mimi's world * HOPE and DESIRE

_______ BE-lie-VE * be-LIE ve * believe...the SHAMs for heart healing * mimi's world-7 _______

Myth. BLUE BELL - Last Act 2.1 - 




________ 満月の満たした明りの様に、満ち足りた夜から・・・


次の日の、朝・・・



朝靄の掛かる時



「 おはよ~。剣 」

「 怜、夕べはお疲れ。 」



鈴鳴り岬に、もう一度行く用のある俺。

現地には自分で足を運びたい土地を確認しきれていなかった。
他の誰かを連れて行くと、自分の素直な感覚と直感が薄れる為、ただ訪れる観光客の様にどう感じるかだけで十分であると考えていた。

実際、鈴鳴リ岬の土地を訪れて・・・

一番重要なのは、灯台のある岬だと自分自身が感じた事。
現地に赴かなかったら、灯台の土地に関しての記載のない鳴海家の書類に、気付かないままサインしていたかもしれない。

そのまま鈴鳴り岬に残る予定だった怜に、会合の後・・・


『 なんだ、じゃぁ朝、
  迎えに行ってやるよ。 』


また、うちに泊まればいい。と言ってくれた怜から続いた言葉は、その通りだと思いながら


『 早くプロジェクトを進めて
  ホテルなんてたくさん建てればいい 』


それまで、うちをホテル代わりにしてくれて、全く構わないぞ。と言ってくれた怜。


『 ・・・・・って
   ・・ ゆうか・・? 』


怜は首をかしげながら、俺の顔を覗き込んでいた。
それには・・・


『 さぁ・・?
  ・・どうだろ?』


同じ様に首を傾げて、微笑み返した。
でも・・・

視線だけは、怜のとある部分を見ていた、この時だった。




・・・朝、社用車で迎えに来てくれた怜。

仕事が出来る様に改良された広い車内、怜と後部座席に座っても、間に人が2人は座れそうだった。
飛行機のビジネスクラスの様にPCを置いて仕事が出来るようにもなっていて、足を伸ばしてPCを見詰める怜の横顔を見ていた。


夕べ、別れ際に感じた ふとした表情・・・

自分の顔を下から覗き込んで、首を傾げた怜。



  “ ・・・って・・ ゆうか・・・?”



