ・・・・





ご用の無いもの・・・ とぉさせぬ―――・・・




鐸杜の包みで手の中に残る、りんどうの香りに
両手を口元に当てて、真っ直ぐ前を見詰めていた。




________ この子のななつのお祝いに・・・

・・・ お札を納めに参ります ________





「 おさつね・・・ 
  いい事、言ったよ・・ 」





『 国へのお父様も、会社へのお兄様も
  
  それは、それは、だぁい好きな・・・ 』





ハ――・・・・

長い溜息に、胸の中からりんどうの香りを押し出していた。

携帯用の灰皿に、シルバーの名刺入れに、一輪のりんどうの花に

思い出す・・・





________ いきは良いよい・・・

・・・ かえりは怖い _________





返り・・・

・・見返りか・・・


断念したまま廃墟となったその先は、茶農園。
それに・・・

鈴情の昔、お濃茶の・・茶農園の令嬢は・・・

鳴海埠頭のクレーンの光に、反射する自分の名刺入れ
灯台の光を反射して光っていた、その建造が止まった場所を思い出す。





『 そうね・・・ お母さまかもしれないわね・・・

・・・それとも、 おねぇさま かしら ________ 』





あい が かすんで

みえなかった 娘・・・・・・ 





『 お母さまと、お姉さまのお好みの 藍霞はいかがですか? 』






・・・・・ なりよし さま ――――






うふふふ・・・・・・・・


・・・・・・クスクス ________







.
               Myth. BLUE BELL - Act 12 CM



........................................Myth. BLUE BELL - CM -







☆ こちらの作品は、2015/02/24 にUPしましたが、作品を一箇所に纏める為に日付をずらしました ☆
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