mimi's world * HOPE and DESIRE

_______ BE-lie-VE * be-LIE ve * believe...the SHAMs for heart healing * mimi's world-7 _______

Myth. BLUE BELL - Last Act 1.2 - 




代議士は、東京にいるはずだった。

それは怜から伝えられなくても、次期選挙も近くなったこの時期。
街頭演説が報じられるテレビニュースの中に映っていた。

レンガ造りの駅前で、今期初の街頭演説と報じられるその代議士の姿は、次期首相候補者として数名の選挙活動が報じられる一部の中に入っていた。


怜の姿がテレビの中に映っていないのは・・・・






________ チリン・・・ チリン・・・ チリン・・・




「 なぁ、剣はどう思う? 」


モグモグ口を動かしつつ、テーブルに肘を付き、片手は夕食を食べていたフォークでグラスの淵を軽く叩いていた。

東京から鈴鳴り岬に、もう一度来た日の夜の事だった。

夫人はやはり、怜の奥さんでもありお弟子さんでもある緑さんと、娘の蝶子をお供に
自分の母も向かった京都の催しに出かけていた。



________ ゴクッ


フォークで叩いていたグラスに手を伸ばし、今日は珍しくウィスキーをソーダで割って飲んでいる。

ここは、広々としたダイニングルームではなく、テレビが見える程よい大きさの部屋だった。

シュワシュワ言っている背の高いグラスが、怜の前にも自分の前にも置かれたテーブル。
テレビに向いて座り、飲みながら見詰める画面の中に、代議士が映っていた。

蝶子や緑さんはともかく、夫人も代議士もいない屋敷での夕食。

鳴海家にしては こじんまりとしたテレビのある居間で、テレビ前に陣取ってダラッと気を抜いてご飯を食べている、自分の横にいる怜がテレビに映っている筈はなかった。



地元活動の準備に来た怜は、もしも代議士が時期首相に任命されれば、選挙も関係なく議員である必要もない、首相の秘書・・・

内閣官房長官に就くはずだった。

それから官房長官であれば、他の職に就いていても関係のない立場。

自分が議員に成る為のステップとして、自分の名前を初選挙の前に仕事が出来る奴として、インプットさせる為。
親のコネで選挙に出やがって 国民にそう思われるのが嫌だとは・・・


仕事が出来る 自分自身のプライドと能力の自信に

鳴海家の血を引く者として、婿の父親と自分は違うと言いたいと

でもその父親の血も引く者として、二つの血統を引き継ぐ生まれながらに持った誇りがそうさせていると思う。





mimi's Image music * Moving mountain by two steps from hell / Time Lapse by Dot Major





「 なぁ、剣はどう思う? 」


モグモグ、ごっくん。


テーブルに肘をついて、フォークだけを片手にご飯を食べても、誰にも何にも言われない。
母親も父親も、妹も居ない実家は大好きだった。

屋敷の中は俺に話し掛ける事を許されている特定のメイド以外は、名前も知らないメイドに執事達ばかり。だけど子供の頃からそう育って来た為、誰かが必ず世話を焼いてくれるから、全く不自由ではない。
乳母をつけて育てられた自分にとって、家族が傍に居ない方が気楽なまま育って来た。



それには、これも・・・



________ シャラ・・・ シャラ・・・


「 鈴、おいで 」


 にゃぉぉ~~


足元に擦り寄ってきた白猫の鈴が、綺麗な音〃を立てていた。

剣の座っている椅子の足に、カリカリと前足で引っ掻いているのを見て


「 なに、なに?
  剣にどけって言ってんの? 」


うにゃっ・・・


その椅子は、私の場所と言っているのか。
剣の顔を見ながら首を傾げる鈴に、手を伸ばし抱き上げた。

膝の上に乗せてフォークを手に取ると、鈴はテーブルの上に首を伸ばして皿の中を覗こうとしている。



「 こらっ。 」


飲んでいたハイボールのグラスを、鈴の頭の上に置き顔を覗き込んだ。


ん~・・まぁ、鈴音の乳母だったら、味の付いている物はあげちゃだめと言っているけどな。と、
自分の元乳母でもあった、鈴音の乳母を思い出していた。


「 じゃぁ、飲む? 」


頭に置いていたグラスを鈴の前に差し出して、匂いを嗅がせてみる。

フンと少ししただけで、シュワシュワしている炭酸にアルコールの香りが弾けているのは、オコサマにはムリみたい。
ぎゅっと膝を押したかと思ったら、剣の膝の上にぴょんと飛び乗った。

剣はフワフワの背中を優しく撫でて、テレビを見ていた。


「 演説の事だろ?そうだな・・・
  今までの実績と誠意があるから、
  入ると思うけど? なんで? 」


どうして聞くのかと逆に剣が思う程、大丈夫だという保障の様な言葉に、スーパーニッコニコの俺。その自信は・・・

親父の演説原稿を書いたのは俺だった。


剣は演説の興味よりも、テーブルの上に置いてあるタブレットを見ていた。
剣の会社と直接繋がりのある企業の株が動き出していた。

昨日東京で会合のあった、その外資系の会社。
アメリカを拠点に本社のある企業は、鳴良コーポレーションと昨晩、正式に取引を成立させていた。

51%の鳴良コーポレーションと49%のその会社。
51%の中に入っているパートナーである鳴海財閥は、その外資会社と直接の繋がりは持たないという事で収まっていた。

50%が剣の会社で、1%がうちの会社。

占めて100%の成立に、剣の会社が半分以上の権利を牛耳り、その代わりリスクは半々で押し付けられる。たった1%でも、数百数千兆と動くレジャー計画。壱京の中の1%としても、十兆だった。