自信有り気に、ジーっと俺を見たその顔が、ニッと瞳を険しくさせた。
もう一息の商談の時にも見る顔なのだけれど、鋭く獲物を追い詰める様なその瞳ととっさの笑い。

人形の様に笑う蝶子には、心から笑っていると感じなかった。

兄妹揃って見せる同じ様な表情だと、蝶子を見た時に思ったけれど・・・
怜には・・・

この見た事のある瞳の奥・・・


ごくっと息を飲んだ。




俺の腕を掴んで引き止めた奴。

自信のある笑い・・・


似た様な表情に、ふと脳裏を掠めた情景があった。




_______ 懐かしい・・・



思い出せない記憶の断片に・・・


心をもう一度、連れて行かれた。


朝靄の中で見た怜は、昨日見せた表情では無かったけれど、今 横で真面目に仕事をしている横顔を見ていたら
ん?と言って振り向き微笑んだ。

その顔には、いつもの人懐っこい怜だと思っていた ________ 






Myth. BLUE BELL

― 鈴鳴り岬の向こう ―

Last Act



『 ∽ 』

素氏 






mimi's image music* Grace / Stella's Theme by William Joseph



バラの様に華やかで・・・


人の心を 甘く魅了し


人の心に 美しく憑き


人の心に 芳しく残し


人の心を


侵し離さず







その怜は、憧れと注目を、生まれながらに浴びて生きてきた。


手の届かない高値の華

その言葉がとても似合う、世界に1つしかない、手の掛けられた温室育ちの花の時も・・・


一年中 砂地に咲く強い花

世界中でバラが咲くのも、花には過酷な場所であらゆる養分を奪い取り、自分は綺麗な花を咲かせる時も・・・


とても、バラの表現が似合っていると思う。


バラの様に華やかな姿に・・・

そこに居るだけで、存在感に輝く時も

甘い香りで何気なく、アピールする事も

怜にはそう感じている。



野に咲く花の様に、存在を気付かせずひっそりと咲く花・・・

彼の妹たちは、彼の影に隠れる様にひっそりと咲く。


蝶子に・・・
鈴音・・ も・・・


バラの様に華やかな雰囲気をかもし出せないのは、どこかで制御されていると感じた自分だった。




鈴鳴り岬に着いて直ぐ・・・



「 じゃぁ・・・ 剣。 
  昨日までの部屋でもいいし・・・ 」



何処でも構わないよ・・・・


鍵なんて掛かってないから、勝手に好きな部屋に行ってもいいぞ。と言い残し、正面玄関で下ろしてもらった。

メイドが並び頭を下げて俺達を囲む中、すっと音無く一台の車が入ってきた。

怜は、東京から来た社用車ではなく、エンジン音の無いエコ車に乗り換えた。


「 じゃ、適当に・・・」


怜はそういい残して、そのまま地元後援会事務所に向かって行った。

メイドに お帰りなさいませでしょうか? と微笑んで聞かれると・・・


「 いや・・・ また・・・
  いらっしゃいませ かな? 」


その言葉に気付かなかったメイドに微笑むと、では、鳴良さま、またいらっしゃいませ。と返してくれた。



自分は・・・


まだ・・・ そのつもりは無い。 


でも、怜と義兄弟になってもいいかと、考え始めたのは確かな事。

まだ、このお屋敷に お帰りなさいませ と言われる様な間ではないと思う。
自分のしたい事を考えると、結婚するという事は、別にどうって事ない。

ただ、自分の父が託した会社の為に生きるのは、自分にとって楽しい人生だと感じている。

その為の術として、法的に守られる繋がりがあった方がいいかと考えた。



それには・・・


怜が、一生 俺から離れられなくなる。

・・・と言う事も含め


代議士も自分の義父に成る。



代議士に直接会うのを避けられているのならば、義父になれば別にアポイントも要らないだろうと思う。


もし後援の必要性があるならば、代議士の後援会の大部分が鳴海財閥であるということに、怜の後援に自分の会社から出資しても良いと考えていた。

その繋がりがあれば・・・

鈴鳴り岬のプロジェクト以外に、鳴海埠頭。
輸出入の玄関口として発展するならば、あらゆる方面に自分のビジネスを広げて行く事も可能だと思っている。


怜の会社と自社。

この二つが合併。50%と50%の混じり気の無い、半々の権利。
きっと世界で恐れられる企業形態になるとは、怜も思っているからこそ・・・


自分に、結婚してと言っていると思うから・・・


山延が人生を仕事の為に生き、結婚という形で繋がりを怜に、怜との繋がりを俺に、そう人生を捧げてくれるのならば、俺の人生も自分の好きな事・・・

会社の為に生きるのも、楽しい人生だと思う イコール その人生が好きという事。

だったら・・・



離婚のリスク ほぼ0%の 家系

華族と公家



家の名を汚すものを嫌う家系に、離婚はありえない事。

一度結婚したら、二度と俺から離れなくなる 鳴海家との繋がり。

ほぼというのは、いろいろな事が起こった場合の想定。
仮定範囲で考えたら、0%の見込みには、0%との判断をしている。


だったら、こんなにリスクの無い、美味しい話にのらない筈がない・・・

それに・・・


怜の妹は、自分に懇願していた様だった。




わたしを、ここから、だして・・・ って、聞こえた様な気がした。

たった一日離れただけで、自分の心の中に、頭の中に、ずっと彼女の事で埋め尽くされていた。

それは、好きだという感情なのだろうと・・・



森の中で見た、天女の様な彼女に、一目惚れした時から・・・


この心・・・ 囚われて




好きという感情があるならば・・・


好きな子と・・・
  
好きな事 




両方、一石二鳥なのだろう __________






Act 15

mimi's Image Music * Once Upon a Love by Willian Joseph




前と同じ部屋に通してもらい、椅子に鞄を置くと、鐸杜の名刺を取り出した。

一輪のりんどうを挿していたデスクで、木箱の組み紐を解き出してみたけれど、やはり光が当たらないと ただの錫で出来た銀杏の葉。

窓辺に行きカーテンを開けると、手の平に置いた銀杏の葉は白銀の靄を掛けた様に、白い光を浮かばせた。

手の平を自分の顔の方に向けると、鈴鐸のウェブアドレスが浮かび上がる。


実は、このアドレス・・・


この名刺が、バイク便で届けられた昨日。
オフィスで山延の代理人が来る前、ウェブで見ていた時から気になっていた。

鈴鐸RINDOHの工房のウェブサイトを、サーチで見つける事は困難だった。
有名デパートやギャラリーに出版社のサイトが幅を利かせているのか、そちらで調べる数が世界で圧倒的に多いのかは、疑問だけれど、鐸杜の名刺にも出ているアドレスはサーチリストの中で見つけられなかった。

