mimi's world * HOPE and DESIRE

_______ BE-lie-VE * be-LIE ve * believe...the SHAMs for heart healing * mimi's world-7 _______

Myth. BLUE BELL - Act.12 - Second 

.


Myth. BLUE BELL - Act 12 - First half

mimi's Iamge Music * In a Time Lapse
Time Lapse by Dot major.
Time Lapse by Ludovico Enaudi
Time Lapse by Steven Siegel



緑さんの紹介で出会った山延と蝶子。

彼女の事を大好きな親友の・・・




その あい は・・・・


霞の中に埋もれても、見えているものだと _______ . . . 




「 じゃぁ、裏側に・・・
  ご一緒 ・・・する? 」




愛に飢えて、愛に魅了されて、愛に溢れて、愛に溺れた


  りょう・・・


蝶子の兄、怜との電話の中に聞えた、霞ヶ関の雑踏が消えた時 ____________






Myth. BLUE BELL - Act.12 - Second




________ 満月の夜 策夜の起こり・・・      .




「 もしもし、第一秘書課です。 
  いいよ、俺が取る、繋げて。 」


回された電話。



・・・・ ん? あれ?



回された電話を取ったら、受付の子が言っていた。

_____ 鳴良コーポレーションの社長様からです 

電話を取る前は、まぁ、剣の会社の大きさも知っているから、違うセクションの社長かもしれないと、若き社長たった一人、後はオヤジばかりの社長軍団。

父に用のある、オヤジ軍団には丁重に。

とにかく、“ 会長 ”と言われなかったから、剣の親父でない事は確かだった。


「 もしもし、大変お待たせいたしました。 」


半信半疑のまま電話を受けて、剣かどうかぐらい・・・

若き社長は、ただ1人だし?

ついでに、親友だし?

・・・んで、事業パートナーだし?

そんぐらい、分かるって言わせたら分かるに決まっている、剣の声。


_____ もし・・・



・・・はい。やっぱ、剣じゃん。


たった一言どころか、一語でも分かります。

ま、そのまま・・・


「 鳴良社長様ですと・・・ ふっふ。 
  ・・・剣? 剣だろ? 」


_____ あぁ・・ あれ、怜?



・・・だよな。


でも、一体・・・剣は親父に・・いや、“ 先生 ”に。
用があって、アポを取りたいって云うんだ?

何で、剣が直々に“ センセイ ”に会いたいのだろうと不思議に思った・・・わけじゃない。

なんか分かんないけど、ピン!と来るものがあった。

出だし

  “ 鳴良コーポレーション ” 
                  ・・・だもんな



剣が事務所に秘書にかけさせる訳でもなく、直々に掛けてくる事に引っ掛かっていた。
それに、会社名でかけてきた事。


フッ・・・ 

鳴良コーポレーション土地買収開発総合企業、社長。

社長直々に、掛けて来る・・・

・・・なぁ

鳴海に、会いたいんだよな・・ 剣・・・・



でも・・・


ごめん・・・剣

親友としての心は、もちろん痛んでいる。

鳴海の者としてじゃなかったら、めっちゃいい~ 親友だぞ。
                               俺・・・



でも・・・


はぁ・・・剣

ここに、掛けて来てもな・・・

鳴海は、俺しか出ない。

鳴海は・・・ ここに俺が秘書としている限り・・・

全部、ここ止まり。

その為に、二足の草鞋を履いてる・・ってか、担いでる・・ってか・・・



背負わされ、無理やり・・・旅支度のさいに括りつけられた。



・・・俺は、でもそれでも・・・ 今のところ __________ . . .




物心付いた時には、自分の立場をもう既に、捻じ込まれていた。

生まれて間もなく・・・


きっと何も甲乙付ける事も分からない、そんな年から自分は・・・

緑とも縁が決められて

人生の道は、舗装された大通りで

大通りを人が囲み・・・
その中をパレードする様に、オープンカーに乗せられて

自分で、運転する事なんてなく

時に遅くゆっくりと、観衆に手を振る様に

時に早く景色を堪能する間を、与ええられぬまま

昼も夜も、太陽も星も月も煌いていて・・・



・・・草鞋、なんて言葉



俺には二足の草鞋ではなく、オープンカーが二台。


そんな人生・・・



そうだな、人生ゲームの様に駒は車、かも・・・

でもルーレットの、その出目は決められていて

停まるマスには、いい事しか書いていない

とあるマスに停まった時に、“ もう一台車をゲット!”


・・・そんな人生かも・・な・・・



二足 って、足の問題じゃない

総合企業としての取り纏めに、国を動かすと云う

二束 束としての にそく が頭の中に思い浮かぶ。



とりあえず・・・・・

・・ふふっ、それでも・・・・・


まっ。・・・幸せか・・・・



「 お時間です 」


こっそり耳元で囁いてくれる、自分の秘書。

電話中なのはもちろんだけど・・・
今日も綺麗にメイクして、腕を伸ばして抱き寄せたら俺の腕の長さの中だけに
その香しい甘さを漂わせて、ルージュの唇で ふ―ぅ・・・と微かに吐息を耳たぶに残す。


お迎え、ありがとう・・・


言葉無くとも、目を見詰めて微笑んで、ウインクすると

「 もちろんです・・・ 」

耳元に もう一度・・・小声で囁かれる。


剣と電話で話しながら立ち上がると、事務所のコードレスフォンを俺が持っていた位置で、きちんと押さえてくれて・・・


ふふっ・・・


見詰め合うと、目を細めて柔らかい笑みを向けてくれる。

第一秘書課と言ったって、俺にだけは個室がある。
先生の部屋と、俺の部屋、それに続く秘書課のオフィス。

俺が電話を取るなんて事は、普段は全く有り得ない事だった。

ただ・・・

鳴海家 この鳴海に関しての電話は、俺に回してくれる様に、受付の子だって知っている。


「 あぁ、そう言わなかったっけ? 」


_____ あぁ、そう言ってたね・・・


「 そうだな、剣も帰って・・・・

  ・・・で?・・どこ行ってた? 」


_____ 怜。夕べは・・・


両手がフリーになると、誰かと電話しながらでも、それはいつも・・・

自分の秘書は、しっかり普段の通り、社長としてのスタイルに着替える事を心得ている。


________ パチッ


腕時計を外し・・・


・・・ スッ


「 どちらにされますか? 」

耳元で囁きながら、スッとデスクの上で差し出してくれる、数々の腕時計の入ったジュエリーボックス。
もちろん、宝石商の様な大きな箱だし? ロレックスとか? ミューラーとか? 重いし高いし?