鳴良との契約の成立に、この会社の株が上昇をしている事と、剣の会社も上昇しているからであったが、急な跳ね上がりによる変動を抑えたい剣。

上がったまま停まりつつある事より、じわじわゆっくり上げてほしいと考えている様だった。


剣は、食事をしながらタブレットを見ていて、俺は演説を見ていた。
こ~んな、テレビ見ながら遊びながら飲みながら、てきと~に猫と遊びながら食事したら、母親は激怒だろうと思いつつ、椅子にダラッと寄りかかって胡坐までかいてみる。


________ シャラ・・・

白猫の鈴が鳴り、剣の膝の上で丸くなって座り込んだ。
剣は丸くなった猫の頭を撫でるとその手を離し、パキッパキッと両手を鳴らし、組んだ両手の上に顎を乗せて見ていた。


「 なぁ・・・怜。 」


タブレットの画面に視線を向けたままの剣が、話し出した。


「 ん? なんか問題でも?」


いや、こっち側も演説も別に何も・・と言いかけた剣は、同じ事を考えてくれていたと思った。


「 代議士が首相になったら、
  官房長官に成るんだよな。 」


まぁね、そのつもりだけど、選挙の方が先だしね。と言いながら、片手に持ったフォークを白猫に差し出した。

目を瞑った白猫は、鼻の前に差し出された匂いに、フンフンと鼻を動かしてぱちっと起きた。

ぱくっとしそうなその時


「 はいこっち。 」


自分の膝の上にフォークを引いて、ペチペチと太ももを叩いた。
ぴょんと胡坐の真ん中に飛び乗ってくる鈴に、いいこだね~。はいご褒美と言って、自分のフォークに刺さったままの舌平目を鼻の前に、指で味のついていないご飯を、開いたお口にポイッと入れた。


うにゃうにゃ 言いながら食べている鈴を見て・・・


・・・フッ。ひっかかった。


そう思って自分の指を舐め続ける鈴を見ていた。
ずるいよな~怜って。と、剣は言いつつも、手を伸ばして鈴の頭を撫でていた。


「 官房長官だったらさ、社長もそのままだし。
  剣とのプロジェクトには関係ない・・・
  
  ・・・ってか、いい方向に向けてやるよ。 」


だから、安心して。と微笑みつつ、グラスに手を伸ばした。


「 まぁ、期待してもいいんだったら。 」


そう言いながらスマフォの方で、山延の病室で知ったXXリミテッド会長の方の株が変動していないか、チェックもしている様だった。


「 そういえば、初出馬どうするの? 」


「 そうなんだよ~・・・だからさ今回、
  父親が首相候補と呼び声高いっての。
  ひとまず、様子見で見送ろうかと・・ 」


そうだな~・・官房長官の方が社長そのままだし・・・ と、ブツブツ剣も言いつつ考えている。今剣が見ている株式のXXリミテッドの会長が息を引き取りそうだったら、山延に電話してと言っていた俺達。
2人ともスマフォはテーブルの上に置いてあった。

画面の消えた、剣のスマフォも自分のスマフォも見ていて考える。

剣も俺もそれぞれ・・・
世界中の重鎮の連絡先が入っている。

誰かに盗まれたりしたらそれこそ、世界情勢の表の繋がりだけではなく、裏の繋がりが流出する事に成ってしまう。
別にインサイダーではない情報。
個々に繋がりがそれぞれあって、あぁあちらともお知り合い?といった自然と俺らは知れた繋がりだけど、情勢的にばれたらかなりマズイものも もちろん入っている。



  『 俺、結婚は・・・すきなことしたい。 』


どこかの令嬢と結婚か・・・


剣が言った言葉を思い出していた。本当に結婚を考えているんだったら・・・

剣の会社資本はうちの会社資本より下回っているけれど、繋がりのある企業を巻き込んでの総資本は、国家予算を軽く超えるほどあり、全て半分以上のパーセンテージを占めている剣の会社。

国家予算を超えるほど実権を握るこの男が、結婚したら・・・


  俺が好きなそのこと結婚したら
  外資天下り先、大手じゅう数社 株が大きく変わること
  頭に入れておいて



剣が寄こしたメールを考えていた。
  
その “ じゅう ” ってひらがなで書いて寄こしたのは、“ 天下り先中 ほぼ ” この意味だという事は、自分の頭の中に直ぐに浮かんだ。

自分が議員に成ったら、天下り先として親父を会社に移すつもりの俺。
天下り先の企業ほど、世界中に支社を構える世界でも指折りの企業。そこと繋がりが剣にはあるという事も・・・
これからうちの社は天下り先としての影成る社長に元首相で、その裏の会長である俺の母親。
この2人をどうにかする事も、手回しする事無く他の企業が勝手にしてくる、もしくは剣自身が出来るという事を・・・


  頭に入れておいて - 剣 Sent from my true faith


天下り先として就任する大手の重役の椅子は、国防や軍事企業から引退した人も含む。それらの会社をも動かす事が可能な実権を握っているという事。その先につながっているのは、国単位で各国が恐れる力。

剣の心の中に引っ掛かっている真実を暴露してくれた、鳴良コーポレーションの大きさ。
剣が止める事はできても、その先の企業が何かをした時を考えてくれているという事。
鳴海財閥がもしそれらの大きな企業に負われる事があっても、そちらの企業の弁護士団がさっくり切ってくれるから、鳴良にリスクはないという事も・・・