名刺に書いてあったウェブサイトに、直接アクセスすると鐸杜が見せてくれたホームページは出てくる。

試しに、鳴海怜と入れてサーチに掛けると、鳴海財閥社長として会社のホームページは、トップ10サーチの中に入っていた。自分の名も試してみると、もちろん会社のホームページが入っている。

同様にして、鐸杜領と入れたところ・・・

RINDOHのホームページはもちろん出てこず、鐸杜OOという苗字から始まる名の違う人、全て知らない人が出てくる。
数ページ目には、人探しのお手伝いサービス承ります、みたいな探偵会社なども出てくる。
有名ギャラリーやコンテストのオフィシャルサイトも、そこには含まれてなかった。

鐸杜領という名と、顔は、公開していない事を考えると、それは当然だと思った。



RINDOHのホームページに直接アクセスして・・・

隅から隅まで、1ページごとに隅から隅まで見逃さず探しても

名刺にも載っていない・・・



とても気に成る事があった。


名刺には、ウェブサイト 鐸杜領の名 彼の携帯の番号

この3つだけ。

良く見えるのは、白い光のウェブアドレス。

蒼い光の鐸杜の名は、条件が揃わないと浮かばないし、電話番号も角度がとある角度しか出てこない。
会社名は、作品と同じ様に刻印されている。


それ以外に、名刺に必ずあって、鐸杜も・・・


 “ あぁ、名刺は・・・・
   ・・・フ・・いや、東京に送ってやるよ。 ”


俺の名刺を胸ポケットから取り出して言ったように・・・

住所が、普通書かれているものだと思っていた。


ホームページにも、住所は載っていなかった。

送られた達筆な文字の包みにも、宛名の無い直接届けられた物に、書いているはずは無いと思う。


とりあえず・・・

 『 じゃぁ、1000円。 』

・・・そう言われている。


律儀に、1000円払いに行きたいと思って、住所を探していた自分だった。


それに、灯台の鍵 


書類に記載の無い、灯台の土地は、鐸杜領の物なのかを聞きたかった。

鈴鐸の工房へは、目隠しされなかったので、道順は行ったら分かるだろうと考えた。
途中、りんどうの咲く場所も無かった事や、海の音が聞こえた方だと考えて、サテライトマップを開いてみた。

それは私有地の為・・・

道という道でもない林道は、道路として乗っては居なかった。
なんとなくここらあたりと見当をつけて拡大するも、森の樹々に覆われていて何も見えない。

ストリートビューも、もちろん私有地の為ある訳なかった。



アメリカのこの会社に聞いてもいいけど・・・ 

そう思いつき、携帯電話を取り出した。


もっと詳しく現在のサテライトを送ってくれる事は、実は会社関連で繋がっていて知っている。

が・・・

プライベートな質問の為、そんな事に会社を利用するのは、ダメだろ。と・・・携帯を咄嗟に取った自分でも思う。

ダメダメ。信用を失う事が一番の敵。

あの社はXX省にOO管理と繋がっている事を考えて、頭をフルフルと横に振った。
携帯電話の画面をサテライトマップに変え、GPSで自分の位置を確かめ、自分で何とかしようと試みた。