持つなんて、言語道断。

落として壊したら、支払いは・・・一生、・・・いや、孫の代まで。 だって、知っている。



ん~・・・

どれにしよう・・・ 


指をジュエリーボックスの方に向けつつ、端から順に動かして・・・


「 ・・・剣。 
   ・・どうして・・・? 」



ん~~・・・

居なかった事を、どう言おう・・・。



一瞬答えに戸惑って、秘書の顔をちらっと見ていた。



この子の前でも・・・・・ 

ま・・・ 言ってもいいか。



_____ いや・・・別に。 居なかったよな・・・


「 ・・・あぁ。 」


素直に答えてしまっても、まぁ・・・
朝の散歩じゃないかってメイドが言った事を、言うもんじゃなかったと後悔するも・・・

親友だし・・・

・・・いいって事よ。



ん、だな。



・・・あ、あれ?


時計ウンヌンそれより、電話の向こうの、剣が静かに止まったままだった。



・・・ま、いっか。 


沈黙をいい事に、電話を押さえてくれている秘書の手を握り、通話口ごと包み込んで・・・


「 じゃぁね、Rolex の Deep Sea にする・・・」


秘書の耳元に囁くと、うふふっと笑いそうになるから、

人差し指を彼女の唇に当てて、ルージュをそのまま軽くふき取り、唇を重ねる。


んん・・・

「 し―・・だめ。
  まだ・・・電話中だよ。 」


唇を重ねたまま、自分の秘書に唇に囁く小声での注意も・・・

受話器と共に握っている手を、そっと緩めると力の抜けそうな指が、きちんと元の通り耳に当ててくれて・・・


それでも、向こう側の剣は、まだ黙ったままだった。



じゃぁ・・・

・・・もう少し。


瞼を閉じたままキスを続けても、自分の秘書は心得ていて、議員秘書用の暗くて真面目な色合いの、濃紺のジャケットと真っ白のYシャツの間にそっと手を滑らせて・・・


________ ちゅっ・・・


ちゅっと軽く唇に音を立てる時には、離れそうになるのが分かるから・・・

通話口を先に塞いでくれる、キラキラした長いネイルのしなやかな手。

瞼を薄く開けると、彼女も目を瞑っているけれど、ジャケットとシャツの間の手は、肩から腕を滑らせて行く・・・

そのまま、ジャケットを脱がされると・・・

俺の指についたルージュを優しくふき取る、いつもの事・・・ 


だから、彼女はいつも・・・ 直ぐに、いつでも・・・

俺に付いたルージュを落とせる様に、自分のポケットにはメイク落としのティッシュを持ち歩き

彼女が瞼を閉じたままでも、自分の唇が触れた感覚で、どこに付いたか把握済み


綺麗にいつも、拭き取ってくれて・・・ 

その手で・・・

俺が選んだ時計ぐらい、どの時計か・・・ なんて

並んだ中から、手探りで見つけ、俺の手首に着けてくれる。



「 もしもし・・・剣? 
  おい、そこに居るよな? 」



________ シュルッ・・・


そっと唇を話すと同時に、彼女が片手でタイをゆるりと外してくれて、それに合わせて首を左右に動かす俺でも、受話器を持った手は慣れているので、きちんと耳に当てたまま。

それに・・・

俺の奥さん、緑よりも彼女の方が分かっている。


俺が時計を選んだら、どんなコーディネートが いいかぐらい・・・

俺の好みを知り尽くし、“ 今日はDeep Seaの気分 ” ただそれだけで・・・

まずは目を見て見詰め続けられて、微笑みながら、うっすら付いたルージュを綺麗に落としてくれるから・・・

その手に・・・


・・・ちゅっ


ちゅっとキスでお礼をすると、耳元で・・・

「 もちろんです・・・」

そっと・・・ 囁かれて・・・
ゆっくり瞼を開ければ、優しい笑みが傍にあって



_____ あぁ、ごめん。


「 まぁ、俺は夕べ居なかったけど・・・

  ・・ふっ・・・ あはは・・・」
  


頬に、ふ―・・・って吐息を優しくかけられて・・・



もぉ、くすぐったいよ。


間近で目を見詰めて、お互いに言葉無くても、悪戯そうに変わった笑みに・・・微笑む。

その間に自分の時計を着けてもらった左手と、彼女の右手で共同作業。


綺麗に二人の手でネクタイを結ぶ事なんて・・・

もう・・・ 慣れた・・・

2人とも・・・


・・・これも、いつもの共同作業。


タイを結ぶと さっと避け、姿見の前を空けてくれる。

ウエストコートを後ろから着せて、背中から回される右手に俺の左手で、2人でボタンを上から、1つずつ同じタイミングで閉じていくなんて事も・・・ いつも通り。


親指を立てて鏡の中に微笑むと・・・

「 では・・・スーツは、社長室で
  ・・・全部、上も・・・ 下も・・・ 」

耳元に囁きながら、俺のアタッシュケースを取り上げてくれるから、俺は両手で携帯電話の充電コードを外す。


勝手に歩き出しても、耳元に当ててくれている電話が、ずれる事はない。

いつも自分が持つ様に、きちんと持って共に歩いてくれる。



_____ なぁ、事務所内で、朝帰りとかって・・・
   ・・・こんな話していても、いいのか?


「 あぁ、大丈夫。 」


な~んだ、剣。
そ~んな事、心配してくれて・・・ もぉぉ~~・・・

さっすが、男。

俺の周りの真面目腐った、霞ヶ関・・・・・

     ・・・ヤロー共。
なんて・・・

    ・・・関係ない。


「 今、事務所を出ようかと、会社に向かう所だし。 」


廊下を通り抜ける間にも、秘書軍団、会計だろうが事務だろうが・・・・

全員・・・

俺に頭を下げたまま、通り過ぎるのを見送ってくれる。

ここでは、援助金がものを言う世界。
鳴海事務所の資金援助の大方は、もちろん鳴海財閥からのもの・・・