  True faith 

  真実の真偽


この中に入っていると、剣にはどうにも出来ない事もあると・・・

  Sent from my iPhone

この連絡先がたくさん詰まった電話より、知ってて欲しいと送ったメールだろう。



会社の意味を込めて記しているとも思え、また・・・


  Faith 信義  
  True faith 真実の真偽

 
  しんぎ より すきなことしたい


その真偽より、好きな事をしたいのか・・・
その信義より、好きな子としたい と言いたかったのか・・・

りょうへ と、俺に言っている様でもあり、自分の心の感情を綴ったとも思えていた。



すごく優しい笑顔で白猫の頭を撫でる剣は・・・

付き合いの意味が違うけど、人付き合いはいいタイプ。

頼まれたり誘われたら、ん~どうしようかな~?と言った本来の個人的な性格。
蝶子の茶の誘いにも断れず、俺の夜ご飯の誘いも断れず、誰かと一服してきたのも、断れず・・・
そんな剣の性格は、仕事の決断力と違って、尻に敷かれるタイプだよな~・・・と、女の子とのお付き合いと言う意味で考え出したら、国家予算を上回る金を動かす権利のある一言・・・・
Yes かNoの一言だけで、あらゆる方面からあらゆる方面へ動かす事が可能な、白黒はっきりビシッと一言の即断力があるにも拘らず
お付き合いには考えて考えて、ま~ぁウヤムヤのまま、じゃぁいいよ。 ・・・みたいなギャップがおかしくなった。



「 ・・・フッ。 」


「 なに?急に、なんかあった? 」


思わず笑っちゃった俺に、ビクッとした剣は猫を撫でていた手を引っ込めた。


「 なんでもない・・・」


だって、剣って・・・ 
まぁまぁ、一服。 まぁ、一杯どぉ? そんな言葉に引っ掛かっちゃうんじゃ?と思い出していた。



_________ カラン・・・


ハイボールのグラスの中で、氷がほんのり溶けてグラスに当たった音がした。
グラスの中の大粒の氷は、様々な形。
つるっとした表面に、テレビ画面の父親が写っていた。


・・・ 氷山の一角


自分は、この参議院議員である公家の父と富豪華族という母親との間に生まれて、決められた人生を送る為にこの世に生まれてきたのかと ふと考え、嘆いた事もあった。

この人生で、金に困った事は一度も無い。

欲しい物は何でも手に入る。

どんなに高価な物でも、金を積めば手に入る。
社会的地位も与えられた人生に、不自由はここには無い。

欲しくても自由に手に入れることが出来ない物は、国会議員。
でも、選挙で選ばれる様に自分が動けばいいだけ。
それは、自分の能力と努力。それらの才能も人より秀でているとは、人付き合いの柔らかく上手い議員の父親からも、鳴海財閥全てを動かす有能な母親からも、遺伝子として与えられ持っていると自信までもが両親を見ていれば分かる様に・・・
2人の垣間見れる才能を両方持っているという自信が、自分を動かしている。

何も不自由していない人生の中・・・

何が欲しいかと言われたら、自分でどうにも出来ない物が2つ。


  人の心 

  自由


人生に自由が欲しいかと言ったら、自由にしている。
そうではないと、自分で思う自由とは、いまさら社長を辞める気もサラサラないほど。国会議員を経て首相に成る事だって自分がしたい事の1つだと・・・

何に自由が欲しいのかは・・・

自分で言い表せない。

しいて言えば、幸せかといわれたら、幸せなのだろう。

満月の様に明々と満ちあふれた、幸せ。

ではない・・・

剣と料亭に行った時に見た、見せ掛けの少し欠けているはずの満月か、今日の様な・・・ 十三夜

満月よりも煌々と輝いて見える、この十三夜の月の様だと、自分の人生に思う。



人の心を自由にする事が出来れば、自分で満足する人生が送れるのだろうか・・・



そう考えた時、自分の横で10秒単位で動くグラフの変動を、動かないまま見詰めている剣を見た。

こいつも世間から見たら、氷山の一角の中だと思われる人生を、背負わされて生まれてきたんだよな・・・

そう考えていたら、徐々にじわじわ右肩上がりに成って行く2つのグラフに微笑んでいた。
画面に触って二つのグラフを重ねて見て、自分の会社の方が昨日の会合の相手会社より、上にある事を確かめつつ相手会社の関連企業の動きも見ていた。

剣の着ている黒いセーターの袖に付いた白猫の長い毛が、部屋の中の仄かな風に ふわっと揺れた。
剣がタブレットを触っていない方の手を、グラスに伸ばしたから・・・


「 ちょっと待って、剣。 」


すっと手を伸ばして、袖に付いていた長い毛を摘んで取った。


「 あぁ・・ 毛が付いてた? 
  生き物だから仕方ないよね。 」


________ カラン・・・


言いながらグラスを持ち上げて、グラスに口を付けている剣を見ていた。


「 ありがとう。 」


そう微笑んで言われると・・・


「 ・・・ブッ ! 」


「 何? なんか、おかしかった? 」


ごめんごめん、と言いながら、別に何もおかしな事は無かった。


「 なんでもない。 いや・・・ 
  剣は、幸せなのかな?って、思って 」


ん?そうだな・・・・ と言い出して、タブレットを手前にずらした。


「 今のところ、幸せだよ。 」


株式のグラフを指して、そう言っていた。

いや、そうじゃない。って言いたかったけれど、止めた。
剣の肩を軽くパンチして、ニッと笑った。


「 お前・・・ アホみたいに0が付いている
  その 0れい、 カウントした事あるか? 」
  

ん~・・ そうだな、そういえば・・・ウヤムヤな返事だけど、仕事関係に関しての0の多さは銀行口座番号の桁数より上回っているので、そんな数字は区切りの見た目で判断できるとは、俺も同じようだと思っている。

それは、金の価値というよりも、ただ並んだ数字が社の評価だと感じている。


「 おい。アホみたいに0の並んだ 壺。
  そんな訳の分かんないの、買うなよ。 」


は?壺?と言いかけて、ゴクッとグラスを空にした剣だった。


「 まぁ、そんな壺には興味ないけど・・・」


いやいや、茶道具とかもだよ。わっけワカラン金額だろ。と言い出して、パンチした剣の肩に、膝に抱いていた白猫の毛を、自分のセーターの袖が触れた時に付けた様だと気が付いて、また取っていた。