一輪のりんどうの花を入れた名刺入れを取り出して、窓の外に目を向ける。

この窓辺から見える森は、廃墟のある方角。
茶農園のあるその場所から・・・

あっち・・・ 

窓の無い壁の方に携帯のサテライトマップを見ながら、ぐるっと体ごと向きなおし、もう何度も見て頭に入っている このあたりの土地の建設予定地図を思い浮かべていた。


あそこから、岬の灯台の土地まで・・・


サテライトも何度も見ていたけれど、開発の必要のない 森の奥や、灯台から海沿いの森をこんなにじっくり見るのは初めてだった。

結構広いこの森の中に、鈴音の屋敷も工房もある。

工房の方は、簡単に見つけられそうだと、実際に見た風景に思う。

日一日と夕暮れの時間が早まるこの時期、暗くなる前に先に・・・

森の方へ先に足を運ぼうかと考えた。

灯台の方は、夕日が美しく差し込んでいた。
それを考えると、夕暮れまでに海側に出れば、仕事の終わった誰かに出会う事が出来るかもしれないと思う。




思い出す・・・

霞の靄に覆い尽くされた、蒼い光景 __________



ほんの一昨日の出来事なのに、もう自分の中で、どれだけの長い時が経ったか分からなく成る程
あれからずっと・・・

彼女だけに心が囚われすぎて、とても長く感じていたことか・・・







          _____ おに・・さん こちら・・・・



          唇を伝う指と、唇に触れた柔らかい唇が、小さく囁いていた。




          鈴音のその指は、何も言うなと唇を塞いでいる様で

          目隠しをされている意味に

          見えないものを、心で感じてと




          背筋が寒くて・・・

          抱きつかれ、押さえられていても

          その温もりに・・・





          心に何かが浮かび上がったら

          頭の中に言葉として浮かび上がる

          心のままに動き出す子供の様な鈴音が

          抑制を覚え社会に順応したいと欲を出す、そんな大人


          大人として・・・

          時を経て、忘れ去って行くものの中に

          大切な忘れものを覚えていない事を


          大人として・・・

          そのまま時を重ねれば

          幼いものに何が伝えられるのかと


          大人として・・・

          懐かしいと感じる事には

          心のままに動き出していた子供の頃

          全てが、一(はじめ)ての時に

          感情を呼び戻すのが大切だと





          その温もりに・・・・

          心地よいと、心の中で思わされた。



          _____ あぁ・・ そうか・・・・



_____ さぁ、どうぞ うえへ・・・・

    ・・・のぼります よ・・・



上に上に、天辺に近づきたいと望む大人・・・

社会の中に順応して生きる様に制御されたストレスを溜めて



  

          上に上に天辺に近づいて

          神にでも成るつもりかと

          嘲笑っている ・・・・




          _____ ねぇ、どこに いくの・・・?
        



分からないのならば・・・




_____ おきをつけ、あそばして・・・
 
   ・・・くださいませ・・・






“ モウイチド、ヤリナオセ ” 








やりなおせるのなら・・・



やってみろ




そんな覚悟もできない




大人としての抑制を覚えた者に





          出来るものなら・・・



出来ないだろ _____ . . .





          生まれ変わったら・・・

          幸せに成れると繭の中で待ち望む・・・

          蝶々の羽

          柔らかく温かいまま

          何彩にも染められていない、純粋なままのその色を

          無色と言い表せるような、そんな大人に・・・



          何も無いという事を

          言葉にする事は・・・


          頭で考えている事だと気付かされて



          心で感じる事を

          心のままに心に浮かばせたまま


          それが恥辱だと感じるならば、ただの大人




          生まれ変わったら・・・

          幸せに成れると繭の中で待ち望む・・・

          蝶々の羽

          真っ白な天女の羽衣は、白い霞の中に翳んで見えないだけで




          柔らかく温かいまま・・・・




          柔らかく温かい唇に囁かれて・・・






人生に必要だと感じた直感は、彼女の自分に対する直感が頭の中に働きかけ、感情の色を変えた。

透明に透き通る・・・

何もかもを見通す そんな様に


純粋なままの・・・

不純混じらず 穢れ無き様に


永遠に溢れ続ける泉の上で、くるくる回る彩とりどりの光の影・・・





          生まれ変わったら・・・

          くるくる回る走馬灯の、彩とりどりの影絵の様に

          昔仝の想いに戻り、昔若の思いに懐かしさを感じたら

          蘇る心の繭を孵化させて

          広げても・・・ 

          柔らかく温かいままの子供の頃に懐かしさを感じたら

          蘇る心の繭を糧にして、その天空の彼方に飛び出せば



昔仝の想いに焦がれ

今若の思いに囚われ

今寂の思いに囚われ

今惹の想いを昔仝に向けて・・・




その温もりに・・・・

心地よいと、心の中で思わされた



「 あぁ・・ そうか・・・・ 」



_____ さぁ、どうぞ上へ・・・・

   ・・・上りますよ・・・





上に上に、天辺に近づきたいと望み・・・

社会の中に順応して生きる様に制御されたストレスを溜めて

上に上に天辺に近づいて、神にでも成るつもりかと

嘲笑っている ・・・・




「 ねぇ、何処に行くの・・・? 」



そんな事も、分からないのならば・・・





どうぞ・・・

・・・どうぞ



どうぞ・・・ どうぞ
どうぞ どうぞ どうぞ・・・
・・・どうぞ どうぞ
どうぞ どうぞ ・・・どうぞ
どうぞ どうぞ・・・
・・・どうぞ どうぞ どうぞ
どうぞ ・・・どうぞ
どうぞ・・・どうぞ どうぞ


・・・どうぞ
どうぞ・・・・




「 お気を付け、あそばして・・ 下さいませ・・・」



くすくす・・・・

・・・うふふふ




          「 なりよしさま・・・ 」



          きゃはは


うふふふ・・・・ 

・・・・くすくす





生まれ変わったら・・・


もう・・ いいかい・・・ _______ . . .