それに・・・

名義はもちろん会社から。社の税金対策だって、寄付金の形を取れるぐらいの、全く法に引っかからない場所への・・・

俺の会社からの援助。

鳴海財閥寄付金名義はもちろん、鳴海怜。

親父本人の名義になんて、国民に知られるアホな事する・・・わけないじゃん。
母の後釜は俺だって事ぐらい、政界では知られている霞の中。

・・・だから

誰も、いいや・・・ なんぴとたりとも・・・

俺に頭が上がるわけない。 

それに、誰にも文句は言わせない。 ・・・・だよ~~~・・・ 



・・・・・・ 剣 __________ . . .
                  ・・・フッ


「 ちょっと・・・そのまま、待ってて。 」


剣との電話は事務所のコードレス。
このまま持って行ってしまったら、建物を出た時点で途切れてしまう・・・。


ま、前にうっかりと・・・経験済み。 



・・・だったりして

思わず思い出したら、フッって笑っちゃう・・・

ま、一人だったら、んな事もしちゃったりしてるけれど・・・
秘書の彼女は気付かせる為に、電話をそっと耳から離してくれるから、忘れる事はなくなった。

「 回線、俺の携帯に変えて・・・ 」

受付の女の子に秘書から受け取った受話器を差し出しながら、充電していた社長用の携帯を見せる。

どっかのお偉い印籠じゃないけれど、社長用の携帯電話。

もちろんきちんと見極めて

うふふっ・・

   . . . って・・・

かわいい笑顔でのお返事、大変よく出来ました。


カウンターに肘をついて振り返り、後ろに居る秘書は・・・

「 それでは、お車を、回して・・・」

艶のある優しい声でそう言われると・・・


ん~~・・・

じゃぁ、車も変えていこうかな。



・・・だよな。

そうしよっと。


迎えに来てくれた社用車ではなく、事務所裏のガレージに置いてある自分の車を思い浮かべた。

肘を付いた左手に・・・


「 車、変えて行こうかな?って、思うけど・・・」


秘書に向かってそう言っていても、受付の女の子は・・・
金庫から鍵の着いた小さい金庫を出してくれ、俺が差し出した手を取って、小指をそっと指紋認証に両手で乗せる。

「 うふふ・・・ かしこまりました。 」

自分の秘書と会話しながら、受付の女の子も・・・

手首につけたDeep Seaに、どんな車種に乗りたいかぐらい頭の中で把握して
指紋で開いた金庫の中から、車のキーを1つだけ取り上げながら

退出のお時間は、社に出勤と先生にお伝えしておきます。
それでは、裏側に・・・

そんな言葉を残しながら、車を取りに向かってくれる。


「 じゃぁ、裏側に・・・
  ご一緒・・・する? 」


秘書のアタッシュケースを持ってくれている手に指を絡めると、アタッシュケースを落とす事無く手を開き、二人で手を繋ぎながら裏に向かう。

裏に入るドアだって、俺の車のセンサーか俺の指紋がないと開かない扉。

その先誰も入れない・・・・・


その前に・・・


「 あのさ・・・緑はいないよ。
  まだ鈴鳴り岬から帰らないって聞いてるし? 」


秘書の目を見詰めてそう言っても、剣との電話も忘れません。

この言葉・・・

秘書にも剣にも、今夜はフリーだと伝えたくて・・・


そうそう、どちらでも・・・今夜の時間にWelcoming

秘書にウインクしながら、電話をしていた左手をドアの指紋認証に触れる為に・・・


_____ ふふっ。今日は? ・・・だけじゃ


剣がなんか言ってるけど、耳から電話を外し

電話を持ったままの手でも認証できる様ににと・・・セキュリティの為。
マルサみたいな奴が来ても、壁の行き止まり。

先生・・・親父のポスターが貼られたその場所、ある箇所に・・・

ノックをする様に、コツン、コツンと中指の節で触れると無音でドアは開く。


時に・・・

________ ゴン!

・・・なんて・・・殴るわけ・・・フッ、もちろん無いし。

指紋って、指先だけじゃないし・・・
親指や人差し指のような、アリキタリ・・・バレバレじゃん?

常に自販機だろうがドアノブだろうが、どこかに必ず触る指を、登録なんてするチンケな考えをする奴は、俺の会社に入れない。


この受付の女の子は、俺の今の秘書の後釜。

自分の秘書にした時は、頭脳あふるる事務所での働きに、引き抜いた受付の子だった。

今は、社長秘書としても、お仕事以上の感情も・・・

全部・・・


“ 登録は、利き手の反対、その小指が一番どこにも触れにくく、
  男の方の小指は、女性の人差し指ぐらいの太さ・・・
  その為、登録の一番多い人差し指と、性別をも、うやむやに出来ます。”


このアドバイスに・・・

じゃぁ、君にプレゼントする時は、自分の小指で合わせたら・・いい? 

そんな事から彼女に始まった、鳴海財閥社長秘書の生活。


ま・・・

電話の剣はなんか言い続けていたけれど

_____ ・・・ほど、緑さんに逢ってないんじゃないか?


「 まぁな・・・」


聞いてなかったので適当な返事しか・・・出来なかった。

そういえば・・・


「 そうそう、剣。先生?へのアポ。
  ごめんごめん、秘書仕事、思いっきり忘れてた。 」


先生のお顔をポスターにて拝見していたので、急に思い出した剣の用事。
政界の事に関係あるのなら、きちんと・・こちらも援助されてくれている社長様には、きちんと対処しなければならなかった。

でも・・・
土地所有者としての立場なら・・・

鳴海と共に国内10指にカウントされる、成金のスーパー金持ち。

“ 買収業者 ”

いや・・・

“ 買収企業社長 ”

んで・・・

“ 国内1位買収企業会長の息子 ”