「 ん~・・・ そうだな・・・
  価値があると買うんじゃなく・・・まぁ
  欲しかったら、気にせず買うかな? 」



・・・ なるほど



「 じゃぁ、会社もか? 」


「 あぁ、それは少し違う。
  その価値が欲しいからね。 」



ふむふむ・・・


やっぱり、どうでもいい事には考えるくせに、仕事に関してはビシッっと即答。


________ カラッ カラ・・・


剣が飲み干したグラスを振っていた。

グラスの中の氷に、テレビの画面の首相候補者の演説と、株のグラフが映っていた。
ほんのり溶けた氷の入っているグラスを傾けて、テーブルに置いたのを見て、自分のグラスを持ち上げた。


________ カラ カラ カラ・・・

    ・・シャラ


グラスを振ると、膝の猫も首を振った。


剣は幸せなのか? そう考えたら、今の状況を楽しんでいるのは自分と同じだと思う。
与えられた人生に、満足という満足のど真ん中ではないが、満足という範囲の中に収まっているという感じだと感じていた。


  『 俺、結婚は・・・ 仕事と・・・ かな? 』


その言葉も、考えて出した剣の即断ではないプライベートの返事だったと口調の違いを考えると・・・

剣も俺と同じ様に、恋愛と結婚は別の物だと考え始めていると感じていた。
利用するという事に気を向けたくても、結婚して愛人を持つという事は出来ないと感じているんだろうと、俺と違うその性格に悩んでると感じた。



  『 そうか?それは、嫌じゃないけど・・・
    
    俺・・・
    お前の妹が好きかどうかは・・・
    
    ・・・・まだ分からないけれど? 』
    


まぁまぁの酔っ払いが言った言葉には・・・
嘘が吐けない自分だと俺に言ってくれた事も含めると、少なからず妹に関してはニュートラルの気持ちだと思う。



それなら、これから好きになればいい。


まぁ、俺がここで妹を押しておけば


  ん~・・・ 
    どうしようかな~・・・


そんな性格の剣が断れない事も、気持ちが変わるまで時間を掛けてと思う。



剣が土地を買う と、鳴海家に個人宛にサインするまで・・・

俺は議員に成らないつもり。


この選挙の次・・・ 
親父の首相任務を伸ばす事が出来るなら、その先・・・

そこまで、官房長官の席に座り

会社経営もそのまま・・・



剣から金を奪ったら

妹と結婚して・・・


また土地が鳴海に返って来る。

この世界を動かせる俺と剣で、レジャー施設として価値をあげた土地の共有所有者として



あぁ、そうそう

その前に・・・



他の土地所有者にも、国に寄付させる様、仕向けてやるよ。


だから、どうでもいい自分と関係ない人から勝手にされる事に、付き合う暇は無いと思う剣。
どうでもいい嘘だらけのゴシップに振り回される暇も余裕も時間も無いし、わけわかんない在りもしない身の覚えも無い様な事に、大衆からの批判を受ける面倒な事を増やしたくも無い。

そんな変な噂を嫌った剣が、男の部下しか絶対に傍に置かない程、慎重に行動している事も頭に入れつつ

鳴海と鳴良の結婚を、世界が震撼するサプライズな日を楽しみに・・・

それまで大人しく、社長兼 内閣官房長官のバイト。

国から給料の出ない官房長官なら、財閥の社長の癖に税金を使うと思われないし・・・

顔と名を出馬前に売る為に、いいポジションを父が用意してくれたと母に無い父のすごさを思う。
この2人のハーフでありサラブレッド同士から産まれたサラブレッド。



  みつごの魂、百までも・・・





この言葉は、自分にとって とても意味のある言葉。

性格は墓場まで持っていくほど、直せないもの。




剣の性格もだけど・・・


裏をかきたい俺の性格も、直るもんじゃないと・・・





ふ ―――・・・



溜息を吐きながら、飲み物変えてと、傍仕えのメイドを睨んだ。



どうでもいい奴の付き合いは慎重に避け・・・

大事な付き合いには即決で・・・



大切な自分自身の付き合いには・・・

 “ そうだな・・・ちょっと考えさせて。 ”

国家予算以上のものを動かす権利のある男の頭の中を、埋め尽くすほど・・・

考えて悩んでくれるこの親友は、出会うべき奴だったと自分の人生ゲームに思う。




膝の上に白猫をのせたまま腕まくりをした俺を見て・・・


「 どうした? 溜息吐いちゃって。
  あぁ、毛だったら、気にしないよ。
  それとも・・・  暑いの? 」


「 うん、まぁね・・・
  ちょっと・・ 熱いか? 」


空になったハイボールのグラスを取り上げて、頬にあて目を瞑った。

氷の入った冷たいグラスに頬を寄せて幸せそうに微笑んでいた、料亭帰りの剣を思い出して

あの時の素直な剣に・・・



“ じゃぁ・・・ そういう事で・・・ ”



そう思ったまま事が運んでいると、考えていた。



少しずつ、少しずつ・・・

その会社の株の様に、右肩に徐々に上がっていけばいいと・・・

時間を掛けて、その時がズバッと来るまで __________



そう考えると、胸の中が “ 熱く ” 成ってきていた。





Myth. BLUE BELL - Act 14





________ ピッ・・・



山延の病室を出た後、怜と1階で表と裏に別れた。

車のドアを開け運転席に乗り込むと直ぐに


________ ドルン ドルン・・・・


キーを挿して、エンジンを掛けていた。

エンジンを掛けたまま、携帯で株式を見ても、今日の変化は全くなくて
ニューヨークの反対側に当たるインドの方も、株取引が終わる間近だったけれど、何も動きは無い様だった。