_____ どうぞ・・・


ごゆっくり



・・おに・・さん、こちら _______ . . .




_____ どうぞ・・・


その時のままで
 


まぁだ、だよ・・・・ ________ . . . 



_____ どうぞ・・・


そのときの間まで

・・・手のなるほう・・へ ________ . . .



_____ どうぞ・・・


ての 鳴る法へ・・・・・ _________ . . .




・・・ ごゆっくりと




霞掛かる時 のままで

二氏に尽きが 返る時間 まで




廻り続く走馬灯の翳画の様に、蘇る過去の時が


様々な、閼伽に・・・

紅に、朱に、淦に


様々な吾汚に・・・

蒼に、紺に、藍に



・・・時を思い出されて



この命尽きるまで・・・ .




_____ 霞掛かる時の間まで・・・

・・・西に月が帰る時の間まで ______




          光の方に進めば、どこだか分かるかと・・・

          早々に昇った満月が傾いても、ずっと明るく照らされた夜の中。

          灯台の定期的に光る方に、誘われた ________




          ________ にゃおん・・・



          目の前を歩く白猫に


          シャラ・・・ シャラ・・・


          首につけたその音を追いかけて

          月光に共鳴する様に、白い毛が銀色に光り浮かぶ。




          頬に朝露を浴びながら、星が降る竹林を思い出していた。


            ・・・サ ―――・・・


          風が森の中を通り抜け


             ザ ――――・・・


          風が時を経て育んだ高さの大樹に、音を奏でている

          森の中に通り抜ける風の中に、りんどうの仄かな香りを漂わせ

          花の香りの風の音は、崖に向かう波の音の様でもあり



          傾いた月の光の中に 紅葉と黄葉が降り注ぐ

          目の前に開けたその場所に・・・

          闇の中に花の色は見えなくて

          それでも咲いているのが、霞の中に見える



          _____ シャラ・・・ シャラ・・・


          首につけた鈴の音に

          花の中を飛び回る音


          その先に・・・


          向かった先に行くにつれ、仄かに周りが明るくなり始め

          頬を濡らした朝露に、上を見上げた。



          この場所に初めて来た朝・・・ 

          上を見上げた大樹から、落ちる一粒の朝露が涙の様に頬を伝った。

          海、底辺から吹き上げた風が、朝靄に包まれた雫をたくさん降らせ

          波飛沫の音と共にまだ輝く星を空から打ち上げている様だった。



          _____ 懐かしい・・・



          そう感じた、見えない何か


          心の中に灯された炎が陰を映し出し

          様々な彩に見せる

          光は見えても、手につかめないもので・・・




          _____ 手の鳴る方へ・・・



          そう言われても、四方八方、球状に広がる光は

          何処へ・・・



          _____ お気をつけあそばして下さいませ・・・



あぁ・・・ そうか・・・


          _____ さぁ、どうぞ・・・

                  おきをつけ あそばして下さいませ


          「 ねぇ、何処に行くの? 」




生まれ変わったら・・・

幸せに成れると待ち望む・・・

真っ白な霞の中に見えないだけで


透明で純粋なままの見えないものを

どうして言葉に出来るのだろう



心が・・・




          _____ 貴方さまのここが、お知りに成られておりますよ・・・




          明るくなって霞の中に見えた花の色は

          それぞれで・・・

          開けたその場所に咲いていた。

          蒼く芳しく群生して咲いて・・・

          そう思い描いていた、月が西に帰った闇

          真っ直ぐ向いて見えたのは・・・


          灯台のある岬ではなく

          父の残した廃墟の前だった。



          灯台の光と思って進んだ先は

          自分の通された部屋から見えた

          灯台の反射 __________ . . .