________ 鳴良

その形りも良し、成りも良し。

ちなみに、成り金、金に成る男。 生り金、金の生る男。 鳴り金、金を呼ぶ男。


もぉぉ~~~・・・ちょ~~、だ~い好き、剣。



・・・その金、お前ごと、めっちゃ欲しい __________




俺の・・・

参議院議員になった暁の、支援者、援助企業として・・・・・



その為には・・・




「 ・・・何? ・・・土地の事? 」


そうだ・・・

土地が欲しいんだよな、剣。



お前に土地は売ってやるよ。


でもな、その前に・・・


剣。 お前も・・・



 ________ 鳴海に入れ。




俺の名義に戻ってくる様にな・・・・


「 ・・・だったら、会社の方で。 」


それに・・・

俺が欲しいのは、剣。 ・・・お前の、脳


それに・・・

俺が欲しいのは、剣。 ・・・お前の、心



心素直に真っ直ぐ進む、お前・・・

でも、人は必ずお前に賛成する。

心のまま感じたその直感が、外れた事を見た事は無い。
反対もすること無く正義感に溢れる、清き・・・ 議員にとても必要なクリーンなその心。

口が上手い

そうではなくて・・・

言葉巧みに誤魔化そうとする奴なんて、この世界にゴマンといる・・・この中で
ごまかしはいつか必ず綻びが、目立つ時が来るだろう。

ごまかしなど無くて、直感が起こすのか・・・
きちんと自分の裏側を整えてからの即時の行動力と、交渉力は、なんぴとも納得しての賛成を・・・


それに・・・

俺が欲しいのは、剣。 ・・・お前のその容姿。


納得しての賛成に、その誰もが憧れる容姿の中に見せる甘い笑顔。
またそこで、男も女も憧れを抱き、魅了されて・・・

もっと、もっと、もっと・・・ 協力しようと人が動き出す。


なぁ・・・


お前が気付いているか知らないけれど、自分に一生懸命に真っ直ぐ向かう姿勢を人は
お前のその横顔を見て、心囚われて、また・・・

動き出している。  ・・・んだよ・・・・


まぁ・・・


一人息子の養子は・・・無理だよな・・・。

そのお前が俺のパートナーとして、傍にいて・・・
そのお前の遺伝子が、鳴海家に・・・

もっと、もっと、もっと・・・ いい・・子孫を残してくれるだろうよ。

そうだから・・・・


「 父を通さなくても大丈夫だぞ。剣・・・」


お前の結婚相手は、俺の妹。

その話・・・・

剣。お前も、鳴海財閥の土地も金も全部全部・・・か、どうかは分からないけれど

自由に俺と共有すればいい・・・ 



その話・・・・

俺とお前の2人だけの時にでも、ぜひとも . . . ___________





_____ あぁ、じゃぁ また今度・・・


あぁ、剣。また今度・・・

是非とも。 こちらこそ・・・どうぞ、宜しくお願いいたします。


「 お手数を、お掛けいたしまして・・・」


_____ いえ。こちらこそ・・・



どうもありがとう。剣・・・くれぐれも・・・ 

・・・まずは、俺の初選挙の準備をする時にでも・・な・・・・・


_____ ・・・・ん?


ふふっ・・・

「 な~んてな。ふふっ・・・ま、いちおう?
  秘書的に、社長“どの”にご返答を。 なんて・・

  ・・・思っただけ・・・・」


ありゃ?・・・・


電話が一時、電波シールドの掛かった自動ドアに、引っ掛かっちゃった・・かも・・・・

何も、急に聞こえなくなったけど、通話のままの画面に、時々偶にあるしな。と思いながら見ていた。
何も漏れないようにシールドされたセキュリティは、世界でもFBIやScotland Yard、CIAに並ぶかも。

必要かどうかは・・・さておき・・・

安心だけは保障されている。

     ・・・・それが、“ 必要 ”だと。


地下駐車場は鳴海家のガレージみたいなもの。
俺と親父の車しか入っていないから、エンジン音が聞こえてくるのは、俺の車のみ。


まだ、エンジン掛けてないかも・・・

シャッターが閉まったままの公道への出口。
車に乗って出るまで、コンクリートで閉ざされた空間に響く音は・・・

ただ1つ。 ・・・エンジン音、だけだった。



鈴の音が鳴る事はない・・・


鈴鳴り岬の田舎。
でも俺はあの場所が、心休まり素直になれる。
そんな・・・ただ1人の“ 人 ”に成れるような気がして・・・ 大好きだった。

鈴の音は・・・

・・・ここでは、電話だけ。


電話を耳に付け確かめてみるけれど、まだ何も聞こえないまま。

下の方でエンジンの音が響いて来ていた、その音に・・・


「 正解 」


思わず出した俺の声に、秘書は・・・

「 私も、マセラッティかと、考えていました。 」


だよね。 と うふふっ。 は・・・


瞳と瞳を見詰め合って、その瞳で微笑み合うだけで、言葉は・・・

必要ない・・・・



その音が近づくと同時ぐらいにシャッターがゆっくり開き始めた。
それと共に、耳に当てていた電話から、剣の声・・・


_____ なぁ、怜・・・
   ・・・・もしもし?


はい、繋がった。

内側の電波シールドのせいだったので、勝手に切られたわけじゃないと・・・

実は、本日一番初めに、朝帰りが剣にばれた・・・いや、直感か・・・ま、さておき自分のミスがあった事を後悔つつ、反省しつつ・・・自分が言った言葉を、頭の中で反芻しつつ、再考しつつ・・・思い返していた。


よかった・・・

よし。あれから、ミスは無し。

この男に気を抜く事は許されないし、俺から離れてしまったら・・・


あぁぁ~~・・剣・・・


手を伸ばして追いかけても、真っ直ぐ向いたまま見向きもしてくれないだろう。な・・・

俺の未来の構想に、とっても重要な“ 人 ”だから。


________ ウィィ ― ン・・・


車のドアを開け、降りてきた受付の・・・俺の今の秘書、元事務所受付嬢。その後釜の女の子。

繋いでいた手を2人ともが同時に離しても、アタッシュケースは彼女の手の中。
それを下げたまま、車に近寄ると・・・

秘書は後輩、受付嬢後釜の子に・・・・


「 社長のお車は、ご丁寧に扱いなさい。 」

優しい声で注意しながら、サイドブレーキを掛けていないのを指差した。

「 地下からのスロープは、アクセルを踏み過ぎない様に。 」

・・・ゆっくりと。


秘書の言葉の通り、前に俺の車を出して来てくれていた子だけに、言いたい事がよく分かっている。

近づきながらその子には、俺からも・・・


「  そう、男と同じ扱い・・・ 

  急発進は、相手が引くだけ。 ゆっくりと丁寧に、心を込めて・・・
  アクセルを踏みすぎて焦るなら、初めからしない様に・・・

  ・・・サイドブレーキは、最終的に重要なポイント。
  心に掛けるブレーキに、それに・・・ 男と同じって言ったよね? 

   ・・・勝手に、後退なんて・・・させないで・・・・ 」



________ プップ・・・ ガ―――・・・

外側のシャッターを秘書が助手席側からリモコンで開けると、雑踏がもっと激しく聞こえる様になった中、お気をつけてと、後ろで頭を下げる受付の子に・・・

Deep Seaを指した手で、車を撫でつつ “ セイカイ ” と・・・

口パクで伝えてウインクした。のは・・・



「 じゃぁ、またさ・・・ 
  会社に着いたら掛け直してもいい? 」


剣と話し中の為。
電話を持った左手首は、袖が下がって見えただろう。

シルバーのカフスを着けてくれる秘書には、そう、このタイミングと耳元で囁いた。

運転席に座るのは俺。

お迎えの社用車じゃ無い。とのチョイスに、俺の運転で向かうとは当たり前に成っている。


「 だよな。だって・・・ 」



________ ひゅ ―――・・・


外のシャッターが半分ぐらい上がってくると、外の風が入ってきた。


「 アポイントを取ってから。・・・で?  」


カフスを着け終わった秘書は、俺の手首に、ものすごく正確な時間を確かめたと思う。
ダラダラ話し出してしまう、剣や山延との電話。

自分の携帯を取り出すと、タイマーを1秒に合わせた。


それを見ていた俺・・・


「 うん・・・そう・・ 」


目の前に携帯を向けられてスタートを押される、ニッと笑う笑顔にドキッとさせられて・・・

________ チリ チリ チリ・・・・・

そのまま俺の右手に重ねて持たせる。


「 う~ん・・・・ 」


思わず甘い声だったかも?・・・と、後悔先に立たず。

重ねられた手の平に、ズーズーしているバイブ。 
それに包まれる様に重ねている彼女の手の親指は、俺の親指をゆっくり撫でた。


「 ごめん。秘書の電話に・・・
  ・・ちょっと・・・・ 」
 

なんだか剣への答えも、辻褄があって居そう。 思いっきり本当の事だった。

・・・秘書の時間をせかすコレ。

俺が社長室でのお色直しを、お楽しみにしているのなら、早くと急かすのには十分だった。


_____ 忙しいからって、 ・・・・


剣との会話も今の俺には、忙しい。
与えられる悪戯モードの秘書の笑顔が、冷たくって優しくて・・・ 

もぉ・・・


「 そう。ちょっと・・・ まぁ・・・
  一応、議員秘書だし、社長だし。
  ま、剣もゴシップ誌に気をつけろよ。 」


その通り・・・

“ もぉ・・・”