これから向かう会合の相手は外資資本の会社で、鳴良コーポレーションに融資を持ち掛けてきていた。

レジャープロジェクトのパートナーである 怜の鳴海財閥系の会社は、鳴良コーポレーションへの融資インベストメントを申し立てるその会社に、共に同じプロジェクトに携わる企業として、融資をパートナーである俺の会社が受けていいかの判断を下すものだけだった。

プロジェクトの成功は、この融資したこの会社にも利益が回る様にというもの。

怜の会社は、別に社長である怜が出向くほどの事ではなく、重役が会議に条件を持ち込んで話し合うだけ。
決断は我社の代表、俺がYes かNoと言えば済む事だった。


鈴鳴り岬に本来居る予定だった怜が、わざわざ一日だけの為に戻る理由が分からなかった。


会社の為に戻るよりも・・・

怜は、次期選挙に地元から出馬しようとしていた。 

その為そちらを優先的にスケジュールを組んでいた筈だったのは、もちろんパートナーとして会社の方から伝えられていたし、それに怜自身が俺に親友として、伝えてくれていた事だった。

ただ、予定より半日早く、前日の夜に鈴鳴り岬に怜が来たのには、初対面の怜の家族の中で、ほっと気が休まる思いがして安心し心の中では喜んでいた。


そう、この時は・・・

・・・ だった。



代議士も怜の初出馬と、自分の次期選挙の為に地元に来ていたからか・・・

秘書である怜は、代議士のお付きをしていると思えていたけれど


“ 代議士に直接、自分だけで会う事を許されない ”



そう感じた、怜との電話に・・・



もしかして、この日も怜は・・・

たった一晩でも、自分の知らないところで、代議士と俺が会う事を制御したのではないか、

そう思う様に成っていた。




駐車場を出て信号で止まっていると、正面に見える横断歩道を渡った先の街道に面した花屋は、シャッターが下りていた。
病院の面会時間に合わせて閉めるのだろう。

ビル横の路地は、ガラスからの光が漏れて明るくなっていた。
路地側に入り口のある喫茶店の方から、果物の入った白い箱を持った人が出てくるのが見えた。

その人が開いたドア。

そのドアに揺れるRINDOHの風鈴は、喫茶店の中の灯りに白銀の細かな光の粒を浮かべて輝いている。

色を変える事はないけれど、キラキラ輝いた光は瞬く星の様に、ゆっくりと閉りかけるドアの中に消えた。




これからの会合に、怜が出てくれるのなら・・・



自分が踏み入ってはいけない世界にもう足を踏み入れて、心囚われてしまったのならば
自分の中にある現状に、その者を引き込んでも良いと考えるように成っていた。



鳴海怜に・・・


ただ賛成か反対かの意見を求めるだけでは、重役と同じ仕事なだけ。

全く意味が無い。

怜にしか出来ない判断と決断を、第三者の相手の居る前でさせてやってもいいだろう・・・



インベストを申し立てる会社との差は、こちらの要求だと2%の違いがある。
1%だけでいいと自分が思う2%のうち、1%ずつ、うちの会社と怜の会社とフィフティフィフティに1%を受け渡すが、会社パートナーとしてのインクルードに持っていこうと考えた。
50%の我社、49%の外資インベストメント会社、1%の鳴海財閥では、何かが在った時に鳴海に奪われる事も考慮して、51%の我社の中の一部として鳴海を取り込むということ。

社長である怜にしか出来ない判断を、会合で持ち出そうと・・・

鈴鳴り岬のRINDOHを見て、一期一会の運命を・・・

会合に出向く事になった怜の運命に、自分が乗るべきかと思った。



本来は・・・

病気でなければ仲介役の山延に乗ってもらおうと考えていた。仲介会社は3%~6%乗るところが多いけれど、我社の51%の中からの3%では48%になる為、49%の相手の会社に乗っ取られる可能性が出る。
60%ぐらい抑えればいいのだけれど、始まらないと判らない10%の利益に夢見るよりも、見積もりの出ているリスクを最小限に減らしたい俺。
1%だけでも多く構えられればいい為の2%のうちの1%を、社の一部分として山延の会社に入ってもらいたいと、時期吸収するつもりだった。

代理人ではサインをされても、Power of Attorneyの書類が無い。
アメリカ資本会社には絶対必要な、現地での信頼性。融資を差し出すインベストメント会社はアメリカ資本。

山延と代理人とで現地に赴き、指定された弁護士最低2人の前で、サインを代わりにするという書類にそろって同時にサインしなければ成立しない。

山延の父親である現社長は、本社を構える香港にいる。
日本を任されている息子、入院中の山延が渡米出来るはずが無かった。

この事に自社で飲み込もうと考えた・・・

代理人が去った後の会議だった。



信号が青になると、横断歩道の向かい側から、白い箱を持った人が渡って来た。
左のウインカーを出しながら、その人が渡り切るまで待っていた。

大事そうに両腕の中に抱える白い箱。

その大きさは、中にメロンが入っていると思わせた。



  『 ・・プロジェクトの鈴鳴り岬の名産だし。
  
    そうだな、メロンでも貰ったら、熟すまで使って。 』


怜が山延に言っていた言葉を思い返した。

鐸杜の創る物に名産と言ったこと。
怜の中にも、鈴鐸RINDOHは自分の故郷の物だという誇りがあると感じて・・・


  『 俺は、メロンはやらない。
  
    ・・・誰かに貰え。  』


横断歩道を渡る人の持ち方が、自分にイマジネーションを膨らませていた。
左のウインカーのオレンジ色の光にチカチカしている、白い箱。


怜と見た、夕焼けの・・・

 黄昏色の様だと思いながら・・・



たそがれ か・・・



大きさも持ち方も、骨壷の様に持っている白い箱。




「  じゃぁ、俺が・・・


   ・・・次に


   裏で・・・ 


   買ってきてやるよ。  」






さっき病室で山延に言った言葉を、1人繰り返した。




 「 怜・・  山延・・・ 」



自分の 閼伽い屍が、熟すまで飾られろ。

吾汚い 陰に 心燻す様に焼かれて・・・




自分の心の中に赤々と燃える 紅色の炎がそうさせる  . . . . .