目の前に広がった、様々な色で咲くりんどうの世界。

また、この場所に来て、数日前より・・・

藍蓼の伸びが、著しく早いと感じた。
りんどうの花の背よりも、遥かに伸びて命を奪う時期に差し掛かっていた。


成長が早い・・・


怜もこうして、急いで生きているのだろうか・・・

自分も同じ様に、こうして生き急いでいるのかと、心の中で勢い増す様に糧を投げ続ける人生が、楽しいと感じている。



もしも、生まれ変わったら・・・



          生まれ変わったら

          幸せに成れると繭の中で待ち望む・・・ 蝶々の羽

          真っ白な天女の羽衣は、白い霞の中に見えないだけで・・・



          「 そうね・・・」


_____ 霞かかる 時の間まで・・・・・



          幸せに成れると繭の中で待ち望む・・・ 柔らかく温かい羽

          透明で、純粋で、透き通って見えないから

          光に透かして その上を見上げたら・・・




          鈴の音を鳴らす 透明な煌きが



          透明なのに

          赤くも染まり

          青くも染まり

          幾色もの輝きに

          見える様に動く



闇の中で変わり続けるその時を・・・



澄んだ空気のこの土地で気付き

低い空に白い雲が照らされて

高い空に動かない闇に染まる雲も





その時が流れて変わりゆく


赤い煌き


紫の煌き


白銀の煌きに


深い影の蒼に


鈴鳴り岬の空の様に




鮮やかな古の瞬を刻み続ける深き紅色を心の中に・・・

暗く蒼く輝く月の光に共鳴して輝く影を心の中に・・・




吹いたら消えてしまいそうだと


弱々しくも


よわよわ強くも


止め処なく燃えつづける 



柔らかく、温かな

胸の内・・・



透明で見えなくて


目に見えない透き通った輝きが


りょう方から


天辺から舞い下りて


底辺から舞い上がる



そのどちらともが・・・

透き通って見えないほど とても純粋で

心の中に瞬いている事すら見せること無く・・・ 





          窓の無い壁際に、大きく飾られた 鳴海令の肖像画

          その部屋に向かう様に、窓の無い廊下に並ぶ 7人の りょう達が

          歴史を作っているのだと自分を見下ろしていた。




          _____ 階段の手すりに座って・・・


          「 見下ろしておりますよ・・・ 」

                              シャラ・・・



          鈴の小さな音が鳴り響き

                             うふふふ・・・   


          笑い声が重なって



          自分の唇を塞いでいる、柔らかく温かな感触に

          ぐにゃっと人形の様に腕が曲がっている両手は

          強く握ると握り返してきて、指を絡めたら絡め返す



          「 レイはね・・・」

                             くすくす・・・

          その声が聞こえる背後に


                             シャラ・・・シャラ・・・


          近づく鈴の音と風が触れた様に通り過ぎた






_____ お付き合い、ねがえるのですか・・?



誰彼と、霞の中に隠れる陰の存在に、表の輝きも裏の輝きも見ている俺が

手を貸して、手を差し出されて

強く握る握手に、寝返る勇気が、その心にあるのかと言われていると考えていた。

森の中を歩いていて、数日前と草の伸びが著しい植物以外、何も変わらない。

澄んだ美味しい空気を胸いっぱいに吸い込むと、りんどうの香りが・・・

仄かに鼻を掠めていた。



一昨日のその時までは・・・

勢力のある嵐の中心に立たされても、怖いと思うより楽しいと自分で思えるほど、自分の人生が好きだった。

いつもの様に嵐の中に突っ込んで行ったら、初めて竜巻に巻き込まれ何も出来ないようだと感じるほど、激しく感情が掻き乱れていた。

そんな心の中でも、吹いたら消えてしまうと思っていた

小さな蒼い灯し炎が

嵐の風に紅く燃え上がる種火になった。






蒼と

蒼紫色の空に

煌きが輝きだす前に


吹いたら消えてしまいそうな、弱々しく細々としていた感情が

暗く蒼く輝く月の光に共鳴して輝きに陰を創る時 

煌きが翳となって表に見せる影に