なんて、秘書の唇がそう動いて、外側のシャッターが開いたらお気をつけ下さいませ。という事
そんなの、霞ヶ関をいっつも常にウロウロしているパパラッチ。

携帯を手の中に残したまま、すっと手を離す秘書は、ついでにすっと助手席に乗り込んだ。
それと共にドライバー側に乗り込むと、身を乗り出してシートベルトをしてくれる俺の秘書。


________ チリ チリ チリ・・・ チリ チリ・・・


覆いかぶさってシートベルトを着けながら・・・

「 お時間です。 」

そっと耳元で囁かれ、見ていない手でドアボタンを押されていた。


「 うんん・・・こちらこそ、ありがとう。
  ・・・感激。 」
 

秘書の目を間近で見てそう言うと、剣の心遣いにも・・・


 「 ・・・心遣いに感謝する。 
   じゃぁ、後で?また・・・ I love you ・・  」


秘書と見詰め合ってそう言えば・・・

秘書の心遣いにはいつも感謝していた。

バイブが震える右手の中も、彼女がタイマーを止めた。



「 もしもし、遅くなりました。
  鳴海です・・・・ 」


携帯電話をそのまま彼女の手に握らせて、一緒に手を繋ぎ合い見詰め合えば・・・


「 存じ上げております。秘書ですし・・・
  ・・それに・・・・ 」



うふふっ~~、だよね~~~・・・


にこっと微笑む笑顔の秘書を横目に、ハンドルを握ると・・・


「 本日は、Deep Seaのご気分でしたら
  その深い場所まで・・・・・  」


「 ・・・あぁ、緑はまだ帰らない。 」


ニヤッと笑った秘書の声も・・・


「 それでは、少し遅くなりましたので・・・
  本日会議後の執務を取りやめ、会合の前に
   ・・・その間の時間を空けておきます。 」




どうぞ、よろしく・・・・・






Back Sage * AN-OTHER after noon







________ 満月の夜 昨夜の怒り .

mimi's I amge Music * Two Trees / Underwood / Burning
双樹 / 森の中で / 燃ゆる 



・・・その夜の一晩前に、怜と車の中から見た月は殆んど丸かった __________



  ただ・・・ 
 
        ・・・違う


蒼い影に隠される事無く、輝き続けていた・・・


鳴海家の車・・・

ブラックスモークが貼られた窓からの丸い光・・・・・


完璧な姿を見せるその影は、裏の陰にだけ・・・


光を当てて輝かせていると、気付かせてくれた 


一刻に一月の時の流れを携えた・・・ 月・・・・・



天上の窓から見えた、その光景・・・

表の影は暗黒で、表の光を隠しても、闇の中に浮かぶ形は完璧な姿。

裏に当たる光がその姿を、天辺に・・・

・・・ 見えない容を浮かばせた 





忘れない・・・


・・・その、心の中に残る情景 _______________





黒い窓からも・・・


遮る物ない窓からも・・・



黒い窓の中に漂う、高貴な香り


人を・・・甘美に・・・

止められない誘惑に虜させる誘ないが、溢れていて




遮る物ない窓の中に漂う、豊満な香り


人を・・・優美に・・・

心の中まで満たされる優しい心情が、溢れていた




りょうほう


両方とも・・・




りんどうの香




全ての・・・  

 “ りんどう ”





そのりんどうを入れた名刺入れを、ジャケットの内ポケットに入れていた。



“ 鈴道 ” の幻の一銘の名に、 “ 鈴鐸 ”の崇高な品格の名に、考える事すら奪われた夜。

怜に連れて行かれた料亭の、若女将の髪に挿したかんざしに・・・
揺れる黒髪に注した、紅のリボン・・・

同じ色合いに、鈴音の姿を思い返す。

鈴音の顔を思い出していた為か、若女将の顔をあまり良く覚えていなかった。

のか・・・

単に怜と飲みすぎた為に、朝まで引きずる様なボ―・・っとした頭だった為か、料亭に足を運んだその時の印象は・・・



・・・着物に、結い上げた髪のせいか?


どことなく会った事がある様な、雰囲気だった。
 


それを考えながら、夕方のラッシュの高速をノロノロ運転していた。


「 ふぅ―・・・ 」


仕方ないと言ったら、仕方のない事。

時間が掛かりそうだと思い、車の時計で時間を確かめた。
たった2つだけの出口の道のりに、下の道で信号に止まり続けるよりは、こちらの方がいいだろうと考えていた事。

ノロノロ動いているので、止まる訳じゃない高速に、下より早い早いと自分に言い聞かせる様に、ドリンクホルダーから、コーヒーの入った紙コップを持ち上げた。


エスプレッソを飲んだ朝、怜も頭を抱えていたっけ・・・

そんな事も思い出すと怜の顔が思い浮かんだ。

あの、屈託ない爽やかな印象の中に、冷たい笑みを瞳の中に携えて、ふわっと温かく包み込む甘い笑顔を思い出し、その日の朝は・・・


う~~ん・・・ 頭イタイ・・・ そんな顔だった怜。

その日の夕方また少し飲んだ後、あのまま、東京に帰ったんだと思っていたけれど・・・

朝まで鈴鳴り岬にいた怜・・・



“ りょう様・・・
 
  ・・・お兄さま・・・ ”



鈴音の声に・・・


怜は、何をする気だろう ____________




一つ目の高速の出口を過ぎ、入ってくる車と交じり合うその箇所がごちゃごちゃしているのが、少し手前から見えていた。


  止まりたくないな・・・


車線変更をしようか、考えた。


  それとも、降りてしまうがいいか・・・


そう考えながら・・・

ちらっと、サイドミラーもバックミラーも見て、前後左右確認しても囲まれている。


  う~~ん、動かない方がいいか・・・


その様だ・・・


そう判断して、このまま真っ直ぐ我慢しようと、背もたれに頭を付けて溜息を付いた。

右に左に首を傾けコキッと鳴らし、右を見た時に夕日の空の色は、もう暗くなりかけていた。
数日東京に居なかっただけだけど、日の暮れるのが早くなったと考えて、その夕日の色を見ていた。