バンジージャンプの背後から、指された指に押される前に


その手を掴んで・・・




「  繋がっていないまま・・・


   一緒に、飛び込んでも・・・


   絶景は絶景だよ。   」




ただ、綺麗と感じる事の出来る安心に繋がれているか

繋がれて居ない恐怖に、繋がれている者にしがみ付くか





 葬示




その表意を、共にするのも・・・


パートナーだよな __________ . . .





「 甘く美味しく馨しい 芳醇な球体 」



信号を渡りきったその人に・・・・



「 滴り落ちる汁まで舐めて・・・ 」



スーツを着たその人は・・・

山延の病室前にいつも居る、XXリミテッド会長の秘書。



最後に食べたい物なのか・・・

それとも最後のお別れを言いに来る来客用なのか・・・




「 どうぞ、できれば、ごゆっくり 」



せめて会合の終わり、うちの株が動き出すまで生きていろ と・・・

球体に理想郷を思いながら車を出した。





理想郷は・・・




自分の理想を葬る場所。


果てない追求で思い描き

幻想の彼方に現実を置き

現実に身を投じれば

絶景と歌われるその幻想は

創った者の幻想の墓場

一度埋葬されれば

掘り返す者が気違いと

死亡鑑定書付きの守護された埋葬



俺らの理想は・・・


踏み荒らされたくない



俺らの理想の埋葬場所に・・・・


お互いの表意を示めすだけ _________ . . .








満月の夜 さくやのおこり



満月は


みつげつ とも

まんげつ とも



何時の時代から呼び名が変わったのだろう







満月の夜 策夜の興り ___________






会合までの隙間時間・・・


山延の代理人に、自分の椅子に座らせた。

自分のパートナーでもあって、親友でもある山延にも

そこに座らせた事がない。 それは、もちろん 怜にも・・・

この会合にも代理として顔を出す、彼。

社長室で、目の前に座った社長の背中に背負って見える・・・

コーポレーション自社の大きさ全て。

このビル軍と共に社長である俺を見て、その書類の中にお前が

代理としてサインする事無く、全てお前の上司である山延に持って帰れ。

取り次ぐだけの立場である事と・・・

取り次ぐだけの立場。 その安心を・・・




次期社長の山延が、全て責任を負う。


俺と山延とで・・・ 怜の会社を相手に・・・

怜と山延とで・・・ 俺の会社を相手に・・・


それは、くずせない仲介会社の立場。



俺と怜とで・・・  山延の会社を相手に・・・


訴訟を起こしたら、直ぐに抹消できる。



この立場である俺達と、同じ会合の席に出る事も、代理として持って帰るだけ。

持って帰るだけの仕事には、俺も怜も・・・安心だけは保障するよ。



山延の築いた物を蹴散らして、幸いと思う勿れ

自分のサインをそこにし、口出しをするのなら・・・
山延は要らないと言いたいのだろうけれど、それは法的に確立されない事。


サインの重要性を押し付けて・・・

鳴良コーポレーションから全ての責任を、お前に背負わせてやるよ。


山延が、俺と怜に築いてくれた時間

山延が、俺と怜に築いてくれた心

その大きさは、計り知れないものだと・・・


山延には俺も怜も、心の中からの信頼を向けているのは

山延が仲介して、俺と怜を逢わせてくれた運命かと ________ . . .




こうかふこうか・・・

ためらって とまっても




幸か不幸か、躊躇って停まっても・・・

目隠しをされて、回り道をして、その先に踏み入った

藍い世界に漂う香り、風の運んだ紅の世界



幸か不幸か、躊躇って滞っても・・・

目隠しをされて、回り道をされて、手を引かれて

その闇の中に連れて行かれ、背を押され

踏み入った1歩は自分で出した1歩

吾汚い世情に漂う死臭、風の運んだ閼伽の屍界




こうかふこうか・・・

ためらって とまっても




振り返って一歩戻った自分には・・・

この背中を一指で押すだけでは無理。

背後に背負った大きなものは、期待と追求・・・

時代を超えて、永き時をかけて創られた期待に開かれた林道。
時代を超えて、長き瞬を費やして築く追及に切り開く林道。


一 いち ・・・  1本で、1人で、1社で

一 はじめ・・・


始めから、切り開かれた見通しのよい林道に、産み落とされた運命。


俺も ・・・・


・・怜も・・・


・・・・山延も


その1歩は、果てしなく透き通る先

でも霞が掛かって見えない先に

風が冷たくも、温かくも吹きさえすれば

前に1歩出す事に、怖いと躊躇う事はない。



目隠しをされて、回り道をされて、その先・・・

蒼い世戒に漂う甘い薫り、風の運んだ燻る淦の世怪


知らぬ間に踏み入っていた、自分・・・ 達・・・


父親の代から・・・ 皆、そうだったのだろう・・・・






みつげつ の よ さく 家之御子離 ___________






会合までの隙間時間・・・


気を利かせてくれる、自分の会社秘書。 沙夜

深い部分まで掘り下げた話がしたいと・・・

直ぐに気付いてくれた、秘書の運転で向かった先

山延への見舞い時間を、執務よりも大事だと・・・

・・・ そう人生にとって ________ . . .