見えなかった物を、闇に中に黒点として見えるものに還る



          恐れるのなら・・・・


          陰に潜む奴ではなく

          影になって見えるだろう自分


          陰として表に見える裏の輝きに

          踏み入る時

          自分も裏の輝きの影となって表に見える




          「 お付き合い願えるのですか・・・? 」



          “ ねがえる ” って・・・



          「 どちら・・・」



          “ どちら ” って・・・






           走馬灯の様に何かがクルクル描かれて回っている。

           その灯りは、何色も・・・



           自分の頭の中に思い浮かぶ・・・

                        ・・この場所で

           胸の内が震えだした色ばかりに煌いて・・・

           綺麗に美しく浮かび上がらせた

           美しい物の下に出来る影までも美しき白い霞

           霞の中に反射して、きらきら違う輝きを水滴に映せば

           影の煌きを、透明で純粋な煌きに隠せると・・・





           蒼き陰が 蒼い影の後ろに・・・

           正面となって輝き現れている 自分の心の中

           心の中の炎の影までも 透明に彩点かされて 


           心の中の色とは・・・


           感情によって色が違うものなのか・・・

           それとも、色が感情を教えてくれるのだろうか・・・

           いや、色から与えられる感情なのだろうか・・・



           胸の内に灯された小さな灯りが、どんなものなのかとは・・・

           知らなくてもいいのかもしれないと思いながら

           追い求めたい情熱が心の中で赤々と燃えさかる事も

           潜めたい想いが静かに青い炎として揺らめく事も

           どうしていいのか分からない事が・・・

           また胸を焦がして・・・



・・・・いたのに ________ . . .




今は、色とりどりに咲くりんどうの花の中に・・・

たった一輪だけ咲いていた、蒼いりんどう。

その蒼いりんどうに気をとられ・・・



自ら手を伸ばし、もぎ取ったから



色とりどりの花の中に、蒼いりんどうは、もう咲いていなかった。



父が断念したこの場所に、弱々しく細々と咲いていたそれ・・・

種火となって燃え広がる様に・・・

紫色の藍が伸び、紅と朱と淦の紅葉が降り積もり

たくさんの赤 閼伽が重なり合って広がる光景に、立ち止まった。




この場所で・・・



・・・ ここで





          ________ ニャォォ――― ・・・


          野生の生態がそうさせるのか、木立の中に消えそうな月光に猫が叫んでいた。


          その猫の後ろで立ち止まった自分。

          唇に触れると、触れた指につく・・・ 紅


          この同じ手で摘んだ・・・ 

          りんどうの花が咲いていた場所で


          その指を擦り合わせ、咲いていた場所を見ていた。

          蒼紫色に空が白みかけても、星がまだ瞬く西には

          月食に復活した満月の明りが名残惜しげに闇を煌かせていた。


          靄の中、灯台の明りを反射している鉄骨に冷やされて

          朝露が風に吹かれて飛んできていた。降り注ぐ様に濡らす霞の中・・・

          紅が・・・ 自分の手の中を血で染める様に広がって、滴り落ちた。








_____ なりよしさま・・・ マナーは、いかがされましたか?


目を開けていたのは、マナーとかという問題じゃ無かった。
ただ、眼が離せないことに意識が集中していただけだった。


“ 目を瞑れ・・・”


何かに目を瞑っていかなければならない事も、この世の中にはあると感じていて・・・

同じ様に、その兄も・・・


_____ だって、相手がその気に成っているのに?
    手を出さない方が、失礼・・・

    ・・・・なんていうの? マナー的な感じ・・・



立ち止まったこの場所に、紅く染まった手の中を・・・

葉の舞い落ちきった、空か仝かな樹々の林道に

紅葉が創った光景 _________ . . .