ビルに囲まれた中からは、水平線どころが空すら半分しか見えない。

ビルの蔭にならない空は、もう・・上半分だけ・・・


その半分上の空は・・・

赤い夕日の色ではなく、蒼紫色の空でもなく、もう・・ 
闇に突然包まれたかの様に、星の瞬きも無いただ闇の空だけが、東の方から追いかけて来る。


この時間、鈴鳴り岬には・・・

あの綺麗な色の空が広がって、水平線に夕日が沈んだ直後だ・・・ろう・・・・・


思い出した夕日の色に、鈴鐸の工房を思い出す・・・ その赤い世界に、突然止まった。

車も入ってくる車の一番多い箇所で止まっていた。


________ ゴクッ・・・


口の中にエスプレッソの苦味を残したまま、前を向いて飲み込んだ。



・・・暖炉 


誰が、何を燃やしていたんだ?・・・



別に、人の家。

そこまで立ち入って話を聞くほどでもない。



・・・ただ、昨日今日、燃やしたわけではない。



鐸杜の送ってくれた、名刺の入った木箱の墨字を思い出す。

昨日今日燃やした様な、しかも焚き木にする様な炭の香りと・・・
暖炉のある客用の居間、あの部屋に入った時点での香りが違っていた。

それに、蝶子が居間に来た朝は・・・

蝶子自身が久々にあの部屋に訪れたのならば、何か臭いません事?とか、空気の違いに言いそうだと。
その後、代議士も怜も東京から来たのだから、関係ないといえば関係ない。



怜が来た日の夕暮れ、ショットグラスに入ったブランデーの紅色の影が、暖炉の先に伸びていた色が、どうしても頭の中にこびり付いている。

透き通った赤い影が、辺り一面紅色に差した夕日の空気に包まれて、影だけが違う赤に染められていた。

燃える様な火の幻想を見せられただけで・・・



あの屋敷に常住している蝶子自身

“ えっ!暖炉?・・・この時期に? ”

そんな驚きに嘘は吐いていないと・・・あの時確かめつつだった。



そうか・・・
・・・蝶子・・か・・・? 


彼女が、兄や父に頼まれ事をされたら・・・


“ お兄さまのお部屋に・・・ 
  では、お父様のお部屋に・・・ ”


父にも兄にも、愛を乞う彼女・・懇願して止まない、愛は・・・


“ おにさん、こちら・・・
  愛が霞んで・・・ 届きませんでしたもので・・・”


あの双子は同じなのかも知れないと・・・




蒼花 そうか・・・ あおいばな に、  紅雲 こううん・・・ くれないくも

それと・・・

愛霞 あ い が す み  『 正解 』



・・・ あれっ? だれ? セイカイって、言ったの?


           

__________ 後ろの正面、だぁれ・・・・
         



せいかい?・・・


鈴音の声だと思っていた、その声は、誰だろう・・・

いや・・鈴音に誰かが聞いていたのか・・・? 



窓のない壁際に目を向けた時、紫色の江戸更紗で隠された。

でも視界の中に飛び込んできたのは、令の名の付いた先祖の肖像画だった。

怜のダイニングルームで見たものと同じ人物で、双方の屋敷に飾られるぐらいだから、華族である鳴海家の大本となる人なのだろう・・・

それぐらいしか思わなかった。



肖像画の中の人物は・・・

たった一人。



別に、双子でもなんでもない、ただの・・・ 曲げを結ったオジサンだった。


華族様に言葉は悪いが、別に・・・ ただのオジサン。

平庶民のうちの家系とは大違い。

ただ、そんな印象の 令 のついた、オジサン一人。

そのオジサンの下で燃やすもの・・・


ん~~・・・・


どうでもいいが、オジサンは、時代背景以外は置いておこう。

令オジサンは・・・きっとなんにも関係ないだろな。と思い直した。

バカデカイ肖像画の他には、家族写真だろう。 
写真としては大きいけれど、令オジサンの肖像画に比べたら、とても小さく感じる写真が、銀のフレームに入って飾られていた事。

夫人に代議士に・・・

たぶん、子供の時の怜。

そんな写真じゃないかと思うけれど、よく覚えていないほど・・・
ただバカデカイ肖像画の方に目が行って、その直ぐ後、鈴音に目隠しされていた。




止まった車の中、ハンドルの真上で両手を組んで頭をコツコツ当てていた。


ふぅ―・・・


俯いて溜息を漏らすも、車が進むわけでもない。

それに、鳴海家の事を考えても、別に・・・家系は俺には関係ない。

俺に必要なのは、怜との企業としての繋がりと、土地が必要なだけ。

あの屋敷で起こる事なんて・・・

関与して首を突っ込む様な余計な真似は、止めた方がいいだろう。



________ パチッ


内ポケットから名刺入れを出し、開けた。



俯いたまま目を瞑ると蘇る、蒼い世界・・・

踏み入る事を躊躇った蒼い世界の中に、脳裏に焼きついた朱い紅色の唇。

冷ややかな微笑みに心が望む・・・


・・・ 懐かしい


なんだろう・・・・・・

それだけ、ただそれだけ・・・心に、引っ掛かったのは・・・


ただ、恋をしたのかといわれたら、そうであるかもしれないし、そうでないかもしれない。
悲哀を感じて、哀れみにただ可哀そうと思っているだけならば・・・

それは、彼女に必要な事ではないと思う。 から・・・・



_________ プップ・・・


はっと気付いて前を見ても、前の間隔は空いていなかった。
自分にではなかったクラクションに ほっとして名刺入れを閉じ、ポケットにしまった。

胸に手を当てたまま、前をずっと見ていた。

待てど暮らせど・・・ って、本当に日が暮れてきた。

右も左も辺りは本当に薄暗い。でも、都内。
昼と対して変わらないネオンに街頭の明るさに、辺りをキョロキョロして寄りかかる。

自分の車にぶつける事を恐れる人もいるだろう高級車。
以外に皆、離れている事に気付いて、いやいや、怜のフェラーリには敵わないし・・・今日は、マッセラッティだろ。音で分かる怜の車には、自分の車は半額です。と思っていた。


んん~~・・・


あまりに暇なのか、どうでもいい事を思いつく。

怜の車に乗った時、急発進ではないけれどエンジンが良すぎて加速がいい、2シーター。

2シーターの車ばかり持っている事を考えていたら・・・


今はいいけど・・・
アイツ、子供を作る気ないんじゃないか?


そんな表れなのかと思うほど、まぁ子供が出来た時には違う車なんて、ほいっと何十台も買うだろうと思いつつも、緑さんとの間に子供を作る気はないのかもしれない。


だって・・・


“ 怜 ”の子


緑さんとの子でなくとも、鳴海の家系は続く事を考えた。


物心付いた時から決まっていた許婚って、どういう関係なのだろうと考えていた。

けれど・・・

フルフルと頭を振って、怜を頭の中から追い出そうとした。


鈴鳴り岬に行って帰ってきてから間もないせいなのか、鳴海家の事ばかりが気になってしまう。

俺にとって必要なのは、土地と怜の会社の協力。


怜の子の事なんて、鳴海家の跡継ぎなんて、全く俺には関係ない。

怜がどこで子供を作ろうと・・・まぁ、人の事。どうでもいい・・・


・・・だろ。って、自分に言い聞かせ、頭の中から払拭しようとした。

自分が今、向かっている先に必要な人物の面会時間が迫っている。



山延


花でも買っていこうかと・・・

りんどうの花を見ていて、思いついた。


“ 栞にでもするつもり? ”