鈴鳴り岬に帰っている間・・・

愛人である料亭の若女将に、子供が出来たようだと打ち明けられた。

夕べの事だった・・・


・・・朝になって

会合のキャンセルをしようと、秘書の沙夜に電話を掛けた。



「 朝からごめん。 
あのさ、妊娠した事・・・ 聞いてる? 」


_____ はい、 私も・・・


「 そう・・・ 聞いてたんだ。 」


秘書は俺の愛人だけど、もう一人愛人が俺には居る事も彼女は知っていた。

俺の愛人達は、仲がいい。 

仲がいいなんてもんじゃないほど、仲がいい。

緑とは、会社や料亭で会うだけ。

本妻に引け目も嫌味も感じない、この2人・・・

“ 妾 ” 妾という立場に、理解は十分あった。


それは・・・もちろんなのかもしれない ________ . . .




_____ いえ? それは、初耳ですけれど
    私の方にも、兆候がありまして・・・


耽々と話す秘書の口調は、いつも通りだと感じていて・・・


「 待って。 ・・・
  ・・・どういうこと? 」 


_____ 社長・・・ 私も懐妊いたしました。



うふふ・・と、笑う沙夜に・・・
この愛人達は、お互いが妊娠した事を喜んでいる。

そう感じて・・・

2人には、自分の子を産んで欲しいと望んだ。


「 分かった。 今から帰るから
  会合の予定は、そのままに・・・」




この一言が・・・ 




・・・この出来事で、運命として受け止めた。

その運命とは・・・



行く筈ではなかった会合に、自分が決めた出席の意。

この一言は、自分自身を動かした咄嗟の自分自身の言葉。

この会合で、剣に差し出された思わぬ要求も、運命として呑もうと。

本来は、仲介会社である山延が受け入れるはずのリスク。

鳴良コーポレーションの負債の可能性を、検討する立場だけではなくなった

・・・この運命 ________ . . .



他社の尻拭いを我社が簡単に請け負う判断なんて、社員全員するはずが無い。

鳴良コーポレーションでも念頭に置かれていた、鳴海財閥の方針。

剣と、山延と、俺の・・・

親友関係がなければ、どの社もするはずの無かった事。

たった一言の権限を持っている、俺達だけでの決断に、口出しできる者

そんな勇者・・・

俺の会社に居たとしたら、秘書の沙夜だけだろう。



山延の尻拭い・・・

信頼している親友同士の関係が起こさせた、運命だろう。

山延が下した人生の決断に・・・

俺も剣も誠意を表しただけ。



結婚は人生の墓場と比喩される。

墓場に持って行くべきものは、自我に自欲。

才を取るにつれ増えるそれ・・・

才を取るにつれ失う恐怖が増すそれ・・・

才を取るにつれ失消の抑制をしたいと欲が増すそれ・・・


甘いだけの時間を想い描ける、何も知らない才に

自ら墓石の蓋を開け、永遠の眠りの中に甘い夢を望む自殺。

香しい花に埋もれ、安らかに・・・

あの状況を美しいと思える時までが、婚期かもしれない。

死への恐怖が増していく時間を重ねたら、その恐怖は自己愛だと気付くだろう。

墓場まで持って行くと比喩する様に

甘い夢を思い描けなくなったら、本心を死ぬまで隠し通すだろう。


山延の下した人生の決断に・・・

俺も剣も誠意を表せる。


尻拭いはいつか尻拭いではなくなる事を、俺も剣も知っているから、できる判断なのだと。

鳴海との強く壊れず変わらない繋がりを求めるならば

山延との強く壊れず変わらない繋がりを求めるならば

そして、鳴良とも・・

強く壊れず変わらない繋がりを求める俺らが、親友に向けるのは切望・・・

棺桶の蓋を開けようとしていても、

燃やしてしまう棺桶にわざわざ入る必要は無いと諭す。

墓石の蓋を開け、その闇の中に飛び込むだけだと闇を指す。

窒息の危険も、見えない外から燃やされてしまう事も無いままに

そのまま入ってくれと、生きたまま入ってくれと、切望する・・・



結婚と恋愛は別だとは・・・

 “ だって、怜と結婚するようなものだし ”

墓石の蓋を開け、闇を見て、深く底が見えないその中に

じゃぁ、行ってくるよと・・・微笑む笑顔に、笑顔を返す。



恋に愛に比喩する言葉は数知れない。

恋愛とは・・・

心ごと甘く染められて、優しくなれる感情までもが、熱に蕩けさせられて

自己消滅の恐怖を熔かすほどの熱さで、心を犯す

その熱に堪らないほど虜にさせられて

ぬるめの湯に熱さを求めていく度に、もっと、もっと、もっとと・・・

気付けば火傷して、もがく事も出来なくなり、深い中に溺れて沈む。

恋にもがきつつ・・・

愛に溺れつつ・・・

息が出来なくなるほど 胸の中を熱く焦がされても・・・

窒息の危険の無い 冷たい墓石の闇に永遠に生きるより

燃え尽き死んで身を粉にする方を、心が勝手に望む程の快感なのだろう。



恋愛

恋愛のそれは・・・
愛という例え様の無い感情は、それ以上の言葉が無いほどに括られた一言で

愛していると伝えたいだけなのに躊躇いも生まれ、感情の分からない涙が溢れ、声を抑制する器能が働く
人生の負債を負わせたくないと、心が望む程 愛しているのは・・・

結婚という人生の責任に括りつけたくないほどに、愛しくて・・・

永遠に甘く香しく美しい夢の中に、心が焦がれ続けたいと酔いしれ合う。



結婚

結婚のそれは・・・
夫妻という公正な繋がりに、お互いの人生を擦り付け合う最高の言い訳だと

お互いに持ち合わせた何かを利用するだけと、腹を括れるのならば、笑顔でその闇に飛び込める。
甘く香しい夢を闇の中に思い描けているうちに、それとも飛び出す勇気を養うだけの時間を掛けて・・・



それは・・・

・・その二つの先・・・


自分を愛する自己愛への陶酔を、人は己の中で一番に望んでいる事だろう。

どちらの先も

恋愛の、夢の中の先か・・・

結婚の、実在する先か・・・

見ているものは自分自身の欲望の先。

先にある自分の理想の置き場への途中経過に、身の破滅がどちらでも同じ様にあるだけ。



気が付けばいい・・・


ただ甘い夢も闇に包まれて、ただ冷たい現実も燃やす事が出ると ________ . . .