敷き詰められた赤絨毯が道に伸びる 夜明けが映した・・・ その光景を、思い出していた



________ シャラッ・・・ シャラ・・シャラ・・・


赤い絨毯の上を、白猫が飛び跳ねて行った先・・・


振り返ると、昼間の今なら見える 

散り始めた一昨日よりも、深い あか に重なって・・・

赤絨毯のレッドカーペットの先には、白亜のでかい鳴海家の屋敷が見える。



あの時は、猫が跳ねて行ったこの方向は・・・ 

夜明けの反対、まだ闇の中に星が煌く影の中に、霞の中に翳み屋敷は見えなかった。




血に染めた様な、自分の手を握り締めて、残された廃墟から降り注ぐ霞の中を歩き始めた。



          れいじょうの昔

          銀で出来た茶入れに毒の判別は


          銀は人の生きる証を残しても

          人の命を奪う証を残す事無く・・・



          鈴情の・・・


          いや


          令嬢の・・・


          その味を口の中に残した、紅の唇。



          もし、藍が混入されているのなら・・・

          この命尽きるまで、鈴音の傍から離れずに居てやると __________


          いや

          藍に  

          その あい に


          命乞い 

          こい をするのなら


          この命尽きるまで、鈴音の傍に居たいと思っていた。




  どちらかが・・・

  自分で分からなくて・・・・



もう一度、生まれ変わったら・・・

幸せに成れると繭の中で待ち望む・・・ 見えない世界

光の中に見える様でも、手を出しても摑めなくて

深い霞の中に手を伸ばしたら、手先が見えなくなるその指先に

何が触れるのかが、怖くなって・・・





そうね・・・

霞掛かる時のまま




霞が朝靄に掛かるこの時間まで、彼女といた時間の中に



にしにつきがかえる時の間



西に月が帰る時の時間まで、彼女といた時間の中に



“ れいか ”の風に舞い落ちる


紅と

黄昏が・・・

森を燃やす様に降り積もっていて



勢力をあげながら糧を飲み込み尽くす

止ん事を知らない様に燃える野望の炎は

蒼い種火に点けられた


生まれながらに持たされたのか・・・

生れた後に植え付けられたのか・・・

分からないまま 


それが何かとか 心の中の想意とか 分からないままでもいいと

分からないまま 燃え盛り続ける糧は たくさん用意されていて



鮮やかな古の瞬を刻み続ける

深き紅色をその唇に携えて・・・



囁き続ける ・・・


唇が・・・


心の中に教えてくれた





          ________ チリ・・・


          ポケットの中に握り締めていた、白銀の鈴は・・・

          柔らかさに握り絞めても、容を変える事無くて

          音の鳴らない沈黙に、形を好みに変えられても

          音の鳴るその響きに、果てない先まで届く様に・・・

          その容は、変わらなかった。



          ________ にゃぉ・・・


          振り向いた白猫に・・・

          両手を差し出した




閼伽に染まった自分の手は

赤い絨毯の上には・・・



          紅に染まった自分の手は

          紅葉の絨毯の光景に同化して


赤々と燃える、リスク無き関係に心を燃やし広げるか



          その紅が・・・

          滴り落ちた、今は無き一輪の蒼い花の咲いていた場所



蒼く心を彩どった 美しく芳しく心奪い純粋なままに

愛を心に感じたからか・・・



ずっと大切に、生きた証を残す銀の中に閉じ込めて、この胸の中に・・・



ずっと大切に、シルバーの名刺入れに閉じ込めて

この心にいつも触れているポケットに、無意識に収めていた自分を思う




『 どちらで・・・』



そう聞かれても

意味が分からない自分が其処にいた




_____ そうね、月が出始める頃・・・


『 じゃぁ・・・ 行く。 』


その自分は・・・



チリン・チリン・・・ 
       ・・・チリチリ・・・


鈴の音に、風鈴の音に・・・ 潮風の音と・・・

彼女の声に目を瞑った。



彼女の鈴の音に

白猫の鈴の音に

鈴鐸の鈴の音に

その音だけが頭の中を廻り出して

腕を掴まれた感覚を頭の中で確かめながら




この森で・・・

存在しないと思えた自分が

躊躇ったくせに足を踏み入れた



          紅に染まった両手を見ながら


          深い紅に・・・


          明い朱に・・・


          あかに染まった彩とりどりの紅葉の絨毯の上を


舞い散っていた一昨日までが、懐かしいと・・・


          傾いた夕日に染まる海の反射に、黄昏の赤い空 その海、底辺と・・・


          天辺に近い森の中の情景が同じ様に、自分の足元を埋めている



“ 怜とバルコニーで見た夕日が、森を紅色に染めていたっけ・・・ ”



          ________ 懐かしい・・・
    
そう思ったあの時の自分すら・・・ 今は・・・




懐かしい・・・




          星が煌きを失う、夜明けがやってくる前に


          この森から・・・

               出なくては ・・・・




           ________ チリ チリ チリ 



          鈴の音を追って、闇の中に佇む赤い絨毯を歩いていた。




この場所に・・・


りんどうを摘んだその場所に、立ち止まったら




________ にゃぉん・・・


シャラ・・シャラ・・・
      ・・・チリ チリ チリ



白猫が走って鈴の音を鳴らしていた。


空が、蒼紫色になる前に、鈴鳴り岬まで行かないと

空に傾いた黄昏色の夕日に気付き、どれだけの時間、この場所に止まっていたのだろうかも

分からない自分が其処に居た _________ . . .


























できるものなら・・・











そうか・・
・・・こううん の・・・

















 
『 じゃぁ、行く 』









紅雲に居た俺が
蒼花にかえした



あの場所すら、何処にも見当たらない森を彷徨って


ざわめく鈴の音を探し、耳を澄ましても

芳香な香りを、目を閉じて研ぎ澄ましても




森の中は・・・



沈黙を保ったまま、赤く空気を変えていく _____________





Act 15 2.2








................. TO. Myth. BLUE BELL - Last Act 2.2 素氏  







☆ こちらの作品は、2015/04/07 にUPしましたが、作品を一箇所に纏める為に日付をずらしました ☆








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