“ 山延の土産ぐらいにはなりそう・・・”


怜に聞かれて、そう答えた自分だけど
この花を誰かにあげたくなかったし、なんで、この花?と山延にも言われそうだと、思うと・・・

・・・想像に、微笑んでいた。

それに・・・・・




そうだな、花屋が病院に行く前に見つかったらにしようと、賭けてみた。



 あったら・・・

 なかったら・・・



この違いが、父からの書類を見ていた今日、山延の代理人とも会った今日・・・


全ての会社が鳴海家に騙されているのか

それとも全ての会社に自分が騙されているのか


なんか、その違いに重なっていて・・・

山延と怜との間にある自分が知らない頃の繋がりにも・・・

自分が2人に、騙されているのだろうか そうは、思いたくも無い気持ちもあって・・・



もしも花屋があった時は

花屋に入って、一番に目に入る花が・・・


一年中、可憐な花びらをふんだんに、華々しく咲かすバラなのか

季節の今だけ、蒼紫色の花をたくさん携えた、りんどうの花なのか

今の自分にとって、どちらだろう・・・


華々しく花屋の店頭にも、奥にも取って置きの種類が並ぶバラ

見た目の派手さと上品さと・・・

奥に大切に管理されている高価さに・・・


・・・ダメダメ。


どうしても怜のイメージ・・・そのまま。

フルフルと頭を振って

誰もが、彼の雰囲気を例えたこの表現には、



コーヒーの紙コップをもう一度取り上げて、蓋を開けると一口しか残っていなかった。


山延の代理人が帰った後、重役会議を開いていた。
その時に飲んでいた、エスプレッソ。

持った手の中の、エスプレッソカップの大きさに・・・

怜の連れて行ってくれた料亭を、思い返していた。

鐸杜が送ってくれた名刺を頭に思い浮かべて、開発区域を懸念していた重役達の会議を、無言で聞いていた。


怜との料亭で出された杯と同じ大きさに、そこに連れて行ってくれた満月の昨夜。

彼女の茶室で飲んだ・・・

抹茶の滑らかな味を思い出す。


エスプレッソカップに気を取られる事は、今まで一度も無かったけれど

その数口分の抹茶を、錫の杯を、エスプレッソカップに思い出していた。



少し進み始めたのを前に見て・・・

昨夜の濃茶と同じ様に、最後の一口を飲み干した。


月食の中に浮かぶ、炭の燃える赤い炎の影に居た彼女。

星が降る竹林の中、色とりどりの走馬灯が作る影絵・・・

蒼白い月光に、共鳴する様に輝かせていた、銀の茶入れ。



彼女が連れて行ってくれるのなら、どこにでも・・・と・・・・

そう・・・ 思った自分。


森を作るのに幾百年の時をかけて

その森の中に住まう人の心を繋いできた幾百年の時



由来ではなく、いわれ と言葉を変えたら・・・


“ この・・・人々よりの心を感じ、心癒し

 恩愛への感謝と真の相を学ぶ事を、大変喜ばしく ” 
                                 
                         ・・・そう言った彼女の心  



素直にきちんと答えを返していた、真面目なあの子が・・・

幾千の時の流れの中に生きる事をここ・・心・・・



________ スゥ・・・
     ・・・ふ ―――・・・・


胸のポケットに手を当てて、深く息を吸い、長く静かに吐いた。



胸の内に秘めて生まれてきた彼らに

自分が感じる懐かしさも、幾百年の時を越えてもし来ていたとしたら

大変喜ばしく思うだろうと、この心が感じた。 


天窓から覗く皆既月食の月は、蒼い星の影の後ろで輝いているのだろうと、月の裏を照らしていると思えてならなかった。

表の世界に見えない人の目の裏で、輝いているんだろうと思った月。

見上げた窓から見えた、風が吹いて樹々に隠された隙間から覗いたその空に浮かぶ月は・・・


宙に浮かぶ珠の様に球状で、 魂 たまであり・・・ 霊 たまであり・・・

珠 たまの様に・・・ 



掌中の中の彼女の恩愛の込められた感謝の気持ちで点てられた

“ れいじょうの昔 ” 

令嬢 自分の頭に思い浮かぶ・・・ 令 を付けられたお嬢様の昔に・・・

鈴情 鈴の音の慕情が鳴り響くその昔に・・・

胸の中から想いが溢れて、最後の残り一口を、古袱紗と共に両手に包んで飲み干した。



空になった紙コップをドリンクホルダーに置き、内ポケットから名刺入れを取り出し考えた。

シルバーの名刺入れの中の、一輪のりんどうの花。

開ける事なく目を瞑り、短くふっと息を吐いた。


もし・・・

・・・山延が・・・



この一輪のりんどうの花を見て・・・・



例えば、いつもの様に

______ どうした、剣? 一輪だけ?

遠慮無しに、笑って何か言ってくれるだろうか・・・・




それとも

もしも、何か反応する事があったら・・・





突然、伏した、親友は・・・・

鈴鳴り岬から帰ってきて、間もなく だった。



シルバーの名刺入れを唇に当てて、ゴクッと唾を飲み込だ。


聞いてもいいのかどうか悩む事があって、会合の前に時間を見計らい出てきた自分。

この会合の為に一日だけ東京に帰ってきた自分に、タイミングよく届けられた鐸杜の名刺。

どうして今日、東京に一日だけ帰る事が分かったのだろう。
それとも自分が東京に帰る前に、届けておこうと思っただけなのか。

俺を鈴音の屋敷に置いて帰ったのは、あれを造る為だと分かるけれど・・・



ふ ―――・・・


白銀の中に閉じ込めた蒼い光の彼の名前。それと、シルバーの名刺入れに、自分の名前と一緒に閉じ込めた蒼い花。

開発パートナーである山延に両方とも見せて、その反応を確かめてみようかと思う。


今までの道なりに行けば、花屋が無い事は分かっていた。



でも・・・

もしも花屋が途中にあったらば・・・ その話はしない。


そう決めて、高速を降りた __________








________ 満月の夜 さくやの熾り ・・・



まだ満月が顔を見せない、ビルの街。


煌く星も見えない明るい闇の濃紺の空・・・

仄かに空には、街灯りの反射の色と違う光に、照らされて・・・

その空の部分だけが、純粋な色を汚い世情の空気の中に浮かんできていた。






Act 13 From far away beyond beautiful sea.™


mimi's Iamge Music * Circle Experience by Greta Svado Bech





鈴の音を鳴らす風を生み出す 透明な動き





透明で

赤く染められて

青く染められて




空の色が変わり続けるその時を・・・



澄んだ空気のこの土地に気付いた空

低い空に風の中を白い雲が流れた

風の無い高い空に動かない青い雲も





その時が流れて変わりゆく


赤い黄昏


紫の世界


白銀の月


深い影の蒼


鈴鳴り岬の空を染める




鮮やかな古の瞬を刻み続ける深き紅色をその身に纏い・・・

暗く蒼く輝く月の光に共鳴して輝く影をその身に纏い・・・




吹いたら消えてしまいそうな 


弱々しくも


よわよわ強くも


止め処なく燃えつづける 



鈴鳴リ岬に湧き上がる

胸の内は・・・

・・・・なんだろう ________ . . .