身の破滅かどうかは・・・

自分自身にしか確認できない感情が、伴うか、伴わないか

伴えば・・・

灰になるまで燃え尽きるか、生きたままの埋葬か、そのどちらかとは伴った感情が教えてくれる。




 相似



この二つはとても似ていて

恋愛の真意に、結婚の深意

その先にあるのは、自分の理想郷だろう。




理想郷は・・・




自分の理想を葬る場所。


果てない欲が探求した

欲望の彼方に現実を置き

現実に身を陶酔させれば

絶頂と感じるその恍惚は

人が求め続ける欲だろう

一度その闇に身を投じれば

不落と不定に気付くはず

深く落ち行く恐怖も

冷たく凍てる恐怖も

思い描くものが・・・

甘ければ甘いほど

美しければ美しいほど

自己埋葬への恐怖が募る時を過しているだけ



自らの理想は・・・

果てない欲の先



自らの理想の埋葬場所に・・・・


自己の感情を確認するだけ _________ . . .



だから・・・・・



『 綺麗なままの、け・・・ 』


綺麗なままの、決意の内は

綺麗なままの、剣の決意が

綺麗であれば綺麗なほど、理想にするものが大きく膨らみすぎて、探究心に破滅して欲しくないと
黄昏の光景に想わされたのは、本心から親友に願う 一(はじめ)の言葉だったのだろう。


『 ・・・いや、綺麗っていいよ。 』


綺麗なままに求めていくのなら、それに付随する力を貸してやるから

俺に付随する力を貸せと要求する、汚い自分も底に居て・・・

甘く香しい花に囲まれて夢の中に陶酔できそうと、思い描く現実があるのかもと

その可能性に、心から親友として応援したい自分も其処に居る



なぁ、剣・・・・


  ・・・きれいなままの 剣って


________ いや・・ 綺麗っていいよ ・・・


その綺麗な理想に、1% “ 一 ” はじめから入っていいと思っていた。






「 分かった。今から帰るから・・・
  会合の予定は、そのままに。 」


そして帰って来た東京で


「 会合の為に帰って来たのか? 」


俺自身が出向く程の無い会合は、剣の外資関係の会社。
うちからは、重役だけで確認の用は足りる事だった。


「 あぁ・・・ 」


真面目な顔をしていた会社関係。でも・・・
俺は、甘えてしまった


「 ん~・・・ってか、まぁ・・・
  ま、そうか。うん、そう・・ だな。 」


自分の心に嘘が吐けないと言ってくれた、綺麗な心のままの親友に・・・

自分の一の心にも、嘘が吐けなくて

また隠す事が増えた事に、心が咎めている・・・ 
それが・・

恋と同じ様だと・・・ 感じていた。


お互いに、自分の理想を探求する自分の姿に・・・

恋しているだけじゃないかと、気付いていたのは

18で墓場の闇に 大々的な葬儀のパレード。

絢爛煌びやかなロールスロイス 子供の頃の玩具。夢のままの・・・


霊柩車で

現実は、連れて行かれた時の自分。


美しければ美しいほど、甘ければ甘いほど、香しければ香しいほどいいと思っていたわけじゃない。
生まれながらに嫌悪を感じる、決められた人生の中の途中経過の一つ。

子供の頃から自我の芽生えを抑制されて、諦めて育った自分。


それだけ・・・


恋をした事のない俺が、恋焦がれたのは

自分の理想を思い描ける人生だろう。



俺も・・・


・・剣も・・・


・・・・山延も


産まれながらに 背負わされたものが大きくて

人はそれに目が眩んでも 自分の周り全てから向けられる期待に心潰れると

産まれながらに背負わされた 期待も大きい事・・・


産まれながらに 持たされたものが強すぎて

人はそれに羨んでも 自分の才能に学歴に自分の全てに向ける 追求心を持たないだろう

産まれながらに持たされた 追求し続ける強い根性・・・



3人とも同じ 三つ子の様に



敷かれたレールの上に産まれ

産まれながらに置き去られたレールの上


目隠しの様に霞掛かって何も見えない時も 晴れ澄み渡り見えてしまった果てし無き先

真っ直ぐに向かう様に 背負わされ持たされて 生まれてきた

人生が・・・・



___________ 幸か不幸か・・・




“ 内容は人によりけり。似たり寄ったり ”
 


霞繋る関所の門が開く時、門先の中心に更なる靄で存在を隠す様に

風が吹いて靄が晴れ姿を現す時が、その時で・・・


目隠しの様に、霞掛かって何も見えない時も

晴れ澄み渡り見えてしまった 果てしないその先を

真っ直ぐ向かう様に、背負わされて 持たされて 生まれてきた

俺達・・・



果てし無い先を 見てしまった 後・・・





幸か不幸か 準備された真っ直ぐの道を

垣間見て 現を抜かすか 現に向かうか



自ら各々に向かう   


 その先 ・・・



幸か不幸か・・・ 


 自分の感情が答えを知っている ___________







Myth. BLUE BELL - Last Act 2.1


TO.... Last Act ∽ 2.1







☆ こちらの作品は、2015/04/07 にUPしましたが、作品を一箇所に纏める為に日付をずらしました ☆






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mimi's world from Ren Tsuruga and Chuehonn Hizuri
Love Letter from RT and CH

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