彩溢れる鈴鳴り岬の風・・・


透明で見えない風が運ぶ


白い雲に

紅い葉に

蒼い香華


目に見えない透き通った風が


りょう方から



天辺の山から吹き下りて


底辺の海から吹き上げて



そのどちらともが・・・

透き通って見えないほど とても純粋で

綺麗な景色の中に動いている事を見せること無く・・・ _________





蒼と

蒼紫色の空に

煌く星が輝きだす前に


吹いたら消えてしまいそうな、弱々しい青い炎の様な

暗く蒼く輝く月の光に共鳴して輝く陰 影となって表に現れた影の炎




走馬灯の様に何かがクルクル描かれて回っている。

その灯りは、何色も・・・





自分の頭の中に思い浮かぶ・・・

・・この鈴鳴り岬で・・・胸の内が震えだした色ばかりだと・・・


蒼き陰が 蒼い影の後ろに・・・

正面となって輝き現れている 自分の心の中

心の中の炎の影までも


透明に彩点かされて 



人の心の中の色とは・・・


感情によって色が違うものなのか・・・

それとも、色が感情を教えてくれるのだろうか・・・

いや、色から与えられる感情なのだろうか・・・



胸の内に灯された小さな灯りが、どんなものなのかとは・・・

知らなくてもいいのかもしれないと思いながら、追い求めたい情熱が心の中で赤々と燃えさかる事も、
潜めたい想いが静かに青い炎として揺らめく事も、

どうしていいのか分からない事が・・・

また胸を焦がす. . . . . . . . . . .


     鳴良 剣



AS. . .

― 敦賀 蓮 ―







紅と

黄昏色の空が

森を燃やす様に照らし出して



勢力をあげながら糧を飲み込み尽くす、止事を知らない様に燃える野望の炎

生まれながらに持たされたのか・・・

生れた後に植え付けられたのか・・・

分からないまま 


それが何かとか 心の中の想意とか 分からないままでもいいと

分からないまま 燃え盛り続ける糧は たくさん用意されていて




鮮やかな古の瞬を刻み続ける深き紅色をその身に纏い・・・



動き続ける ・・・





鳴海に生れて

気が付いた時にはもう・・・

何かを背負わされていると感じるより先に

その何かに向かって生きる様に育てられていて


心の中に

いつの間にか


燃える糧がふんだんに山積みにされている箇に炎を灯されていて


どちらがよかったかなんて


もしも自分の魂が選んで生れてくる事が出来るのだったら


どちらが好かったかなんて


今・・・・・

燃え盛るこの心の中に、そう浮かぶ想いは 生れてないと. . . . . . . . . . .


     鳴海 怜



AS. . .

― 貴島 秀人 ―





古から今昔に時が刻々と動き出して

動き続けるその中に

自分が居るだけなのならば・・・

その中で、どう生きるか

いや

どう、その時を

命として 貰うものか 与えるものか

進み続けるその 外喜 (とき)に・・・・・・




人の心が見え得るものかと、もしも問われたら

光の中に浮かぶもので・・・

見えても掴む事は、絶対に出来ないものだと

ただそれだけ. . . . . . . . . . .



人それぞれの輝きが、人それぞれの角度に

人それぞれ 見えるだけだ


     鐸杜 領



AS. . .

― 村雨 泰来 ―







. . . . . . . .  チリ チリ チリ・・・ チリ チリ・・・


「 お時間です。 」



 I love you ・・  


見詰め合ってそう言われれば・・・



本日は、・・・
その深い場所まで・・・・・  
その間の時間を空けておきます。 


     沙夜



AS. . .
             
― 琴南 奏江 ―







     うふふ・・・・・


. . . . . . . .  もう、いいかい・・・


           クスクス・・・・



「 蒼花 そうか 
  紅雲 こううん だったかしら・・・ 」


藍霞 あいがすみ は・・・


「 まぁだ、だよ ――― 」
     
     鳴海 鈴音



AS. . .

― 京子 ―  






・・うふふふ・・
   うしろの
・・・ふふ・・・・

・・・しょうめん

クスクス・・・・
  ・・だぁ・・れ・・・・・

・・・クスッ・・・







胸の中に灯された、赤も青も 

心に輝いた、紅も蒼も・・・

霞の中に浮かぶ光は、見えても掴めないと 



我が心の中に、その言葉を浮かばせた。




・・・後ろの正面



影の陰は

信じる者は・・・

   ・・・・巣食われる



 ___________ はっは・は・は・―――・・・



腹の底からの笑いは・・・

霞の向こうに、霞んでまだ見えない・・・




信じ続けても

嘘で固めた

真実漬け しんじつづけ


・・・そうか


嘘をついているかの判断は、出会ったその とき に・・・






________ とぉりゃんせ ・・・

   ・・・・ 通りゃんせ _________



  さぁ・・・どうぞ・・・

  お通りなさい・・・



女神の様な、甘い声に魅了される様に

その霞の向こうに向かおうとすれば、関所にて惑わされる . . . . . . .




________ ご用のないもの・・・

   ・・・・とおさせぬ _________




どんなに関所までの道のりに、身を削り続けても

どんなに関所までの道のりに、心を擂り減らし続けても


関所までの道のりに、どんなに金を使おうとも ・・・



________ どうもありがとう・・ そして、ご苦労さま ―――・・・

              フッ・・・・



霞の中に笑いが消える・・・ だけ ____________. . .





________ もう、いいかい・・・


   ・・・・まぁだ、だよ ________
            


かくれんぼの様に、まだ?と聞いても、まだだ。と・・・


その身を必ず闇の中に隠す、黒い暗雲の影は、人から見えない裏側で輝いている。


________ その声で・・・ 




 “ いや・・・ まだ、足りない・・・

                 ・・・・・まだだよ。 ”



「 まぁだ、だよ ――― 」


                   ・・・後ろの正面




影の陰は




     あい

     霞

  

心の中に・・・ 
さく     .

昨      .

咲く     .

作      .

割く     .

策      .

裂く     .

柵      .


様に・・・   .  


見えないだけで

光り輝いている





     蒼花・・・・  
そうか・・・


もしれない










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Story by mimi * 美しい海の彼・方より Copyright © mimi’s world All Rights Reserved.
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Myth. BLUE BELL - Act 13 ™From far away beyond beautifu; sea.


................ Myth. BLUE BELL - Act. 13 -






☆ こちらの作品は、2015/02/24 にUPしましたが、作品を一箇所に纏める為に日付をずらしました ☆





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mimi's world from Ren Tsuruga and Chuehonn Hizuri
Love Letter from RT and CH

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